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Entrance for Studies in Finance

blog for business studies
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その後のギリシャ

2016-09-03 17:16:49 | Area Studies

2014年11月 銀行監督 ECB

    10月 EUの失業率 11-12%で下がらない インフレ率0.4% 原油安 → 市場は追加金融緩和を催促 

2014年12月 ECB 商業銀行が中銀にもつ預金金利のマイナス化

2014年末 ギリシャ 銀行預金の大量流出始まる (銀行は破たんして企業に資金を貸せない状況) スイスフランがユーロに対して高止まり

      2008年から2014年 GDPは25%減少

2015年1月15日 スイスフラン 対ユーロ上限撤廃(スイス国立銀行)

2015年1月22日 ECB 量的緩和を決定国債などを月600億ユーロ購入する 少なくとも16年9月まで(総額1兆ユーロ超える) 

     日本、米国に次ぎ量的緩和に踏み込む スイスフランは高騰(スイス国内企業株は大幅下落)

2015年1月25日議会選挙 チプラス政権発足()ギリシャの債務隠しは2009年10月の政権交代で発覚)

2015年3月 ギリシャ 失業率25.6%

2015年6月末 ギリシャ政府 資本規制に踏み込む 銀行休業へ(6月29日)

2015年7月5日 ギリシャ 国民投票で 緊縮反対多数 反欧州感情高まる

2015年7月9日 ギリシャ政府 EUに財政改革案提出 (政府は破たんし 輸出関連企業のための税制優遇措置が取れない状況)

2015年7月14日 IMF ギリシャの政府債務報告書で 大幅な債務減免の必要を強調

2015年7月16日 ギリシャ議会 財政改革法案可決 

2015年7月20日 IMFに送れていた返済 銀行が業務再開

2015年8月11日 金融支援で大筋合意(2016年までに基礎的財政収支で黒字化) 第三次金融支援プログラム受入

        ➡ VAT付加価値税引き上げ 年金削減へ

2015年8月19日 理事会 ギリシャに対する最大860億ユーロの新たな金融支援を承認

2015年8月20日 ESM(前身はEFSF) ギリシャに初回分130億ユーロ融資

2015年10月末 ECB 四大銀に144億ユーロの資本不足を指定

2015年12月 ギリシャの四大銀行への支援 実現はナショナル銀(最大手)とプレウス銀への54億ユーロのみ

2015年12月 ECB マイナス金利を0.3%に拡大

2016年1月 ユーロ19ケ国 銀行の破たん処理の一元化 250億ユーロ(今後8年かけて積み立てる)の破たん処理のための共通基金

2016年3月1日 EUに対し国内滞留難民支援のための緊急資金拠出4億8000万ユーロをEUに要請

2016年3月11日 ECBが追加緩和 マイナス金利幅を0.3%から0.4%に拡大 量的緩和の規模を200億増やして800億ユーロに

2016年1-3月 ユーロ圏成長率は前期比0.6% 年率で2.2%増()過去3年プラス基調) 失業率10.2% 消費者物価上昇率はマイナス

2016年5月22日 付加価値税引き上げ 新たな民営化基金設立などを柱とする財政構造改革法案を可決 2018年に基礎的収支でGDP比3.5%の黒字化めざあす

2016年6月1日 消費税を1%あげて25%とした。昨2015年に13%から23%に引き上げ済。

失業率は約25% 2016年9月23.1% 2015年9月は24.7%

選挙戦控えるドイツは強硬

IMFは 本質的債務削減をユーロ圏に求める

チプラス政権 現状以上の緊縮に抵抗

➡ 2017夏にも破たん

ギリシャ問題の再燃


上場投信(ETF)

2016-09-03 13:44:49 | Area Studies

日本株を対象にしたものの 債券  REIT を対象にしたもの 外国の株や債券に連動したものもある 魅力ハコストの安さ 2001年に登場

15年7月末残負高15兆円 15年9月末で上場銘柄数219 月間売買代金 約7兆円・・・ただし売買は上位5銘柄に9割と集中 レバレッジ型ETF(野村)は人気

日銀の買いが背景 2010年10月 ETFの買い入れ始める株価が下がった時()前場が前日比1%下がると買いに入っている(といわれていた2012年2月ころ) 2014年10月末の金融緩和で購入ペース3倍に)

分散投資効果がある+コストの安さ(通常のインデックス投信がO.5%台のときに0.2%)

個別株より売買が大きいETFも増えている 背景 プロの運用(投信)への失望

指値注文できる

積立投資はできない 通常の投信のインデックス型(従来型指数連動型投信)ならできる

人気によって市場価格と乖離することも

レバレッジ型()仕組み:純資産の2倍程度になるように先物を買っている 変動率の2倍 したがってレバンp売買がふえると先物取引も増える

インバース型 逆の動きをする。

ベア

商品やREIT 連動型も


Case Study: ポケモンGOと任天堂

2016-09-03 10:51:37 | Area Studies

大きな流れはゲーム機からスマホゲーム

 2015年7月 社長の岩田氏の急逝 → 君島社長(三和銀行出身) 2015年9月16日付け社長に昇進

 スマホゲームメーカー

  スクウエアエニックス(スクエアHD スクエニHDともいう 1986年第1作発売のドラゴンクエストで有名) 

  サイバーエージェント・・・子会社にサイゲーム

  ガンホーエンターテインメント 2012年2月 主力のゲームがパズドラ配信開始 2014→2015 減益基調(普及の一巡 パズドラ人気減少によるの課金収入減少 スマホゲーム間の取り合いの側面 ゲーム・・・開発費1-2億→4-5億 当たれば儲けは大きい ベンチャーでは難しい) 
  ミクシィ モンスターストライク(モンスト 2013年10月配信開始・・・世界的ヒットになる)の課金で伸びる
  コロプラ 魔法使いと黒猫のウイズ
  バンダイナムコエンターテインメント(主力キャラクターに機動戦士ガンダム 仮面ライダー 妖怪ウオッチ) など
  グリー 消滅都市:2014年5月配信開始
  デイエヌエー スマホゲームで苦戦 2012年ピークに2014年まで減少 ファイナルファンタジー 
  家庭用ゲーム機メーカー コーエーテクモ「ガンダム無双」「ゼルダ無双」など 
 任天堂 家庭用ゲーム機(ニンテンドー3DS Wii Uなど2017年3月にNXの発売を予定)の販売が低迷 ヒット作の不足
  → WiiUの生産縮小 2016年内終了へ 背景人気ソフトの不足
 2016年4月28日 任天堂 米大リーグ シアトルマリナーズの持ち分の大半の売却を発表(24年間 筆頭オーナーだった 2004年に
 元社長の山内氏の個人出資分を任天堂が取得) 2016年3月末の手元流動性は9093億円 マリナーズ売却でさらに手元厚くして新型ゲーム機開発に備える
 → 手堅い君島氏の手法
2016年7月6日 米国でポケモンGo先行配信 GPS利用 爆発的ヒットヘ
 ポケモン(任天堂が32%出資 フジメデアアHDも出資)、米ナイアンテック(米グーグルから独立 もとはグーグルの社内ベンチャー 2015年10月 グーグルの持ち株会社化に伴い独立)に共同出資開発へ 2015年10月 ナイアンテックはすでにGPSを利用したゲームのイングレスを開発運用していた。このイングレスの経験蓄積を利用してポケモンGOを開発へ
 7月11日 時価総額2兆8700億円 売買代金東証一部首位
 7月12日 任天堂の株価が8ケ月ぶりに3兆円回復
なぜ社会現象化したか(7月13日)
 7月14日 3兆5800億円(2015年8月以来11ケ月ぶりの高値) 売買代金4303億円 東証一部の売買高の17%(東電の4456億円―2013年5月に迫る記録)
 7月19日 売買代金7036億円 東証一部売買高の23% 時価総額は4兆5008億円 4兆円のソニーやセブンイレブン上回る 東証一部内ランキングで13位
米国で支持された理由(2016年7月20日)
ポケモンGOの収益と任天堂
 8月 日本でも配信開始 22日までにダウンロード数1000万超える(ゲーム継続率高い インベーダーゲーム以来の社会的反響


薛暮橋 (Xue Muqiao 1904-2005) 維基百科和百度百科

2016-08-29 15:45:32 | Area Studies

维基

薛暮桥(シュエ・ムーチアオ)(1904年10月25日―2005年7月22日) 江苏无锡(チアンス・ウーシ)の人。元の名を薛雨林(シュエ・ユーリン)、経済学者、中国科学院院士、元国家統計局局長。2005年第一回経済学傑出貢献賞受賞(獲得)。

経歴(生平)

1927年中国共産党入党。沪杭甬铁总工会常任委員、組織部長を務める。1931年より南京民衆教育館「民衆週報」編集、中国農村経済研究会理事、「中国農村」月刊主編務める。1935年罗琼(ルオ・チオング)と上海で結婚。9月に新知書店の企画立ち上げに参加。秋冬の変に際しては、党の八一宣言、十二月決戦の精神により、「中国農村」に発表した文章で、全国の農村の運動家に、団結して国難に立ち向かうことを呼びかける。12月に上海文化界救国会を発起設立。1938年10月のあと、新四軍教導総隊、抗日軍政大学華中総分校訓練部部長、山東省参議会参議員、山東省人民政府秘書長兼実業庁庁長、1947年のあと 人民政府財経事務室(办事处)副主任、中央財経部秘書長を務める

1949年後、政務院財経委員会秘書長、私営企業局局長、中規委委員。1952年後、国家計画委員会副主任、国家統計局局長、国家経済委員会副主任、国家物価委員会主任。1975年後、国家計画委員会顧問兼経済研究所長。国家経済体制改革委員会顧問、国務院経済研究センター総幹事、国務院発展研究センター名誉主任、中国計画学会会長、中国統計学会会長、名誉会長、中国物価学会名誉会長、中国科学院学部委員。第一次、二次、三次全国人大代表、六次全国人代財政経済委員会委員、全国人民政治協商会議第一次、五次全国委員会委員、第六次全国人民代表大会常務委員会委員。

1979年中華人民共和国の歴史経験を総括した著作「中国社会主義経済問題研究」は中国大陸経済体制と正確な発展方針の啓もう教材となる。当時の都市に存在した失業と半失業に対して社会主義労働力を労働者の自己所有に戻す(仍归)視点を提出。1980年6月には流通制度の改革からの着手を率先提出。分配制度の改革を重要とする。1980年代末には各地区発展戦略、全国的戦略の基礎を提出。

改革开放中的薛暮桥

1)忧心反思洋跃进

1976年四人組が粉砕され、文革という大災難(浩劫)の終了が宣言された。(しかし)薛暮桥のみるところ、1977-1978の2年、誤った路線をただす活動は進まず大きな壁に遭遇していた。このことに薛暮桥は心を痛めた(忧心忡忡)。薛暮桥は深く考えた。「ただ林彪と四人組の罪業を明らかにして批判するだけでは不十分で、過去20年の左に傾いた誤りを正さなければならない。そうでなければ、我が国の社会主義現代化は正しい道を歩むことができない」

2)上书中央,直陈弊病

薛暮桥は繰り返し熟慮の上で、自身の意見を中央に上申することにした。薛暮桥は次のように回顧する。「20年以上、我々多くの同志、とくに指導部は誤りの大きさ、深さそして有無すら自覚していなかった。一部の同志は誤りの一部を認識していたが、なお恐れるところがあり(心有余悸)、敢えて口にすることがなかった。このようなタブー(禁区)を破ることは容易ではなかった。」1978年4月18日 薛暮桥は小平と李先念同志に、「中央の責任ある同志が話すことができなければ、このタブーを破ることはむつかしい」とする手紙を送った。

3)1000万冊的心血之作

薛暮桥は激励を受けタブーを攻撃する決心をした。彼は20年の経験を総括し、左傾の誤りを批判し、短い言葉で明確に書かれた、求められた体系だった論著を書き上げた。(そのため)1978年10月何人かの助手とともに、「中国社会主義問題研究」の執筆に外地(国外)で専心することになった。

 

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百度

薛暮桥(1904年10月25日ー2005年7月22日)  元の名前は雨林、江蘇無錫の人。1927年中国共産党に加入。1938年から1942年まで新四軍で働く。新四軍教導総隊訓練処副処長。通俗著作『政治経済学』教科書を書いたが、それは新四軍幹部の育成(培训)教材となった。中華人民共和国が成立後、政務院財政委員会秘書長と私営企業局局長とを兼任したほか、国家統計局局長、国家計画委員会副主任、全国物価委員会主任、国務院経済研究所中心総幹事(を歴任した)。1955年に中国科学院哲学社会科学部委員に選ばれた。

人物簡介

薛暮桥。元の名前は雨林。、江蘇無錫の人。現代中国の傑出した経済学者。中国経済学界の権威者(泰斗)。第一回中国経済学賞を受賞。市場経済の開拓者(拓荒者)。新中国の初代の社会主義経済学者であり高級経済官僚の一人。1927年に中国共産党に加入。1938年から1942年新四軍にて働く。新四軍の教導総隊訓練処副処長。著書として『中国農村経済常識』『中国社会主義経済問題研究』『我が国の物価と貨幣問題研究』『客観経済規律に照らした管理経済』『当面の我が国経済の若干の問題』などがある。自ら中国の2つの経済体制建設に関与した中国の経済学者薛暮桥は2005年7月22日に世を去った。中国の現存の経済学者のなかで中国の経済体制の発生にこのような影響を与えた者はいない。中国のもっとも重要な二つの経済体制の建設段階において、彼はいずれについても自らその設計に加わったのである。

(訳出途中)

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薛暮桥同志学術成果回顧 新浪財経20050727

1904年10月25日江蘇省無錫県(县)礼社镇に生まれる。最初の名前は薛与龄,現在の名前は薛暮桥。かつて薛雨林を用いた。筆名として余霖,霖。

1910-17年。父の薛魁标(シュエ・クイビアオ)が始めた「培本女塾」,薛氏義塾で学ぶとともに、無錫県東林小学で学ぶ。

1918年江蘇省立第三師範学校に合格して学ぶ。

1919年五四運動が爆発し、高年次学生に従い町をデモ行進する(上街游行)

1920年債権者に返済を迫られて父が首つり自殺する。このとき私は師範の2年次に上がったばかりで、家庭の経済状況を維持するために学業を中断する(辍学)ほかなかった。杭州に行き、泸杭甬鉄道の練習生の試験を受けて合格し、会計など鉄道業務を習った。このとき薛雨林と改名した。

1923年初め、泸杭甬鉄道新龙站で仕事をすることになった。かつて駅長補助(站长助理)を任命されたことがある。

1926年初め。泸杭甬鉄道笕桥站の駅長(站长)に任命された。

1927年初め。中華全国総工会代表を経験。共産党員の陈志一の紹介で泸杭甬鉄道総工会の組織工作に参加。労働運動に献身(投身)する。

2月 泸杭甬鉄道総工会準備委員会委員に選ばれ、『共産主義ABC』など進歩書籍を学び始める。 

3月1日 中共浙江省地委書記庄文公が党組織は私の中国共産党への加入が批准されたと宣言し、光栄にも一人の共産党員となった。

3月中旬 泸杭甬鉄道総工会執行委員会常任委員と組織部長に選ばれた。そのあと中共杭州中心区委工人部長となった。

6月下旬 裏切りと密告により、総工会の6人の幹部同志は一緒に逮捕された。

杭州法院看守所、杭州陸軍監獄、特別反省院、普通反省院に前後して拘束(关押)された。獄中、中共浙江省委員会書記の張秋人と同房となり、その感化を受けて(受他教育颇深)ソ連のブルガコフ?(布格達諾夫)の『政治経済学』、日本の河上肇の『資本主義経済史』などの進歩書籍の学習をはじめ、世界語と英語の学習を始めた。

