美と知

 美術・教育・成長するということを考える
( by HIGASHIURA Tetsuya )

クラス通信 2009年1月21日

2009年01月21日 | クラス通信Ⅱ(A組高2~高3)
◆お別れの時が近づいてきました。
2年生A組として初めて君達と出会ってから約2年・・・あっという間の2年間だったように感じます。

私から君達への最後のメッセージです。

これからの自分の人生の歩み、「思いやり」の心を持って「誠実」に、そして、しっかりとした「志」を持った生き方を見つけてください。

漫然とした人生の歩みの中では、いい出会いも、いい出来事も気づかぬうちに自分のそばを通り過ぎていきます。また、獲得した知識も能力も経験もそれでは十分に生かされません。
自分のためではなく、世の中のため、他人のために何かをやろうというのが「志」です。自分が生きていることによって、少しでも人のため、社会のためになっているという実感が持てることです。
一人でも多くの人が「志」をもって生きることによって、きっと社会は良くなっていきます。
 
 これからの人生の中で、大きな勝負をしなければならない時、大きな決断をしなければならない時がきっとやってきます。そんな時に次の言葉を思い出してください。

「けっして卑怯にならないこと。
 ときには、不利とわかっていても、
  正々堂々と進まなければならない道がある。」


この言葉は、私がこの高等部を卒業する時に、戦後の関西学院中学部・高等部を支えてこられた恩師から送っていただいた言葉です。以来30年以上の時が経ちました。
私は「志」という言葉を添えて、君達にこの言葉を送りたいと思います。
男子校、関西学院高等部の精神として受け取ってください。

「志」を持っていれば、その進むべき道ははっきりと見えてきます。
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クラス通信 2009年1月8日

2009年01月08日 | クラス通信Ⅱ(A組高2~高3)
◆新年明けましておめでとうございます。新年を迎えて私は「3Aの諸君がそれぞれ自分の希望する人生をつかみとれますように・・・」と気持ちを新たに祈りました。高校生活の最後です。それぞれに気持ちを引き締めていきましょう。

自分は何をやりたいのか、何をすべきなのかを意識して行動を起こすこと(自覚~自主)
→徹底的にそのことに取り組んだことによる能力の獲得(自信)
→社会の中で生活していける力(自活)
→社会の中で自分の考え方や、生き方に自信が持てる状態(自立)
→さまざまな束縛から解き放たれ、自ら思考したことが実現できる状態(自由)

と1年前のクラス通信に書きました。覚えていますか?二十歳前後に何をやって、何を考えたかがその後の人生を決めるといってもいいでしょう。

◆高校の最後、まとまった読書をしませんか? 
司馬遼太郎著『竜馬がゆく』(文春文庫、全8巻)は絶対に若い時に読んでおきたい本です。
小説として楽しめるのはもちろんですが、幕末の日本に生きた若者達のひたむきな思いとその姿が鮮明に描かれています。
「薩長連合、大政奉還、あれァ、ぜんぶ竜馬一人がやったことさ」(勝海舟)
坂本竜馬は土佐の郷士の次男坊に生まれ、東京の千葉道場で剣の修行をします。やがて小さな藩の中にとどまって物事を考えていたのでは日本はダメになると考え脱藩します。
浪人の身で、日本国民という意識を持って、大動乱期の幕末に大政奉還、薩長連合という大事をなしていきます。
決してたやすい道ではなかったものの、竜馬とその同時代を生きた若者たちの志をもった姿があります。
竜馬は彼自身が構想した、大政奉還が上手く運んだ時の新政府の閣僚名簿に自分の名前は出しませんでした。西郷隆盛に「尊兄の名が見あたらんが、どぎゃンしもしたかの」とたずねられた時「おれは窮屈な役人がきらいでな・・・世界の海援隊でもやりましょうかな」 と応えます。 
司馬遼太郎氏は最後のほうで、「この長い物語も、おわろうとしている。人は死ぬ。竜馬も死ななければならない。その死の原因がなんであったかは、この小説の主題とはなんのかかわりもない。筆者はこの小説を構想するにあたって、事をなす人間の条件というものを考えたかった。それを坂本竜馬という、田舎うまれの、地位も学問もなく、ただ一片の志のみをもっていた若者に求めた。」
と語っています。

