Fly to the BLUE

2006.7.13 更新終了

過去の旅

2005-11-30 | 写真
このブログには僕の旅を紹介するというテーマがある。
その旅は現在進行形の形で書いていくとは限らない。

僕の過去の旅を紹介したいと思う。
幸いなことに今年の旅日記が残っている。
そして、デジカメで撮った写真も残っている。
それを編集して書いていこう。

素材が旅日記なので、よくわからんことも書いてますな。
というか、文章自体が稚拙だわ。
旅の初心者なもので、途中でかなりアホな行動を取ったりしてるし。
自分でも、見返してみて、ちょっと幼いと感じます。
写真も何が撮りたいのかよくわからん。
この原爆ドームの写真が一番よく取れてた。

そんな感じですが、結構楽しめるのではないかと思います。
3月の旅です。

旅人だから

2005-11-20 | 
つづら岩から1時間ほどで下山。
下りは普通のスニーカーだと滑って危ないさね。
時刻が午後3時ともなると、先ほどまで温かさもなくなり少し肌寒いくらい。

さて、そろそろ帰ることを考えなくては。
帰りのルートとか、何か食べて帰ろうかとか。
早めに山間部を離れないと、昨日の二の舞になっていかんなとか。

宿に戻って荷物をまとめつつ、岩瀬さんとの北海道の思い出話なんかしてくつろいでいると、木村さんは鍋を台所から持ち出してきた。
またまた食事を出してくれるのだ。
残っていたけんちん汁とシジミ汁、その中に「うどん」を入れて頂く。
至れり尽くせりだよ。
トータルで考えると、一泊五食飲み放題3850円!となった。

中学生の父・菱沼さんは眠気を切に訴えている。
昨日一緒に遅くまで話してたのが響いてしまっているのだ。
これから、車で横須賀まで帰るというので辛そうだ。
「横須賀まで代わりに運転してかない?」
と交渉してくる。
「原付があるから…。う~ん、一万円なら!(笑)」
結局、菱沼さんは近くの温泉で休んでいくようだ。

本格的に冬に入るとひのはらユースは休館になる。
宿泊できるのは来週までだそうだ。
休館中は、木村さん自身が旅に出て、どこぞのユースをめぐるのだ。
裏山に四匹の野良猫たちが遊んでいるのが小さく見えた。
なんというか、自由だね。
野良猫が自由気ままに宿に出入りしているのって、改めて考るとすごいな。
いいものだよな~。
決めた!
また来年の春、ひのはらユースを訪ねよう。
新緑を見に来よう。
そして、木村さんとトラたちに会いに来よう。

今回の旅で出会い、お世話をして頂いた人たち。
彼らとはきっと、また偶然どこかで出会うような気がする。
いや、偶然というよりも、必然的に出会うのだろう。
僕が旅人を続け、彼らが旅人を続ける限り。

僕は防寒具を着て、かばんを持つ。
「大将!もう出発しますんで、最後に写真一枚いいですか?」
「いいけど、トラも一緒じゃなくていいのかい?」
台所で洗い物をしている途中の木村さんをカメラに収める。
僕は木村さんのサービス精神を大いに見習いたい。

この宿を出発する時の言葉は決まっているのだ。
玄関の扉を開けて僕は言った。
「いってきます!」
「いってらっしゃい!」

つづら岩

2005-11-20 | 
宿に戻るとすぐに次のイベントが始まる。
ひのはら散歩会である。
ゆっくりしている暇はまるでない。

山を歩いて頂上のつづら岩まで登るのだ。
宿泊者でなくても、この散歩会だけ参加することも出来るらしい。
少し年上くらいの男性がバイクで宿にやって来た。
管理人の木村さんは弁当としておにぎりを作ってくれる。
大き目のおにぎり2個で100円。
さらにテーブルに転がっているみかんやビスケットなどを適当にもっていけと。
水筒も必要だというが、あいにく持ってきていなかった。
代用として昨日の泡盛の空き瓶に水を入れる。
ちょっと重い。
車に乗って5分、林業用の道路を通って登山口までやって来た。

空は昨日よりもさらに澄み切っていて、日差しが温かくなってきた。
登山で暑くなるだろうということで、Tシャツ一枚でいけそうだ。
アキレス腱を伸ばして準備体操。
これ大事。

序盤は林業用の杉がきれいに並ぶ緩やかな坂道。
途中、3つの滝で一休み。
この滝から流れる水は生活用水としてそのまま使われている。
だから、自由に飲んでよいのだ。
ということで、水筒「泡盛の瓶」に入れておこう。

徐々に坂が急に、段差も大きくなってきておじさま方のペースが下がってくる。
お互いに声をかけて励ますのも、また集団での山登りの味かな。
中学生2人は、まだ山に慣れてないのか、休んでは駆け登り、また休んでは駆け登る。
ある意味元気だね。
そんな中、おそらく一番の健脚は最年長の木村さんであろう。
木村さんは一昔前、腰を悪くしたことがあったそうな。
そのときから、山登りを始めたらしい。
今となっては腰もすっかりよくなり、若者にも劣らない体力がついたのだ。
僕にとって、木村さんは老後の人生の鑑かもしれない。