1930年12月刑期満ちて保釈出獄 杭州で钟鼎祥同志に党組織の状況を聞き、すでに破壊されたことを知り、自宅に戻る

1931年2月 無錫南柳県立第三小学校で教職につく

7月 南京に行き民衆教育館主編の『民衆周報』で編集をする。九・一八事変後 周報に不抵抗主義に反対する社論を発表する

1932年年初 上海の中央研究院社会科学研究所で仕事をする。副所長の陈翰笙(中共秘密党員)の指導のもと、農村調査に従事する。初夏、中央研究院は社会学院の進歩活動にゆえに縮小される。南京に転じたところで、削減の対象となる。このあと故郷の田舎にもどり農村調査を進める。書き上げた「江南農村衰落縮影」は私の処女作であり、雑誌「新創造」の創刊号に発表した。すぐにまた「浙江省の二五減租」の一文を書いた。

7月徐州に至り民衆教育館の仕事をする。郭影秋同志らと読書会を組織し、河上肇著『政治経済学大綱』等の著作を学習する。肃县そして徐州近くの八里屯に行き農村経済調査を進める。

1933年2月 陈翰笙同志の推薦で柳東莼が校長を務める桂林広西師範専科学校で教える。薛暮桥と改名する。農村経済、政治経済学などの課程を講義する。夏休みの間、学生を使って故郷の田舎で農村調査を実施させる。学生を率いて、刘敦安から広西苍梧,南宁,龙州等の地方で農村調査を行う。夏休み後刘端同志(教師)とともに共著で「廣西農村経済:調査報告」を書く。

12月 陈翰笙同志を中心とする中国農村経済研究会が上海に設立され、わたしは直ちに入会した。

1934年4月 他の数名の師範専科の教員とともに楊東莼に従い、白崇禧“礼选“を受けて広西に向かった。広州では陈翰笙同志のところで継続して農村調査工作をした。

7月下旬 陈翰笙同志に従って上海に戻り、経済研究に従事した。 

市民講座目次

 

 


日銀の追加金融緩和策 ETF購入額倍増+ドル資金供給

2016-08-27 12:38:04 | Area Studies

2016年7月29日 金融政策決定会合で決定

マイナス金利 年マイナス0.1%を維持(政府の金利コスト引き下げ) 国債購入量(年80兆円)もいじらず(政府を事実上ファイナンスする役割の拡大) ⇒ これらの変更は 財政ファイナンス拡大 と受け止められ 国債利回りが大幅に上昇するリスクがある

そもそも 市場に出回る国債の減少から 国債大量購入はあと1-2年で限界に達する 日銀の総資産は400兆円を超え量的緩和時(2006年当時)の3倍 国債発行額の3分の1を日銀が買い占めている。

マイナス金利の深堀 ← 金融界は強く反対している 貸出金利低下 銀行の採算は悪化 貸出金利 社債金利 CP金利 低下

金利の低下は現預金の多い日本人にとっては金利の低下は消費者マインドを冷やす側面があるとされる

ヘリコプターマネー論が根強い 返済不要の財政資金を中央銀行が供給というもの 

1930年代のシカゴ計画では国民一人一人の預金口座に無償交付

預金準備率100%で信用創造は遮断。政府が成長通貨の供給をするというものであるから。

ゼロ金利の永久国債と同じともされる。政府貨幣の発行で公共インフラ投資 既存の政府債務も償却してはと。

なお今回2%の物価上昇目標もいじらなかった。5月の消費者物価上昇率 生鮮食品を除くは前年同月比0.4%下落 2013年4月と同水準 2%上昇野目標から遠ざかるばかりとなっている。2年程度をできるだけ早期にと言い換えている。

今回の追加緩和の中身は

上場投信(ETF)買い入れ額の倍増 年3.3兆円を年6兆円に増やす(現在の残高は8兆7000億円越え)と ドル資金の供給が主な中身。

海外事業に必要なドル 供給制度の強化。金融機関へのドルの供給では 円を担保にドルを引き出せるようにしたとのこと。

なお総括的検証実施方針を合わせてしめしたところ、緩和縮小:テーパリングのサイン?と受け止められ→円高・株安を招いた。

発表午後0時44分

→ 円高の加速

→ 株価の押し上げ効果に期待

→ 一律買いになるETFでは 市場の価格発見機能が損なわれるとの批判がある

しかし2016年8月20日発表の7月の消費者物価指数は前年同月比0.5%下落。マイナスは5ケ月連続でデフレに歯止めはかかっていない。物価水準は黒田日銀総裁による金融緩和策直絶の2013年3月の水準(生鮮食品を除くCPI=コアCPIでは)に戻ったとされる。エネルギー価格の低下のほか、節約志向がひろがっているとされ、それが物価をおしさげているとされる。他方、生鮮にエネンルギものぞいたコアコアCPIは2013年秋頃よりプラスにみえる

 2013年4月 異次元緩和を決定 2年程度で物価2%上昇を表明 CPIの総合指数の前年比伸び率で2%程度を目標

 2014年4月 消費税税率引き上げ

 2014年10月 追加緩和決定

 2015年10月30日 目標を2016年度後半に先送り CPIが上がらぬ一因 借家の家賃・・・バブル的投資の結果 押し下げられているという説がある

 2016年1月 マイナス金利政策決定(当座預金の一部マイナス0.1%) なお日銀の当座預金金利は0.1% まるで銀行への補助金だ。

国内企業物価指数 2014年11月前年比マイナス化。2016年5月まで1年2ケ月続いての下落。前年同月比で2月3.4% 3月3.8%はマイナス,4月マイナス4.2% 5月同じくマイナス4.2%となった。

マネタリーベースの増加(2016年6月末に400兆円越え 2014年12月10日に300兆円越え)が脱デフレにつながるという主張にたいして、当初からあった、企業や家計の側の資金ニーズがそもそもないのではという主張が現実味を帯びてきた。

マイナス金利 資産バブル 投資マネーの増加賃貸ものに過熱感 需給悪化で家賃下落を心配する意見もある…東京で空き室率低下するなか 埼玉 千葉 神奈川では2015年半ば以降 空き室率増加

金融緩和が景気回復・物価上昇を生む理由の一つは、円安になることであったが、各国が競うように通貨安政策をとる状況では、円安になるとは言えなくなった。

非伝統的金融政策(2009年8月)

 


社債市場

2016-08-27 11:17:57 | Area Studies

超長期債発行がブーム

 日銀によるマイナス金利導入(2月) 投資家はプラスの利回りを求めて 10年を超える超長期社債市場に殺到

 企業の信用力よりは利回りによる需給 一部の企業が高い利回りをだすことに釣られているが

 期間が長いほど金利変動リスクは大きい

 保険会社や銀行は 高い利回り求めて外債へ シフト

 海外勢は 手持ちのドルを円転すると 上乗せ金利が手に入る このためマイナス化しても買ってくる

 投信の信託銀行預け金 4月中旬から預け金に手数料がかかるようになったので投資家ニーズあり

社債発行市場は縮小

 社債利回(マイナス )< 預け金手数料 なら社債を選択 流通利回りのマイナス化進む 7月15日発表 普通社債2449銘柄のうち24% 587銘柄がマイナス化(1月29日 日銀のマイナス金利導入発表時点ではゼロだった。その後英国のEU離脱後6月末に125銘柄。・・・格付けがトリプルB格以上 満期までの期間が3年以上・・・日銀の社債買い入れオペの対象条件都重なる。オペ対象以外はプラス利回りでも売買コストが賄えないため、売買は低調。→社債流通市場は縮小 歴史的な低さ 6月1兆3134億円 2005年頃は6-8兆あった 2015年度で20.6兆円 前年度比36%減 1999年度以降過去最低)→市場は流動性、価格発見機能失う

 カネ余り 発行の減少(発行は6兆9400億円 14年度2割減 9年ぶりの低水準) 入れ替えの機会減少

 低金利 社債の魅力減少 投資家は外債へ

 国内社債市場参加者の減少 2015年度 30兆円割れの20兆6250億円 前年度比36%減 過去ピーク 2004年度 80兆円を超えていた

 他法プラス利回り見込める発行市場は過熱 イールドハンテング状態 買うと手放さない ソフトバンク社債が人気 4年半で流通利回り1.1%(シングルA格のなかで利回り高い 平均は0.2% 背景は 大型M&Aの乱発・・・投資家の心証よくない)

  買い手:生命保険会社など 売り手 これまでは電力ガス鉄道会社など安定収入が稼げる会社とされていた。

発行事例(2016年)

 トヨタ 5月27日条件決定 200億円 20年 格付けAA+ 0.343% 20年債は18年ぶり 背景には 研究開発や設備投資の目線の長期化 自動運転やAIの活用など

  大和ハウス 6月1日条件決定 100億円 10年 格付け AA- 0.603%

 三菱ケミ 6月3日条件決定 200億円 20年 格付け A 0.83%

 ANAHD 6月3日条件決定 200億円 20年 格付けA- 0.99% 3月末に トリプルBプラスから昇格したばかり A格復帰は1999年以来17年ぶり 機関投資家向け社債は2014年9月の12年債(150億円)以来 用途は過去の社債の償還資金 20年債は持ち株会社以前の97年以来


アローラ氏の退任とアームの買収

2016-07-17 07:08:02 | Area Studies

アローラ氏の退任発表(2016年6月22日)

ソフトバンクのニケシュ・アローラ副社長(2015年から代表権をもつ取締役副社長として海外業務を仕切る)が退任した(2106年6月22日付け株主総会当日)。もともとアローラ氏を後継者に指名していた孫正義社長(2017年6月で60歳 1957年生まれ 在日韓国人3世 地元高校中退 カリフォルニア大學バークレーに入学 帰国後1981年にソフト卸売会社の日本ソフトバンク設立 2006英ボーダフォン日本法人買収 2013スプリント買収)が自らの社長退任を撤回したとも。この発表は株主総会当日午前9時でかなり異例。

2016年3月にアローラ氏をヘッドとする海外事業統括会社 国内は宮内謙氏をヘッドとする国内統括会社への編成とし、アローラにスプリントの再建も託したはずだったが。

アーム買収発表(2016年7月18日)

アローラ氏退任から1ケ月。孫社長は英半導体設計のアームHD(通信用回路設計の大手 回路設計図のライセンス 通信用半導体でシェア9割 2015年12月期の売上高9.7億ポンド1350億円 売上高営業利益率53% 連結純利益は3.4億ポンド470億円)の買収を明らかにした(7月18日)。買収額240億ポンド3.3兆円(アームの純資産は2500億円 買収額との差 いわゆるのれんが3兆円)。日本企業による買収として過去最大。市場は米携帯電話会社スプリント(2013年に216億ドル1.8兆円で買収)の経営再建がソフトバンクの経営課題としてみていただけに、あっけにとられた。ソフトバンクのかかえるのれんは2兆円から5兆円に拡大。減損リスクも拡大するとのこと。

買収資金 2016年3月時点で現預金2.5兆円 その後2016年6月 アリババ集団株売却(約1兆円) フィンランドノゲーム大手スーパーセル(7700億円 中国ノテンセントに売却)の売却 ガンホーオンラインエンターテイメントの保有株売却(730億円)などで2兆円 あわせて4.5兆円。したがって買収資金はある(いざとなれば借入を帳消しにできる含み益があると主張)。さらに みずほ銀行(2006年のボダフォン買収 2013年のスプリント買収でも協力)との間で ブリッジローン1兆円を契約(アーム買収後の有利子負債水準は12兆円 売上だkの1.3倍 他方アリババのヤフーの含み益は7.5兆円 保有非上場分を合わせれば有利子負債返済は可能)。

スプリントの再建を期待した米国市場。有利子負債軽減(16年3月期の利払い額は4400億円 平均支払金利は4%近いため 金利上昇によるリスクを懸念する意見あり)を期待した日本市場。そのいずれもが孫氏の決断に失望を表明した。

問題は買収による相乗効果(シナジー)が読み取りにくいこと。市場の反応は現在のところ冷たい。

Timeline

2014年 アローラ氏 グーグルから経営陣に加わる

 14 配車サービスのインドオラに出資 225億円

 14 Eコマースのインドスナップデイールに出資677億円

   スマホ経由でのタクシー配車サービスインド ANIテクノロジーズ 約230億円

   背景 TモバイルUS(親はドイツテレコム)買収構想の白紙化 

 15 オンライン融資仲介の米ソーファイに出資1200億円

 16 中国アリババ集団の株式を総額約1兆円で売却

 16 ゲーム大手のフィンランドのスーパーセルを中国テンセントに73億ドル(7700億円)で売却

孫氏側

   アリババ集団 中国のEC最大手 2014年米国で上場

 13 米スプリント買収 スプリント再建に集中(13/6末 旧ネクステルの通信網を閉鎖 通信網の一本化)

   米ユーストリーム(ネットでのライブ動画配信サービス)

1995 米IT見本市コムデックスの運営部門を約800億円で買収

   米ヤフーに2億円(5%)出資 その後も追加出資(2011ねんまでに大半を売却)

1996年1月 米ヤフーとの共同出資により日本でヤフー設立

1996 テレビ朝日株の約21%を約417億円で豪ニューズ社と取得(97年に売却)

2000年 中国アリババ集団に約20億円出資(1999年創業)


2001年9月 ブロードバンドYahoo!BB 提供開始 → 高速ネット接続サービスの投資負担重い

      2002年3月期以降4期連続の連結営業赤字

2004年7月 固定通信の日本テレコム買収3400億円 固定通信に進出

      2006年3月期 ようやく黒字転換

2006年4月 ボーダフォン日本法人買収1兆7500億円 国内携帯電話に参入

      2007年3月期 携帯事業買収で営業利益膨らむ(寡占のため利益上げやすい構造)

2007/05  6月にも割賦販売の売掛債権を流動化(証券化)する方針。2006年秋に割賦販売方式導入。メーカーにはさきに支払う形になっていうr。

2007年5月 上位のNTT KDDIとは営業利益で差 4.4倍と1.3倍 時価総額で3.5倍 1.6倍

2008/01 学生の新規契約者対象に月額基本料の3年間無料化を発表(08/02-08/05)

2008 アリババ集団と日本で合弁会社設立

2008.7.11 iPhoneの国内販売をはじめ好評(世界共通仕様 ⇔ ドコモのiモード 携帯電話会社によるサービスや機能の押し付け、ガラパゴス)

2009/3 連結純現金収支黒字転換

2009 iPhoneが好調

2009.6 10ケ月ぶりに時価総額2兆円越え 25ケ月間携帯電話純増件数首位 2年ぶりに社債発行

2009.9 iPhone5を発売したKDDIとソフトバンクが支持される一方(データ通信料も伸びる) NTTドコモは顧客流出続く

2009・11 ソフトバンク株主は配当に不満 同社実施のアンケート調査結果 配当利回り0.2% ドコモは4% KDDIは2.6%  配当を不満とするものは76.4%(前年は76.6%) 

2009・10 3年5ケ月ぶりに時価総額でKDDI上回る iPhoneが爆発的に売れる

2010/02 米ユーストリームに出資 2000万ドル 13.7%

2010/02   新規契約の学生と家族を対象に基本料無料化(学生は最大37ケ月 家族は16ケ月) 都市を中心とするビジネスモデル 投資負担軽かった(10年3月期の設備投資 ドコモ5000億円台 KDDI4000億円弱に対し ソフトバンクは2000億円弱) しかしこれからはネットワーク 地方でも改善投資必要 11年3月期は4000億円規模の投資を予定

2010/5/28 iPadの発売開始

2010 ヤフーの好調 アイフォン効果で営業益稼ぐ(2010・03期 営業益でKDDIを抜く)

