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「アラブの春」ってコプト教徒の人達にとってどういう意味があったんだろうか?

2011-10-11 20:01:08 | 時事ネタ(海外)
一昨日、エジプトはカイロで、エジプト軍が抗議デモを行っていたコプト教徒(キリスト教の1派)の方々を殺害する、という事件が起きたのだが・・・。
・コプト教徒ら20人超死亡=教会襲撃に抗議、治安部隊と衝突-エジプト(2011年10月10日 時事ドットコム)
・コプト教徒と治安部隊衝突、25人死亡…カイロ(2011年10月11日 YOMIURI ONLINE)
・エジプト軍:コプト教徒と衝突、25人死亡(2011年10月11日 毎日jp)

色んな意味で頭が痛くなるこの話。
さしあたっては、2011年10月11日分 YOMIURI ONLINE『コプト教徒と~』を全文(略
(YOMIURI ONLINE のタイトルに悪意を感じたのは俺だけか?)

---- 以下引用 ----
 【カイロ=田尾 茂樹】
エジプトの首都カイロ中心部で9日夜、キリスト教の一派で少数派のコプト教徒のデモ隊と治安部隊が衝突し、保健省によると、25人が死亡、300人以上が負傷した。

 2月のムバラク政権崩壊後では最悪規模の衝突で、死者の大半はコプト教徒とみられる。

 デモは、南部アスワン県で、教会がイスラム過激派とみられる集団に襲撃されたことへの抗議のために行われた。
参加者は、同県知事が襲撃をあおったとして、知事解任も要求していた。

 目撃者によると、デモは当初、数百人規模の平和的なものだったが、参加者の一部が投石を始めたことをきっかけに、治安部隊がデモ隊に発砲。
軍の装甲車にひき殺された者もいたという。
一方、国営テレビはデモ隊が暴徒化して火炎瓶を投げるなどし、治安部隊の3人が死亡したと伝えた。
(2011年10月11日10時23分 読売新聞)
---- 引用以上 ----

以前から、エジプトに住んでるコプト教徒の人達は結構厳しい状況に置かれてたのよね。
それに加え、今年になってエジプトで起きた抗議デモの結果、(皮肉なことに)急進派イスラム系勢力の方々を抑えてきた Hosni Mubarak(Muhannad Hosni Said Mubarak:محمد حسني سيد مبارك) 前エジプト大統領が政権の座から追われて、さらに大変なことに・・・。
実際、抗議デモの盛り上がってる最中も、「Mubarak 後」に相当不安を抱えてたし。
この辺は以下参照(手抜き)
・カイロ行進、盛り上がれない コプト教徒の町・死者の町(2011年2月1日 asahi.com)
・Coptic Christians Worry About Future Without Mubarak(2011年2月1日 online.wsj.com)

そして、Mubarak 政権が崩壊後、コプト教徒の人達を急進派イスラム系勢力が襲撃する事件が起きている。
・イスラム教徒とコプト教徒衝突、10人死亡(2011年5月8日 news24.jp)
・イスラム教徒と乱闘、コプト教会炎上 エジプト(2011年5月8日 asahi.com)

こういう事態を、エジプトでの抗議デモ→Mubarak 政権崩壊を「アラブの春」の一環としてと称賛していた人達はどう思ってるんだろうか?


で、YOMIURI ONLINE が言ってた「教会がイスラム過激派とみられる集団~」ってのは、先月30日に発生した事件のこと。
・Muslim Mob Torches Coptic Church in Egypt – Video Inside(2011年10月1日 cedarnews.net;AINA)

この事件について、例によって(?)地方政府は見事に否定していた。
以下、2011年10月1日 cedarnews.net『Muslim Mob Torches~』から、エジプト人権機構(Egyptian Union of Human rights Organizations)の最高責任者の Naguib Gabriel 氏に人権団体 Al-Kalema の最高責任者である Mamdouh Nakhla 氏、それと Mostafa el Sayed アスワン県知事(?)のコメントを(略

---- 以下引用 ----
(中略)
Dr. Naguib Gabriel, head of the Egyptian Union of Human rights Organizations send an urgent message to field Marchall Tantawi to save the Copts in Egypt.
“The Copts, their lives and their churches are in danger,” he said.

Attorney Mamdouh Nakhla, head of Al-Kalema human rights organization condemned Muslims taking the law in their own hands.
He said “if the Egyptian Government is unable to protect its citizens, then the civilized international society should step in immediately to stop this human tragedy.”

The Media denied the incident.
Mostafa el Sayed, Governor of Aswan, appeared on State TV tonight and denied any church being torched.
He said it was a “guest home” and not a church.

El Sayed said he gave his permission for the building to be 9 meters high, but the church contractor made it 13 meters high.
“The contractor was slow in removing the 4 meters, so the Muslim youths took the matter into their hand.”
He said the fire was in a depot of the church which had the construction lumber.

He said that both parties are at fault, the Christians for exceeding the height and the Muslims for taking matters into their own hands.
He added that he arranged for a “reconciliation” meeting to be held in the next two hours.
(以下略)
---- 引用以上 ----

いや、教会じゃなければ放火していいって話じゃないから・・・(呆)

とにかく、エジプト政府がこの手のヘイトクライムについてきっちり対応しないと、「アラブの春」が無駄になると思う俺。
それと、エジプト以外の世界各国の方々も、エジプトで起きてるこういう事件についてもっと懸念を示す必要があるんじゃ?
でないと、「Mubarak 政権じゃないからエジプトの人権状況はどうでもいい」というメッセージを送ることになるとも言えるけど・・・。


それにしても。
「アラブの春」ってコプト教徒の人達にとってどういう意味があったんだろうか?
高々、「抑圧する人が変わった」というだけなんだろうか?


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