ピアニスト藤木明美のブログ No.2

異色のピアニスト藤木明美が、音楽を通しての日々を綴ります。

下野竜也 ブルックナー6番

2013-10-15 15:00:49 | 日記

昨日、下野竜也指揮、新日本フィルの演奏会を聴きに行った。

彼が振るものは、何でも聴きたいと思っている。
それほどに、彼の指揮は惹きつける。

曲目は、シューマンチェロ協奏曲イ短調op.129.
そして、ブルックナー交響曲6番 イ長調。

ブルックーナー6番は、あまり演奏されない。
私ももちろん聴いたことはなく、you tubeで聴いてみたが、
1楽章以外は、それぞれの楽章の特徴を感じにくい。

これを、下野氏がどう料理するのかが楽しみだった。

やはり見事に期待を上回ってくれた。

1楽章が終わったとき、私は圧倒され呆然としていた。

そこに繰り広げられた世界は、映像が浮かぶほどに、
ドラマチックに立体的に展開されていた。

そして、厚みを持った織り重ねられた音は、
まるで濃縮された重量のある液体のように、
ホールに流れ出した。

音は、液状化した物質、確かに質量をもった物質なのだ、と初めて実感した。

音と人の心を、自由自在に誠実に動かす下野氏。
その手は、曲の行く方向を楽団員にも、観客にもハッキリと示していた。
そして、行き着いた先は、圧巻な山の頂きなのであった。

終演後、また(鹿児島大学オケOBなので図々しく)
楽屋を訪ねさせて頂いた。が、
余韻に浸ったままの私は、
下野さんとお話していても、違う世界に行ったかのように、呆然としたままだった。


イツァーク・パールマン

2013-10-06 13:13:46 | コンサート
昨日、急遽イツァーク・パールマン ヴァイオリンリサイタルを聴きに行きました。

一度は生で聴きたいと思っていたパールマン。
確かにパールマンの音でした。

「シンドラーのリストのテーマ」を弾き始めた時、
大きなホールに涙のしずくがひとつ、またひとつ。
でも最後には心の泉の底に、七色のしずくがポトリと落ちました。
音楽の意味、崇高さと愛。音楽家はその御使いであることを感じさせてくれるのでした。

3歳のときにポリオにかかり車椅子での演奏で世界の人を魅了してきたパールマン。
音を聴けば、パールマンとわかるし、パールマンの名を聴けばパールマンの音が聞こえる。
そう思う人は多いことでしょう。
真の音楽家の奏でる音のひとつ一つは、神の慈しみのしずくなんですね。

パールマンインタビュー

シンドラーのリスト