2010/03 通話品質改善のため1年後に基地局を倍増する(6万→12万)

2010/4-12 iPhone効果で営業利益でドコモとKDDIが減益となるなか増益かつ過去最高益。

2011/5  ソフトバンク格付け 現在はダブルBプラス 引上げ方向 携帯事業買収のための借り換え 借換え返済が実現すれば トリプルBマイナスへ

ドコモがiPhone発売を開始(2013年9月 ドコモは2008年以降 350万超の顧客が流出 スマートフォンで出遅れる失態) 2008年7月 ソフトバンクがiPhone発売開始 2011年KDDI iPhone発売に参入。

2012/01 ソフトバンク格上げ トリプルBマイナス→トリプルB

2012/04 2012/03期の年間配当金を40円と前期の8倍にすると発表 有利子負債の削減が進んだため今後は株主への利益配分増やす

2013  イー・アクセスを1800億円で買収(12/10買収決定)

2013/03 個人向け社債3000億円を発行

2013年3月期 8期連続の最高益達成。営業益7500億円規模 ドコモ(8371億円)になお及ばないがホンダ(5448億円)上回る データ通信料の多いスマホの伸びが収益支える。買収したスプリントの株価値下がりがソフトバンク株価を押し下げている面もある。

2013年4月 ガンホーを子会社化

2013年6月 個人向け社債4000億円を発行 5年物 金利1.74%

2013年7月 米携帯3位のスプリントネクステルの買収完了1兆8000億円(コスト削減進める LTE対応で他社に遅れる)

2013年7月 ソフトバンク 時価総額7兆4000億円に成長 海外への投資が表かされるように スプリントネクステル78% ユースクリーム19% ペイパル(合弁運営) アリババ集団36.7%(EC最大手) 人人34.1%(交流サイト) アリババの香港への上場報道がきかっけで成長期待高まる その後13年秋に香港上場を断念 香港の株主権の平等原則を問題視 → 2014年NYSEに上場へ(大株主のソフトバンクに含み益)

2013年9月 ドコモがようやくiPhone発売開始(NTTドコモを市場評価で圧倒) 国内ではこれまでのような利益成長は困難になった。

2013年4-9月期 携帯3社の中で純利益最高に ドコモ抜き首位に iPhone効果続く

2014年3月 ヤフーが国内携帯4位イー・アクセスを買収。1800億円。3240億円 ソフトバンクから。ヤフーにとり利益圧迫要因との疑問の声。

2014年3月期 純利益で初のドコモ超え4647億円 営業利益は1兆1000億で過去最高 データ通信料収入が伸びる+株式の評価益(ガンホーとウイルコム) 

2014年夏 ソフトバンク ロボ事業に参入へ(一部の店舗で接客に利用 Pepper)2015年2月 家庭用に売り出す。

2014年9月 iPhone 6/6+ 購入者対象に米国からのかけ放題サービス

2014年9月 アリババ上場による含み益は5兆円規模の見込み(上場前)。アリババ上場により8兆円の含み益を抱えることになった(上場後)。ソフトバンクの時価総額は9兆8500億円。時価総額で一時10兆円台を回復(9月半ば)。

2014年10月 アローラ氏(グーグルの上級副社長兼最高事業責任者)を招聘(取締役兼米ソフトバンクインターネットアンドメデアのCEOとして)

2015年1月 国内4通信会社を合併 ソフトバンクモバイル(2015年4月から 売上は単純合計で3兆5000億円)

2015年2月 米スプリント 10-12月期決算 苦境続く

2016年6月 同社保有のアリババ株の一部売却を発表(持ち分比率32.2%から28%に低下) 79億ドル 有利子負債返済(16年3月末で12兆円弱の有利子負債)と一般事業目的に使う

Case Study:ソフトバンク(2015年8月)

2016 06  28(2016 07 17)


マイナス金利導入と三菱東京UFJのPD資格返上

2016-07-13 13:42:07 | Area Studies

2016年6月三菱東京UFJ銀行がPD資格(primary dealership:政府から直接 国債を購入できる資格を言う 国債市場特別参加者)(2004年10月に導入)返上を申し出たことが明らかになった。現在PDは銀行証券の22社(他方 国債の入札に参加するのはこの22社を含む246社)。義務として国債入札で発行額の4%以上の応札義務。また短国で0.5% 短国以外では1%以上の落札義務などがある。これまで返上した例がなく今回の申し出は異例。三菱では落札義務の緩和などを求めて交渉してきたが、財務省側が拒否したとされる。

銀行側にすると国債保有リスクの高まり 流動性下がり金利急上昇リスク マイナス金利:満期保有すると損失がでる。マイナス金利下では国債に投資できないことを態度で示すもの。

民間銀行の国債保有額は2015年末で229兆円(資金循環勘定ではゆうちょ銀服務銀行の保有高は237兆円 金融緩和政策のため 日銀の保有が年80兆円ずつ増加 日銀の保有比率は12年末は1割弱 15年末で4割超え 300兆円越え 16年内には5割に迫る予定 月9.65兆円の買い入れ規模維持がむつかしくなっている 2016年6月は9.53兆円にとどまった) 担保としての保有ニーズはある 結果として国債売買が減少 ⇒ 国債の流動性低下(業者間売買 2016年4月には1日1000億円強 6月には700億円まで低下) 日銀の大量購入で需給はひっ迫 ⇒ 市場の警鐘昨日が働かない

このほか銀行間の短期金融市場も祝勝コール市場 レポ市場など背景:マイナス金利の債券をもちにくい ⇒ 市場の乱高下につながるとの指摘あり

3メガ行の国債保有高は2016年3月末で54兆円 三菱東京はとくに切迫感がある。

2016年3月末の保有高は 三菱UFJFG28.3兆円 みずほFG15.6兆円 三井住友FG9.8兆円 計53.7兆円 銀行は自らの運用のため購入 投資家に販売することが目的の証券とそもそも立場が違うとされる(2013年3月末は40.1 30.6 26.2兆円の順 削減率は50.4% 49.0% 62.6%で3年間で半減させたことがわかる )  保有国債残高の大きい三菱はマイナス金利化の影響が最も大きいとされる。

満期まで持つ(バイアンドホールド)と損失は発生する状態でPDにとどまるメリットは少ない。PDに応札予定額の4%以上応札の義務付けが負担になっている。東京三菱の資格返上という動きに、財務省では7月13日 15日付けで特別資格からの除外を発表する一方、国債入札特別資格の見直しに動き始めた。具体的には特別入札への配分を現在の1割までを15~20%に引き上げるなど。英国では国債入札を特別資格の保有者に限定、また引受団方式を採用している。

マイナス金利 内部留保に課税しようという発想と同じ お金を投資や融資に回す行動をとらせようとするもの 罰金で企業を無理強いする:官尊民卑の発想とも批判されている。

復興資金の受け入れで預金が増えたが これに対してもマイナス金利の負担は理不尽

16年1月 マイナス金利導入(日銀に預けるお金を増やした分のうち任意預け入れ分にマイナス金利0.1%がかかる 3月にはMRFは対象外に 13年4月質的量的金融緩和導入 マネタリーベースを増やすことで予想インフレ率上昇させようとしたが失敗 円安・株高 14年後半から原油価格の大幅な下落 問題は下落が一時的でなかったこと 裏の狙い:公的負担の軽減にはなった 国債金利をインフレ率より低くして国債価値を年年減らす 金融抑圧を招くのがマイナス金利の意味とも こえまではインフレ率が低く実現しなかったが 国債金利をマイナス化できれば) マイナス金利は金利頼みの年金生活者切り捨ての側面がある。

マイナス金利導入のため債券の利回りが低下 証券会社各社ではMMF(短国 CPなど主として1年未満の債券で運用する 株式を購入するまでの待機資金の置き場所であった)の販売を見合わせた。2月5日までに野村AMが新たな購入受付を停止し、国内11社すべてで購入でなくなった。1月末の残高は約1.6兆円(ピークは2000年5月で残高早く21兆円 2001年にエンロン破綻で元本割れ問題が起きている。) 2月8日 日興AMがMMFの運用資金の返済償還を発表した(これが他の運用会社に広がる可能性がある(3月7日までに7社 野村は8月末 大和が10月末に償還予定)。同様の商品にはMRFがあるが、決済口座の側面があるため償還にふみきれないようだ。MMFの消滅は、株式投資への入り口を狭めているという批判がありうる。

このほか維持が難しくなっている商品に、中国ファンド 一時払い終身保険 一時払い年金保険があり、一時払い終身保険 一時払い年金保険については販売停止の動きが2016年3月に表面化した。

4月21日マイナス0.135% 過去最低 10年物国債の流通利回り

4月28日 日銀金融政策現状維持決める 物価目標達成時期を従来の17年度前半ごろから17年度中に再び先送り 16年1月の展望レポートで16年度後半ごろから17年度前半に先送り

6月10日マイナス0.155%(残高の8割近くがマイナスに) 長期金利過去最低

6月13日 一時マイナス0.165% 三菱東京UFJ 資格返上を正式に財務省に伝える

6月15日 一時マイナス0.195%

6月16日マイナス0.21%


アジアインフラ銀行(AIIB)とBRICS開銀の設立

2016-06-26 20:31:40 | Area Studies

 中国が主導するアジアインフラ銀行Asian Infrastracture Investment Bankは2016年1月に57ケ国に発足した。2023年1月現在では106の国と地域が参加している。同行が中国主導であることは疑いないが、背景には既存のIMF-世界銀行-アジア開発銀行という体制に、途上国側からの不満があったことも見落とせない。
 世界最大の4兆ドルの外貨準備を持つ中国であり外貨準備の活用が狙いの一つとされる。AIIBとBRICS開銀、これら2つの新設銀行の融資は既存の国際金融機関に比べて迅速で条件も緩いものになる可能性がある。先進国の立場からみた条件付け・・・人権・市場化などが弱まる可能性について懸念する意見もある。しかし背景には、インフラ投資のための膨大な資金ニーズを既存の国際金融機関だけでは賄えないとみられていること、そして既存の国際金融機関の出資額拡大あるいは見直しに米日が消極的だったことも響いている。
 まずアジア開発銀行ADBの試算では2010-2020年にアジアのインフラ整備に8兆ドル以上(年8000億ドル以上)の資金が必要 されていた。アジア開発銀行ADB(マニラに本拠 1966年設立 67ケ国地域が参加 資本金1750億ドル)は歴代総裁が日本 (2013年末 出資比率 日本15.7% 米国15.6% 中国6.5% インド6.4% オーストラリア5.8%  カナダ5.3% インドネシア5.2% その他39.5% 2013年の投融資・信用保証の総額は210億ドル)である。
 中国が主導する新設銀行が環境や人権に配慮しない融資を行うのではとの懸念がADBの側にあるとされる。たとえば人権問題で欧米がためらう国に中国主導の機関は資金を流すかもしれないといった意見がある。しかし途上国としては、こうしたADBの対応に不満があったのではないだろうか。中国は其れを突いているのではないか。
   中国は一方では人民元圏を形成しようとしているが、新設銀行は人民元国際化とつながるとの意見もある。というのも人民元が国際通貨になるためには人民元を準備通貨 貿易決済通貨 証券投資手段として各国が利用することを促すことが重要である。これらの機関が人民元を使って融資を拡大すれば、人民元国際化は確かに進みそうだ。
 2013年9月29日 上海に中国自由貿易試験区が設置され企業設立時の資本金準備を不要にされたとのこと(2014年3月はこれを全国に広げる 試験区設置から1ケ月で同区内登記企業数は外資系21社含む234社 7月末時点で1万1230社 9月15日まででは1万2266社 うち外資系1667社 3月に全国化 期限内に登録) 300万ドル未満の小口外貨預金金利の自由化(2014年6月27日から上海市全域に広げる) 通関手続きの簡素化(電子化)(2014年9月18日から全国の税関で実施) などを進めている。特区制度については先例として1980年に開始された経済特区制度の経験が中国にはある。また上海に続き各地で自由貿易区構想があるとされる。こうした動きと新設銀行の話がつながっているように見える。
 AIIBにはアメリカー日本の影響力の排除の狙いがあるとの指摘がある。2014年5月 上海で開かれたアジア信頼醸成措置会議CICAは アジアの安全はアジアの国民が守るとして米国の影響力排除を公然と掲げた。非米国 脱ドル経済圏の形成の一つの方法として人民元を新興国に注ぎ込み人民元経済地域を拡大する。新設銀行はその動きと絡んでいるのではないかと指摘される。 こうした指摘を受けての日本のAIIB創設メムバーに加わらない方針に対して、それは中国の台頭阻止を狙った動きで、アジアの利益を考えたものではないとして批判が出ている。
 日本の表向きの主張は、中国主導の銀行では公正な融資の決定や環境への影響で懸念があるというもの。しかし自ら主導するアジア開銀の機動性の低さへの不満に十分対応してきただろうか。中国に懸念があるのなら創設メムバーに加わって、内部で牽制するべきではないか。そもそも既得権益をまもるために、アジア開銀など既存の機関の改革をさぼってきた(新興国の意見を入れるため出資比率の見直しを進めるべきとの新興国側の指摘が繰り返しありながら、長年改革をわざとしなかった 慎重な審査を名目に審査に長期の時間をかけ迅速な審査を求める新興国の要望を無視し続けた:現在の審査期間は21ケ月)。こうした新興国側の不満があるなかで新しい出資構造の国際機関の登場はむしろ必然的かもしれない。既存の機関が時代の変化に合わせた改革に遅れをとったことが、中国主導のAIIBを可能にした一因ともいえる。
 AIIBが設立されること自体は確かに既存の秩序の変更であるが、それは世界が米国や先進国中心の世界から、新興国が一定の役割を果たす多極化した世界に移行する流れに対応したものという冷めた視点も必要かもしれない。中国が主導権を誇示している側面はあるが、そのことを含めて大きな時代の流れと変化を反映しており、これに反発だけを示すのは時代に逆行するものかもしれない。
 中国は環太平洋経済連携協定TPPに対抗して米国抜きのRCEP東アジア地域包括的経済連携(日中韓とASEANなど16ケ国)の2015年末妥結を目指している。
 アジア諸国の中国への態度は分裂している。2014年8月 ASEAN外相会議では対中姿勢で分裂が鮮明になった(フィリッピン ベトナムは中国に対して挑発自粛求めたが、カンボジアは親中姿勢が明らか。さらにタイはいち早くインフラ銀への参加を表明)。ただ中国とASEANとの関係が一部で緊張していることについては中国の減速や領土紛争に伴う緊張が中国ーASEANの貿易を減速させ さらにはASEAN地域の経済成長を押し下げるマイナス面もみえている。中国は貿易自由化をすすめASEANとの貿易額を2012年の実績約4000億ドルの2.5倍1兆ドルに2020年までに増やす方針を掲げている。
 ところで2014年9月12日 インド外務省は 上海協力機構(SCO 2001年設立 中国 ロシア 中央アジア4ケ国)への加盟を正式に申請した(これまではオブザーバーであった)。領土などでは対中国で緊張関係にあるインドがここでは実利をとったことは注目される。SCOは米国への一極集中に反対し多極化を掲げる地域機関 9月12日まで開かれたSCO会議では中国が共同事業のため50億ドルの借款供与を表明。 インド(そしてロシア)は一連の問題で中国と歩調を合わせている。
アジアインフラ銀行AIIB  2013年10月 習近平主席の東南アジア歴訪中に提唱 2014年1月 設立に向けた1回目の準備会議 2014年10月24日 24ケ国による合意覚書署名(出資比率や組織統治など詳細はなお今後の協議事項 大変興味深いのは領土・領海で緊張が続くフィリピン、ベトナム、インドが参加 他方 韓国は後述するように米国の要請を入れて参加を見送った点だ 21ケ国と設立合意文書 資本金は約500億ドル インフラの質を重視する日本に対して資金供給の重要性説く中国) 2015年中の正式発足目指す(11月11日閉幕のAPEC直前アジア太平洋経済協力会議) 資本金500億ドル以上 出資額1000億ドル規模でpその半分を中国が出すという 資金は中國だけでなく各国の商業銀行から借り入れ 債券発行でまかなう インドネシアも参加を表明(11月9日 ジョコ・ウイドドインドネシア大統領) 東南アジア 中東などによびかけ 日米欧にもよびかけ オーストラリア・韓国は米国の要請のもと参加署名見送り(10月24日 論点 透明性・ガバナンス) ⇒世界銀行やアジア開発銀行など既存の枠組みと競合する恐れが指摘されている。2015年3月英国が参加表明(最終的に創設時メムバーは57ケ国にまで増加した。 欧州諸国はほぼこぞって参加 当初500億ドル。最終的資本規模は1000億ドル。
なお上海協力機構もインフラ投資銀行設立を検討している
なお5月2日のアジア開銀ADB総会で、中尾武彦総裁は、AIIB総裁に就任が予定される金立群総裁と5月1日に会談し、AIIBが融資に際して国際基準を満たすことを表明したことを受けて、両行で協調融資を実施する考えを表明した。またADBの問題として指摘されてきた、審査期間の短縮化に取り組む等改革に取り組む姿勢をしめした。すでにADBは自己資本183億ドルに「アジア開発基金346億円」を統合して自己資本を2017年1月に530億ドルに増強して、見合いで発行する債券発行を増やし貸し出し原資を拡大する方針(融資枠を現在の1.5倍の200億ドルに2017年から引き上げる方針 2014年の注所得国向け融資額は102億3000万ドル)。日米はADBの出資比率の引き上げに反対する一方、総裁ポストの独占を続けてきた(ADB:資本金1650億ドルは1966年から9代続けて総裁は日本 参加は67の国・地域 2014年末の出資比率は15.7%日本 15.6%アメリカ 6.5%中国 6.4%インド)。そもそも開銀が改革を怠ってきたことがAIIBが支持される背景にあるが、外圧を受けてであるにせよ、アジア開銀が改革に取り組むことは望ましい。
 2015年5月に入ってから、中国政府が発足当初500億ドルとしていたAIIBの資本を1000億ドルに引き上げることを表明したと報道された。アジア域内75% 域外25%とするもともとの出資比率案に対して、中国をけん制したい欧州は域外30%という案をだしたとされる。この当初出資金額の引き上げには、域外出資比率で引き上げを望む欧州勢を必要となる金額を引き上げてけん制する意味があるとのこと。そのほか総裁の権限を強める当初案に対して、常設の理事会を設けて監視機能とするかも論点。

