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天野事務局長(仮)、まずは日本で核査察を

2009-07-03 19:51:21 | 時事ネタ(海外)
色々ゴタゴタがあった国際原子力機関(IAEA)の事務局長選挙投票(6回目)で、天野 之弥(ゆきや)氏が当選を果たしたのだが・・・。
・「核の番人」IAEA事務局長に天野氏 日本人で初(2009年7月3日 asahi.com)

天野氏の当選について日本政府の方々は喜んでいた模様。
ま、それなりの理由があってのことだが・・・。
以下、asahi.com の記事から、最後の2段落を引用しておく。

---- 以下引用 ----
(中略)
現在、主要な国際機関の日本人トップでは、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の松浦晃一郎事務局長が今年中に退任予定。
このままだと国際エネルギー機関(IEA)の田中伸男事務局長だけとなり、日本政府をあげて天野氏当選に向けた選挙運動に取り組んできた。

中曽根外相は2日深夜、「国際社会の幅広い支持を得ることができたことを大変喜ばしく思う」との談話を発表した。
---- 引用以上 ----

そりゃ、日本政府の権威を誇示するだけの人材が国際機関にいれば大助かりだろうし。
中曽根外相がそんな発言をしたくなるのも無理は無い

だが、天野氏が当選した裏では、中曽根外相の述べたこととは180度違う事態が起きていた。
つーのも、天野氏の獲得した票は、厳密な意味で投票に参加した国の 3分の2を獲得できなかったからだ。
・IAEA:天野体制、多難な船出 1票差決着(2009年7月2日 毎日jp)

さらに、天野氏が事務局長に就任した後には、色々課題が山積みだとか。
以下、毎日jp の記事を(長くなるけど)全文引用しておく。

---- 以下引用 ----
【ウィーン中尾卓司】
国際原子力機関(IAEA)の事務局長選で2日、日本の天野之弥(ゆきや)ウィーン国際機関代表部大使(62)が当選したことに対し、疑問をはさむ声がくすぶっている。
天野氏を「先進国の代表」とみなして反発する途上国もあるとみられ、天野体制は基盤が脆弱(ぜいじゃく)なままの船出を強いられる。
天野氏は同日、「あらゆる国から協力を求める」とさっそく加盟国の結束を呼び掛けた。

 2日の出直し選挙では、当選に理事国(35カ国)の3分の2(24票)以上の支持が本来必要だったが、天野氏は23票しか取れなかった。
6回目の投票となる天野氏への信任投票で、棄権票が1票出て、当選ラインが下がり、ようやく決着した。

 だが、欧州の外交官によると、「結果が公表された瞬間、多くは浮かない表情だった」という。
微妙な決定に「受け入れがたい」と語る外交官もいる。
そのため、3日に予定される理事会の任命手続きが無事終了するかどうかにもなお懸念が残っている。

 選挙は秘密投票であるため、選出の途中経過は明らかにされず、棄権1票を投じた国名は不明だが、「議長国アルジェリアの判断では」(外交筋)との見方も浮上している。
立場の異なる国々が一致して推せる候補者が現れないため、「長引く選出プロセスを早く終結させたかったのだろう」との観測も飛び交っている。

 IAEAが直面する難題は、イランや北朝鮮の核問題だけではない。
原発新興国に対し、原発燃料の安定供給を目指す「燃料供給保証」の論議では、燃料が一括管理されることで、発展途上国の自由な利用が制限されるのではないかとの警戒感がある。
核技術をめぐる「持つ国と持たない国」の格差は深刻だ。
天野氏は2日、報道陣に「南も北も西にも東にも」立場の違いを超えた連携を求めた。

 ロイター通信によると、英国際戦略研究所のマーク・フィッツパトリック上級研究員は「核を持つ国と持たない国の分断は深刻だ。両者の違いを橋渡しできる指導者の存在が重要だ」と語り、新事務局長に「南北」の溝を埋める重要な役割があると指摘している。

---- 引用以上 ----

「先進国の代表」ね・・・。
だって、日本は原子力発電所を何十個も持ってるし米国の「核の傘」の恩恵も受けてる以上、そうした見方をされるのは至極当然の話。
ってなことを踏まえると、天野氏が IAEA の事務局長に就任した暁には、まず日本で核査察をやるべきだと思う。
この核査察で「シロ」と出ればそれで良し、「クロ」なら日本政府自身に核管理体制の強化を求めるのみ。
それでもって、天野氏の立場をある程度真ん中に寄せることを期待してるんだけどね・・・。

その次は、核兵器を保有していることを世界が認めてる国への核査察。
米とロシアの核兵器の多さは異常だしな。

それが終われば、核兵器保有が黙認されてる国での大規模な査察。
相手の出方次第では、IAEA の査察官がヤバい目に遭うかもしれないが・・・。


ってな事をやってから、初めて原発とかの話に進んで欲しいのが本音だが、これを全部実行したらどう考えても天野氏の事務局長任期中に間に合いそうに無い罠。
でも、日本での核査察は一番最初にやって欲しいところだ。
いや、本当の話。


なんて話の裏で、天下の 3K新聞が日米間で結んでいた核密約(核兵器の日本持ち込みに関する裏約束)について、「わけのわからないもの」と言いたくなるような主張をカマしてきた。
・【主張】核「密約」論議 問うべきは核の傘の信頼(2009年7月3日 MSN産経ニュース)

この件で問われてることは、情報をろくに公開しない日本政府の態度なのに、3Kはそれについては一切不問として論議を不毛とみなしている。
その上、米国の「核の傘」について盲目的な信頼も見せていた。
以下、2009年7月3日 MSN産経ニュースの『核「密約」論議~』から、最後の4段落を引用しておく。

---- 以下引用 ----
(中略)
現在の北東アジア情勢は、北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威に加えて、核軍拡を続ける中国の存在も見逃せない。
日本や韓国にとって、21世紀はむしろ冷戦時代よりも危険な状況に近づいているともいえる。

 先の米韓首脳会談では、韓国側が「核の傘による安全の保障」の再確認を米国に求めて、首脳間で文書化された。
これからも明らかなように、同盟国に対する米国の「核の傘」の信頼度が改めて問われる時代に入っているのだ。

 日本においても、敵基地攻撃能力や核保有の是非を含めた独自の抑止態勢のあり方とともに、<SPNA class="bld">日米同盟を通じた核抑止がどこまで機能しているかをきちんと論議する必要が高まっている。

 そうした論議を政治が怠っては国家と国民の安全は守れない。
国会の場でも、過去を蒸し返すよりも現代の緊急課題に即した抑止論議を最優先してもらいたい。

---- 引用以上 ----

これが日本語圏外でほとんど広まってないのが救いだわな。


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2 コメント

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核査察 (ああ)
2010-09-27 16:21:49
IAEAの核査察は(すでに)日本が最も多く受けていますよ
返信する
ああ さんへ (flagburner)
2010-09-28 20:24:30
コメントありがとうございます。

日本が核査察を受けてる回数が多いのは、原子力発電所の安全性確認が多いことが理由らしいですが・・・。
核物質を日本国内にある結構な数の施設で扱ってる以上、核物質拡散防止の体制とかの査察もやって欲しいところです。
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