今回は小ネタ。
先月18日あたりに、ビデオニュース・ドットコムの『マル激トーク・オン・ディマンド』上で Greenpeace Japan の事務局長こと星川 淳氏(11月に退任予定)が日本の「調査捕鯨」とかについて色々語っていたのだが・・・。
・クジラ肉裁判から見えてきたもの(2010年9月18日 ビデオニュース・ドットコム)
・星川淳:クジラ肉裁判から見えてきたもの(2010年9月27日 Yahoo!みんなの政治)
この番組の冒頭、司会を務めている神保 哲生氏は「調査捕鯨」団の鯨肉横領疑惑に関して窃盗容疑で逮捕→起訴された Greenpeace Japan のメンバー2人の裁判に至るまでの経緯について語っていた。
そこで、神保氏と宮台 真司氏と星川氏は、2008年6月に Greenpeace Japan の複数事務所に強制捜査が入ったことの裏について触れていたのだが・・・。
以下、2010年9月27日分 Yahoo!みんなの政治『星川淳:クジラ肉裁判から見えてきたもの』から序盤部分を(略
---- 以下引用 ----
(中略)
神保: 2人は鯨肉を配送所から持ち出し、5月に証拠として検察に提出しました。
そして6月、グリーンピースに強制捜査が入ります。これは予想をしていましたか?
星川: 漠然と予想はしていましたが、同日に調査捕鯨船の船員は「横領の嫌疑なし」で不起訴、グリーンピース職員は逮捕というのは、あまりに露骨だと思いました。
神保: 75人の捜査官がグリーンピース・ジャパンの新宿のオフィスと、会議用のサテライト事務所、職員4名の自宅の家宅捜索まで行ったのですね。
そのうち、38人は公安警察で、残りが青森県警だったそうです。
宮台: 冷戦体制は89年から91年にかけて終結しましたが、その後は日本だけではなく、先進各国において、思想的・宗教的カルトが公安の新たなターゲットになりました。
公安自体は組織の存在理由をどこかに求めざるを得ず、どういう集団が反社会的にふるまうか、世間が納得してくれそうな図式を出したのです。
大笑いですが、おそらくグリーンピースは宗教的カルト、ないし思想的カルトと捉えられたのでしょう。
星川: もう一点重要なのは、この年が洞爺湖サミットの年であったことです。
この逮捕は、市民社会全体に対する威嚇の意味があったのだと考えられます。
宮台: 08年9月7日、グリーンピースの佐藤・鈴木両氏の逮捕直後、星川さんは「自分も被疑者として県警で取調べを受け、若い検察官に開口一番、“NGOの分際で捜査機関さえ令状がなければできないことをやったのは許せない”と強い口調で言われた」とコメントされました。
実際には、捜査機関の方が合法的にふるまうことを求められているので、市民よりも厳しい縛りがあって当然。
それは、市民が“主”で行政官僚が“従”だからです。
星川さんに暴言を吐いた若い検察官は、そうした社会の本義でさえ理解していない。
まったく頭が悪いと言わざるを得ません。
(以下略)
---- 引用以上 ----
つーか、Greenpeace Japan くらいに実績を積んでる団体ですら宗教的カルト or 思想的カルトなんて思われてるってことは、規模こそ小さいが真っ当に活動してる市民団体なんかどうなるんだよ・・・。
ま、Greenpeace Japan みたく日本政府に「モノを言う」団体ってのを、以前から当局が危険視してたから可能性もある?
2006年~2007年の「調査捕鯨」の際に、「調査捕鯨」団が(日新丸火災の責任を押し付ける形で)Greenpeace Japan のことを「環境テロリスト」を非難したことも影響してるか。
もっとも公安当局にしてみれば、「自分達の仕事」をしただけなのかもしれんけど・・・。
で、この後、3人は「捕鯨の「鉄のトライアングル」」(政・官・財の結束)という構図に話を展開していた。
その中では、去年の政権交代後この状況が変化してないことが指摘していたのだが・・・。
以下、2010年9月27日分 Yahoo!みんなの政治『星川淳:クジラ肉裁判から見えてきたもの』から後半部分を(略
---- 以下引用 ----
(中略)
神保: 自民党時代は、安倍晋三元総理や、林芳正・現参議院自民党議員副会長がかつて捕鯨の本拠地として栄えた山口県出身であったこともあり、積極的に捕鯨を守ろうという姿勢でした。
ただ、政権が変わってもこの体質が変わる兆しが見えないのですか?
