マルクスの生きた19世紀や現代のみならず、小林多喜二が『蟹工船』を書いた20世紀のはじめにも同じことが繰り返された。 ㌻44
過酷な奴隷労働を強いる蟹工船で働いていたのは、「函館の貧民窟」から来た「十四、五の少年」や、「北秋田」などからやってきた「百姓の少年」の集団だった。生きてゆくためには、過酷な奴隷労働をせざるを得ない境遇であったことは十分に想像できる。こうした状況の背景にはすさまじい貧富の差があったことは間違いない。 ㌻45
マルクスの生きていた時代の「農村共同体」の解体も、『蟹工船』からみてとれる「奴隷労働をせざるを得ない貧民」の創出も、そして現代の「日本型資本主義=会社村」の解体も、すべて資本主義社会の本質的な構造がくり返し作り出した問題だ。資本主義の社会は極端な格差をくり返し作り出す傾向があるのである。 ㌻50
資本主義社会は発展すればするほど、社会の存続さえ脅かしかねないほどの巨大な格差を必然的に作り出し、下手をすると自滅の道をたどりかねないという警告だった。 ㌻52
未来記=マルクス、『資本論』、『蟹工船』が、これほど引用され、現代を照射しようとした時代があっただろうか。「蟹工船」化された現実を変えない限り、この傾向は続くだろう。
過酷な奴隷労働を強いる蟹工船で働いていたのは、「函館の貧民窟」から来た「十四、五の少年」や、「北秋田」などからやってきた「百姓の少年」の集団だった。生きてゆくためには、過酷な奴隷労働をせざるを得ない境遇であったことは十分に想像できる。こうした状況の背景にはすさまじい貧富の差があったことは間違いない。 ㌻45
マルクスの生きていた時代の「農村共同体」の解体も、『蟹工船』からみてとれる「奴隷労働をせざるを得ない貧民」の創出も、そして現代の「日本型資本主義=会社村」の解体も、すべて資本主義社会の本質的な構造がくり返し作り出した問題だ。資本主義の社会は極端な格差をくり返し作り出す傾向があるのである。 ㌻50
資本主義社会は発展すればするほど、社会の存続さえ脅かしかねないほどの巨大な格差を必然的に作り出し、下手をすると自滅の道をたどりかねないという警告だった。 ㌻52
未来記=マルクス、『資本論』、『蟹工船』が、これほど引用され、現代を照射しようとした時代があっただろうか。「蟹工船」化された現実を変えない限り、この傾向は続くだろう。