愛国的フィギュアスケート

羽生結弦とロシア女子を中心に

Brian Orserの舌禍

2018年04月19日 | 羽生結弦
18/04/18 16:47(現地) Philip Hersh @olyphil  https://twitter.com/olyphil/status/986753231719198720

> Just spoke with Brian Orser for an upcoming @icenetwork story.
Asked him about Yuzuru Hanyu’s future.
Orser said, “I’m having the sense he is going to continue” to the next Olympics.
Might he take a year off from competing?
“He won’t take a year off. Absolutely not."



 米国フィギュアスケート連盟(USFSA)の利害関係者である記者Philip HershのTweetなど引用したくないのだけど、
羽生結弦の進退に関して、重要な事をBrian Orserが勝手に喋ったようなので書きたい。(Philip Hershの悪質な“釣り"の可能性はあるが)


・Brian Orserの状況

 Javier Fernandez (27歳0ヶ月) が半引退 (来季「19 EC」限り?) の状態で、羽生結弦 (23歳4ヶ月) も2022年北京五輪まで続けるかどうか分からない不安定な状況。
 
 Brian Orserのコーチとしての権威や名声は、過去、『羽生結弦』に大きく依存してきた。(金妍兒の影響は極めて限定的である)

 Orserにとって、羽生が北京五輪まで続けるかどうかは、コーチとしての権威や名声に関わる 『死活問題』 である。


・羽生結弦の状況


 羽生結弦が、2022年北京五輪まで現役を続けた場合、2018年平昌五輪のPatrick Chanよりも高齢になる。(残酷なようだが、これは現実だ)


モチベーション 五輪2連覇したので、あとは「4A」の着氷のみ。

> 金メダル獲得翌日18日の会見で「モチベーションは4回転アクセルだけ。とるものはとった。あとはちっちゃかった自分の頃に描いていた目標をかなえてあげる


健康問題  これまでの過度なJump練習で、実際は「満身創痍」の状態だろう。彼ほど怪我の多い選手も珍しいのではないか。(あとは、皮肉なことに引退したDenis Ten [24] くらいか)
       今後、練習のやり方を変え、競技会へのアプローチも変えない限り、これまでと同じ失敗を繰り返す可能性が高い。(その場合、状況はより困難になる)


男子シングルの状況  世界王者の経験のある年長のベテラン選手、Patrick Chan、Javier Fernandezが抜け、1人で男子シングルを背負っていかなければいけない状況。
           同世代および若手の人材も不足している。フィギュアスケートを一つの舞台と捉えれば、明らかに“役者不足"に陥っている。(“百花繚乱"の露女子シングルとの対比において)

 史上最高のフィギュアスケーター・羽生結弦が現役を引退すれば、男子シングルは‘無価値'となる。(世界を明るく照らす“太陽" が失われる)
羽生ファンだけではなく、多くのフィギュアスケートファンが興味を失うだろう。日本においては、既に先般の「18 WC (ミラノ)」でTV視聴率の大幅な低下が見られた。


ルール変更

 羽生結弦が2022年の北京五輪まで現役を続けるかどうかは、五輪ポストシーズンである「2018-19シーズン」終了後、つまり、「19 WC (さいたま)」 後のオフに考えればいい。
シーズン終了した後に、詳細な分析を加え、北京五輪で男子シングル競技がどのような状況になるのか考察すればいい。
特にTESとPCSのバランスが崩壊している現在の男子シングル競技で、トータルパッケージの羽生結弦が現役を続ける価値があるのかどうか、よく考えるべきだ。
皆さんは、本当に続ける価値があると思いますか?


過去の意思表示

18/03/01 11:30 https://dot.asahi.com/wa/2018022800011.html?page=2

> (都築章一郎) 「昨年(2017年)8月、アイスショーに来てくれたとき、結弦に『将来どうするのか』と聞いた。そのとき結弦から聞いたのは、『あと3年くらいは(スケートを)やってみたい』という話だった。


『あと3年』というのは、この発言が事実だとして、

羽生結弦    加齢
1年 2017-18 22→23歳  平昌五輪シーズン
2年 2018-19 23→24歳
3年 2019-20 24→25歳  このシーズン終了後、引退。[25歳 3~4ヶ月]
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4年 2020-21 25→26歳
5年 2021-22 26→27歳  北京五輪シーズン [五輪時、27歳 2ヶ月]

 と、羽生本人は引退時期を極めて合理的に考えていると判断できる。

 これはCricket Club所属でBrian Orserが入れ込んでいるロシア系カナダ人「Stephen Gogolev」(13歳3ヶ月) のSr.デビューと入れ違いになるタイムスケジュールだ。

Stephen Gogolev 加齢
1年 2017-18 12→13歳 Jr.参戦 不可能
2年 2018-19 13→14歳 Jr.デビュー 1年目
3年 2019-20 14→15歳 Jr. 2年目
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4年 2020-21 15→16歳 Sr.デビュー 1年目
5年 2021-22 16→17歳 Sr. 2年目

 Orserは羽生に出来るだけ長く、現役生活を続けてもらい、Stephen Gogolevのプレゼンス向上に役立てたいと考えているはずだ。(羽生結弦と一緒に露出することで最大の効果)
これまでOrserは外国人選手を指導することで国内で批判されてきた分、Stephen Gogolevを(北京五輪はともかく)、将来、“史上初の カナダ人 [男子シングル] 金メダリスト"としたいはずだ。
羽生が3年、つまりGogolevがSr.に上がる前に、競技を辞めてもらっては困るのが、理解いただけるだろう。


 また、米国メディア/ジャーナリストが、羽生結弦の北京五輪までの現役続行を望むのは、2つ理由がある。

1.フィギュアスケートの人気の低下、競技会の権威の低下が避けられる。(羽生結弦が参加するだけで格が上がり、人があふれ、お祭り騒ぎに)

2.米国男子シングル代表、Nathan Chen (18→22歳) の良い “引き立て役" になる。(羽生結弦は尊敬する先立ちではなく、“踏み台"にしか過ぎない)


 賢明なる読者諸氏なら、こんな事は百もご承知だろうけども。

 改めて言いたい。Brian Orserは個人的な考えで、自分の都合の良いように、羽生結弦の将来を勝手に決めるなと。
もし、既に本人から北京五輪までの現役続行の意思を伝達されているのであれば、来季[2018-19] 終了まで黙っておくのが、真に “賢い" コーチと言えるだろう。
以前のインタビューで「辛抱強く、本人の決断を待つ」とか答えていたのは、一体、何だったのか。
仮に、本人がその意思表示をしていないのであれば、今回のOrserの発言は (本人以外が勝手に) 進退について “外堀を埋める" ことになり、極めて卑怯なやり方である。
 フィギュアスケートは、生徒側がコーチに多額の費用を支払い雇用する形となる為、有力選手であるほどコーチ側にイニシアチブがない。(成績が出なければ、頻繁にコーチが変更される)
従って、コーチは生徒の去就に関して、メディア/ジャーナリストにどのような言質、誤解を与える発言もしてはいけない。
なぜなら、去就を決めるのは、生徒自身の 『専権事項』 だからだ。


18/05/08 12:14 sports.ru Ilya Averbukh: "I don't like Orser's statements. To programs Medvedeva he has yet to grow and grow»
https://www.sports.ru/figure-skating/1062967936.html

(敬称略、随時 追記/修正)