出発から2時間ほどで、つづら岩の下までやって来た。
この岩はロッククライミングに適しているようで、初心者が練習用としてよく来るらしい。
実際、ロッククライミングをしている集団がいたのだ。
年配の集団のようで、女性も何人かいたのには驚きだった。
しんがりの女性は、初心者のようで大変そう…。
最後まで登れるのかな?
でも、おもしろそう。
僕もちょっとやってみたいかも。

僕達は登山用のルートでつづら岩の頂上まで登った。
そこは、さっきのロッククライミングのゴールでもある。
絶壁の先で腹ばいになり真下を眺める。
こえ~ぞ。
何十メートルも下にさっきまで僕達がいた岩を見上げていた場所が見える。
途中にはさっきのロッククライマーがいた。
がんばれ~。
遠くの山々を見渡す。
山と山が幾重にも折り重っているんだな。
近くの山は紅葉の中に杉の林の緑色がのる。
遠くの山は空と同じ水色なんだ。

そりゃ、僕の背中の旅の文字も水色に光るさ。

木村さんの握ったおにぎりを食べ、みかんを食べ、泡盛の瓶の中の湧き水を飲み、チョコレートももらった。
このときつづら岩の上で、季節と天気と気温と時間がまさに絶妙ともいえるタイミングでそろったのだ。
これが坊さんの言っていた天命か。
景色は極上だし、お日様はぬくいし、微風が涼しいし、腹は満たされている。
心地よすぎて、岩の上で居眠りでもしたい気分なのだ。

神戸岩

2005-11-20 | 
午前8時半、宿に帰ると朝食の準備が出来ていた。
昨日腹いっぱいに食べ、アルコールも入っていた体が座禅でリフレッシュされたのか、朝だというのに食欲がみなぎる。
朝食は2種の混ぜごはん、特にむかごごはんは初めて食べた。
サケのホイル焼きにシジミがたっぷりの味噌汁。
そして昨日の夜たっぷり時間をかけて煮込んでいたキャベツ、などなど。
昨日の残りのけんちん汁のあるぞ。
食前にやはり自家製の果実酒で朝から乾杯。
パワーがみなぎるぜ。

食後は、神戸岩(かのといわ)に行くというので僕もついて行った。
例によって木村さんの車で走ること5分。
行く途中、何台ものバイクが同じ方へ向かっていく。
このあたりはツーリングスポットなんだな。

車を降りて、大きな岩山と岩山の間にあるか細い通路を行く。
岩壁には鎖が張っていて落ちないようにつかまれるように出来ている。
いかにも冒険している感じがしてウキウキである。
通路の下はきれいな川が流れていて、夏などは泳ぐことが出来そうだ。

通路を歩ききって開けた場所に出る。
そして、大きな岩山を振り返る。
「これが神戸岩だよ」と木村さん。
ああ、僕達は神戸岩の下を通ってきたのか。
ほぼ垂直にそびえたつ神戸岩を悠然と眺め観賞した。

座禅

2005-11-20 | 
軽い二日酔いで朝6時に起床。
めざましに、散歩がてら近くの川へ降りてみる。
山を流れる川の水ってキレイなんだよね。

宿に帰って軽くラジオ体操でリフレッシュ。
そして、ひのはらユースホステル名物、早朝座禅会!

車で10分ほどの吉祥寺で座禅を組むのだ。
ちなみに、吉祥寺の総本山は鎌倉の建長寺。
人数が多いので木村さんが寺まで2回に分けて車で送ってくれた。
お寺の周りの紅葉がいい色になっている。

僕にとって座禅は初めての体験である。
それでも、住職が丁寧に座禅の組み方や呼吸法について教えてくれるので安心だ。
座禅は目を閉じないで半目で行うとは意外であった。
目を閉じると、眠気や妄想が生じるためであるらしい。
また、坊さんが肩を平たい棒でピシーッとやるやつは警打という。
警打は本来、座禅している人の眠気を覚ますために自己申告制でやるものなんだって。
むやみやたらと打たれるものではないようだ。
それでも、せっかくなのでサービスで打ってもらった。

座禅を組んだ後、住職のおもしろいお説教を聞く。
仏教雑誌から抜粋した、とある仏教学者の人生訓のお話。

要約すると、
受験勉強時代
「精神一到、何事か成らざらん」
「為せば成る。為さねば成らぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり」
海軍時代
「人間万事塞翁が馬」
「吉凶禍福はあざなえる縄の如し」
そして、宗教学研究時代、人間の力ではどうにもならない事の成り行きが世界を支配しているという教えを見出す。
「人事を尽くして天命を待つ」
さらに清沢満之に学ぶ。
「我は寧ろ之を、天命に安んじて人事を尽くす、と云はまく欲す」
「如来の威神力にまかせて、無責任なり」
すなわち、八十半ばに至って無責任主義という人生訓に至るのである。

住職は禅宗と真言宗の教えから葬式の違いまで、実に興味をそそるような話をしてくれた。
この住職、本当に話が上手なのだ。
ほとんど仏教の知識も興味もなかったが、目からうろこが落ちた。
なんとおもしろい仏教の世界が日本文化の根底に根付いているのか。

最後にお茶とお菓子を頂いて、木村さんの迎えを待つ。
住職との別れ際に、感謝の意を込めて写真を1枚撮らせてもらった。
僕はあまり人物の写真は撮らないのだが、それでも、どうしても撮りたい人に出会うことがたまにある。