    AIIBは57ケ国が参加して2016年1月16日開業した(2015年12月25日発足 設立協定の批准が17ケ国を越え、出資比率の合計も全体の50%を超えた 資本金1000億ドル 中国が約30%出資 議決権の約26%を保有 初代任期5年 総裁金立群 金氏がもと中国財務次官 ADB副総裁など歴任 文革で苦労した世代と言われる 天生我材必有用。融資はドル建てで実施 組織内の言語は英語)

    2016年6月25日初めての年次総会。加盟国57.加盟希望は24。融資目標は2016年12億ドル 2017年25億ドル 2018年35億ドル。

   また習近平国家主席が提唱するシルクロード経済圏(中央アジアから欧州に至る陸路のシルクロード経済圏ベルト、そして中国沿岸部からアラビア半島までをむすぶ海路の21世紀の海のシルクロードで結ばれるアジアから欧州を結ぶ経済圏を指し2つを合わせて「一帯一路」と呼ぶ 総人口44億人 経済規模21兆ドル)のインフラ整備や資源開発を支援するシルクロード基金400億ドルも中国が独自に創設するとしている。
   世界銀行・・・米国が主導。米欧支配の国際金融秩序への挑戦 米国に代わるヘゲモニー(覇権)樹立狙う。AIIBはこのシルクロード構想の先兵とも評される。

BRICS開発銀行 2012年に構想提案 以降中印などで激しい主導権争いで合意遅れる 2013年3月28日 南アフリカ ダーバンで開かれたBRICS首脳会議で「BRICS開発銀行」設立で基本合意したと、議長国の南アフリカ大統領ズマ大統領が述べた。このとき(3月26日)中国とブラジルの中央銀行は年300億ドルを上限に自国通貨を相互に融通し合う通貨交換協定を結んでいる。すでにBRICSについては中進国のワナと呼ばれる現象が表面化(成長とともに賃金が上昇 新興国に対する競争力が低下 成長に必要な生産性の向上や技術革新が遅れる中で汚職や貧富格差拡大ナドヒズミが兵表面化)。
2014年7月15日-16日 BRICS首脳会議 フォルタレザ宣言 新興5ケ国がBRICS開発銀行と緊急時の外貨準備の共同基金設立で合意 当初500億ドル。出資比率は5ケ国均等出資とされる. 本部は上海市浦東地区。 アフリカ 中南米などの援助 当初500億ドル 7年間で1000億ドルへ インドから初代総裁(任期年その後 ブラジル、ロシア、南ア、中国の順。インドは同国最大手の民間銀行会長KVカマート氏を充てることを決める。中国は財務省出身で世銀副総裁の祝憲氏を副総裁に指名) 
フォルタレザ宣言ではIMFへの新興国出資比率引き上げと米欧の比率引き下げも提案 2014年11月6日 オーストラリアブリスベンでG20首脳会議直前にBRICS非公式会議 BRICS開発銀行(新興国版の世界銀行)の早期開業の作業加速 金融危機時に外貨を融通し合う1000億ドルの基金創設(新興国版のIMF) 日米が加わらないアジアインフラ銀行AIIBを2015年中に設立 米国とすれば米国主導の国際金融秩序への挑戦 新興国にすればIMF改革の遅れ(米議会がIMF改革案を承認しない)。これにより世界銀行と国際通貨基金IMFの代替機関が誕生へ 背景にはIMFに対する反感や不満。たとえばIMFが市場改革に固執するのは貧しい国を貧困にとどめておくためではないか。既存の機関が性格を改める必要もある。同様にADBについても日米は出資比率の引き上げに対し妨害を続けてきた。
中国では素材産業の過剰能力が知られている。 石炭 鉄 アルミ ガラス セメント 新設銀行によるインフラ輸出は途上国援助に名を借りた自国産業の対外進出を促すもの  メイドインチャイナの輸出が狙いとの指摘がある

2015年5月15日 中国財務省はBRICS銀行が2015年末あるいは2016年初めに運営開始と発表。 6月29日 北京で設立協定の調印式が開かれた。ここで参加表明57ケ国からフィリッピンなど7ケ国が抜けたことが注目される。出資は中国 インド ロシアの順。資本金1000億ドルのうち中国は297億ドルを出資

2015年3月11日稿 2016年6月26日校正再up
分類:Area Studies 金融システム論


国内景気動向 新3本の矢の登場と失望 2015-16年

2016-06-26 13:26:56 | Area Studies

2015年 中国からの観光旅行客の増加が「国内消費」を下支えしたが 2016年に入るとその継続性に疑問が出ている

インバウンド 海外からの旅行者による消費でインバウンド消費が使われる。政府目標は2020年に訪日外国人2000万を目標(2015年に1900万超えた うち500万は中国から)
円安により日本への旅行や買い物に割安感が出たことが理由。2015年は11月までで48%増1796万人(出国は4%減の1487万人を上回る) 過去最高は2014年に1341万人
ビザ発給要件緩和 消費税免税対象拡大 格安航空会社乗り入れ増
もともとは情報の世界で外から中へ入る情報をインバウンド 外に送り出す情報をアウトバウンドといった。(2016年 円高によるインバウンド消費の落ち込み インバウンドの継続性に疑問が出ている)

雇用の改善が消費の拡大につながらない(2015-16年)

人口の減少もあり失業率は低位水準にあるが、正規雇用が減り非正規雇用が増えている(16年4月有効求人倍率1.34倍 失業率3.2% 16年5月1.36倍 失業率3.2%)。雇用の不安定化と物価上昇を予測して人々は消費に対して依然抑制気味とされる。

当面人手不足が深刻化すると考えられ、すでに建設・外食・物流などで人手不足が深刻化している。失業率は低位にある問題は増えているのは非正規雇用だということ

2015年7月の求人倍率は1.21倍(前月比0.02ポイント上昇) 失業率は3.3%(0.1ポイント減少)

8月の求人倍率は1.23倍 これは23年7ケ月ぶりの高水準 失業率は3.4%  7月のCPIは103.4で横ばい(伸び率はゼロ%) ⇒ 短時間労働者増えている 一人当たり労働時間はリーマンショック前に比べ減っている

9月の求人倍率は1.24倍 1992年1月以来23年8ケ月ぶりの高水準 完全失業率は3.4% 男性が3.6%(0.1上昇) 女性が3.1%(0.1下落) 就業率は58.1% 64歳までの就業率は73.1%で1968年1月以来過去最高。女性を中心に高齢者以外の就業が伸びている(雇用の増加はサービス業、女性のパートが多く所定内給与は増えない)。

雇用者に占める非正規社員の比率は8月37.2% 前年比0.1ポイント増
7月の家計消費支出は実質で前月比0.2%減(6月も0.2%減)

8月の実質賃金は 前年同月より0.2%増 プラス転換は2年3ケ月ぶり 6-8月では前年比1.0%減 しかし実質賃金は伸びていない。7月―8月平均の支出額は4-6月期から0.6%増 消費の回復力は弱いまま。7月前年度月比0.2減% 8月2.9%増(猛暑でエアコン伸びる) 前年同月比 7月―9月の勤労者世帯平均消費性向は4-6月期より0.8ポイント減 物価上昇に備えて家計は貯蓄を優先している

 

また構造的には、人口の高齢化(2014年に65歳以上の世帯消費額が3割以上 2000年に65歳以上の個人消費が39歳以下を上回る 2015年65歳以上の割合26.7% 15歳未満の数12.7%)により年金に頼る無職者が増えることによる消費抑制効果は持続的で大きい。パート雇用の増加は、それだけとれば消費の増加につながるが、正規雇用がパートに切り替わるのであれば雇用の不安定化から消費の低迷につながると考えられている。フルタイム雇用の増加を促すべきとの指摘がある。

2015年1-3月期実質GDPが5月20日速報値で2.4%増から4-6月期GDPは実質で年率1.6%減 (8月17日速報値)へ減少。なお9月7日改定値では1.2%減に上方修正されたが減少は変わらなかった。減少の要因は個人消費の落ち込みと輸出の落ち込み。中国への輸出の落ち込み、賃金の伸び悩みによる個人消費の落ち込みが響いた。日本経済は高齢化が進み人口減少が続いている。総人口は2014年の1億2700万が2048年には1億割れまで減少。4-6月期実質でマイナス1.2%に陥った。 名目は0.2%のプラス(499.9兆円) 7-9月期もマイナスで結局2期連続でマイナスとなった。2015年10-12月期速報値で年率1.4% 改定率で1.1%と弱いがプラスに復帰。2016年1-3月期は1.7%。回復基調だが依然力強さはない。このあと日本を熊本地震(16年4月)と、英国のEU離脱問題(16年6月)とが襲う

設備投資動向はプラス(前年度比)が2010-16年度まで間続いた。16年度8.3% 15度2.8%。16年度に入ると 熊本地震(2016年4月)、英国のEU離脱決定(2016年6月24日)などから不安心理が高まり(円高・株安)、企業の景気の先行き感が不透明になってきている(2016年7月 6月の景況感は足踏み状態か低下 6月の日銀短観)。

GDP統計の問題も指摘されている(14年度490兆円 実質成長率マイナス0.9%)。家計消費状況調査によるネット消費の把握:専業主婦による回答でネットを通じた消費額が過少に評価されている。インバウンド消費は輸出扱いで国内消費推計額から差し引いているが、過大な差し引きである可能性。次の改定で企業の研究開発投資を投資として計上する(GDPに加算する)予定。この変更で名目GDPが3%強膨らむとのこと。この操作で2020年度に615兆円を上回るとのこと。すると基礎的財政収支が2015年度GDP(504兆円)比3%の赤字のところ、新基準ではGDPが20兆円程度かさ上げされ基礎的財政収支(プライマリーバランス 税収など新規国債発行額除く収入ー国と地方の政策経費=2015年度15.4兆円 税収の上振れと歳出抑制を見込んだ2020年度試算額6.2兆円 2015年7月22日経済財政諮問会議で示された数値 15年度実質GDP成長率見通し1.5% 名目GDP成長率見通し2.9% 消費者物価上昇率0.6%)も改善される。なお2016年度の実質GDP見通しは1.7%程度 名目は2.9%程度とされた。この時点での民間エコノミストの平均は実質1.73% 名目2.32%.

2015年 日銀短観〔6月〕大企業製造業の業況判断DIが3月比小幅改善 125から15へ 非製造業DIは小幅改善 19から23へ

 アベノミクス相場 2012年11月からの相場展開を指す

中国経済減速などを背景とする原油安。消費のもたつき。
欧米向け輸出が伸びる一方で原油価格下落で輸入額減少 貿易赤字縮小(7月)

7月以降 機械受注指数 工作機械受注指数 鉱工業生産指数などが軒並み 前月比あるいは前年同月比 減少した(生産拠点の海外移転 現地調達の増加で中間財輸出が伸びない。過去の過剰投資の反動で資本財輸出も伸びない)

2015年8月9月 工作機械受注2ケ月連続で前年同月比2ケタ減少 8月16.5%減少 9月は19.1%減少

7月の機械受注 前月比3.6%減 昨年2014年11月以来の低水準 8月の機械受注は前月比5.7%減

8月の鉱工業生産 前月比0.5%減

日銀短観〔9月〕大企業製造業の業況判断DIが6月比小幅悪化した 15から12へ 非製造業DIは小幅改善 23から25へ

企業物価 8月3.6%減 10ケ月連続下落 国際商品市況の下落が背景 

8月の消費者物価指数は前年同月比で0.1%低下 日銀が量的質的緩和を決めた13年4月以来2年4ケ月ぶりにマイナス エネルギ―価格 今後携帯電話料金の引き下げなどが影響する可能性 エネンルギ―を除くと1.1%上昇:異次元緩和以降最大の伸び率

 9月19日 安保関連法案成立

9月20日 政府がTPP環太平洋経済連携協定(12ケ国 関税撤廃率95% 農産品の8割で関税なくなる 関税以外の貿易投資ノルールも定める)の合意内容発表 

       ベトナム マレーシア シンガポール ブルネイ 豪州 ニュージーランド カナダ 米国 メキシコ ペルー チリ

2015年9月24日 新3本の矢             強い経済 名目国内生産600兆円(14年度で490兆円)を目標 一億双活躍社会・・・自前主義で うち向き思想 

                                       グローバル戦略(移民受け入れの議論など)の不足不在等の批判生じる

               子育て支援(保育所に入れない待機児童 背景に保育士の確保難) 出生率1.8(2014年で1.42 2005年の1.26が底で上昇 団塊ジュニアに出産効果 晩産化進む 2015年4月段階の待機児童は2万3000人) 

               社会保障 介護離職ゼロ(現在年10万超える 介護施設整備 背景に介護士の確保難) 2025年に介護職員 38万人が不足

       新3本の矢の評価:実現の方策・期限が示されないことに内容に乏しいと失望感が広がっている

       TPP対策(農業の大規模化 水路灌漑設備整備 農地の集約すすめる)

