ピアニスト藤木明美のブログ No.2

異色のピアニスト藤木明美が、音楽を通しての日々を綴ります。

ラフマニノフピアノ協奏曲2番

2014-02-24 21:25:44 | 日記
浅田真央選手の演技は、日本中にこれまでにない感動の渦を巻き起こしました。

それは、どんなメダルよりも尊い深い感動でした。

あの感動の日の翌日、偶然にも(!)
浅田選手のフリーの演技に使われた
「ラフマニノフピアノ協奏曲2番」を
小山実稚恵(ピアノ)下野竜也(指揮)
新日本フィルの演奏で聴きました。

冒頭、ピアノソロの厳かなロシア正教会の鐘の音が始まったとき、
浅田真央選手のあのシーンが蘇り、
再び胸が熱くなりました。

小山実稚恵さんの深い集中の力強い演奏と、
下野竜也さんのロシアの大地を轟かせるような
荘厳な演奏は、素晴らしいコラボでした。


この曲は(よく知られている通り)ラフマニノフにとってもどん底からの再起の曲だと言われています。

ラフマニノフは早くから優れた才覚を表していましたが、
交響曲第1番の初演が、指揮者の失態から記録的な大失敗に終わり、
会場には罵詈雑言が飛び交ったそうです。、
ラフマニノフは失意のどん底に陥いり、3年程作曲ができなくなったとも言われています。

その後、ラフマニノフは「ピアノ協奏曲第2番」で再起、
大成功を治め、喝采を浴びます。
ラフマニノフの苦悩の後、誕生した曲として知られています。

今回の感動のドラマと、ラフマニノフの曲の背景が
私はどうしても重なってしまうのでした。、

失意の曲となった「交響曲第1番」の解説はこちら

ファルージャ イラク戦争 日本人人質事件・・・そして

2014-02-04 13:23:17 | 日記
昨日、映画「ファルージャ イラク戦争 日本人人質事件・・・そして」を見てきました。
2004年当時、日本国内で「自己責任」バッシングが吹き荒れた「日本人人質事件」の当事者の現在と、
現在も戦火の続くイラクの現実を捉えた
ドキュメンタリー映画です。

伊藤めぐみ監督は28歳。この10年間に起きたことの事実を、
ストレートに等身大で力強く伝えていました。
ショッキングな映像も事実として真っ直ぐに投げてくる。
「だからこうなんだ」とは決して言わない。
そのことが観客を最後まで高いテンションで引きつけていたように思います。

様々な年齢の観客がいましたが、それぞれにドンと受け止めて帰っていくのがわかりました。
上映中、若い女性が涙する声も聞こえました。

日本人は、何を考え、何を信条として生きていこうとしているのか。
日本人は、ものの本質を捉え、考えることを放棄し始めているのではないか。
一言では言えない様々なことを考えさせられた映画でした。

知ろうとしなければ知りえない事実、
見ようとしなければわからない現実。
それを教えてくれる映画です。
(劇場アップリンクは渋谷駅徒歩10分)

若い人たちが、真っ直ぐに、ひたむきに、
膨大な時間と労力をかけて取り組んでいる姿に、
心から敬服するこの頃です。

映画案内