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北川純のアートなお仕事

現在進行形作品の紹介から旧作品の制作裏話まで小出しにお話します。

『ジッパーTV』のたたり

2010年12月29日 | ジッパーアート

[アート作品集/ジッパーアート/ジッパーTV]

身近なものを布で覆ってジッパーによりちょっとあけてみるシリーズ。本物のジッパーを使ったはじめての作品である。

ほとんどブラウン管の画像はぼやけ、裂け目よりのみ鮮明な画像がのぞき見える。思ったよりシュールな映像で満足できる作品になった。作品になったテレビにしてみたら目の前はふさがれるし、熱はこもるし迷惑な話であったろう。

そのせいか、いつのころからTVは壊れ、私のうちには現在、TVが無い。もともとTVを見るたちではなかったのでほとんど支障はない。ここでほとんどといったのは少し支障があるのだ。     最近、K-popと称して「KARA」とか「少女時代」とかが雑誌やラジオを賑わしていて気になるのだが、私はまだ動く彼女らを見たことが無い。

由々しき問題である。


『ジッパーⅠ』保存決定!

2009年12月10日 | ジッパーアート
[現在のプロジェクト/ジッパーⅠ]

 昨日、東京都都庁から「北川さんの壁画が予定変更して保存されることになりました」と電話があった。

この作品は5年前ぐらいに都庁が企画したストリートアートペインティングという事業のもと制作されたものである。
今年の夏ぐらいに、都庁から老朽化を理由に「消す予定である。」と通知があった物件である。
この作品が結局消されることもなく保存されることになったというわけだ。

こうなったいきさつの理由を私は知っている。
私以外にもこの企画によって10人弱ぐらいの作家が壁画を制作したわけだが、そのうちの何人かの作家が消去されることを拒否したためだ。

私と言えば、消してもいいか電話があったとき、あっさり、「いいですよ。」と答えたのだ。たぶん作家の中でも一番即答タイプであったろうと推測する。

こう書くと、早く消してほしいと思っているのだろう、と思われるかもしれないが、そうではない。
この、「ジッパーⅠ」は割と世の中の認知度が高く、いまだに「この作品のことは知っている」という人によく会うし、メディアでの露出度も高い。

私の他の作品は、インスタレーション的なものが多いため現存するものは少ない。
その中にあって、壁画というものは長くそこに存在する。
私にとっても、名刺代わりになっている作品である。

では、なぜ、そんなにあっさりと世の中から削除されることを承諾したのであろうか。

たぶん、それは私の中に『形あるものはいつかなくなる。またそうであるからこそ美しい』という美意識があるためだろう。
所有者から望まれなくなったときがその作品の寿命であるとさえ思っている。

保存決定の電話があったとき「あっそうですか。」と他人事のように返事をしたことを覚えている。

しかし、やはり私は本音を言うと・・・うれしかった・・・。

ごねた作家にはお礼を言おうと思っている。

『ジッパーⅢ』その3

2009年09月23日 | ジッパーアート
[現在のプロジェクト/ジッパーⅢ]

 会期中、よく「どのように取り付けたのか?」と質問された。
多くの人は私が池の中に入り作業をしたと思ったようだ。(海パン一丁だろうか)

実際は始めにどうでもいいロープを両端に渡し、その後スタッフに一方をひっぱてもらい私が池にジッパーを送り込んでいくという方式で設置した。
だから私は水中に入ったわけではない。

しかし、会期中、藻が大量に付着しそれを掃除するためにボートにのってメンテ作業を行った。

池の周りを散歩していた子供が「僕も乗りたい・・」と叫んでいたが、これはアーティストのみの特権である。

作品の取り付けと称して、一般人の癖にこんな風にボートに乗ったり、巨大天井のゴンドラに乗ったり、・・・これが一番楽しい。
時に、これがやりたいがためにこんな変な作品を作っているのではないだろうかと思うことがある。

 作品撤去のときに、偶然「手伝いましょうか?」と声を掛けてくれたスタイルのいい女の子がいた。
私が間髪いれずに「じゃ 池のジッパーを撤去するから水着に着替えてきて」と伝えた。そしたら彼女「北川さんの創作エネルギーの源はそういうところから来るのですね」と軽くかわされてしまった。

創作エネルギーと言われても・・撤去なのにね・・。





『ジッパーⅢ』その2

2009年09月17日 | ジッパーアート
[現在のプロジェクト/ジッパーⅢ]

 これが全景。これだと逆によく見えないかもしれない。
池の中央を走っているのがジッパー。

 椿山荘から庭園を見下ろした風景で、チャペルとフォーシーズンズホテルが見える。

 私は、ここから見のがこの作品のベストビューポイントだと思う。
ジッパーの意味がよく分かるのである。
近くによるといったい何が展示してあるのかがよく分からなくなってしまう。

