美と知

 美術・教育・成長するということを考える
( by HIGASHIURA Tetsuya )

『燃えよ剣 上・下』司馬遼太郎

2010年01月06日 | 私の本棚
燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)
司馬 遼太郎
新潮社

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燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)
司馬 遼太郎
新潮社

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幕末の動乱期に新撰組副長として生きた土方歳三の美学が描かれている。
一つの美学に貫かれた生き方、こだわり続けた生き方・・・

当時、浪人や百姓上りの寄せ集めの集団を新選組という最強の集団へと創りあげた。
しかし、時代は変わり、新撰組が守ろうとしていた幕府も内側から崩壊していく中で、朝敵となってもなお自分たちの正義を信じ、会津若松、そして函館五稜郭で薩長連合を迎え撃つ・・・

「刀とは、工匠が、人を斬る目的のためにのみ作ったものだ。刀の性分、目的というのは、単純明快なものだ。兵書とおなじく、敵を破る、という思想だけのものである・・・しかし、見ろ、この単純さの美しさを。刀は、刀は美人よりもうつくしい。美人は見ていても心はひきしまらぬが、刀のうつくしさは、粛然として男子の鉄腸をひきしめる。目的は単純であるべきである。思想は単純であるべきである。新撰組は節義にのみ生きるべきである。」
沖田総司に語ったこの単純明快な思想が、土方歳三の生き方そのものとなっている。

そして、最後の函館五稜郭での戦いでは、
「ここ数日うかつに生きてしまえば、榎本、大鳥らとともに降伏者になることは自明だ・・・かれらは降れ、おれは、永い喧嘩相手だった薩長に降れるか・・・できれば喧嘩師らしく敵陣の奥深く突入り、屍を前に向けて死にたい・・・」
と、斬り込んで行き、死んだ。

自分の今の「生き方」を問われる小説である。


司馬遼太郎の他の作品
『竜馬がゆく』
『坂の上の雲』
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