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天皇制の存続価値、とは(Oct 18, 2016)

2016-10-18 21:10:11 | 時事ネタ(国内)
少し前のことになるが、現天皇が「そろそろ退位したい」云々という発言をした。
これを受けて、日本政府は「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」なるものを設置し、その初会合が昨日行われた模様。
・有識者会議、生前退位の論議スタート=制度化など8項目検討(2016年10月17日 自自時事ドットコム)

この際だから、天皇制を続けるか否かも議論したほうがいい気がするのは俺だけ?
とりあえず、2016年10月17日分時事ドットコム『有識者会議~』を全文(略)

---- 以下引用 ----
生前退位の意向をにじませた天皇陛下のお気持ち表明を受け、政府が設置した「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」は17日夕、首相官邸で初会合を開いた。
生前退位は現行制度で想定されていないため、会議ではその是非や法制化など8項目を軸に検討を進めることを決めた。

初会合には安倍 晋三首相が出席し、「陛下が82歳とご高齢であることも踏まえ、どのようなことができるか、専門的な知見を有する方々の意見も伺いながら静かに議論を進めていきたい」と表明。「予断を持つことなく十分審議し、国民のさまざまな意見を踏まえて提言を取りまとめてほしい」と要請した。

 有識者会議は首相の諮問機関で、メンバーは6人。
初会合では、今井 敬経団連名誉会長を座長に、御厨 貴東大名誉教授を座長代理にそれぞれ選任。
(1)天皇の役割(2)天皇の公務(3)公務負担軽減(4)摂政の設置(5)国事行為の委任(6)退位の是非(7)退位の制度化(8)退位後の地位や活動-について、憲法や天皇制の専門家から意見聴取することを決定した。
今井氏はこの後の記者会見で、女性・女系天皇や女性宮家創設は検討しないと明らかにした。

 出席者からは席上、「スピード感を持って検討を進めることが重要だ」などの意見が出された。
(2016/10/17-22:12)
---- 引用以上 ----

正直な所、有識者会議が政府の見解に一定の「裏付け」を示すために行われてる感は否めないが・・・。

天皇の地位や制度のうち、退位に関しては本来皇室典範で定められるべきものだったらしい。
それがこれまで一切規定されてなかったのには、一応それなりの理由がある模様。
この辺りは、今回の会議で配布された資料からも伺える。
・憲法における天皇に関する主な国会答弁等(PDF / 355KB)(2016年10月17日 kantei.go.jp;.pdfファイル)

以下、2016年10月17日分kantei.co.jp『憲法における~』からP.6「皇室典範で退位に関する規定を設けなかった理由」の一部を(略)

---- 以下引用 ----
(中略)
【国務大臣 金森 德次郎君(昭和 21 年 12 月5日 衆・本会議)】
…私どもの今まで考えておりました立場は、天皇は国の象徴であるということは、憲法の認めておる所でありまするし、その根本におきまして、われわれ日本国民は、天皇を精神的結合の中心として、確乎たる何千年の信念をもつておるということを申しました。
従つて甚だ行き過ぎる言葉であるかも知れませんけれども、天皇の御在位につきまして、国民はその万世一系の系統の或る時期をお充たしになるということに、絶対の心のつながりをもつておるわけであります。
従つて天皇御一人のお考えによりまして、その御位をお動きになるということは、恐らくはこの国民の信念と結びつけまして、調和せざる点があるのではないかと、かような所に重点をおいたわけであります。
人間天皇としての御立場を考えますと、御譲位の途があることが、一面において理由なしとはいたしませんけれども、この国民信念の帰着する所を基本として考えますると、たとえ御譲位ということに、過去にありましたような諸種の弊害は毫末もないとはいたしましても、天皇に私なし、すべてが公事であるという所に重点をおきまして、御譲位の規定は、すなわち御退位の規定は、今般の典範においてこれを予期しなかつた次第でございます。
(中略)