 これがこの作品の弱点である。

だから、私は人に作品を紹介するときはここに連れてきて「どうぞ」とやることにしていた。

紹介したある女性が言った「わぁ~ 馬鹿っぽい!」

それ以来、すっかりこの場所が気に入ってしまった私である。

『ジッパーⅢ』その1

2009年09月15日 | ジッパーアート
[現在のプロジェクト/ジッパーⅢ]

 椿山荘での展示会「真夏の夢」に出品した作品『ジッパーⅢ』である。
部分であるからよく分からないと思うが、椿山荘の日本庭園中央にある古池40メートルにこの作品を設置した。

イメージとしてはモーゼの十戒みたいにジッパーによって水が割れるようなカンジにならないかな~と思って作ってみた。

結果、ならなかった・・・・。

やはり、水の上にジッパーという設定自体無理があったようだ。
まあ、作る前からそんな気はしていたが・・・。

しかし、水の上という場所には興味があったし、この作品がジャパンタイムズにも大きく載ったし、椿山荘のカフェには「ジッパーⅢ」のケーキが販売されてたし・・。

とりあえず話題作りになったんではないだろうか。

『真夏の夢』無事終了!

2009年09月01日 | ジッパーアート
[現在のプロジェクト/真夏の夢]

 目白 椿山荘でのアートイベント「真夏の夢」が無事終了した。
私は忙しくなるとブログをする習慣というか心の余裕というのかが無くなってしまう。
もっとこまめに、几帳面に、みみっちく、おたくに、せっせと投稿できる性格だったらよかったのに・・・(ホントは思ってない)

ということで、リアルタイムではないが、次回からは「真夏の夢」の回想をつづっていきたいと思っている。

私の作品群。いつものように目立って好評だったが。やはり、売れない。
その謎をひとつ探ってみたい。

『ジッパーⅠ』音楽業界進出!?

2009年06月10日 | ジッパーアート
[アート作品集/その他のアート/ジッパーⅠ]

 何年か前、六本木トンネルにジッパーの壁画を描いた。

自分で言うのも変だがなかなかの傑作で、その後もアレを見た!といってくれる人がちらほらいる。

先日、ミュージシャンのマネージャーさんからTELがあり「會田茂一というミュージシャンが宣伝写真にこのジッパーを使いたいと言っているが使用して良いか?」という問い合わせがあった。

私はこのミュージシャンのことを知らなかったが即座に「いいですよ。」と返答した。みんなが楽しんでくれているようでうれしい。

後日、そのマネージャーさんから画像とか彼のHP等をいただいたが、その世界では有名な人らしい。私もよく知っているミュージシャンのプロデュース等も手がけているようだ。
會田茂一:http://www.aidagon.com/


ジッパーTシャツも販売しているので、「ここは一つ、彼の一言で木村カエラさんにでもに着てほしいものだ。」とファンとしては切に願っている。


『ジッパーⅡ』眼中に無し

2009年03月11日 | ジッパーアート
[アート作品集/その他のアート/ジッパーⅡ]
2008年5月 六本木住宅展示場

 ここは本来住宅展示場だが、近いうちに取り壊すというのでその前にここで美術展をやることになった。

私も始めて参加するグループ展で、一部屋に付き一作家が作品を展示するという方式だった。私はD棟の2階をあてがわれ、漠然と風船でも展示するのかな~と思っていたが、この部屋を見てひらめいた!

「・・・立体ジッパーが出来る!・・・」

そうなのだ、三年ほど前、私は六本木トンネルに巨大ジッパーの壁画を描いた。それはなかなか好評な作品であったが、そのアイデアに味をしめた私はその直後から「今度はこれの立体バージョンを作ってみたい」という衝動にかられていた。
しかし、なかなかそんなチャンスは訪れなかった。
なぜなら、立体にする以上、ジッパーを開けたところは穴が開いてその向こうが見えていないとリアリティーがないからだ。
世の中に、そう簡単に穴を開けさせてくれるところは無い。

それが、今回見つかったのだ。
そう、ここはこの展示が終わったら壊してしまうのだから、何をやってもよいのだ。

私の予感どうり、最高におもしろい作品となった。
みんなも目を丸くして見ていく。

とその時、スーツ姿の何人かがドヤドヤト入ってきて作品を真剣に見ている。その中の住宅展示場の社員らしき人が、この穴の中を指差しその他大勢にこの建物の構造を熱心に説明しているのだ。それが終わるとさっさと引き上げていった。・・作品については一切触れることなしに・・というかこれがよもや美術作品とは誰も思っていないようだった。

なるほど、アートなどというものよりよっぽど実用的である。

住宅メーカーの方々へ。おたくの住宅展示場にこの作品を設置する気はないだろうか? 価格は交渉に応じるつもりである。