美と知

 美術・教育・成長するということを考える
( by HIGASHIURA Tetsuya )

クラス通信 2012年1月23日

2012年01月23日 | クラス通信Ⅳ(A組高2~高3)
◆お別れの時が近づいてきました。
2年生A組として初めて君達と出会ってから約2年・・・あっという間の2年間だったように感じます。私から君達への最後のメッセージです。

これからの自分の人生の歩み、「思いやり」の心を持って「誠実」に、そして、しっかりとした「志」を持った生き方を見つけてください。

漫然とした人生の歩みの中では、いい出会いも、いい出来事も気づかぬうちに自分のそばを通り過ぎていきます。また、獲得した知識も能力も経験もそれでは十分に生かされません。
自分のためではなく、世の中のため、他人のために何かをやろうというのが「志」です。自分が生きていることによって、少しでも人のため、社会のためになっているという実感が持てることです。
一人でも多くの人が「志」をもって生きることによって、きっと社会は良くなっていきます。
 
 これからの人生の中で、大きな勝負をしなければならない時、大きな決断をしなければならない時がきっとやってきます。そんな時に次の言葉を思い出してください。

「けっして卑怯にならないこと。
ときには、不利とわかっていても、
正々堂々と進まなければならない道がある。」


この言葉は、私がこの高等部を卒業する時に、戦後の関西学院中学部・高等部を支えてこられた恩師から送っていただいた言葉です。以来35年の時が経ちました。
私は「志」という言葉を添えて、君達にこの言葉を送りたいと思います。
「志」を持っていれば、その進むべき道ははっきりと見えてきます。
男子校、関西学院高等部の精神として受け取ってください。
2年間ありがとう!
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クラス通信 2012年1月10日

2012年01月10日 | クラス通信Ⅳ(A組高2~高3)
◆新年明けましておめでとうございます。
新年を迎えて私は「3Aの諸君がそれぞれ自分の希望する人生をつかみとれますように・・・」と気持ちを新たに祈りました。高校生活の締めくくりです。それぞれに気持ちを引き締めていきましょう。
自分は何をやりたいのか、何をすべきなのかを意識して行動を起こすこと(自覚~自主)
→徹底的にそのことに取り組んだことによる能力の獲得(自信)
→社会の中で生活していける力(自活)
→社会の中で自分の考え方や、生き方に自信が持てる状態(自立)
→さまざまな束縛から解き放たれ、自ら思考したことが実現できる状態(自由)
今の自分の立ち位置が分かりますか? 二十歳前後に何をやって、何を考えたかがその後の人生を決めるといってもいいでしょう。 君の人生です。

◆高校の最後、まとまった読書をしませんか? 司馬遼太郎著『竜馬がゆく』(文春文庫、全8巻)は絶対に若い時に読んでおきたい本です。
小説として楽しめるのはもちろんですが、幕末の日本に生きた若者達のひたむきな思いとその姿が鮮明に描かれています。「薩長連合、大政奉還、あれァ、ぜんぶ竜馬一人がやったことさ」(勝海舟)。坂本竜馬は小さな藩の中にとどまって物事を考えていたのではダメだと考え脱藩します。浪人の身で、日本国民という意識を持って、大動乱期の幕末に大政奉還、薩長連合という大事をなしていきます。決してたやすい道ではなかったものの、竜馬とその同時代を生きた若者たちの志をもった姿があります。 竜馬は彼自身が構想した、大政奉還が上手く運んだ時の新政府の閣僚名簿に自分の名前は書きませんでした。西郷隆盛に「尊兄の名が見あたらんが、どぎゃンしもしたかの」とたずねられた時「おれは窮屈な役人がきらいでな・・・世界の海援隊でもやりましょうかな」 と応えます・・・ 
「この長い物語も、おわろうとしている。人は死ぬ。竜馬も死ななければならない。その死の原因がなんであったかは、この小説の主題とはなんのかかわりもない。筆者はこの小説を構想するにあたって、事をなす人間の条件というものを考えたかった。それを坂本竜馬という、田舎うまれの、地位も学問もなく、ただ一片の志のみをもっていた若者に求めた。」と語っています。そして「時代は旋回している。若者はその歴史の扉をその手で押し、そして未来へ押しあけた。」とこの長い小説は終わります。
京セラやKDDIを生み出した稲盛和夫氏がよく言われる「動機善なりや、私心なかりしか」という言葉が、坂本竜馬の生き様と重なりました。 今、社会が最も必要としているのは、お金で売買されない人、魂の奥底から真実な人、罪を罪と恐れずに言える人、正しいことのために立つ人…。どうか美しい「志」を持って未来に向かって歩もうではありませんか。
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クラス通信 2011年11月15日

2011年11月15日 | クラス通信Ⅳ(A組高2~高3)
◆現在、自己推薦書の作成が行なわれていますね!?