星川: 僕らも政権交代に期待はしました。
ロビイングもかけましたが、ご存じのようにまだ民主党はそこまで余裕がない。
また、自民党の人たちは確信犯的でしたが、民主党の人たちは捕鯨の現状を知りません。
われわれは単に「横領があるから調査捕鯨はいけない」と主張しているのではなくて、もっと深い意味で「日本のためにならないから止めろ」と言っているのですが、まったく伝わっていません。
神保: 捕鯨の是非についてはいろいろ意見があると思いますが、いずれにせよ日本が南極海まで行って調査捕鯨を続けている限り、まともな議論が始まりそうもありません。
日本が南極海の「調査捕鯨」をやめれば、日本近海の沿岸捕鯨は認めてもいいという提案が出ている。
本来、日本の伝統的な捕鯨というのはこっちのはずなのですが。
それでも日本は毎年とにかく南極海に捕りに行っている。
捕鯨に反対する国々は、まず「なぜ他国の裏庭まで鯨を捕りに行くのか」とか「なぜ調査と称して実質的な商業捕鯨を続けるのか」にこだわっているので、今は今後捕鯨をどうしていくべきかを議論するはるか手前で、話が止まってしまっているようです。
(以下略)
---- 引用以上 ----
いや、俺も最近まで知らなかったのだが DPJ 所属議員の方々も商業捕鯨再開に積極的なんだけど。
それどころか、日本の国会議員のほとんどは、捕鯨に関して反対意見を述べていない始末・・・。
この辺は以下参照(手抜き)
・「調査捕鯨」なら超党派状態 (2009年12月4日 flagburner's blog(仮))
そういうことを踏まえると、星川氏の発言とは逆で、むしろ DPJ 所属議員の方々は「調査捕鯨」の現状を知ってるからこそ、「調査捕鯨」と商業捕鯨再開を声高に主張してるのではないか。
仮に「調査捕鯨」の現状を知らない議員に教えても、(党議拘束などの存在を踏まえれば)うっかり「調査捕鯨」に反対できないってオチになりそう・・・。
ついでに、尖閣諸島(釣魚島)絡みの騒動が続いてる現状じゃ、「調査捕鯨」に関してなんらかの妥協をするべきという意見が出るのは絶望的だし。
どうなってんのこれ?
しかし、引用部分における神保氏の最後の発言も意味深だな。
日本政府が「調査捕鯨」と捕鯨に関して妥協する気がないって状況を踏まえると、ね・・・。
それはそうと。
太平洋で行ってる「調査捕鯨」(JARPN II)で捕獲したクジラ肉を食べた人達が体調を崩したらしい・・・。
・石巻市、頒布クジラ肉回収 63世帯で腹痛・嘔吐(2010年9月25日 河北新報)
一応、2010年9月25日分河北新報『石巻市~』を全文(略
---- 以下引用 ----
宮城県石巻市牡鹿地区の住民26人が、調査捕鯨で捕れた鯨肉を食べた後に腹痛などの症状を訴えて治療を受けた問題で、市は24日、発症の一因とみられる鯨肉を回収した。
市によると、21日に有料で頒布された鯨肉を購入したのは、同地区の375世帯。
このうち238世帯が集会所など8カ所の返却窓口を訪れた。
市職員が腹痛などの症状がなかったどうか聞き取り調査をしたところ、63世帯で腹痛や嘔吐(おうと)などの症状があったという。
24日には新たに計8人が腹痛などの症状を訴え、市内の病院を訪れた。
鯨肉を食べて治療を受けたのは、これで34人となった。
23日に診察を受けた石巻市大原地区の無職女性(75)は「食べた数時間後から翌朝まで下痢が止まらず、大変だった。返却は仕方ないが、親類に送る予定もあったので残念」と話した。
21日に市が頒布した鯨肉は、北海道釧路沖で18日に調査船が捕獲、解体。
地元の漁協職員と市職員がブロックに切り分け、1世帯当たり2キロを上限に販売していた。
---- 引用以上 ----
どうなってんのこれ?
先月18日あたりに、ビデオニュース・ドットコムの『マル激トーク・オン・ディマンド』上で Greenpeace Japan の事務局長こと星川 淳氏(11月に退任予定)が日本の「調査捕鯨」とかについて色々語っていたのだが・・・。
・クジラ肉裁判から見えてきたもの(2010年9月18日 ビデオニュース・ドットコム)
・星川淳:クジラ肉裁判から見えてきたもの(2010年9月27日 Yahoo!みんなの政治)
この番組の冒頭、司会を務めている神保 哲生氏は「調査捕鯨」団の鯨肉横領疑惑に関して窃盗容疑で逮捕→起訴された Greenpeace Japan のメンバー2人の裁判に至るまでの経緯について語っていた。
そこで、神保氏と宮台 真司氏と星川氏は、2008年6月に Greenpeace Japan の複数事務所に強制捜査が入ったことの裏について触れていたのだが・・・。
以下、2010年9月27日分 Yahoo!みんなの政治『星川淳:クジラ肉裁判から見えてきたもの』から序盤部分を(略
---- 以下引用 ----
(中略)
神保: 2人は鯨肉を配送所から持ち出し、5月に証拠として検察に提出しました。
そして6月、グリーンピースに強制捜査が入ります。これは予想をしていましたか?
