綿内克幸FSP BLOG

シンガー/ソングライター綿内日記

青春の「There She Goes」

2006-02-12 00:15:32 | COLUMN
 名曲「There She Goes」とたった1枚のアルバムを残して消えてしまったThe La's。
 最近、ブログで知り合った同好の士(女性)から、貴重な音源、映像を贈っていただき、ようやく観ることが出来た彼らの本当の姿に、ゴマせんべいをかじりながら夜な夜なむせび泣いている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 初期ストーンズやキンクス調のゴツゴツした60年代サウンドに、ネオアコの甘酸っぱさやモダンなギターバンドのシャープさが混ざり合って、それはそれは素晴らしいアルバムだった。けれど、ファンがみな知っているように、抜群の声を持った主要人物リー・メイヴァ-スは恐ろしいトンカチ頭の持ち主でもあり、プロフェッショナル過ぎたスティーヴ・リリーホワイト(先日もグラミーを受賞)のプロデュースが気に入らず、その辺りの軋轢の中で戦意喪失してしまったのだ。もっと戦ってほしかったけど。

 初期U2の作品は、彼らの実力以上のものをリリーホワイトが作り上げて、彼ら自身が作品に実力が追いつくように頑張ったという感じがする。

 その点、The La'sはすでに完成されていて、世界観に手を加えて欲しくなかったのかな。でもあのプロデュース・ワークがあったから、一瞬でも世界で輝くことが出来たのだから、バンドとしては複雑だろう。これは永遠のテーマだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 このアルバムを聴き狂っていた90~91年頃、相方小池雄治は作曲家の仕事を始め、webbは自然休業になり、僕は必然的にソロ活動を始めることになった。独りになったものの、いざやってみると勝手が違って、最初は情熱の空回り状態だった。
 日中も雨戸を閉め切り、時間の感覚もない、金もない、家賃も払えない、友人の電話も出ない、ヒゲも剃らない、出てった女も取り戻せない・・・そんな世捨て人状態でひたすら創作に励んでいた。CDを出せる保障もなく、ギリギリの毎日を送っていた。世界に背を向けながら、「There She Goes」のような曲を書いて世に出したい一心で。

 そんな曲が書けたかはわからないけれど、その頃の自分がギラギラしていたことは確かだろう。今も時折自分に問い掛ける。あのギラギラを失っていないか、情熱は失せていないかと。気をつけなくちゃね!
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする