私の研究日記(映画編)

ここは『智に働けば角が立つ』の姉妹ブログ。映画の感想や、その映画を通してあれこれ考えたことを紹介しております。

『WALL・E』(Theater)

2008-12-26 23:08:12 | あ行

監督 アンドリュー・スタントン
指揮 ジョン・ラセター他
脚本 アンドリュー・スタントン
音楽 トーマス・ニューマン
配給 ウォルト・ディズニー・スタジオ
公開 2008年12月5日
時間 97分
製作国 アメリカ

 京成ローザにて鑑賞(12月13日)。

 ゴミ処理ロボットウォーリーと地球探査ロボットイヴの恋の物語。



 物語の舞台は、29世紀の地球。そこにあるものといえば、荒涼とした砂漠とその中にそびえる朽ち果てた高層ビル、そして大量のゴミの山。かつて繁栄を極めた人間の姿は見られない。700年前ゴミだらけの地球を見捨て、人間達は宇宙へと旅立ったのだった。

 そんな地球で黙々とゴミを片付けるウォーリー。優しく好奇心が強いが、恥ずかしがり屋で寂しがり屋の彼がこの物語の主人公だ。そして、長い年月を経て感情を持つようになったゴミ処理ロボットでもある。彼は700年もの間、一人ぼっちで地球のゴミを片付け続けてきたのだった。
 そんな彼の前に、ある日宇宙船が現れる。宇宙船から降りてきたのは、最新式ロボットのイブ。イブは、人間の子孫が派遣した地球探査ロボットだ。長い間一人ぼっちだったウォーリーは、美しいイブを一目見て恋に落ちる。だが、任務中の彼女に、彼は全く相手にされない。あげくのはてにキャノン砲で破壊されそうになる始末。それでも彼女の気を惹きたいウォーリーは、イブを何とか自分の住処まで連れてくる。そこでゴミの中から見つけた様々な宝物を見せるウォーリー。だが、宝物の一つである植物を見せると、突然イブはフリーズしてしまう。そして、再びあの宇宙船が現れ、イブを連れ去ろうとする。ウォーリーは、イブを救い出そうと宇宙船に必死にしがみつくのだった。


 
 という、ちょっぴり頼りない超旧式ロボットのウォーリーと、万能の最新型ロボットイブの恋の物語。どこか、地位や出自が異なる男女の恋を思わせる。そういう意味では、物語の設定そのものはありふれているいえるかもしれない。

 だが、途中飽きることなく鑑賞することができた。ジッポライターの炎に照らされたイブの姿を見つめるウォーリー。防犯カメラに映し出されたフリーズ中の出来事を見て、ウォーリーの思いにようやく気づくイブ。こんな二人の様子は、一途に好きな女性を思い続ける男性と、その気持ちになかなか気づかない女性のよう。どちらもロボットなのに、二人の恋は人間よりも人間的で純粋である。そして、じれったく、思わず声を出して応援したくなった。ウォーリーの気持ちが、ようやくイブに伝わった時には思わず涙。というように、全く飽きるどころではなかった。それにしても、見ているうちに、イブが美女に思えてくるから不思議だ(笑)。


 また、あらすじで述べたように、29世紀の地球はゴミ溜めと化して、人間が生きていくことができないという設定。この点は、環境問題に対するメッセージ性を持った作品であるといえるだろう。特に、それを強く感じたのは、意外と思われるかもしれないが、エンドロールである。
 アドバイスというのも恐縮であるが、これからこの作品を見るという方に一言。物語が終わったからといって、そのまま席を立って帰宅してはいけない。エンドロールもまた見所の一つだからである。

 エンドロールは、地球に帰還した人間たちとウォーリーやイブなどロボットたちの様子を描いたアフターストーリー。それは、地球環境の復興の物語である。面白いのは、それが絵物語で紹介されていく所。しかもアルタミラの洞穴壁画に始まり、エジプトの死者の書、ビザンツのモザイク壁画、水墨画、印象派絵画など、歴史上の様々な美術スタイルで。アイディアとしても面白いし、地球を回復するのに、とてつもない時間がかかったということを感じさせる。実際、地球温暖化や砂漠化を食い止めるだけでなく、地球環境を100年前の状況に戻すとなると、その数十倍以上の時間がかかると聞いたことがある。もちろんエンドロールだけではないが、環境問題への警鐘を鳴らす作品でもある。

 キャラクターへの感情移入という点に限定でいえば、ディズニーのアニメ映画では珍しく、どちらかというと女性や子供よりも大人の男性向けの作品といえるかもしれない。が、キャラクターの可愛らしさやストーリーのテンポの良さ、ギャグは誰が見ても楽しめるし、地球環境への問題意識なども誰が見たって感じるところだろう。総合的に見れば、やはりディズニーらしく、性別や年齢関係なく楽しめる作品。今年はアニメ映画をほとんど見ていないが、ここ数年で見た中では最も面白い作品だった。


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2 コメント

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今年、一番 (Matthew)
2008-12-28 09:15:36
ウォーリーは、劇場で観た映画の中で今年の一番だった気がします。
ストーリーも難しくなく、人間ではなくロボットという存在にもかかわらず、純粋でひたむきで献身的(これはロボットだからかな?)なウォーリーの姿は、私のもっていない優しい感情に溢れていたので、余計に心が温まったのかもしれません^^;
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もう一度見たい映画です (モッサン)
2008-12-31 04:54:13
Matthewさん、コメントありがとうございます(お返事が遅れ大変申し訳ありませんっ!<(_ _)>)。

ウォーリーは良かったですよね。

正直な所、私は余り期待せずに見たのですが、そのせいもあってか感動ひとしおでした。

>私のもっていない優しい感情に溢れていたので、余計に心が温まったのかもしれません^^;
お気持ちは分かるような気がします。
ウォーリーのひたむきさに、私も身につまされるような思いがしました。
あそこまで自分は強くないな~、と^^。

いずれにしても、とても良い作品でした。もう一度見に行こうかと検討中です。
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