星川: 漠然と予想はしていましたが、同日に調査捕鯨船の船員は「横領の嫌疑なし」で不起訴、グリーンピース職員は逮捕というのは、あまりに露骨だと思いました。
神保: 75人の捜査官がグリーンピース・ジャパンの新宿のオフィスと、会議用のサテライト事務所、職員4名の自宅の家宅捜索まで行ったのですね。
そのうち、38人は公安警察で、残りが青森県警だったそうです。
宮台: 冷戦体制は89年から91年にかけて終結しましたが、その後は日本だけではなく、先進各国において、思想的・宗教的カルトが公安の新たなターゲットになりました。
公安自体は組織の存在理由をどこかに求めざるを得ず、どういう集団が反社会的にふるまうか、世間が納得してくれそうな図式を出したのです。
大笑いですが、おそらくグリーンピースは宗教的カルト、ないし思想的カルトと捉えられたのでしょう。
星川: もう一点重要なのは、この年が洞爺湖サミットの年であったことです。
この逮捕は、市民社会全体に対する威嚇の意味があったのだと考えられます。
宮台: 08年9月7日、グリーンピースの佐藤・鈴木両氏の逮捕直後、星川さんは「自分も被疑者として県警で取調べを受け、若い検察官に開口一番、“NGOの分際で捜査機関さえ令状がなければできないことをやったのは許せない”と強い口調で言われた」とコメントされました。
実際には、捜査機関の方が合法的にふるまうことを求められているので、市民よりも厳しい縛りがあって当然。
それは、市民が“主”で行政官僚が“従”だからです。
星川さんに暴言を吐いた若い検察官は、そうした社会の本義でさえ理解していない。
まったく頭が悪いと言わざるを得ません。
(以下略)
---- 引用以上 ----
つーか、Greenpeace Japan くらいに実績を積んでる団体ですら宗教的カルト or 思想的カルトなんて思われてるってことは、規模こそ小さいが真っ当に活動してる市民団体なんかどうなるんだよ・・・。
ま、Greenpeace Japan みたく日本政府に「モノを言う」団体ってのを、以前から当局が危険視してたから可能性もある?
2006年~2007年の「調査捕鯨」の際に、「調査捕鯨」団が(日新丸火災の責任を押し付ける形で)Greenpeace Japan のことを「環境テロリスト」を非難したことも影響してるか。
もっとも公安当局にしてみれば、「自分達の仕事」をしただけなのかもしれんけど・・・。
で、この後、3人は「捕鯨の「鉄のトライアングル」」(政・官・財の結束)という構図に話を展開していた。
その中では、去年の政権交代後この状況が変化してないことが指摘していたのだが・・・。
以下、2010年9月27日分 Yahoo!みんなの政治『星川淳:クジラ肉裁判から見えてきたもの』から後半部分を(略
---- 以下引用 ----
(中略)
神保: 自民党時代は、安倍晋三元総理や、林芳正・現参議院自民党議員副会長がかつて捕鯨の本拠地として栄えた山口県出身であったこともあり、積極的に捕鯨を守ろうという姿勢でした。
ただ、政権が変わってもこの体質が変わる兆しが見えないのですか?
星川: 僕らも政権交代に期待はしました。
ロビイングもかけましたが、ご存じのようにまだ民主党はそこまで余裕がない。
また、自民党の人たちは確信犯的でしたが、民主党の人たちは捕鯨の現状を知りません。
われわれは単に「横領があるから調査捕鯨はいけない」と主張しているのではなくて、もっと深い意味で「日本のためにならないから止めろ」と言っているのですが、まったく伝わっていません。
神保: 捕鯨の是非についてはいろいろ意見があると思いますが、いずれにせよ日本が南極海まで行って調査捕鯨を続けている限り、まともな議論が始まりそうもありません。
日本が南極海の「調査捕鯨」をやめれば、日本近海の沿岸捕鯨は認めてもいいという提案が出ている。
本来、日本の伝統的な捕鯨というのはこっちのはずなのですが。
それでも日本は毎年とにかく南極海に捕りに行っている。
捕鯨に反対する国々は、まず「なぜ他国の裏庭まで鯨を捕りに行くのか」とか「なぜ調査と称して実質的な商業捕鯨を続けるのか」にこだわっているので、今は今後捕鯨をどうしていくべきかを議論するはるか手前で、話が止まってしまっているようです。
(以下略)
---- 引用以上 ----
いや、俺も最近まで知らなかったのだが DPJ 所属議員の方々も商業捕鯨再開に積極的なんだけど。
それどころか、日本の国会議員のほとんどは、捕鯨に関して反対意見を述べていない始末・・・。
この辺は以下参照(手抜き)
・「調査捕鯨」なら超党派状態 (2009年12月4日 flagburner's blog(仮))
そういうことを踏まえると、星川氏の発言とは逆で、むしろ DPJ 所属議員の方々は「調査捕鯨」の現状を知ってるからこそ、「調査捕鯨」と商業捕鯨再開を声高に主張してるのではないか。
仮に「調査捕鯨」の現状を知らない議員に教えても、(党議拘束などの存在を踏まえれば)うっかり「調査捕鯨」に反対できないってオチになりそう・・・。
ついでに、尖閣諸島(釣魚島)絡みの騒動が続いてる現状じゃ、「調査捕鯨」に関してなんらかの妥協をするべきという意見が出るのは絶望的だし。
どうなってんのこれ?
