「ベイロマンス カヤックス のフィロソファー156を改めて評価してみよう!」
今回はこのテーマで書いてみます。
実際にお目にした方は感じで頂けたと思いますが、このカヤックはとにかく船側の高さが際立って目立ちます。
試乗会で他のカヤックと並んでみるとその違いが歴然です。
そして誰もが最初に思う事。
「風の影響を受けやすそう」
全長4.76mでこの船側幅だと当然そう思う事でしょう。
ところが!です。
実際に風に吹かれてみると予想を裏切る結果に驚くのです!
それは何故?
それは、
水面下の船底形状が艇の横流れを抑える働きをするからです。
略図で説明します。
手描きでスミマセン
通常シットオンカヤックは一次安定性を重視する為フラットに近い船底形状を有しています。
※一次安定性→水上で静止している時の安定性
これらのカヤックは横風の影響をなるべく受けないようにデッキも低く作ってあります。
なぜなら、フラットな船底形状は横方向に動き易いからです。
フィロソファー156の場合。
船底形状はV字。一次安定性は上記のシットオンに劣りますが、波間での安定性が良く、保進性が良いのが特徴です。
※一般的に二次安定性が良いと表現します。
そして風に吹かれた場合、水面上が受ける風抵抗は当然大きくなりますが、水面下の張り出しが横方向の動きを抑える働きをします。
結果的には通常のシットオンと大差ないレベルになります。
となると、船側は高い方が良いのでは?
と思うのですが、あくまで船底形状との相互関係が重要です。
更に船側が高い事によるメリットは2つあります。
メリット①
デッキへの波の侵入防止。
カヤックは濡れて当たり前の乗り物ですが、なるべくなら濡れたくないと思うのが本心ではないでしょうか。
少なくとも自分はそう思いました。
バウデッキ先端の高さは水面から約30cm、キールラインからは実に40cmあります。
よほどの事がない限り、波を被る事はありません。
万が一、バウが波を被ったとしても、座面位置までは距離がある為、流れる間に勢いを失いセルフベイラーから排出されます。
セルフベイラーホールは4ヶ所ありますので排水能力も十分です。
サイドからの波に対しても十分な高さで侵入を防ぎます。
また、デッキ内も床面からの高さが最大で20cmあるので、守られてる感(笑)十分です(*^^*)
メリット②
再乗艇のし易さ。
これは安全面からしてとても重要な要素です。
フィロソファー156は他のシットオン同様不沈構造です。万が一転覆した場合でもよほど沈んでしまう事はありません。
そしてここでも船側の高さが役に立ちます。
カヤックの断面形状を見て頂くと分かりやすいです。
まずは通常のシットオンカヤック。
横幅が広くサイド面の高さは抑えてあり、断面形状は長方形に近いです。
そしてフィロソファー156。
サイド面の高さがあり、どちらかと言うと正方形に近い断面形状です。
これが水面上に浮いていると思って下さい。
そして転がしてみます。
イメージ出来たでしょうか。
フィロソファー156の転がしやすさ(再乗艇でのおこし易さ)がご理解頂けたと思います。
更に、デッキへと乗り込む際にはサイド面が下になり安定しますので、慌てる事なく落ち着いて乗り込む事が出来ます。
補足
上記の様に回転し易い事はご理解頂けたと思いますが、これは転覆し易い?とも取れます。しかし、後に記述しますがデッキ幅は十分確保してあり転覆しにくくなっております(^-^)/
以上、
船側の高さからは上記のような特徴を持っています。
次に船底形状について。
フィロソファー156はデータ上の最大幅は760mmです。
コレはデッキの最大幅であって、水面に接している船体幅とは異なります。
水面上の幅は、実際には600mmほどしかありません。
シーカヤックを乗られた事がある人が、フィロソファー156に乗ると、皆一様にシーカヤックの乗り味に近いと感じるそうです。
これは、喫水から下の船底形状がほとんどシーカヤック(~16ftクラス)と同等のスペックだからです。
見た目はどデカイシットオンですが、航行性能はシーカヤックなのです。
なので当然リーンも可能となり、乗りこなせる様になれば、かなり小回りが利くカヤックになります。
GW試乗時のレインボー代表中谷さん
ご覧の様に、ガンネル付近までの船底面をフル活用できれば、とても面白い動きをしてくれます(*^^*)
見た目繋がりで、特徴をもう一つ。
フィロソファー156はバウからスタンまで仕切りが存在しないオープンデッキスタイルを採用しています。
その意図は、オーナーさんが自ら自由にアレンジ出来る様にとの思いからです。
釣りで使用する場合、クーラーBOXはシート後方だけでなく、前方にも置く事が出来ます。
前方にシートを追加すれば、2人乗りだって可能です。
シーカヤックなどでのツアーでは、頼れる荷物係にもなる事でしょう。
更にもう一つ。
コレは釣りに最適な装備です♪
デッキ中央には、なんとイケスを装備しています!
そのサイズは
高さ150×幅200×長さ1100!
※画像はバッテリーBOX仕様です。
イケスの底面に貫通プラグがあり、プラグを外して注水しイケスとして使用します。
栓をした状態では物入れとして使用できます。
そして、このイケスはある意味バラスト(重し)の役目も果たします。
例えば、体重の軽い方が漕ぐ場合、カヤックが十分に沈まずフラつきが気になるかと思います。
そんな時はイケスに注水する事で艇を安定させる事も可能になります。
追記2015/12
イケス仕様変更のお知らせ~
現在生産しているフィロソファーのセンターコンソールはこちらです。
一体のハッチを魚探スペースとイケス用にセパレート☆
統一感のあるデザインに変更し、更に使いやすくなっています。
その他仕様変更、オプション情報は最新記事でご確認下さい☆
以上。
今回はフィロソファー156の特徴を一挙にご紹介する形となりましたが、いかがだったでしょうか。
ちなみに今回の艇はパドリング限定仕様のフィロソファー156です。
後にお披露目する予定の足漕ぎ艇は、基本的に同じ性能ですが、また違ったアレンジが加わる事になりますので、追ってご紹介したいと思います。
長くなりましたが、最後に。
当初から足漕ぎ艇の完成を目指して製作してきましたが、製作していくに連れ、万が一の事態にはパドリングスキルが欠かせないと思う様になり、せめてパドリングでも充分な性能を持つようにと現在の形に辿り着いた次第です。
足漕ぎ機構(ペダルユニット)はオプションとして後からでも取り付けが可能です。
※パドリング限定仕様は不可。
まずはパドリングで楽しんでもらえたら製作者としてとても嬉しく思います♪
パドリングスキルの向上は、ただ単に速く漕ぐ為だけではなく、カヤックを自由に操る事も可能にします。
そして何より安全なカヤッキングには欠かせない要素です。
この事はツーリングに限らず、カヤックフィッシングにおいても例外ではなく、延いては釣果にも現れてくるのではないかと思います。
フィロソファー156はそんな方々にとって良き相棒になると確信しています。
またまた長くなってしまいました(汗
ではこの辺で終わりにします
追記
現在、フィロソファー156は細々とした不具合の改修&改良を行っております。
パドリング限定仕様は来月末(2015年7月末)、足漕ぎ対応艇は再来月初旬(2015年8月初旬)、オプションのペダルユニットは再来月末(2015年8月末)市場投入予定です。
販売に関しては各地のカヤックショップさんを通じて行って頂く形になりますので、取り扱いの有無、価格等のお問い合わせは最寄りのショップさんへお願いします(^-^)/