自己推薦書だけではなく、面接試験を受けるにあたっても

「何のために大学に進学するのか」
「将来どのようなことをして社会に貢献しようとしているのか」
「何故この大学・学部を選んだのか」

をキッチリと整理して自分の言葉で表現しておくことは大切です。

「高校生活を通じて特に注力してきたこと」
「本校で何を学んできたのか」(授業等学びの場面と、クラブ活動等の両面)
「自己のセールスポイントは何か」
「どんな本を読んできたか」(読書をしない教養人はありえません・・・)

今の大学は、専門家を育成するのが目的ではありません。専門能力、専門知識を身に着けた教養人を社会に送り出すことが目的です。そんな大学の思いと、自分の思いが大きくずれているようでは試験はうまくいきません。

基礎学力、教養、基礎体力・・・自分の今までをしっかり振り返りながら、何が大切なのかということをしっかりと見つめてください。

目先の目標、少し先の目標、遠い先の目標、夢・・・そんなことを紙に書いて視覚化していくのもいいでしょう。

ライフデザイン、キャリアデザイン・・・といわれる「デザイン」の本当の意味をしっかりと理解してください。

「デザイン」とは、たくさんある情報、選択肢の中から大切なもの、必要なものを見抜き、それ以外のものを捨てることです。本当に大切な物事の本質を活かし、構築するのが「デザイン」です。
資格を取ったりいろいろなものを付加していくのは「デコレーション」です。本質があってこそ「デコレーション」は活かされます。

本質を掴んだ歩みを心がけようではありませんか。
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クラス通信 2011年11月8日

2011年11月08日 | クラス通信Ⅳ(A組高2~高3)
◆ 高校最後の文化祭が終わりました。
映画製作、休日に準備や撮影で集まってくれました…
脚本のアイデア、素晴らしい演出をしてくれました…
授業の合間の短い時間を協力して撮影ができました…
個性が光る演技をしてくれました…
そして、素晴らしい編集をしてくれました。
3Aの気持ちがこもった作品に、文化祭最優秀賞受賞!!素晴らしい評価を受けました。
みんなの協力ありがとう!

◆授業もあと3週間です。お互いがそれぞれ高めあい、最後の学期を充実したものにしようではありませんか。さあ、一人一人が自分の道を選択決定する時が迫っています。

旅立ちの時です・・・誰のためでもない、自分の人生のために一生懸命考えてください。
そして、自分を一番大切に出来る生き方を選んでください。
自分はこうしたいという夢や思いが実現できるように高校生活の最後の瞬間までがんばろうではありませんか!!

「何事もあきらめたら、その瞬間終わりです。」

あきらめないこと。夢に向かっていくその自分の思いを信じること。そして、その思いに沿って自分自身ががんばること・・・

「夢が実現できた時の自分の姿をイメージできる力。そしてその思いを継続する力」

「無駄な努力ではなしに、夢に向かうために必要な、今できることにしっかりと集中して取り組むこと」

このイメージ力とメンタル力を大切にしていくいき方が、がんばるということです。
思いが深い人はきっとがんばれます。
がんばれないというのは結局思いが浅かったということでしょう。
覚えていますか・・・物事をしない言い訳はいっぱい出来ます・・・
でも、言い訳だらけの人生なんて不様です。
美しい人生は、志を持って、深い思いを持って、自分の思いを信じて生き抜くことです。

「夢のある生き方を歩もうではありませんか。」


◆『楽毅がっき』(宮城谷昌光著、新潮文庫、全4巻)

秦の始皇帝によって中国が統一される前のBC300年頃。小国中山(ちゅうざん)の宰相の嫡子として生まれた楽毅・・・彼は若いときに大国斉に留学し、大きな物事のとらえ方を得ます。動乱の時代、やがて中山国が趙に滅ぼされますが、楽毅は生きて魏に移り王の家臣となり、さらに、燕の昭王が人材を求めていると聞き、燕で仕官し・・・中国戦国時代の名将楽毅が苦難の人生の中でどう活路を見出し、いかに自己の理想を追い求めたか、そして、何を残そうとしたのか・・・壮大なスケールの物語が一気に読めます。自分の精神性も高められるような物語。
スポーツなどの戦いの中に生きる人にもぜひお薦めです。
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クラス通信 2011年10月4日

2011年10月04日 | クラス通信Ⅳ(A組高2~高3)
◆「リベラルアーツ」という言葉を聞いたことがありますか。
一般的に「教養」「教養科目」と理解されています。教養とはある一定量の知識のことを言うのではなく、この現代社会を構成するあらゆるモノゴトについて、何がどうなっているかという興味、探究心を持ち続ける力のことです。さらに言えば、人として「目に見えない崇高なるモノ」への畏敬の念をどれだけ深く持っているかということです。
目の前にあることでしか物事を考えられない人。広く周辺のモノにまで意識をもって、物事を深く、全体としてとらえることのできる人。
一緒に仕事をしたいのはどちらのタイプですか??

教養とは文化です。文化とは脳を耕し、脳を発展させることです。
今まで存在しなかったことが生み出される活性化した土壌が豊かな文化です。その文化を支え、生み出しているのは人間の理性と感情です。人間の「知・情・意」のバランスの中で文化・教養が形成されます。

現代社会の中で一人一人は社会から大きな影響を受け、その一人一人が現代社会に影響を及ぼし・・・という大きな循環の中に私たちはいます。大学とは、その大きな循環構造の中で人間がどう存在しているのか・・・ということを社会と関わりながら具体的に学ぶ場所です。大学生活の全てが人間としての学びとなります。モノゴトを広く深く受けとめる自分を創ってください。

脳と心を耕し、発展させるためには「読書」が必要です。
本をたくさん読んでいる人には、人間に厚みが伴います。本を読んでいない人の思考・言動は本をたくさん読んでいる人から見ればすぐにわかります。怖いぐらい人間が見透かされます。教養がある、ない・・・ということはそういうことです。読書による人間形成は一生続きます。どうぞ覚えておいてください。

今このことに気づく人と、気づかなかった人とは、10年後、20年後・・・に人間として大きな違いが生じています。関学、関西、日本、アジア、世界・・・と社会は何処までも拡がっていきます。物事を大きなスケールで深くとらえていこうではありませんか。
それが関西学院の目指す「世界市民」です。

「本を読め、友と交われ、汗をかけ」 私の尊敬する先生の言葉です。
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