私の研究日記(映画編)

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『オール・ザ・キングスメン』(DVD)

2008-09-26 16:40:20 | あ行
 DVDにて鑑賞。
 
 以前劇場で、ショーン・ペン、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット、アンソニー・ホプキンスらが出演した豪華リメイク版を見たが、今回見たのはその元となった1949年版である。

 監督は『ハスラー』で有名なロバート・ロッセン。主演はブロデリック・クロフォードである。

 物語の主人公は、メイン州の会計主任ウィリー・スターク(ブロデリック・クロフォード)。メイスン市の学校建設に不正があったと非難の声を上げた下級役人である。ウィリーの非難は、当の学校で大事故が起きたことで、庶民の共感を勝ち得る。やがて、民衆の支持のもとに、ウィリーはメイン州知事に当選する。実直な役人だった彼は、知事になった途端、汚職にまみれていく・・・。

 権力を握った後のウィリーの変化は物凄い。立場が変わると人格まで変わってしまうという人はよくいるが、そういう人物をブロデリック・クロフォードが見事に演じている。はじめはいかにも実直な下っ端役人だったウィリーが、知事に当選すると立派な権力者の姿に変わっている。

 以前『スミス都へ行く』のところでも書いたが、政治には「仏の顔と鬼の顔」がある。この映画は、政治の「鬼の顔」の側面を徹底して描き出した作品であるといえる。

 別に汚職を肯定しているわけではないが、政治の世界に汚職はつきもの。「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」という、歴史学者ジョン・アクトンの言葉の通りである。では、権力はどのように腐敗していくのであろうか。という疑問に、この作品が出した答えは2つ。すなわち、権力を握るために人は腐敗し、その権力を維持するために権力者は腐敗するのである。実話が元になっているだけに、物語にはとても説得力があった。

 そういえば、世界各国の汚職度を調査し一般に公表しているNGO団体 トランスペアレンシー・インターナショナルTransparancy Internationalが、先日、2008年度の国別汚職度ランキングを発表した。アメリカは、G8に参加する国の中では下から2番目で18位だった。日本はどうだったかというと、アメリカと同じく18位(G8の中ではフランスの汚職度が最も高かった)。

 麻生太郎新内閣が発足し、衆議院の解散総選挙も近いといわれる今日この頃。政治関連のニュースが、新聞やテレビニュースを賑わせている。そうした時、政治ってどんなものだろうかと、ちょっと立ち止まって確認するのに、この作品は手頃な1本といえるだろう。

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