(株)藤川建設のブログ

地元の山の木を使った家づくり

柱落し込み足固め工法

2017年06月19日 | 長岡(西)M邸 平屋住宅
建物の四隅の柱は他の柱よりもワンサイズ大きめとし、
足固めに土台を横から差して、その土台を基礎に固定しています。


隅の部分には耐力壁が配置され、横からの荷重を受けると、ここに大きな引き抜き力がかかります。
通常は、ここにホールダウン金物を用いますが、金物をなるべく省略する工夫としては、「足固め」工法を採用しています。

土台を隅柱に通して、土台の断面を使って、金物と同等以上の力を実現します。
富山の島崎棟梁の元で、4トン以上の引き抜き力が出たという結果を踏まえ、構造計算でも応力を確かめた上で施工をしているものです。

更に土台だけでなく、中間の梁や桁も隅柱にからめているので、計算以上の力に耐えると思われます。


隅柱の土台の仕口


長ホゾ差込み栓打ちとします。
隅柱の場合は両側から入るので、段差を付けて2ヶ所の仕口となります。


隅柱にかかる横架材


土台と同じく長ホゾ差しですが鼻栓止めとなります。
下が梁。上が桁。、と構造を明確に分けると墨付けも加工も惑う事はありません。



基礎の形状


基礎も柱の落ちる部分は欠いてあります。
土台敷きの時も、柱と差さる土台の部分が未完のままです。
間違ったかと思われるかも知れませんが、ここが一番の要の場所です。



横架材を差し込んで栓で止める


梁と桁が差し込まれ、鼻栓で固定されます。


土台を柱に差しこんで固定


柱に土台が差さり、土台を基礎にアンカーで固定します。
アンカーは全部で4本ですから力は分散されます。
1本で全ての力を担うホールダウン金物だと、1ヶ所に力が集中し、地震時にコンクリートが割れてしまった被災現場があったと聞きます。
特に開口部を多く設計した場合、壁倍率を最大限の5まで高めてしまうと、基礎に負担がかかってしまう。
木材とコンクリートの強度を最大限に活かすために、力を分散させる伝統構法の「総持ち(そうもち)」の概念が役立ちます。



伝統構法の木組みを応用すれば、木材の潜在能力を最大限に高めて、金物による建物の寿命(30年程度)の呪縛から解放されます。





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このブログを開き始めてから、家づくりや環境、食について様々な想いを書き綴ってまいりました。

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