       企業業績 円安 原油安によるもので競争力ではないとの不安が消えない

       旧3本の矢 金融緩和 財政出動 成長戦略

10月7日 第三次安倍内閣発足(第二次は2014年12月) → 2016年夏の参院選にらみ 安保関連法案で離反した国民に対して新3本の矢と合わせて求心力回復目指した

物価上昇シナリオはすでに崩壊している 日銀は2013年4月に量的質的金融緩和を始めたときに2%物価目標を2年程度を念頭に置きできるだけ早期に実現とした。
しかし消費者物価上昇率は2014年春頃をpeakに下落 2014年10月には追加緩和するも 下落基調はかわらず15年に入ると0%前後を低迷している。2015年4月に日銀は16年度前半頃に先送りした。エネルギ―を除く指数では上がっており、アベノミクスは景気回復に向けて一定成功したとの評価も可能である。今後の安倍政権の評価は、新3本の矢は期待外れだったが、米国をはじめTPP参加諸国とだけでなく、中国や韓国、さらにロシアなど隣国と友好的関係を築けるか、少なくとも緊張緩和に向けてどのように進めるかなど外交上の懸案の解決に期待するところが大きい。

円安 輸出企業を中心に業績の上振れ効果 海外での収益(連結子会社からの配当金・利子など:所得収支)+輸出の伸び(現地での販売価格の引き下げ) 訪日観光客によるインバウンド消費効果:旅行収支

経常黒字は震災後最大8.2兆円 貿易収支4000億の赤字 サービスは9000億円の赤字 所得収支(一次 海外投資を反映で10兆円超える黒字)は10兆円ほどの黒字 なお経常収支の外で金融収支が10兆円を超える黒字(2015年前半期) 原油安で輸入額減少→貿易赤字の縮小 中国向けスマホ・自動車の輸出減 米国向け自動車 台湾向け電子部品は増 貿易赤字拡大 企業が海外からの配当 特許権の使用料は増加 旅行輸送などサービス(知的財産使用権含む)収支

貿易収支は赤字が定着 工場の海外移転を反映

サービス収支は旅行収支が訪日外国人増加で改善 知的財産権使用料(企業の海外展開が関係する)でもプラス幅増える

第一次所得収支では 直接投資収益が配当金などで大幅増 証券投資収益でもプラス幅増える

原材料や海外で組み立てた部品の輸入コストは増加 高額医薬品の輸入コストもある
円安による収益増効果を2014年4月の消費税引き上げで自らつぶす

TPPの妥結(2015年10月)今後の発効により域内通貨化して円ドルの連動性が強まることが予想されている

2015年11月26日 官民対話 経済団体と対話 賃上げや設備投資10兆円増促す 経済団体は法人税引き下げ 労働規制緩和 安価な電力 研究開発減税など求める

  政府は来2016年度から法人税を29%台に下げる方針(対話は10月16日にも実施されている)

2015年11月27日2人以上の1世帯当たり実質消費水準 10月は前月比0.7%減 10月の失業率は3.1% 前月比0.3ポイント減少 有効求人倍率は1.34

2015年12月8日発表7-9月GDP改定値 実質で前期比年利る1%増(速報値の0.8%減から改善) 

2015年12月25日発表 11月の有効求人倍率1.25倍(1992年1月以来の高水準) 11月の全国消費者物価指数は前年同月比0.4%増 11月の完全失業率は3.3%

新興国景気の悪化から先行きは悲観的(12月14日発表の日銀の短観による)。

2015年12月24日 来年度(2016年度予算案 歳入は税収57兆6040億円 国債34兆4320億円 歳出は国債費が23兆61621億円 金利が上がると国債費上昇 政策経費73兆1097億円 最大は社会保障で31兆9738億円 地方交付税交付金が15兆2811億円 公共事業が5兆9737億円 防衛費が5.1兆円 防衛費は過去最高水準) 総額96兆7218億円 3本の矢関係 保育所を増やす(40万から50万へ) 特養整備 育児介護への支援により人手不足に対処 技術開発支援 法人税引き下げなど

2015-12-25(2016-06-26更新)


strawberry moon

2016-06-21 08:25:44 | Area Studies

昨日は6月の満月でstrawberry moonと呼ばれる特別なお月様の夜だった。欧米では夏至と重なったことから、夏至とstrawberry moonが重なるのは人生に一度のこと(70年に一度)として騒がれた。日本では、時差の関係で今年の夏至は6月21日。70年に一度の特別な日ではなかったようだ。そのせいか日本のテレビ局でこのことを報道する番組にも気が付かなかった。6月の満月をstrawberry moonと名付けたのはアメリカ原住民とのことで、この季節がstrawberryの季節だということが由来というが、この時期の月が赤く見えることも重なっているようだ。

なお満月からつぎの満月までのサイクルは29.530589日。これをもとに作られたのが太陰暦(lunar calendar)。満月(望)、下弦、新月(朔)、上弦と満ち欠けは変化する。上弦下弦は半月の状態。この月の満ち欠けのサイクルは、太陽の動きとは一致せず、太陰暦を農耕に使うと、季節がずれてゆく問題があった。29日の月が6回 30日の月が6回で年354日とすると、太陽暦と比較して10日あまり少ない。3年では1ケ月程度のずれが生じる。太陽の公転のサイクルは365.242189日。こちらをもとにしたのが太陽暦(新暦)。これをもとにしても4年に一度の閏日で調整してさらに100年に一度の調整が必要。かつこのサイクルは、毎年わずかに短くなっているとのこと。

旧暦は太陰太陽暦ともいい、太陰暦を太陽の観測(黄道上の太陽の位置)から得られた暦(たとえば中国の二十四節季)で修正するもの。具体的には3年に一度「閏月」をはさむことで修正していた。夏至というのはこの二十四節季(節季に由来し今日も使うものに夏至冬至の二至 立春立夏立秋立冬の四立 春夏秋冬の四季などがある)の節季の一つである。

 


Case Study on General Motors

2016-02-13 16:20:42 | Area Studies

2008年年末 米国の自動車業界 米政府に対して支援要請

 

米国の自動車業界は、米連邦議会・米連邦政府に対して2008年内に40億ドルの即時融資。3社合計で340億ドルの融資を求めている(2008124米上院銀行委員会 2日に再建計画提出)。要請額は11月20日の公聴会時の250億ドルより拡大している。10月に環境技術開発向け融資枠(250億ドル)がすでに成立しているので、今回の要請額は、それに上乗せをしろというもの。

背景には販売不振のなかで資金繰りの悪化がある。9月末現在の手元資金がこれからの半年間でほぼ底をつく見通しになっている。破産法のもとでの再建を求める声に対しては、破産した企業の車を消費者は買うだろうかと疑問を呈している。

労組を支持基盤にかかえる民主党は金融安定化法にもとづく公的資金枠活用案を検討している。ブッシュ政権は環境技術開発向け融資の前倒し案。共和党はなしくずしの融資拡大に懸念しているとされ、世論の多くは救済に批判的と伝えられる。市場主義的な経済学者のモラルハザード論もある。米国に対抗して環境開発融資を検討中のEUからも牽制の声がでている。

米国議会がどのような判断を下すか注目された。2008年12月9日に民主党首脳とホワイトハウスの間で妥協案が成立。12月10日には下院(435議席のうち民主党が235)で救済法案が可決された(賛成237 反対170)。しかし上院共和党(99議席のうち50議席)が激しく抵抗。1211日、両党の協議は決裂。政府支援は白紙に戻ることになった。背景には米自動車業界の将来の青写真が描きにくいことがある。12月8日にフォードがつなぎ融資を求めないとの声明をだし、クライスラーが買収の対象ということからすると、焦点がGMにあることがはっきりしてきている。日本の自動車産業の下での再建という声もあるが、影響の大きさもあり救済をめぐる米国の世論は割れている。

2008年11月の公聴会に先立ち、GMはスズキ(11/18に3%すべてをスズキに223億円で)のまたフォードはマツダの株を売却(保有33.4%のうち20%をマツダなどに520億円で)した。このような戦略的投資も削るほど、資金繰りに困っているとのアピールだろう。GMはすでに、富士重工業(20%05/10)、スズキ(17%06/03)、いすず(7.9%06/04)と日本の自動車工業株の売却を続けてきた。その結果、いすずや富士重工業にはトヨタ自動車が出資。日本では自動車業界の再編が進んだ。今回のスズキ(3%08/11)やフォードによるマツダ(20%08/11)の放出がどのような業界再編につながるか注目される。

すでに述べたように、破産法のもとでの再建を求める声も根強い。支援しても組合や独立系ディーラーとの関係に縛られる関係が続き抜本策は打てないとの声も多く米自動車業界は破たんの淵に立っているといえる。ただ米自動車業界を波たんに追い込むことが、正しい決着なのだろうか。ビッグスリーの破綻は、ビッグスリーと日本メーカー双方に部品を供給している企業や、ビッグスリー車と日本車を併売しているディーラーの連鎖破たんに波及する可能性もある。

すでに08年9月以降、減産に追い込まれている日本企業は内外で減産幅を拡大している。景気の後退が全世界に及ぶものであるため過去最大規模での生産調整が不可避になっている。ビッグスリーの破綻は北米自動車業界に大きな衝撃を与え、北米自動車販売の不振を一時的には悪化させる可能性が高い。

2008116 トヨタ自動車は今期(09年3月期)の連結営業が前期比で74%落ち込むとした(日産は66%)。減益の要因の4割は円高、2割が研究開発費、残りが販売不振などである。トヨタは国内生産を海外に輸出に振り向ける割合が高く為替変動の影響を受けやすい企業体質をもっているが、その弱点が今回の円高で如実に表れた。手元資金が4兆円あるなど、圧倒的な財務体質の良さから長期的投資計画に変更はないとしているものの、このトヨタの数値からも事態の深刻さが分かる。ビッグスリーの破綻は、この点からみて好ましいことではない。米連邦議会が、救済の判断をくだすことを期待したい。
This blog was written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author. 

GMの再生は可能か(2009年)

2009年7月10>日新生GMがスタート
 2009年6月1日 米GMは米破産法11条の適用を求めて、連邦破産法裁判所に申し立てを起こした。その後7月5日(日)に同裁判所が承認、4日間の上告猶予期間設ける。7月9日(木)昼に同裁判所は異議申し立てを締め切った。一部債権者や交通事故被害者などが上告の動きを示すが、結局、上告者はなかった。
 クライスラーのケースで上告が最高裁により6月9日に棄却された前例、米政府が7月10日までに承認されなければ政府による支援(総額330億ドルの事業再生融資など)を打ち切るとしており、その場合はGMが清算に追い込まれることなどが、背景とされる。
 裁判所の判断に上告がなかったという結果を受けて、7月10日(金)朝に新GMへの資産譲渡が実行された。米GMは優良資産を新会社「セネラルモーターズカンパニー」に譲渡し、破産法11条の手続きを事実上、完了した(4月末に破産法適用を申請したクライスラーについては、一部債権者から上告が出されたが6月9日に米最高裁がその上告を棄却。これを受けて6月10日に新会社に資産を譲渡、新生会社として先にスタートしている)。GMの規模や利害関係者の大きさから60日はかかると思われた手続きは、クライスラーとともに40日の異例の早さで終了した)。
 ここでは米GMの再生、再建の可能性について議論してみたい。
米破産法11条の意義
米破産法第11条は日本の民事再生法に相当とされる。民事再生法は、1978年米破産法11条にならって制定された。
ところで米破産法では、法的な破産(債務支払い不能状態insolvencyにあることを裁判所が認めて、債権者への支払いを止めて清算あるいは再生の手続きに入ること)について、債権者からあるいは債務者のいずれからも裁判所に申し立てることを認めている。債権者からの申し立ては非自発的破産、債務者からの申し立ては自発的破産と呼ばれている。
清算liquidation手続きを扱っているのは7条(Chapter 7)である。この場合は裁判所が任命した管財人interim trusteeが広範な権限を握っている。

特徴的なのは再生reorganization手続きである。1978年米破産法改正法11条(Chapter 11)は、再生手続きをするreorganization間、裁判所の監督のもとに、債務者である企業(の経営者)に、引き続き事業の所有を継続して営業を自らの意思のもとに行うことを認めている。また再生について債権者と事前の調整を行う事前調整prepackagedについても定めている。なお個人についての再生手続きは、13条(Chapter 13)で定められている。

クライスラーそしてGMが破産
クライスラーは2009430日破産法申請。米・カナダ政府があわせて105億ドルの拠出表明。5月31日米・カナダ政府があわせて396億ドルの拠出を表明したあとGMは200961日破産法申請
それぞれ11条の適用を連邦破産裁判所に申請した(破産した)。またあわせて事業譲渡の許可申請をした。GMの生産台数はクライスラーの4倍だが、まずはクライスラーの破産と救済により、GM破綻、実質国有化(米政府は融資債権を新生GMへの出資に切り替える方針。新生GMへの政府の出資割合は60%)の市場へのショックを和らげる計算が働いたとみられる(このような政府による市場経済への大規模な介入をオバノミクスと呼ばれることがある)。GMの破産は史上最大の破産(3月末の総資産は823億ドル 連結ベースの負債規模は1728億ドル)とされその影響は大きいといわれている。

指摘されている米自動車産業の問題点
では米国の自動車産業はなぜだめになったのか。米自動車産業の問題点として以下のような点がすでに指摘されている。
株主資本主義による絶えざる自己資本利益率向上要求(株価上昇要求、増配要求)。その結果、設備投資を始めとする経費が十分でない(長期的に必要な環境車の開発を後回し)。またレバレッジをきかした金融事業の拡大に傾斜(サブプライムローンに加担)
 販売奨励金により不自然に高い販売水準が維持されてきた。ディーラーはローン審査を緩和。低金利期にゼロ金利など大幅値引きで売りまくった(新車価格が低下して収益力が低下した)。そもそも製品競争力が低い。
 企業年金や退職者向け医療給付が負担になっている(背景に社会保障制度の貧困)など。

債権者と事前交渉で組合と有担保債権者を優遇
 GMでは破産を視野に債権者との交渉を始めた   
 GMでは、再建案で政府とUAW(全米自動車労組)は債権に変えて合わせて株式の9割を取得、無担保債権者が1割というのが当初伝えられた割合。最終的な割合は調整中だがオバマ政権は過半出資を明言している(実質的一時国有化)。無担保債権者は株式の取得割合が低すぎる(債権の9割カットになる、株式をもっと欲しい)と抵抗。目標とした債権者の9割の賛成は得られなかった。結局、5月26日、約270億ドルの無担保債務削減交渉は決裂した。なお有担保債権者は全額保護と伝えられる(クライスラーの場合は有担保債権者が債権を大幅カットされた またフィアットが買収に名乗りを上げたことを受け米政府出資は8%にとどまった)。
 破綻回避をめざした交渉が決裂したあとは、破綻を前提にした事前調整が続いた。11条から見れば債権額の3分の2以上で債権者の過半の賛成で再建計画は承認される。
 5月31日現在で公表されている再建計画での新生GMへの出資割合は、これまでの約200億ドルに加え301億ドル追加出資する米政府が約60%、95億ドル追加出資するカナダ政府とオンタリオ州政府が約12%、両政府の出資はあわせて396億ドル。
UAW主導の医療保険基金が17.5%と2.5%の株主購入権、債権者は10%と15%の株主購入権とされる。
 UAWが医療保険債務の半減、労務協約の見直しなどの反面(退職者の年金や現役労働者の給与水準の見直しには応じなかったとされる)、再建後のGMの普通株の17.5%や年率9%の配当が保証された65億ドル分の優先株を受け取る見込み(5月29日段階)。
 破産法によりUAW向け医療債務が半減することは、かなりの負担軽減となる。関係者が懸念するのは、破産によるブランド力の毀損だ。破綻によるブランドイメージの低下の影響は大きい(米3社の間では破綻しなかったフォードが伸びると思われる)。またブランドの売却により業界の再編が進むことも間違いない。
 米政府は部品メーカー向けの債権保証制度を用意した(2009年3月)。影響を受ける日本のメーカーも申請している。直接取引きがあること、米国で生産されたものであることなどが条件とされる。
 日本の部品メーカーではデンソー、矢崎総業、曙ブレーキ、アイシン精機、ヨロズ。素材メーカーでは合弁事業で神戸製鋼所(ーUSスチール)、新日本製鉄(ーミタル)などが、そのほか、ブリヂストン、スズキ、タカタなどが日本メーカーで影響を受けるものとして報道された。
 米政府は上場時に保有株を売却することで出資資金(500億ドル)の回収をねらっている。債権者の抵抗の背景にはクレジットデフォルトスワップ保有で破綻時に債権がカバーされるものもいるからと指摘されている。
 
