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第2の章 電 話
●・ ・ ・男・ ・ ・●
電話が鳴った・・・。
もしかして・・・紗代か・・・!
馬鹿な・・・。
あいつから電話などあるわけがない・・・。
受話器を取った・・・。
ん・・・? 誰だ・・・?
!!!
紗代・・・!?
無言だが・・・ かすかに聞こえる息遣いは・・・ 紗代だ・・・!
「おい・・・ お前か・・・ 紗代か・・・ 何とか言えよ!」
受話器は、公衆電話からだ・・・。
アナログな、雑音が・・・聞こえる。
「紗代! 紗代!」
おれは、ただ叫んだ。
嬉しかった。
何も言わなくても・・・ 嬉しかった・・・。
「・・・タッくん・・・ あたし・・・あたし・・・もう・・・帰れないよね・・・
帰ないよね・・・。」
泣きながら、紗代の声が聞こえてきた。
懐かしい声だ・・・。
昨日まで、当たり前だと思ってた、紗代の声だ・・・。
「おれ・・・ おれ・・・。」
悪かったと・・・ 言いたかった。
帰って来い! ・・・こころが、叫んでいた・・・。
おまえがいなけりゃ、おれ、また元に戻っちまうんだよ!
「声がね・・・ 聞きたかったんだ・・・ ありがとう・・・それじゃ・・・。」
「ま・・・待てよ! おい! 紗代!」
ツーツーという無機質な音を聞きながら、おれは泣いていた。
泣くしか・・・なかったんだ・・・。
●・ ・ ・女・ ・ ・●
彼の声は 心なしか 震えていたような気がした。
そう・・私は なんにも言えずじまいだったのだけれど・・・
(これで・・・いいんだ・・・)
心の中の自分に 問い掛けてみる。。。
(達也とは・・・もう・・・戻れない)
目の前には 海が広がっている。
(あの場所へ 行こう・・・)
気が付けば あの街への切符を手にしていた。
走る―――――――― 走る。
ただ、ひたすらに。
達也との思い出を切り捨てるために、今の私が出来ることと言ったら・・・
(これ以上この街に留まっていることなど 出来ない・・・
そんな事をしたら・・・あたし。。。)
まるで、ストーカーのように 達也につきまとっていたあの頃。
一緒にいることが、こんなに素敵だなんて…思いもしなかった。
お互い仕事で離れていても、毎日のように携帯で話をした。
帰ればまた逢えるのにね・・・。
普通、花束なんて男が女に贈るものよね。
でも達也の誕生日に、 「おらよっ!」 なんて わざと男みたいに 投げ渡してた・
・・ そんな自分が懐かしい。
(嗚呼・・・あの頃の方が 私・・・ 倖せだったのかも知れないね。。。)
両思いになって、恋人になって・・・
(もしかしたら、知り合わない方が倖せだった・・・?)
季節は まだ 巡り行かずに。
舞い散る桜の花びらに この私が 成れれば良いのに。
第2の章 電 話
●・ ・ ・男・ ・ ・●
電話が鳴った・・・。
もしかして・・・紗代か・・・!
馬鹿な・・・。
あいつから電話などあるわけがない・・・。
受話器を取った・・・。
ん・・・? 誰だ・・・?
!!!
紗代・・・!?
無言だが・・・ かすかに聞こえる息遣いは・・・ 紗代だ・・・!
「おい・・・ お前か・・・ 紗代か・・・ 何とか言えよ!」
受話器は、公衆電話からだ・・・。
アナログな、雑音が・・・聞こえる。
「紗代! 紗代!」
おれは、ただ叫んだ。
嬉しかった。
何も言わなくても・・・ 嬉しかった・・・。
「・・・タッくん・・・ あたし・・・あたし・・・もう・・・帰れないよね・・・
帰ないよね・・・。」
泣きながら、紗代の声が聞こえてきた。
懐かしい声だ・・・。
昨日まで、当たり前だと思ってた、紗代の声だ・・・。
「おれ・・・ おれ・・・。」
悪かったと・・・ 言いたかった。
帰って来い! ・・・こころが、叫んでいた・・・。
おまえがいなけりゃ、おれ、また元に戻っちまうんだよ!
「声がね・・・ 聞きたかったんだ・・・ ありがとう・・・それじゃ・・・。」
「ま・・・待てよ! おい! 紗代!」
ツーツーという無機質な音を聞きながら、おれは泣いていた。
泣くしか・・・なかったんだ・・・。
●・ ・ ・女・ ・ ・●
彼の声は 心なしか 震えていたような気がした。
そう・・私は なんにも言えずじまいだったのだけれど・・・
(これで・・・いいんだ・・・)
心の中の自分に 問い掛けてみる。。。
(達也とは・・・もう・・・戻れない)
目の前には 海が広がっている。
(あの場所へ 行こう・・・)
気が付けば あの街への切符を手にしていた。
走る―――――――― 走る。
ただ、ひたすらに。
達也との思い出を切り捨てるために、今の私が出来ることと言ったら・・・
(これ以上この街に留まっていることなど 出来ない・・・
そんな事をしたら・・・あたし。。。)
まるで、ストーカーのように 達也につきまとっていたあの頃。
一緒にいることが、こんなに素敵だなんて…思いもしなかった。
お互い仕事で離れていても、毎日のように携帯で話をした。
帰ればまた逢えるのにね・・・。
普通、花束なんて男が女に贈るものよね。
でも達也の誕生日に、 「おらよっ!」 なんて わざと男みたいに 投げ渡してた・
・・ そんな自分が懐かしい。
(嗚呼・・・あの頃の方が 私・・・ 倖せだったのかも知れないね。。。)
両思いになって、恋人になって・・・
(もしかしたら、知り合わない方が倖せだった・・・?)
季節は まだ 巡り行かずに。
舞い散る桜の花びらに この私が 成れれば良いのに。