ファミリー メンタル クリニック

児童精神医学,サッカー,時にテレビや映画、Macのネタ。
要するにひとりごと・・・

アメリカン・スナイパー 血圧170/110

2015年08月28日 | Media TV/Cinema/Book
最近、映画ネタが多い。
なかなか、オレ流の生活パターンだ。
読書,映画,サッカー。
大学の頃のパターンから,今はサッカーがないのが、年を取ったと云う事なんだろう。

大学生の頃はビデオもないので映画館通い。
リバイバル映画館もまだ数軒あった。熊本のような地方都市でも。
300円で1本. ビデオがレンタルで出た頃,昭和の最後の頃は1本500円という時期もあった。スクリーンで300円はお買い得だよなあ。

さて アメリカン・スナイパーのタイトルだが,もともとは主人公となった人物の自伝から考えられた様だ。
しかし、最後のシーンでは、そのタイトルの意味が反転する。
アメリカ映画でよくあるタイトルの仕掛けだ。
アメリカ映画、タイトルにやられたなあ~ というのがある。

原作はイラク戦争に4度従軍したクリス・カイルが著した自伝『ネイビー・シールズ最強の狙撃手(英語版)』(原題: American Sniper: The Autobiography of the Most Lethal Sniper in U.S. Military History)で、脚色はジェイソン・ホール(英語版)が行った。監督はクリント・イーストウッドで、ブラッドリー・クーパーが主演を務める。(Wikiより)

tour one , tour two と戦場に行くのを、そんな風に表現する。
ゴルフでもツアーと言うから、旅行とツアーは意味合いがちょっと違うのだろうなあ、ニュアンスが.

これ最近知ったのだが,日本での戦争はローテーションで戦場に赴くことはなかった。
アメリカでは戦闘の士気を高めるため,戦争が続いている地区でも、期間を限定し,その期間が過ぎると一旦帰還する.

主人公のクリス・カイルは4回戦地に赴いた。
敵の子どもでも狙撃しないといけない場面がある。
自分の味方を守ることが出来ずに目の前で死んでいくシーンも。
そして、相手のスナイパーとの神経戦で,自分自身も追い込まれる。
(ここは映画を面白くするために、少し創作しているようだ。)

アメリカに帰還しても,徐々にPTSD症状が出現してくる.
妻の出産が近づき健診で,ついでに測定した血圧が170/110。
日頃の生活でも交感神経系が興奮している。
妻はクリスの症状に不安を持ち、きちんと病院で治療して欲しいと思っている。
なかなか受診しようとしない。

血圧170/110というと、連想するのが、羊たちの沈黙 Drレクターだ。
人を殺し,脱走する際に救急車内で血圧120/76(みたいな正常 細かな数字はさすがに覚えていないけど)
このバイタルサインに、逆にぞくっとする。

しかし、アメリカン・スナイパーの主人公は,元々が人格障害でもないので、
PTSDの症状に悩まされる。
家族生活も破綻していく。

後半では 何も映ってないテレビ画面を前にしている。
戦闘シーンが脳裏には。
心ここにあらず。

妻にも話すことも出来ず。
相談相手もいない。

PTSD症状を丹念に映し出すイーストウッド.

いよいよ、危ない。
と思ったところで,病院を訪れる。
集団療法に参加し、自ら帰還兵のためにボランティア活動をする。

やっと、彼のPTSD症状も落ち着いてくる。

と、ここまで見ていると,日本でもイラク戦争から帰国した自衛隊員がPTSD、自殺など問題になったが
彼らの治療はきちんと行われていたのだろうか.
なんて考えていると,新聞の記事で知り合いの精神科医が署名活動をしている。

そんな折りに,映画では字幕が出てきて・・・
あっけないエンディングだ。
最後は実際のニュース映像か,もしくはそれを模した写真が出てくる。

アメリカン・スナイパーの悲劇を日本ではどんな風に見たのだろうか?
戦争法案が審議中の今、レンタルDVDを借りて見て欲しいなあ.

日頃の生活で交感神経系が興奮している生活,これはやはり心身ともにヤバイ状態だ。

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