「時代は旋回している。若者はその歴史の扉をその手で押し、そして未来へ押しあけた。」とこの長い小説は終わります。

京セラやKDDIを生み出した稲盛和夫氏がよく言われる「動機善なりや、私心なかりしか」という言葉が、坂本竜馬の生き様と重なりました。 
今、社会が最も必要としているのは「人物」です。お金で売買されない人、魂の奥底から真実な人、罪を罪と恐れずに言える人、正しいことのために立つ人。どうか美しい「志」を持って未来に向かって歩もうではありませんか。
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クラス通信 2008年11月11日

2008年11月11日 | クラス通信Ⅱ(A組高2~高3)
◆ 最近「リベラルアーツ」ということがよく言われます。教養を身につけているかどうかということです。教養とはある一定量の知識のことを言うのではなく、この現代社会を構成するあらゆるモノゴトについて、何がどうなっているかという興味、探究心を持ち続ける力のことです。さらに言えば、「目に見えない崇高なるモノ」への畏敬の念をどれだけ深く持つかということです。

目の前にあることでしか物事を考えられない人。広く周辺のモノにまで意識をもって、物事を深く、全体としてとらえることのできる人。
一緒に仕事をしたいのはどちらのタイプですか??

教養とは文化です。文化とは脳を耕し、脳を発展させることです。
今まで存在しなかったことが生み出される活性化した土壌が豊かな文化です。その文化を支え、生み出しているのは人間の理性と感情です。人間の知・情・意(知能・情動・意志)のバランスの中で文化・教養が形成されます。

現代社会の中で一人一人は大きな影響を受け、その一人一人が現代社会に影響を及ぼし・・・という大きな循環の中に私たちはいます。大学とは、その大きな循環構造の中で社会や人間がどう存在しているのか・・・ということを社会と関わりながら具体的に学ぶ場所です。

大学生活の全てが人間としての学びとなります。モノゴトを広く深く受けとめる自分を創ってください。脳と心を耕し、発展させるためには「読書」が必要です。
本をたくさん読んでいる人には、人間に厚みが伴います。本を読んでいない人の思考・言動は本をたくさん読んでいる人から見ればすぐにわかります。怖いぐらい人間が見透かされます。教養がある、ない・・・ということはそういうことです。読書による人間形成は一生続きます。どうぞ覚えておいてください。

今このことに気づく人と、気づかなかった人とは、10年後、20年後・・・に人間として大きな違いが生じています。関学、関西、日本、アジア、世界・・・と社会は何処までも拡がっていきます。物事を大きなスケールで深くとらえていこうではありませんか。
それが関西学院の目指す「世界市民」です。

「本を読め、友と交われ、汗をかけ」 私の尊敬する先生の言葉です。
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クラス通信 2008年11月6日

2008年11月06日 | クラス通信Ⅱ(A組高2~高3)
◆ 文化祭も終わりました。3Aの「EAST BACK」素晴らしかったです。たくさんの保護者の方にも来ていただきました。3Aの諸君、そして保護者の皆さまに感謝です。混雑して大変な場面もありましたね。それも思い出になっていくのでしょうか・・・ 色々な場面で多くの協力があって成功し、「優秀賞」にも選ばれたことは誇りです。

◆ クラス全員でそろって授業をうけるのもあと3週間です。お互いがそれぞれ高めあい、最後の学期を充実したものにしようではありませんか。さあ、一人一人が自分の道を選択決定する時が迫っています。旅立ちの時です・・・
誰のためでもない、自分の人生のために一生懸命考えてください。
そして、自分を一番大切に出来る生き方を選んでください。
自分はこうしたいという夢や思いが実現できるように高校生活の最後の瞬間までがんばろうではありませんか!!

