30年ほど前の半調節性咬合器なんですが、ちょっと変わってて面白いので取り上げてみることにしました。
可変域はプログレッシブ・サイドシフト、イミディエイト・サイドシフト、矢状顆路という構成になっています。
ディナーの咬合器はボックスタイプのもの(Mark2、Gnathomatic、D4など)を使う機会が多いのですが、これはトラックタイプの顆路が特徴的な咬合器です。
普通、あんまり見かけない咬合器ですね。
個人的にトラックタイプはスフィアの上下動を抑えられるので、ボックスタイプに比べるとエキセントリックの調整が確実なため、良いと思っています。
ちなみにディナーのトラックタイプの咬合器はMulticulatorが代表格ですが、これはTrack2という機種です。
面白いのがこの顆頭後方の赤いスクリュー(0-adjust screw)で、これを時計回りに回すとスフィアを前方へ押し出す構造になっています。
模型装着前に両側の顆頭を予め前方へ等量移動しておき、側方プログラム時に作業側のスクリューを緩めると作業側顆頭の後方移動にある程度までは対応できます。
(いちおうターミナル・ヒンジアキシス論の咬合器ですから、完全な調整は難しいと思いますが。)
ちなみにこの咬合器、矢状顆路を90°(真下)にしてスクリューを回せば顆頭部分の高径を任意に変化させることができるので、陶材を咬合面に築盛する際に重宝します(技工士にとっては大きなメリットですよ、これ。)。
なお、イミディエイト・サイドシフトの調整はスフィア側方中央のマイナスねじで調整するようになっています。
EVANSPRO Dental Laboratory