オペル、サーブの売却
当面の話題はGMの独子会社オペル(欧州でフィアットと並ぶブランド)の売却先。クライスラーへの出資で名前の出たイタリアのフィアットのほか、カナダの部品大手メーカーマグナ・インターナショナル(背景にロシア資本)、ファンドのRHJインターナショナルなどが食指を示したが、マグナが勝者となり暫定合意が報道された(2009年5月29日)。ドイツ政府もオペルに15億ユーロのつなぎ融資実施を決めた(5月30日)。マグナはクライスラー、GMの破綻を受け北米以外に市場を求める必要があり、ロシア政府とロシア資本は自動車産業の育成をねらっているとされる。オペルの新たな株主構成はマグナ20%、ロシアの政府系銀行ズベルバンク35%、米GM35%、オペル従業員組合10%とされる。もっともマグナが人員削減を打ち出し、雇用優先の立場からオペル支援を決めたドイツ政府は窮地に立たされているともされる(6月25日日経報道)。
また6月16日にはスウエーデン子会社のサーブを現地の高級車メーカーケーニグセグに売却することでの基本合意成立がGMによって正式に発表された。

NUMMIからの撤退
6月29日にGMはトヨタとの合弁会社NUMMIからの撤退を発表した。これはNUMMIで現在生産しているGM向け生産ブランド(ポンシィアック)の打ち切りに伴うもの。NUMMIではトヨタ向けにカローラ、タコス(小型トラック)も生産しているが、トヨタも北米の過剰生産能力の調整を必要としており、清算を含めて検討中とされる。
 
This blog was written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author. Original version appeared in June 5, 2009. It was corrected in July 16, 2009.

GMのリコール隠し(2014年)
自動車産業では、車台の共通化 部品の共通化といった合理化が、その部品の不具合から大量のリコールにつながるようになった。 2013年末に公的支援の終了。さらに2014年に入って、女性のCEO登場で明るい話題に包まれたかに見えたGMが、一転リコール問題に陥って注目された。早い段階で開発部門における部品の不備の認識がもたれたにもかかかわらず、問題が営業や生産部門に共有されなかったという 社内の風通しの悪さも指摘された。問題の開発部門での認識は2001年。これに対してリコール開始は2014年2月になり、結果として事故で13人が 亡くなった。 自動車のリコールはこれまでも自動車メーカーの存続に大きなリスクとなっている。以下にみるように点火スイッチの欠陥の発覚であり、最終的に2015年に司法省に対する制裁金と集団訴訟での和解金14億7500万ドルの支払いで合意して沈静化させている

過去の主なリコール問題

三菱自動車(2000年と2004) 日本メーカーについては三菱自動車のリコール隠しが有名。同社は2000年と2004年にこの問題を繰り返し経営危機に陥った(当初の問題発覚は2000年7月 2004年の再発覚は2005年11月、3割の出資を受けていたダイムラークライスラーとの資本提携解消につながった)。2004年から2006年にかけて三菱G企業などに対して6000億円の優先株を発行し経営危機を乗り切った。その後、軽の販売の好調、円安効果もあり、2013年前期に増益に転換した。2013年11月経営危機を乗り切った事を受けて、2014年に入ったら最大で2100億円の普通株を発行して三菱G4社に対して残る3800億円の優先株の一部を発行価格から平均で25%引いた価格で買戻し消却処理をする方針を示した。消却でなお残る普通株については、普通株に転換して保有が継続される。この結果、最大の懸案だった優先株処理がほぼ完了したことを受けて、2014年1月には、9年ぶりに生え抜きの常務が社長に昇格させることも示された。

(同社は軽の開発生産で日産と提携。さらにEVの開発や北米輸出でで日産ールノー連合と連携を強化する構えを2013年11月に示した:2013年11月。日産ールノー連合はEVの販売で先行。三菱もEVの開発で実績がある。日産・ルノーとの接近には業界で生き残るための1000万台という販売台数水準のGを作るという問題がある。トヨタ(975万台)、GM(929万台)、VW(928万台)に次ぐ第四のグループを形成する方針(日産ルノーはアフトワズと合わせて800万 三菱自動車が100万 数字は2012年)。背景にはルノーの欧州での不振。ルノー・サムソンの韓国での販売不振、稼働率低下などルノーの経営不振があるとされる。)

トヨタ(2009年から2010年) トヨタのリコール 2009年から2010年 785万台。意図しない急加速があるという風評でトヨタの販売失速につながった。問題はアクセルペダルの不具合。しかし電子システムに欠陥があるとの風評が広がった。このトヨタの問題と今回の2014年GMとはさまざまに比較されることになった。 2013年の米新車販売台数1560万台前年比7.6%増。6年ぶりの高水準。2009年の金融危機前の水準を回復。 2014年の米新車販売台数規模は1600万台後半と推定。世界最大の市場は中国で2300万台前後(2013年の1割増)。2014年に司法省に12億ドルの和解金支払いで決着を図ることになった

今回のリコール問題直前の公的支援の終了(2013年12月)

2008年12月米政府(ブッシュ政権末期)が134億ドル融資。2009年6月連邦破産法11条を申請でGMは経営破綻。2009年7月一時国有化(オバマ政権による雇用優先)。米政府が61%出資する企業として再出発。500億(495億)ドル近い資金が投入出資された。コストカットを進めたとされる(北米14工場の閉鎖・休止 工場閉鎖による過剰生産能力削減 ブランド数削減 人件費抑制 2006に資本提携解消したいすゞとの再提携2012/04→2013/01)。2010年9月 アカーソン氏がCEO就任。2010年11月再上場(再上場時 政府は一部の保有株式を売却 再上場時売出価格33ドル)。2013年末に米政府が保有(保有比率32% これは残る間は株価押し下げ要因)全GM株の売却を終えて公的支援は終了(495億ドル投入 2013年12月105億ドルの売却損を出して関与解消を優先 2012年12月 大統領に再選されたオバマは脱国有化を決断したとされる)。巨額の公的資金投入に批判が強い反面、120万人の雇用が維持されたとの評価もある(金融危機もあり資金調達ができなかった。救済しなければ連鎖倒産が広がる恐れもあった。)。ただ1兆円近い損失発生は、公的支援が最終的に損失にならないという神話が成立しなかったことになり意味は小さくない。 このGM救済で使われた仕組みは2008年10月創設のTARP(Troubled Asset Relief Program)。シティなど大手金融機関9行(2008年10月)、クライスラー、GMなど企業(2009年4月~6月)に相次いで出融資。拠出総額4210億ドル。回収額4320億ドル。回収額を押し上げたのはAIGへの支援だとされる。米政府は2009年9月にリーマンを破綻させるもAIGを救済した。 GM、クライスラーは救済され、フォードは自力再建するので、公平性からみた問題が指摘される。 GMでは北米は大規模なリストラで復活。中国は最大市場で好調を維持(人件費の上昇はあるが)。問題は欧州とされる。ドイツのオペルの扱い。売却するか再建するか。2012年2月に提携したフランスのPSA(いわゆるプジョー 欧州2位 創業家の持ち分が高く創業家を無視できない またフランス政府が雇用確保のため介入)と提携させるか。結局2013年12月までにGMは欧州からシボレーブランドを撤退させ、欧州ではオペルの再建に集中。PSAとの関係をむしろ清算すること(出資は解消 持分は市場で売却 業務提携は縮小)を決めた。PSAは中国の東風との資本提携に舵をとる。 GM/いすゞ裁定系(2013年1月) 新興国で需要が拡大しているピックアップトラック(小型商用車事業)で事業一体化。GM(世界シェア19%)がピックアップ用エンジンにいすゞのものに切り替える。2006年に資本提携を解消、欧州でのDE供給も解消。いすゞはトヨタとの資本業務提携(同傘下の日野自動車)は維持。両者を合わせたシェアは商用車シェア25%で世界1でありフォードを突き放した(GM-フォードートヨターフィアットの順番)。 金融緩和と消費 米国内新車市場ではゼロ金利ローンが常態化。消費を押し上げている。延滞や貸倒れを懸念する意見もある。自動車メーカー系金融会社。 いまひとつリース販売も増加している。 直前に女性CEO就任(2014年1月) 2014年1月メアリーバーラCEOの就任。自動車大手で女性CEOは初めて。GMはトヨタやVWと世界1を競う。トヨタ996万(計画値) GM971万(暫定) VW970万

GMリコール問題発覚(2014年2月) 
2014年2月 GMで小型車コバルトなのでエアバックが作動しない欠陥を長年にわたり放置していた問題が浮上した(なぜ発覚が米政府の保有株売却後になるかは不思議だ。また2009年から2010年にかけてのトヨタのリコール問題も政治的に仕組まれた陰謀の匂いがする。こうした「陰謀説」が日本では強い。また2011年については、震災とタイでの洪水での部品調達難で日本車はシェアを落とす。)。 GMは不具合について2001年の試作段階で既に認識。2002年2月には部品メーカーから通知を受け 2005年2月から3月には社内で対策会議を行いながらコストを理由に対策をとらない決定をしたというもの。 2012年5月 外部機関に調査依頼したところ44車種で点火スイッチの能力不足が指摘された(情報が共有されず)。ようやく2014年2月にリコールに踏み切った。エンジン点火(イグニッション)スイッチの欠陥を10年以上放置して、少なくとも13名が死亡。この間の顧客の苦情は133件。イグニッションスイッチの調達価格は一つ2~5ドル。製造元はデルファイオートモーテイブ 20142月リコールに際して過去に生産したものに対する包括的品質調査をしたところ続々と不具合が発覚する事態となった。   まず2014年2月に当初162万台のリコール。これは2003年から2007年までの7車種について点火スイッチの不具合で走行中エンジンがとまったりエアバックが作動しなかったりする不具合があるというもの。対象は再調査分を含めると650万台(3月17日別途08-14年式で175万6000台。3月28日に97万1000台追加。さらに3月31日までで650万台)。5月15日に追加で300万台。(2009年から2010年のトヨタのリコールの規模に並ぶ) 4月10日 7億5000万ドルとした経費を13億ドルに引き上げ 5月16日 米運輸省高速道路交通安全局 3500万ドルの民事制裁金(1回としては最高額 トヨタは3回にわたり6600万ドルを課された また米司法省とは2014年3月12億ドルあまりの制裁金支払いで合意。) 6月3日 5月の新車販売でGM首位維持17.7%(リコールの影響出ず)  6月5日 社内処分発表15人解雇 5人厳重注意処分 6月10日 株主総会でバーラCEO 再発防止を表明 6月16日 15車種6件で355万台の追加リコールを発表 2014年の累計44件2004万台 2009年―2010年のトヨタのリコール1600万台を上回る 対策費用は累計20億ドルも異例の規模 1-3月13億ドル 4-6月4億ドル。追加で7億ドルに増やして計24億ドル 6月30日 845万台の追加リコールを発表。2014年の累計は2900万台。世界的に類例がない規模に。欠陥車放置による死者について、民間では数百人単位との指摘もある。 

This Blog was written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author. It appeared, in July 7, 2014 

revised in Feb.13, 2016

タカタのリコール問題(2014-2015)


中国リスク について Chinese downside risk

2016-01-18 11:51:19 | Area Studies

中国GDPは世界の11%(8兆2270億ドル 2012年)の規模にたっした。
・・1990年当時は1.8%(3800億ドル)だった。教育環境や内容を別にすれば 高等教育も一気に普及し2011年大学数は2409校 2012年の大卒者は680万人で過去最高。しかしその就職率は7割程度。2012年の日本のGDPは5兆9639億ドルだった(中国に次いで世界第3位)。2011年5月1日の日本の大学数は780校(国立86 公立95 私立599)。2011年3月の日本の大学学部卒業生は552,357名である。

この大学の規模をみても分かるように 規模からみればすでに大人と子供で、中国の方が圧倒的に大きい。また北京や上海で
トップクラスの大学を訪ねた人は 先方の施設の巨大さに 目がくらむはずだ。教育の質もテキストを見る限り追いつく努力は払われている。科学研究の分野での論文数での存在感も目を見張ってよい。

このように巨大な中国についての、最近の話題は金融引き締めとそれに伴う経済の後退である。それが世界経済の後退につながることが懸念されている。これを中国リスクと呼んでいる。悪い方向へのリスクだからChinese downside riskと呼ぶことにしよう。

一人当たりGDP 2015年に約]8000ドル。中所得国の上に達する。しかし高所得国の入り口の1万2000ドルとは差。一層の経済発展に失敗する「中所得国のワナ」。第三次産業 2013年にGDP構成比で2次産業抜く 各産業別は2014は9.2-42.7-42.8  1990には27.1-41.3-31.5だった。就業者構成比は1990年 60.1-21.4-18.5  2014年には29.5-29.9-40.6だった。295非製造業を育ててゆけるか。都市常住人口 1990  26.4% 2010 49.9%    2014    54.8%

人口ボーナス 人口オーナスに変わった。どうすればよいか。 生産年齢人口15~64 2014年から減少

ジニ係数野上昇どうみるか。2008年0.491 2014年0.469


たとえば資源価格は急上昇のあと 反落している(石炭や鉄鉱石の価格は2011年春先のピークに比べて大幅に下落している ピークの価格は原料炭は
トンあたり300ドル超え、鉄鉱石は170ドル超えまで上昇していた。それが景気減速で2013年8月には原料炭は
半値以下。鉄鉱石は120ドル台までさがっている。)。

(1998年 広東国際信託投資公司GITIC問題 地方政府の外貨調達機関だった 外資の損失を押し付けて決着。当時 王岐山が広東省副省長)

2011年12月 日中金融協力きまる(人民元と日本円の直接交換取引の解禁など)

2012年の実質経済成長率7.7%(政府目標7.6%)

2012年9月 尖閣諸島(魚釣島)の領有権問題で日中関係悪化

2013年のGDP実質成長率前年比7.7%増(エコノミストの予想値7.6% 2014年7.6%) 1999年以来の低さ 2007年の半分。2年連続の8%割れ。

民間消費が4割 投資など固定資本形成が5割近い 民間消費が6-7割の日米に比べて過度な投資依存

投資への依存度は先進国で2割 途上国で3割

2013年9月末の外貨準備高3兆6600億ドル(360兆円) 6月末に比べて1600億ドル増加

2014年4月から一人っ子政策見直し。各地での立法措置を前提にして、夫婦にいずれかが一人っ子の場合に二人目の出産を認めるというもの

+2014年1月

中国政府の中成長へのかじ取りを反映(2012年3月全人代での温家宝首相が8%でなく7.5%という成長率見通し示す)
インフら投資の鈍化 新興国の景気減速 人民元 人件費の上昇 金利の高止まり 景況感の悪化

