ファミリー メンタル クリニック

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「マンガの教養」で解説されてる「ぼくんち」を読んだ.

2015年09月26日 | Media TV/Cinema/Book
「マンガの教養」で解説されてる「ぼくんち」を読んだ.
マンガの教養 も読了.100本の解説があった。最後は1923年,これが初マンガだと説明、1本目が2007年のマンガ.
執筆当時の新しい順に編集されているようだ。
この頁最後に著者略歴を添付.
例によってPodcastで中条氏のインタビューを聞いていた。確かにマンガ評論って日本では大切なことなんだろうと思う。
本書は映画や小説にあるようなガイドブックとして優れている。
読みたい本がいくつも出てきて、マークした。

子どもの頃,ジャンプや,マガジン,サンデー,(キング)ってのもあった。(週刊)
小年ブック,少年画報、冒険王,だったか記憶は不確かだけど,月刊もあった。
小学生の頃にはマンガを読んでいた。
こづかいがないので近所の子と、サンデーの係り,マガジン,キング と一人が1つを買い、友人と交代しながら回し読みをしていた。
結構子どもながら合理的だ.
そんな週刊漫画雑誌も発行部数が激減している様子。
中にはLD系でマンガを読むことが困難な子さえいる.(臨床で俺はビックリした)

ただ、「マンガの教養」 に出てくる100本中リアルタイムで読んでいたマンガは数本だ。
めぞん一刻 アドルフに告ぐ デビルマン アストロ球団 ホモホモ7(あまり記憶にない) 
ゴルゴ13(もちろん一部だけ) あしたのジョー 天才バカボン 巨人の星(アニメは見ているが,原作漫画は見てない)
ゲゲゲの鬼太郎(これも原作でなくアニメ) 

他は,読んでない.

そんななかで 西原理恵子 「ぼくんち」の解説を読んで,電子書籍でDLして、昨夜上・中・下 を読んだ.













「マンガの教養」でも冒頭のこのシーンが文章で紹介されている。
昭和30年代くらい、いなかの端っこ 貧しい生活.
貧しさゆえの 生活のために ヤクザまがいの事や、 売春や,泥棒や, 今どきで云えば反社会的な生活が描かれる。
その一方で幼い「ぼく」の視点から大人世界を愛情をもって描写していく.

西原理恵子のマンガは アニメ あたしんち だっけ、それを見た程度.
ファミリーマンガだと思っていた。そんな漫画家だと。

ところが ぼくんち は強烈だった。U18マンガ。お子ちゃま禁。
文庫本はカラーで絵本のような印象。
2Pで1話形式。

絵はヘタウマ系で好みは分かれるのだろうが、貧困,虐待,DVなどが、もちろん肯定される訳じゃないが、
嫌われ松子の一生 のように あっけらかんと続く。

昭和の頃は人情があって良かったね・・・そんな生やさしいテーマじゃない。

子どもが成長していく姿や,人が生きていく姿、名もなき人たちの人生にも背景があって哀しい姿を描く。
マンガは少年漫画から先,自分の中で進歩していない。
こんなファミリー漫画があるなんて、絶句した。

薄っぺらい倫理観,人生哲学なんて吹っ飛んでしまう。

このマンガ,昭和を意識して描いているが、なら、今の平成20年代にはリアリティがないのか。
実は,このマンガを読みながら最貧困女子(新書)を思い浮かべた。
屋根もなく、着る服もない様な生活様式は見ないが、生活レベルでは本作品の様だ。
いや、この最貧困女子の方が希望を感じさせず、暗くなっていく,

この「ぼくんち」は不思議とほのぼのとした瞬間を感じさせる。
やはり不思議なマンガだ.

マンガの教養 この本は作者がフランス文学研究者で,古典的な小説が対比される文章があり
格調高いのだが,残念ながら,そんなにフランス文学読んでません.
この著者のマンガ解説,とにかく時間だけ無駄にあった大学生時代に出会いたかったな・・・


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