ダーウィンが注目したマダガスカルのラン「アングレカム・セスキペダレ」。生物学の教科書にも出てくる蘭らしい。白い六芒星形の花がひときわ目立つ。六芒星形は、星型多角形の一種で、六本の線分が交差する図形で、この図形はイスラエルの国旗にもなっている。セスキペダレは「花弁が六枚の」と、言い換えたものだ。たんに花弁が六枚あるだけでなく、立体的になっているのが妙だ。アングレカムは、 着生ランを意味する マレー語「angurek」 が語源だという。
(2020-01 東京都 神代植物公園)
アングレカム・セスキペダレ (学名: Angraecum sesquipedale)はアングレカム属に属するマダガスカル固有の着生ランである。1798年に発見され、1822年の文献で報告された。植物と送粉者の共進化に関するダーウィンとウォレスの予測が行われた植物種である。
原産地では6月から11月に伸びてくる茎の先に、光沢がある六芒星形の花ができる。ヨーロッパでは、開花期は12月から1月にかけてである。花の形と時期がヨーロッパでの通称の由来になっている。"Comet orchid"(星型の蘭)は花の形から来ており、"Christmas orchid"(クリスマスの蘭)は開花時期に由来している。花は緑色のまま咲き始め、次第に白くなり、最終的に薄緑色になる。花の緑色の濃さは株によって異なっている。花の特徴は長い緑の距を持つことであり、距の長さは20-35cmにおよぶ。距の奥には少量の花蜜があり、フルクトース・スクロース・グルコース・ラフィノースが含まれている。花は夜間のみに非常に強い芳香を放つ。通常、株あたり1花から4花を同時につける。