【宮内庁次長 宮尾 盤君(平成4年4月7日 参・内閣委員会)】
…現在の皇室典範制定当時いろいろな考え方があったようでございますけれども、その制定当時、退位を認めない方がいいではないか、こういうことで、制度づくりをしたときの考え方といたしましては三つほど大きな理由があるわけでございます。
一つは、退位ということを認めますと、これは日本の歴史上いろいろなことがあったわけでございますが、例えば上皇とか法皇というような存在が出てまいりましていろいろな弊害を生ずるおそれがあるということが第一点。
それから第二点目は、必ずしも天皇の自由意思に基づかない退位の強制というようなことが場合によったらあり得る可能性があるということ。
それから第三点目は、天皇が恣意的に退位をなさるというのも、象徴たる天皇、現在の象徴天皇、こういう立場から考えまして、そういう恣意的な退位というものはいかがなものであろうかということが考えられるということ、これが第三番目の点。
こういったことなどが挙げられておりまして、天皇の地位を安定させることが望ましいという見地から、退位の制度は認めないということにされたというふうに承知をいたしております。
(以下略)
---- 引用以上 ----

確かに、日本の歴史では、天皇の地位を巡って多くの血が流れたわけだが・・・。
それを避けるために、天皇の地位を辞めたくても辞められないものにしたのは、天皇の意思を無視してる感は否めない。

そもそも、天皇というか皇室の人達は、基本的人権の適用が制限されてるとかナントカ。
以下、2016年10月17日分kantei.co.jp『憲法における~』からP.2「象徴としての地位と基本的人権」を(略)

---- 以下引用 ----
(中略)
【内閣法制次長 高辻 正巳君(昭和 38 年3月 29 日 衆・内閣委員会)】
一般的に申しまして、皇室に所属される方々が、日本国憲法の基本的人権の享受をされることになるのかならないのかと申しますれば、むろん憲法上の基本的人権の保障は受けておられるというふうに考えるのが正しいと思います。
ただし、御承知の通りに、天皇は日本国の象徴であられる地位にありますので、その点でやはり実定法上も、そのゆえにいろいろ一般の国民と違ったある種の地位におられます。
やはり憲法が天皇を国の象徴としていることからいって、その法理的な範囲における制限を受けられるのは、これは憲法上からも認められることがあると思います…。

【内閣法制局長官 吉國 一郎君(昭和 50 年 11 月 20 日 参・内閣委員会)】
日本国憲法で基本的人権を保障しておりますのは、国民ということになっております
が、この国民という中には、基本的人権の規定の性質からいたしまして天皇あるいは皇后その他の皇族も含まれておるということは多数の学説であろうと思いますが、ただ、
天皇はもちろん象徴としての地位を持っておられますし、皇后は天皇の配偶であるとい
う地位、またその他の皇族も象徴たる天皇に連なる家族であるという地位を持っておら
れます関係からいって、基本的人権の享有についておのずからそこに制限があることは、いま矢田部委員[引用者注:矢田部 理参議院議員(当時)]の言われるとおりであろうと思います。
たとえば、表現の自由あるいは言論の自由についても、そこに当然、天皇に限って申し上げるならば、天皇が日本国の象徴であり日本国民統合の象徴である地位を持っておられるということ、また憲法第4条の国事に関する行為のみを行って国政に関する権能を有しないという規定の趣旨からいって、天皇の表現なり言論というものについては、当然制約があることはおっしゃるとおりでございます。
また、重大な政治的な論争のポイントになっているような事項について、それが是であるか非であるかということを明らかにするような行為をされるべきではないという点もそのとおりであろうと思います。
(以下略)
---- 引用以上 ----

自分達の意思や権利に制限を課される象徴、か。
果たして、多くの人達の意思や権利を無視したり制限までして維持する価値が天皇制にあるんだろうか?

残念ながら、今回の有識者会議に参加した人達はこうした疑問を会議の場で述べるとは到底思えない。
かくて、天皇制を守るために多くの人達が犠牲になり続ける・・・。


おまけ:↓昭和天皇の戦争責任に関して(放送禁止用語)な主張をしてる記事(厳密には右京 雄一氏による主張の転載モノ)。
・「天皇陛下の戦争責任」などとばかげた意見の方へ(2014/01/20)(2014年1月20日 日本のために)

昭和天皇の戦争責任を追求しなかった(できなかった)のは、戦後日本にとって最大の失敗だったと思った2016年の秋(意味不明)。


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