しかし、引用部分における神保氏の最後の発言も意味深だな。
日本政府が「調査捕鯨」と捕鯨に関して妥協する気がないって状況を踏まえると、ね・・・。
それはそうと。
太平洋で行ってる「調査捕鯨」(JARPN II)で捕獲したクジラ肉を食べた人達が体調を崩したらしい・・・。
・石巻市、頒布クジラ肉回収 63世帯で腹痛・嘔吐(2010年9月25日 河北新報)
一応、2010年9月25日分河北新報『石巻市~』を全文(略
---- 以下引用 ----
宮城県石巻市牡鹿地区の住民26人が、調査捕鯨で捕れた鯨肉を食べた後に腹痛などの症状を訴えて治療を受けた問題で、市は24日、発症の一因とみられる鯨肉を回収した。
市によると、21日に有料で頒布された鯨肉を購入したのは、同地区の375世帯。
このうち238世帯が集会所など8カ所の返却窓口を訪れた。
市職員が腹痛などの症状がなかったどうか聞き取り調査をしたところ、63世帯で腹痛や嘔吐(おうと)などの症状があったという。
24日には新たに計8人が腹痛などの症状を訴え、市内の病院を訪れた。
鯨肉を食べて治療を受けたのは、これで34人となった。
23日に診察を受けた石巻市大原地区の無職女性(75)は「食べた数時間後から翌朝まで下痢が止まらず、大変だった。返却は仕方ないが、親類に送る予定もあったので残念」と話した。
21日に市が頒布した鯨肉は、北海道釧路沖で18日に調査船が捕獲、解体。
地元の漁協職員と市職員がブロックに切り分け、1世帯当たり2キロを上限に販売していた。
---- 引用以上 ----
どうなってんのこれ?
実際にグリーンピース主宰の鯨関連のシンポジウムに参加した捕鯨賛成派によると、賛成派の意見や質問を全く無視したりするそうですから、対立する側からすると、そう見えてしまう部分もあるんじゃないかと。
例えば、未だに
>日本が南極海の「調査捕鯨」をやめれば、日本近海の沿岸捕鯨は認めてもいいという提案が出ている。
>本来、日本の伝統的な捕鯨というのはこっちのはずなのですが。
現時で政府が主張しているのは伝統的に行われてきた「捕鯨=鯨肉食」についてであってですね。
極論すれば捕鯨賛成派の言う「伝統」と言うのは、日本人の「食に対する感性」であるわけです。
食材となった命に感謝する、要するに「いただきます」なんですね。
「捕鯨=鯨肉食」と言うのは、この「日本の情緒」の例示として、とても便利なんですよ。
だからこそ捕鯨賛成派の琴線にふれるのですし、やはり多分に感情的な情緒的な話なんだと思います。
グリーンピースや反捕鯨派は気づいていないのでしょうが、彼らは反捕鯨論によって「日本人としての情緒を捨てろ」と言っているのに等しい(捕鯨賛成派からすれば)のです。
まあ逆の立場からすれば、捕鯨賛成派は「鯨を食材としてしか見ていない」と思えるのでしょうけれども。
>実際にグリーンピース主宰の鯨関連のシンポジウムに参加した捕鯨賛成派によると、賛成派の意見や質問を全く無視したりするそうですから~
う~ん。
その質問内容がどういうブツなのかさっぱりわからないのがアレですが・・・
>「捕鯨=鯨肉食」と言うのは、この「日本の情緒」の例示として、とても便利なんですよ。
その時点から、日本国外の人達に「捕鯨は日本の伝統文化」と伝える準備ができてないと言えます。
なんせ、「日本の情緒」とは理屈抜きなものだけに、並大抵のことでは理解を得られないのですから・・・。