2015年6月 三菱東京UFJ銀行 東京で初の人民元建て債券3億5000万元(約50億円)を発行

2015年6月 上海株式市場でバブル崩壊

2015年 伊藤忠商事は中国中信集団CIICとタイの財閥チャロン・ポカパンに1兆2000億円を折半出資

2015年8月4日 IMFレポート 基準値がオンショアレートから2%近く離れていると指摘

2015年8月11日 中国人民銀行 人民元相場基準値を突然下げる人民元ショック 初日1.9%切り下げ

2015年11月30日 IMFがSDRへ人民元採用決定 元安と資本流出

2016年12月16日 米FRBが9年半ぶり利上げ

2016年1月4日 上海株急落 年明け最初7%安と暴落 この日 導入されたサーキットブレーカーは」

4日後撤回

2016年1月11日ー12日 人民銀行 香港市場で大規模な元買い介入

 

金融引き締めの原因としての融資平台
 ではなぜ金融引き締めに入っているのか。 
 2013年3月の旧正月明けには 大規模な資金吸収オペを実施している。
 狙いはシャドーバンキング(影の銀行)の抑制にあるとされる。
 銀行(表の銀行)はさまざまな規制を受けている。それを逃れるため 大企業を介しての融資。つまり
大企業に一度は融資。それがまた貸し(委託融資 企業同士の貸し借りをいう)の形で中小企業にまわるほか
理財商品への投資の形で結果として融資平台を経由、そこから地方のインフラ投資に回っているとされる。
 こうした影の銀行が肥大化していて、直近ではGDPの伸びが2013年1-3月で前年同期比7.7%増とされるのに、
社会融資総量(貸出+債券+信託+委託融資など含める)は58%増とされ、金融が実体を上回って肥大化している
ことは明らかとされる。
 融資平台(あるいは不動産会社)は地方政府の傘下にあり、地方での
インフラ開発の実施部隊だが、その行き過ぎが問題になっている。
 地方債の発行を原則禁止されている地方政府は融資平台を抜け穴にしている。
銀行が融資平台向け融資をしぼると、融資平台は今度は債券(城投債)を発行。
2012年の城投債の発行規模は6367億元(約9兆4000億円) 前年の2.5倍
(2012年で6400元 前年比2.5倍 背景:銀行は貸倒を嫌って融資平台への融資を絞り込んだとされる・
融資平台への銀行の融資規模は約10兆元:約160兆円とみられる 地方融資平台の負債総額については2012年末でGDPの37%にあたる19兆元 307兆円という試算がある)
これが理財商品に組み込まれ、企業や個人に購入されている。
 また地方政府そのものの債務の拡大(地方政府の債務は 2013年半ば現在 2010年比2倍の20兆元=320兆円を超えているとも)も懸念されているし、不動産バブルも懸念されている。
別の報道では中国の地方債は2009年の4兆元の景気刺激策を実施する際に解禁されたが 原則として
中央の財政省が地方政府の代理として発行する形をとっている。このほか特例として有力都市には
自主発行枠が認められているとのこと。
 地方債の2012年の発行額は2500億元(3兆2000億円) 前年比25%増

 2013年統計による懸念。2013年統計。企業の債券発行などを含めた広義の新規融資総量。 社会融資総量 17兆2900億元(298兆円)   2013年8月で1兆5700億元(15.7兆元?) 25.5兆円(255兆円? ) 前年同月25%高 2014年2月の社会融資総量は9387億元(約16兆円 前年同月比1318億元のマイナス 増加ペースの鈍化を示す)
企業間のまた貸し2兆5500億元にまで増加 前年比で倍増
これは影の銀行の代表格(委託融資)とされる
信託会社を通じた融資は 4割増 また貸しと信託会社を介した融資との合計が25%(前年16%)に急増
銀行融資は51.4%(前年比0.6ポイント減少)
2008年のリーマンショック 緊急経済対策 4兆元 投資資金あふれる(世界経済の機関車) 公有(国有)企業を潤し政府による市場関与強まる(過剰投資 過剰生産能力の後遺症 鉄鋼ヤセメント 主要製造業の稼働率は7割とされる)(2001年のWTO加盟が経済改革のピーク 以降は経済改革からの逆行 対外的にも強硬路線へ 2005年小泉靖国参拝による反日デモ 2012年9月尖閣諸島国有化で反日デモ 2013年11月中国政府尖閣諸島上空に防空識別圏ADIZを設定 2013年12月安倍靖国参拝)
社会融資総量 2008年には約7兆元だったが2009-2010年には約14兆元に膨らんだ。

社会融資総量に占める正規の銀行(元建て新規融資)の低下。2002年の92%が2013年51%に低下している。
影の銀行の主要な資金ルートは理財商品。高利回りをうたって「理財商品」で集められた資金が不動産開発(地方政府が農民から土地使用権を買い上げ都市開発業者に高く転売。都市化が進展。)などに流れ込んでいる。銀行が販売した理財商品の残高(2013年6月末)9兆元(150兆円)で2012年9月比で35%増。投資先の事業について十分な説明がなく、元本保証がない点も説明が不十分。投資先が破たんした場合の責任の所在も不明確。
リコノミクス(李克強首相掲げる経済政策 習近平も支持) 大規模な景気刺激を避ける 市場メカニズムの拡大などを通じて 信用リスクを抑え 過剰設備の縮小など構造調整進める(構造調整重視 質と効率 環境 省エネ 不要な投資で成長率をかさ上げ債務を残すことに批判 地方政府の幹部の評価基準 成長率から質と効率へ)
景気刺激策を打ち出さない
財政金融の引き締め
構造改革の推進(反腐敗闘争 2013年7月中国人民銀行貸出金利自由化発表 10月上海自由貿易試験区設立) → 既得権益との衝突が予想される
2013年18期3中全会で成長率目標を掲げなかったことと対応。
背景:GDPの投資依存(民間消費は4割未満 固定資本形成が5割近い 日米では民間消費が6~7割)
景気の底割れ懸念を払しょく 経済改革への抵抗抑える(2013年7月 インフラ整備重視打ち出す)・・・7%台の成長維持
1978年14期3中全会 社会主義市場経済体制の構築に関する決定 「改革開放路線への転換」決める 計画経済の堅持 市場を補完的に利用
1993年3中全会 市場経済に向けての50ケ条プログラム 「社会主義市場経済」:市場化に向けた改革の方向性決める 市場経済への移行漸進的に進める 国有企業民営化に着手
2001年WTO加盟前後 市場経済への移行を完成
2003年16期3中全会 社会主義市場経済体制の整備に関する決定 社会主義市場経済が基本的に構築された
2003年 国有資産監督管理委員会 銀行業監督管理委員会(中央銀行から銀行監督部門を独立させた) 成立 → 国有企業躍進 民営企業後退顕著 国進民退
  国有企業は「自主創新=自主的イノベーション」「走出去=対外進出」の担い手
2013年18期3中全会 改革の全面的深化に関する決定(少子高齢化 資源環境の制約に対する自覚 生産要素・資源投入型高成長の限界) 15分野60ケ条 市場に資源配分の決定的な役割を果たさせる 公有制主体は堅持
  1年物定期預金が約3%の利回りのところ、理財商品は5~10%の利回りを提示して資金を集めて
また口頭で元本保証をうたっているとされる。・・・消費者物価指数が3%超えることが多いので3%では
実質マイナス金利との指摘もある。運用期間が2週間から6ケ月と短期であるのも人気であるようだ。
 2012年12月には中堅の華南銀行が販売した理財商品(貸出や債券を小口化したもの)の元利金が期日に返済されない事件が発生。
購入者による抗議活動が上海市内で発生が話題になった。このような事例が今後急増することが懸念されている。
 理財商品の規模については 英格付け会社フィッチが2013年6月約13兆元という推計を発表した。
6月19日 銀行業監督管理委員会の尚福林が明らかにした数値は2013年3月末で8兆2000億元(130兆円)。
これは2012年の中国GDPの16%、人民元預金(67兆元)の12%にあたる。
 このほか信託会社が組成した「信託」がほぼ同規模(8.7兆元)有る。こちらは運用期間1年以上。しかし
利回りは10%前後とさらに高利回り。
 さらに銀行が紹介した企業に資金を企業が貸し出す「委託融資」がある。
 理財商品に信託、委託融資などを含めたものは、広義のシャドーバンキングとされ、2012年末で29兆元(米ムーディーズアナリテック)とか、36兆元(JPモルガンチェースの朱海斌氏)に達するという推計がある(20数兆元 ・・・キャノンの瀬口清之さん)。正確なところは不明だが
かなり大きいとみてよいだろう。その破たんが及ぼす影響が懸念されている。

(2割が破たんしても、大手5行の純利益だけでも7700億元あり吸収可能 と瀬口さんは主張している 日経20130827)
 銀行は理財商品の販売を増やし、委託融資にかかわっていたとみられる。
 手数料が入ることと、銀行本体に課せられている預貸比率規制(75%以下)を
超える資金調達ニーズにこたえられること。

 しかしながら中国の政府、企業、家計を合わせた負債規模はGDPの200%程度とされる。これは日本の400%程度。米国の300%程度。
欧州の225%のいずれと比較しても小さい。したがって過度に心配する必要はないとの指摘もある。
 確かに公表ベースの中国政府の債務残高はGDP比15-20%(2012年末で7兆7600億元 GDP比15%)。地方債券や融資平台含めると50-60%。年金や旧鉄道省の負債を入れると90%前後とされる。
 公表数値の問題 地方政府の隠れ借金 原則地方債の発行はみとめられていないので地方政府は融資平台を通じて資金を借り入れ
インフラ投資:公表数値にはない。審計署の推計では2010年末で10兆7000億元
 国と地方を合わせた債務の規模は34兆元 GNPに対する比率は7割弱で2倍を超える日本に比べれば 問題は深刻ではないと
中国側関係者は指摘する。ただし地方債務は銀行からの短期の借入でそれを長期に回す不健全な状態にある。地方政府が地方銀行の
株を6-8割保有して、そこから借入をしていると見られる。
 地方政府が債券で資金調達できるようにして、融資依存を改めさせること。地方政府の地方銀行保有株を売却させて、地方政府の
債務返済源にさせるとともに、地方政府と地方銀行との関係をより透明なものに改める必要があるだろう。

 景気減速 税収減少(付加価値税 企業所得税など減少 政府の税収の伸びは鈍化 地方政府の財源である不動産取引税は規制直前の駆け込みで増加)
国有企業(とくに直轄を中央企業)は多額の欠損金を抱えている 欠損金のほか補助金を受けている
2012年の10大欠損企業(国有企業)の欠損総額は497億元(8000億円)
そのうち5つの中央企業で318億元(5100億円)
鉄鋼5社の欠損総額186億元。
2012年末の中央政府債務残高7兆8000億元 地方政府が22兆2000億円 合わせて30兆元
2010年末の地方政府債務残高10兆7000億元。
 シャドーバンキング拡大
 招商証券 華泰証券による地方政府の隠れ借金の推計は15兆元。李礼輝前中央銀行長の2014年3月10日インタビューでは中国のシャドーバンキングの規模は20兆元(340兆円) 問題の根底には地方政府の財政不足があるされる。
中国のシャドーバンキング問題は過大視されているが、債務実態に引き続き注意を払う必要がある。
 当局は銀行に対して融資平台への融資を規制。融資平台は大手企業や個人から資金を調達。銀行の融資が大企業を介して
また貸しの形で行われているともされる。銀行はこうした融資の焦げ付きを心配している。
 融資平台の資金調達は2013年前半だけで2200億元(3兆4000億円)に達しているとも。
 また割り算をする母数となるGDPの数値の確かさにも疑問はある。

 2009年詐欺罪で死刑判決 呉英事件 高利をうたい7億7000万元(97億円)集めるに死刑判決 厳しすぎるとの世論から執行猶予に。
 資金の貸し借りが拡大。年率25-30%をうたって資金を集めて、さらに高利で貸し出すものの。資金回収の悪化で逃走。江蘇省常熟で生じた顧春芳事件(2012年3月 被害総額4億元:52億円)
 2013年7月末に起きた理財商品販売会社の破たんは江蘇省連雲港市だった(莫哈特理財諮詢 7月27日突如メールで営業停止を顧客に通達。経営者は自首して刑事拘留)。400人以上から6000万元を集めていたとみられる。)

 2014年1月下旬 中誠信託(北京市)が発行した「誠至金開1号」30億元が債務不履行危機。投資先は山西省の採炭会社(零細会社多く石炭価格の下落で苦境か)。政府に意向で第三の投資家(地方政府や販売した銀行などが当局の指示で買い取りか?)が買い取り支払が成立。 1月21日 中国人民銀行は12月 資金供給をしぶって過剰流動性解消の構えで市場は動揺。短期金利が半年ぶりの高水準に上昇。株価も急落(12月から1月)。株式は11月末のIPO再開発表もあり、上値は重い。そこに2014年1月21日4週間ぶりに資金供給。1月末 中誠信託はデフォルトの回避を発表。

 吉林省信託(吉林省長春市)発行の「吉林・松花江77号」9億7240万元のうち期日到来の7億6340万元(約130億円)が未返済(2014年2月12日上海証券報による)。投資先は山西联盛能源(山西省)。山西联盛能源と山西省政府金融弁公室とが戦略的再建案で合意。
 理財商品の残高は銀行経由販売分だけで9兆9000万元(年10%を上回る高利で投資家集める 背景には金利規制 たとえば定期預金の基準金利は1年もので3%)。

  2014年3月7日 太陽光パネル大手上海超日太陽能科技の社債が利払いできずデフォルト(中国社債市場でデフォルトは初めて)。3月13日の記者会見で李克強首相 デフォルトに容認姿勢 投資家の間でデフォルト懸念が広がる恐れ。

 投資先としては 大規模マンション ショッピングセンターなども目立つ。鬼城(ゴーストタウン)化している。
 規制外の資金規模は全土で3兆元(38兆円)とも
 小額ローン会社 2008年に設立認められる 基準金利の4倍以内で金利設定できる 2011年の融資規模4400億元前後 銀行融資の1%
 温州市で設立証券緩和 2012年 温州市だけでみれば規制外の金融が2割まで成長

 理財商品の代表 信託商品の2013年末資産残高は10兆9100億元(185兆円) 前年末比46%増 名目GDPの約2割。提示する利回りは年7~10% しかし元本保証ではなく信託会社に法的責任はない。2013年夏 陜西省国際信託が元利金を支払った事例がある。信託会社の賠償準備金と純資産合計額は信託資産全体の約2.4% 2012年に満期返済時に問題が発生した信託商品は約200億元。

 影の銀行の規模。2012年末で20兆5000億元(中國社会科学院の推計 2013年10月発表) 信託商品の2012年末の残高は7兆4700億元

 不安材料としての中国による米国債保有 外貨準備が3兆ドルあまり 2013年4月末で1兆2600億ドルの米国債を保有。外国勢による
保有5兆6700億ドルの2割。ほかに中国は米国のMBSを大量保有。・・・ということはFRBが金融緩和を縮小するとき、中国が金融システムの
穴埋めに自国の外貨準備を減らす行動が重なったらどうなるか・・・・米国債の売り 国債暴落 米長期金利急上昇


 こうしたなかで2013年6月24日午前に人民銀行は国内銀行に対して流動性管理で注意喚起するとともに、現在の金融政策の継続を表明した。これは国内銀行の出している理財商品の償還期が集中して(フィッチの償還推計額は1兆5000億元 数兆元)、短期金利が急騰している(平時の2-3%が6月20日に13%台に急騰)、との観測のもとに行われた。
 当局としては預金準備率引き下げなど金融緩和措置を否定、他方 銀行の破たんという不測の事態を懸念する姿勢も示したといえる。

