高校入試、中学入試が一段落し、後は、合格発表者数に対して、実際の入学者がどうなるかという最終段階を待ちます。
学校説明会や入試広報で、まず学校に魅力を感じてもらい、受験してもらう。 これが出発です。定員200名を設定しているのに、受験生が100名しかいなければ、その私学は破たんしていきます。ですから、どの学校も入試広報には力を入れて、受験生を集めようとします。そして、無事受験生が集まり、入試日を迎えるのです。
しかし、今度は次の段階が待っています。「歩留まり」と言いますが、合格者が200人発表されても、4月の入学者は160人とか減ってしまうと歩留まりは80%です。入学しなかった20%は、他に第一希望の学校があり、そちらに流れた…という事となります。この歩留まりの計算が各学校によって変わってきます。
歩留まり96%の学校もあれば、歩留まり40%という学校もあります。歩留まりが少ない学校は、それを見越して合格者を多く発表しなければ、最終的な定員を満たすことが出来なくなります。200名の定員を確保したい場合、もし例年の歩留まりが80%というのであれば、合格発表は約250名出す必要があります。そのためにはそれ以上の受験生に受験してほしいわけです。
しかし、単に受験生を集め、入学者を確保しても、その実態が、学校のやりたい教育に合致していなければ、生徒にとっても学校にとっても不幸なことです。いかにほしい生徒を確実に確保するか…ということが各学校の入試関係者の思いです。
受験する方は、どの学校を選ぶのか…全く自由です。中学入試ですと親御さんの思いが学校選びの基準になってくるケースが多いです。高校受験になりますと、この高校でこんな生活、こんな高校3年間を過ごしたいという受験生の思いが具体的になってきます。学校選びも、受験生本人の気持ちが最後に優先されているケースが多いです。
学校選びの判断基準はいろいろありますが、一つの視点として、「学年の入学者数と卒業者数の比較」ということが意外とチェックされていないようです。就職活動で、会社選びを進める時には、給料や業績ばかりではなく、離職率を見なさいと指導されます。ずっと続けて働いている人が多いのか、5年もしないうちにそれなりの数の人数が退職するのか…という指標です。今、学校にもこれが当てはまるような気がします。
入学した生徒が、卒業までに消えていく…他校に転校していく… その率が多い学校は、生徒一人一人の個を大切にできていないのではないかと想像してしまいます。もちろん留学などで1年学年がズレるというケースもありますが、毎年毎年の流れで、留学以外で学校を去ってしまう生徒が多いというのは何か負の側面が学校にあるのではないかとも考えてしまいます。