あちこちでムラサキツユクサが咲き始めている。
新大陸原産でヨーロッパに伝わり、そこから世界各地に広まったという。唐辛子の伝播の歴史のように、植物の伝播の歴史はそれぞれの種ごとに固有の物語があって、掘り下げたら面白いのだろう。日本から伝えられた紫陽花の品種に、シーボルトが愛人だった遊女のお滝さんの名前をつけてotakusaとしたように。
かつてはどこでも見られた種だが、今では園芸種が増えて、白やピンクの花もあるという。いちどみてみたい。
(2019-06 川崎市 路傍)
ムラサキツユクサ属(むらさきつゆくさぞく、学名:Tradescantia)とはツユクサ科の属の1つで、75種が認められる。別名はトラデスカンティア属。多年生の草本で、原産はカナダ南部からアルゼンチン北部にかけての新大陸で、西インド諸島にも分布する。17世紀にヨーロッパに園芸植物として伝わり、現在では世界各地で見ることができ、野生化していることもある。
この属は這うものもあるが、立ち上がって30-60cmになることもある。多くは花を朝に咲かせ昼にしおれるが、天候の影響も受ける。
細胞遺伝学的には、染色体の数と構造の進化の点で関心が持たれている。経済的には、園芸植物の他、雑草として農業の邪魔になる。また、環境中の変異原に対する指標生物として用いられることもある。
特徴
多年生草本で、這うものや立ち上がるものがあり、立ち上がるものは30-60cmに達する。葉は長く、肉質で、剣状から披針形、長さ3-45cmと種によって幅がある。花は青が多いが、白、ピンク、紫もあり、花弁は3枚、葯は黄色く6本あるが、稀に奇形をつくる。汁は粘性があり、透明。