短期金利の急騰と株価下落(2013年6月下旬) 3%前後から13%台に急騰
 昨年(2012年6月と7月に政策金利引き下げ年物預金金利貸出金金利6%下限70%4.2% 1年物預金金利基準金利3%上限10%3.3%
  銀行ハリスクの低い優良企業に融資を集中 中小企業に資金が回らない そこで影の銀行が発達した) 
6月20日 短期金利(上海銀行間翌日金利翌日物SHLIBOR)が普段の2-3%台から過去最高の13%(13.444%)まで上昇(前日比5.8%高)
      これまでの最高は8日の9.581%(20日については瞬間風速で20%超えたとのうわさがある)
     人民銀行はこの金利の急上昇をあえて見過ごしたとも あるいは 
     一部銀行に資金供給実施したともみられる。
     表面では手形発行で20億元の資金を吸収する引き締め策を実施 上海株は急落 
 6月23日 中国工商銀行がシステムトラブルで一時預金引き出し不能に 資金難の噂流れる
 6月24日 人民銀行が国内銀行に対して流動性管理で注意喚起
      上海株は前週末比5.3%安の1963.235(2000を半年ぶりに割る)
 6月25日 上海株は一時前日比5.8%安の1849(4年半ぶりの安値へ) SHLIBORは5.736%の高止まり
      資金供給の可能性(一部銀行に資金供給実施したことを公表)を示唆する人民銀幹部発言で落ち着く
 6月27日 上海株年初来安値(5月29日以来では16%下落)
 6月28日 SHLIBOR翌日物4.941%に低下
 7月11日 SHIBOR翌日物3.3547%

ホットマネー流入の懸念
ホットマネーが外国から供給されていることが指摘されている。たとえば
3月外貨準備高3兆4400億ドル(340兆円)2012年末にくらべて1300億ドル増加
これは熱銭(ホットマネー)の増加につながると中国人民銀行は警戒あらわとされる。
→ 逆に止まると短期金利急上昇が懸念されるのだが。

こうした中で偽装貿易を通じた資金流入が指摘された。
統計数値への疑問 2012年12月から2013年2月
 輸出 過大ではないか(中国統計949億ドル 香港統計587億ドル) 水増し輸出の指摘
 輸入 過少ではないか(中国統計45億ドル 香港統計580億ドル)

商品が輸出されず 偽装貿易の形で証券や不動産投資などを目的とする資金が中国内に流入している可能性が指摘されている。
香港や国内保税区向け輸出が急増している。となるとこうした偽装取引への取締強化が、
ホットマネーの供給の断絶、バブルの崩壊につながることも懸念されている。
 つまり誰も破綻を望んでいるわけではない。しかしあまりにも巨大化した 影の銀行。
 これがおだやなか終焉を迎えることは予想しにくい。そこで不安が高まっている。

鬼城:空き室だらけのゴーストタウンのようなマンションを指す
地幣:地方政府などが開発供給する土地が信用創造機能を持つとの意味
不動産市場引き締め策:2010年春導入 2軒目以降の住宅購入 頭金の比率を高める
 北京市の場合は2軒目は頭金を60% 公的融資も利用できないなど
20%課税 住宅の売却益に20%の所得税をかける方式(実施時期は不明 2013年3月)
 → かえって売買をあおる結果になった

このような景気減速の話は2012年春にもあった(欧州景気の不信 2010年半ば以降の元高 現高は2012年に入ると中休み
)。不動産取引規制堅持など(2012年7月23日『人民日報』 6月から2度続けて利下げ 金融緩和の他方では不動産取引規制
投機目的の住宅購入を規制 2011年11月末 不動産関連融資残高10兆4600億円 地方政府の税収の3割4割が不動産野開発権を
業者に売却することで得られる収入 2011年 地方政府の土地譲渡による収入は合計3兆元 税収の6割とも
成長を達成 → 党幹部として出世するときの選抜基準の一つがどれだけ経済成長を達成したか)

先進国向け輸出は減速している。
 2007年 GDPの伸びは14%
 2010年 GDPで日本を超える しかし
 経済成長の実質に疑問の声 預金金利を抑えた金融システムで低コスト資金を国有企業・地方開発プロジェクトに流したが 結果として 鉄鋼など素材産業での過剰生産(鉄鋼は生産能力10億トンに対して2012年の生産は7.2億トン 世界の粗鋼生産の46%とされる) 交通不便な山奥に立つマンション群 輸出力があるのは外国ブランドメーカーばかり パソコンも心臓部の半導体は輸入品
 必要なのは 企業の質(生産性 技術や商品開発力)を高めること そのためには金利の自由化により 銀行の利ザヤ圧縮 過剰設備投資 乱開発の防止 産業構造の転換 を図ることというのだが その過程で生ずるであろう 企業や金融機関の 破綻が恐れられている。

なお新政権は発足当初より引き締め策に転換している
倹約令(2012/11習近平総書記就任後 官官接待 贈答行為の禁止)・・・国有企業で金券の買い物カード配布が縮小・・・高級料理店の閉店
2012年12月 中央経済工作会議 内需を重視し安定成長の持続を目指す方針
・内需主導型経済への転換
・農村の都市化により都市と農村の格差を縮める
(習近平の父習仲勲氏は広東省共産党委員会書記として経済特区の構想を1978年に提言。小平の支持を得て1980年から実施して
深�祁など沿岸部発展の基礎を築いた)
→ 李克強首相は投資よりは制度改革(土地 戸籍 医療 住宅など)に重点を置くように指示 リコノミクスとも呼ばれる
不動産バブルの加速 地方政府の債務増加を懸念

バブル懸念を収束させた 1998年の朱鎔基氏(当時の首相)による既得権益との対峙と比較される
 → 広東国際信託投資公司を破産させ 地方や国有企業改革を断行 → 2000年に入って以降の2ケタ成長の基礎となったと評価

 2008年のリーマンショック後の4兆元の刺激策が国有企業の過剰な生産能力 不動産価格の高騰 高利回り金融商品の蔓延などにつながった。
 中国経済が高速成長の時代を終えている認識 市場化して生産性の向上に努める必要

2月20日 国務院不動産市場引き締め策の継続を発表
3月1日 不動産市場に対する引き締め策(個人が2軒目以降の住宅を買う場合 頭金比率と融資金利を
一軒目に比べて高くすること 売却時に譲渡益に20%の個人所得税課税など5項目)を発表

国務院弁公庁通知(2013年)2月16日 中古住宅売却時の差額に20%の個人所得税課税の明確化(これまでは転売時総額の1-3%との選択制)
このうち20%課税が新たな追加項目で政策内容が予想より厳しい評価されたとされる。
3月末 北京 上海など4直轄市 計画単列市省都で住宅価格抑制の目標と具体策の交付始まる(具体策は複数購入の制限や住宅ローン利用への規制など 20%課税の厳格適用されるか運用姿勢に疑問も)

2013年3月の全国人民代表大会(3月5日から17日) 2013年の経済成長目標を7.5% 2012年と同じ数値に据え置いた。
持続的安定成長 13年の目標値をあえて7.5%と低めに設定(逆に2020年までの所得倍増には7%成長は必要)
物価上昇目標値は2012年4%(2011年より抑制) 2013年3.5%
マネーサプライ増加率目標引き下げ 2012年14%から2013年13%増へ
1-3月 経済成長率鈍化にも関わらず資金供給量の伸びは2012年(14%)により高かった
5月15.8% 社会融資規模1兆1900億元
6月前年同月比14.0% 社会融資規模1兆400億元
銀行を経由しないシャドーバンキング抑制のため 資金供給を当局は絞っている。

財政赤字 対GDP比率は2012年1.5%(1.6%)(2011年より抑制)から2013年2%に引き上げ
2013年1-3月のGDP 前年同期比実質7.7%増(外需1.1%)
2013年4-6月のGDP 実質7.5%増(3.4%消費 4.1%投資 外需0.1% 年間目標は7.5%)
2012年10-12月期の7.9%から減速(半面では2年ぶりに前の期を上回る)
2012年7-9月期は7.4%だった。

しかし公表数値で見る限り政権の経済政策には安定感がある
一般に中国の引き締め政策の転換が、中国経済の成長を減速させ、さらに世界経済の混乱に
連なることが心配されているが、公表された数値によれば、中国経済の各種指標は比較的安定している。
 この間、4月にはH7N9型鳥インフル拡大 鶏肉敬遠 KFC大幅減収があり、また
5月31日 省エネルギー家電の購入補助打ち切り(2007年末以降の家電販売支援策の終了)があり、
これは大手家電は、補助金が弱小企業の温存 供給過剰を生むと主張し 打ち切りを提言していた
ものだが、終了すれば家電メーカーには一般的にはマイナスの影響が心配された。
 しかしその割には各種の指標は「意外に」安定している。
 こうした側面から軟着陸は可能との見方もある。一部の日本の報道がやや過度に報道している可能性はある。
 そうした数値をまた疑い出せば確かに疑えるが、冷静になる必要もあるだろう。

中国物流購入連合会6月1日発表
製造業購買担当者景気指数
PMI50.8(8ケ月連続で50を上回る)
新規受注指数は51.8(4月から0.1ポイントの小幅改善)
HSBC6月3日発表
中国製造業購買担当者景気指数5月分 確報値49.2(5月23日発表の速報値49.6から低下) 50を下回り昨年9月以来の低水準
・・・・調査対象に中小企業や輸出産業が比較的多い
6月確報値48.2
7月確報値47.7と低下 8月速報値50.1(8月22日)と改善
中国汽車工業会6月9日発表
主要小売り100社の販売額伸び率(中華全国商業情報センター)
2013年1-6月 10.7%(2012年後半と同程度)
ネット通販が急拡大
2013年1-6月の流通総額 8798億元(中国電子商務研究センター) 前年同期比80%増

ネット金融も拡大 開示不十分な投資商品販売 投資先の情報開示不十分 アリババの余額宝など

            2013年6月中旬発売開始 利回り4% 天弘基金の口座に移して運用
            2週間で66億元集める ・・・・新たな影の銀行か
            ネット上で第三者に年率15-20%に貸し出すP2P(ピアツーピア) も拡大
            2012年末で200社100億元超 1000社近くが300億元集めているとも
2012年GDP 通期実績7.8%(8%割れ) 2012年10月12月期 実質年率7.9%増
2012年2013年 実質成長率は7%台とみられる
中国国家統計局6月9日発表
工業生産(5月)前年同月比9.2%増(4月は9.3% 3月は8.9%)
1日当たり発電量4.1%増(4月は6.2%)
卸売物価指数は-2.9%(4月は-2.6% 3月は-1.9%)
社会消費品小売総額12.9%増(4月は12.8%増 3月の12.6%)・・・・中国政府の年間目標は14.5%
消費者物価指数2.1%上昇(4月の2.4% 3月の2.1%)
このように当面の数値は安定しているが、中長期の不安はなお解消されていない。
 2013年6月の輸出額前年同月比3.1%減 マイナスは17ケ月ぶり

2013年4-6月の実質GDPの伸び率前年同期比7.5%

生産年齢人口の減少 など各種の成長制約要因の表面化が懸念される

・高齢化に伴い 労働力の不足 賃金上昇などが成長の重荷となるリスク
・環境やエネルギー消費が成長の制約となるリスク
・技術革新の遅れが生産性上昇を遅らせるリスク

2010年に日本を抜いたとはいえ一人当たりでは5400ドル 米日の9分の1
都市と農村の所得格差は3倍強

米国主導の環太平洋経済連携協定交渉 11け国参加(世界GDPの40%近い)に強い警戒感
1979年に改革開放政策に切り替えたものの 知財保護で遅れていることが 制約との見方。 
これまで中国は外国企業の技術のコピーで急速に発展(知財権の保護が低い・・・進出企業の悩みの種)
8年前は8位 2年前2011年に4位 2012年に2位)
フォロワーの利益を享受。模倣品取締は不十分。
模倣品取締は地方経済に悪影響 
知財保護政策(知財を評価するシステム)がなければ国内でも 本当の意味で技術力を育てることは
できない。
なお強い金融規制
国有銀行は金利規制のもとで多額の利ザヤ稼ぐ 定期預金年3%前後 貸出金利6% 利ザヤは3%
国有銀行は国有企業(株式の大半を政府が保有)に融資。これがバブルにつながっているとの批判もある。
2004年10月貸出金利上限規制撤廃(預金金利下限も事実上撤廃)
2013年7月 (19日発表20日実施)貸出金利下限(これまでは基準金利の0.7倍)撤廃
現行基準金利 貸出6% 預金3%(2012年6月と7月に貸出金利下限を既に引下げ)
今後の焦点 預金金利上限の撤廃
      預金保険制度の整備(経営の悪化した銀行の破たんを前提にする)
      社債市場の整備
      個人金融商品の多様化

さまざま格差の存在
人口は13億人(健康保険の加入者は2億8000万人で保険制度は不完全)。
人口比は都市と農村で半半(都市化率は5割超え)
実際の人口は都市が3分の1農村になお3分の2。
農村の平均収入は都市の3分之1など都市と農村の格差は大きい。
格差係数ジニ係数は2008年の0.491から2012年の0.474に改善 依然0.4以上の水準にある(危険水域の0.5に近い)
(西南財経大学の調査では2010年に0.61となった)
2000年の0.41を最後に政府は発表とりやめ
税制が資産保有層に有利 相続税や贈与税がない 賃金所得に高い累進所得税 そのほかの税は低い定率税
→ 貧富格差拡大は先富論(小平1983/01)の破たんとの指摘あり
こうした社会的格差が社会の不安定さ、政権基盤の弱体化につながるおそれがある。

人口高齢化の進展 賃金の上昇
2013年1月18日 中国国家統計局は2012年末の15歳59歳の労働力人口が前年比0.9%減と初めて減少したことを強調した。
従来は15歳64歳を労働力人口としていたのを変更
出稼ぎ農民工縮小・・・人手不足 内需の雇用拡大 若者の工場労働敬遠
賃金の上昇は急ピッチ 広東省で最低賃金19%引き上げ(2013年2月決定 実施は5月から
広州市で月1550元 10年前の3倍 2003年では510元だった。これまでの最高はシンセン市の1500元。)
 日本企業が中国よりも関心を寄せる国(ジェトロ 今後1-2年の事業展開拡大を検討する日系企業比率)
 2009年 平均51.3 中国61.9 インド74.9 バングラデシュ79.2
 2012年 平均57.8 中国52.3 タイ64.2 インド83.6 インドネシア77.3 ベトナム65.9 バングラデシュ82.4 ミヤンマー75
調査対象:アジアに進出した企業
 中国事業の問題:人件費の高騰(10年前は10倍以上 現在は4倍程度 国内の自動化ラインで対応できる 中国市場向けは
   現地生産の維持が合理的) 
 中国政府は駐在員など外国人に社会保険加入を義務付ける法令を施行。一部で保険料徴収始まる。・・・駐在員削減につながる。
こうした要因は対中国投資の減速、中国の経済成長の減速につながる可能性は高い。
 それだけに 生産性の改善を生み出す 方策の強化が求められる。

撤退(コスト増 売上減少などによる)の場合

 省あるいは市の商無務局の法人登録の取り消し 納税義務の抹消 承認。

 方針決定から完了まで手続きを踏み時間をかけること 地元政府に根回し 取引先従業員への通知 従業員に補償金支給 商務局に批准証書取り消し申請 取り消し許可後 税務登記証の取り消し申請 取り消し(清算完了)

 従業員 経済補償金 勤続1年で1ケ月 5年で5ケ月

 和解金 1年ごとに3ケ月割増 1年で4ケ月 5年で20ケ月(5+3×5)+0.3=20.3

成長の制約になりつつある環境問題 大気汚染 飛行機の遅れ 高速道路の閉鎖 観光客の中国離れ 農業への影響 なお中国では太陽光発電が急拡大しているが大気汚染はマイナスに働くのではないか

appeared in Mar.18, 2014

corrected in Jan.18, 2016 

地域研究