「何事もあきらめたら、その瞬間終わりです。」

あきらめないこと。夢に向かっていくその自分の思いを信じること。そして、その思いに沿って自分自身ががんばること・・・

「夢が実現できた時の自分の姿をイメージできる力。そしてその思いを継続する力」

「無駄な努力ではなしに、夢に向かうために必要な、今できることにしっかりと集中して取り組むこと」

このイメージ力とメンタル力を大切にしていくいき方が、がんばるということです。思いが深い人はきっとがんばれます。がんばれないというのは結局思いが浅かったということでしょう。覚えていますか・・・物事をしない言い訳はいっぱい出来ます。でも、言い訳だらけの人生なんて不様です。美しい人生は、志を持って、深い思いを持って、自分の思いを信じて生き抜くことではないでしょうか。

「夢のある生き方を歩もうではありませんか。」

◆ 『楽毅がっき』(宮城谷昌光著、新潮文庫、全4巻)
秦の始皇帝によって中国が統一される前のBC300年頃。小国中山(ちゅうざん)の宰相の嫡子として生まれた楽毅・・・彼は若いときに大国斉に3年留学し、大きな物事のとらえ方を得ます。動乱の時代、やがて中山国が趙に滅ぼされ・・・楽毅は生きて魏に移り王の家臣となり・・・さらに、燕の昭王が人材を求めていると聞いて、燕で仕官し・・・中国戦国時代の名将楽毅が苦難の戦いの中でどう活路を見出し、いかに自己の理想を追い求めたか、そして、何を残そうとしたのか・・・壮大なスケールの物語が一気に読めます。自分の精神性も高められるような物語。スポーツなどの戦いの中に生きる人にもぜひお薦めです。
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クラス通信 2008年9月30日

2008年09月30日 | クラス通信Ⅱ(A組高2~高3)
◆どんな大きな扇でも、小さな要があることで扇はその形を保つことができます。要をはずせばバラバラになってしまうのです。私たちは今、色々な価値観を学び、知識を吸収しています。様々な才能、才覚、情熱が色々な方向にまぶしく輝いています。
でも誠実という要が無かったら、その人生が真の結実にいたることは絶対にありません。
今の自分の心の中の「誠実」ということをしっかりと認識して歩んでいこう!

「人間は真剣になると、くだらないもの、浅はかなものは嫌になる。
本当に命のこもった尊いものとの出会いを求めるようになる。」

「人生で真剣勝負をしてきた人かどうか・・・
真剣勝負をしてきた人のみに通じるものがある。」

根本にあるのは「誠の心」、「誠実」ということではないでしょうか・・・


◆ 文化祭に向けて3年A組はジャズ喫茶「EAST BACK」をやります。
高校生活最後の文化祭です。「本気」でやろうではありませんか! 一人一人がクラスのために「誠実」にかかわっていくことで大きな力を生み出すと信じています。そして一人一人の心に深く残る文化祭になることを願っています・・・
私は1986年4月に高等部に勤めました。2年目から初めて担任をしました。一つ一つの行事をこなしていくのが精一杯でしたが、生徒は大人でした。未熟な担任をしっかりと支えてくれました。高2のクラスでは文化祭で模擬店をやろうということとなり、当時はやっていた、高級ディスコ~ウォーターフロント的なのりで内装を作りあげました。「EAST BACK」の看板がかかっていました。これが最初です。20年経ちました。
A組のメンバーがどんなものを創りあげてくれるのか・・・今から楽しみです!

 ――――予定――――
10/21(火)・10/24(金)・10/27(月)~11/2(日)
       内装作り・買出し・試食チェック
11/3(祝月)営業《調理・ウェイター・店頭販売・路上販売》
11/4(火) 片付け
*気持ちのよいクラスの協力をぜひお願いします。
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