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小年に無期懲役 NPO法人代表殺害事件

2016年01月23日 | 児童精神医学
平成28(2016)年1月23日(土) 地元紙朝刊1面 ニュース 小年に無期懲役 NPO法人代表殺害事件

関連記事が27面(社会面)に。
それによると少年院に2回入っている。
幼稚園の頃から窃盗が続いていたようだ。窃盗もそれ程重大な犯罪でなければ,少年院送致は考えにくい。
小年なので、他の事件を複数犯していても、マスコミはニュースにすることは出来ないのだろうと,読むべきだろうか。

更に紙面では少年鑑別所でADHDと診断され,薬物療法が必要だと指摘されているが、少年院で薬物療法もされていなかった書かれている。
あまり議論されてないが,ここに引っかかる。

ADHDでなく行為障害である点に注目が必要だ。
鑑別所も、少年院も嘱託医がいるだろうし、少年院では基本的に児童精神科医がかかわる筈だ、かかわるべきだ。
鑑別所の医師はADHDの診断基準に「頻回な窃盗」という項目があると「誤診」しているようだ。
注意欠陥多動性障害という診断名をつかう限りDSMに準拠している筈だ。
DSMに30秒目を通せば,この小年の診断はADHDではない。
強いて言えば、ADHD+行為障害(CD)というべきだ。
問題となっている行為(窃盗、他にもあるかもしれない)、その「症状」に対してADHD治療薬を投薬すれば,全体的な改善がみられるか疑問だ。
不注意,多動性は改善するかも知れない。
窃盗が薬物療法によって治るか,甚だ疑問だ。
より、精神療法的な,行動療法的な,支援体制が必要だ。
少年院の矯正教育に,そのプログラムがあるかは、専門家じゃないので分からない。
関係者には耳の痛い話だろうが,2回も少年院で教育しても,退院し強盗殺人を犯した訳だ。
少年院のプログラム、退院後の支援プログラムを再検討すべきだ。(と20年くらい主張しているのだが)
じゃ、オマエやれよ! と言われそうだが。そのために専門家がいるわけだ。

あくまでも、なんちゃって児童精神科医の側から見ると,今更、後出しじゃんけんのようだが、
ADHDでなくCDという見たて、CDに対する治療、支援体制が不足していることは,関連業界が真剣に考えないといけない。
ふぁみめ でも ADHD+CDの症状が出ている子たちが受診する。
しかし、単に不良としか思ってない。教師も親も。支援する側に陰性な感情が湧き起こりやすいのも確かである。

治療、支援,教育等、対応によっては、大きな事件を起こさずにすむ可能性が十分にある。
近年はADHDに対して教育界、福祉界は対応するようになってきた。
ADHDの2次障害、またはCDに対する支援も少年院以外でも検討する必要がある。
(沖縄県内での大麻使用に関しても,この関連で考えていくべきことでもあるはずだ。)

DSM IV→5 になり 児童精神科専門家でも、誤解するかも知れないが、破壊性行動障害、かつてDBDマーチと呼ばれていた事象を再検討が必要だろう。
ADHDは特別支援教育を中心に考えてもらうことは当然として、しかしそれだけではうまくいかない一群もある。

う~ん 相変わらず,この辺は、うまく伝えられないなあ・・・・



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