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2005年09月02日  |  特別寄稿:団藤保晴
 

団藤保晴『ブログ選挙!? 実力のほどをわきまえて謙虚に』

特別寄稿第三弾は、全国紙記者で「ブログ時評」を書く団藤保晴氏。団藤氏は、1988年からネットの世界とかかわり、現在までネット社会の変遷を見続けています。ブログのほか、コラム「インターネットで読み解く!」、総合誌「世界」などへの寄稿など幅広く論評活動を行っています。黎明期から日本のネットを見守ってきた団藤氏は、今回の「ブログと選挙」騒動をどう見ているのでしょうか。

今回の特集の趣旨を理解していただき、「ブログ時評」から関連するエントリーを転載するという形で寄稿していただきました。



ブログ選挙!? 実力のほどをわきまえて謙虚に

特別寄稿 by 団藤保晴(ブログ時評)


 自民党の幹事長がメルマガやブログの作者を招いて懇談した初物現象も加わってか、「ブログ選挙」という言葉が一人歩きを始めようとしています。ブログの隆盛期とぶつかった総選挙に何らかの影響をもたらすはずですが、ブログの実力はまだ、たかが知れていることをデータで示し、ブロガー側が磨かねばならない課題を指摘したいと思います。

■ 簡単なブログ伝播力の測定結果

 ブロガーの皆さんからも秀作推薦を募り、200編以上のブログ記事を読んで書いた「小泉郵政解散へ賛成論と反対論まとめ [ブログ時評32]」は多くのウェブやブログから好意的な評価をいただきました。例えば「はてなブックマーク」で「このエントリーをブックマークしているユーザー 」の数は50は超えていたようです。

 私の持つ二つのサイト「インターネットで読み解く!」「ブログ時評」とで8月21日から公開、その後5日間にどれくらい、この「まとめ」にアクセスがあったか集計すると約2万件です。メルマガで配信した約14000部はこれには含みません。

 では2万件のうちブログを経由しきたアクセスはどれくらいでしょうか。「はてなブックマーク」関係やRSSリーダー経由と思われるものを加え、最大に見積もって4000件にしかならないのです。残りの圧倒的多数は個人ニュースサイトと呼ばれるところ経由です。今回の大所は「TBN」「かーずSP」で、前者が3500件、後者が2000件くらい。さらに多数の個人ニュースサイトが参加して例の「津波アクセス」が起きました。

 ブログ上の総選挙をめぐる議論は傍目にはとても盛り上がっているように見えますが、ブログの情報伝播力を客観的に評価すれば、まだ、この程度の力しかありません。あちこちのブログでオススメにしてもらっていても、ブログによるリンクの力は弱いのです。おそらく時事・論壇系のブログに出入りする人口は大した規模でないのでしょう。一方、1日に何万件もアクセスがある個人ニュースサイトはそれぞれに趣味系の強力な売りモノを持っていて、そこに来る人たちの1、2割が時事系の話題に反応する構図になっています。世論に影響を与えるとまでは言わないにせよ、「ブログ選挙スタート」と胸を張るためには、国内で先発しているネットパワー、メルマガや個人ニュースサイトの力を借りざるを得ないと思います。

■ 視野狭窄と知的衰弱から脱皮を

 今回の「まとめ」を書こうと思いついたのは、個々のブログが先鋭であればあるほど視野狭窄に陥る可能性が高いと見たからです。訪問してくる熱心なファンと一緒になって盛り上がってくると、批判的なコメントを残す人に「そんなのは○○派のブログに行ってやれ」と罵声を浴びせる有様にもなっています。解散総選挙となれば論点は非常に多岐になります。どれかを語ったから済むはずもありません。具体的に多くの論点を見てもらうのが一番です。

 私の企画に対して異論もありました。「はてなブックマーク」の多数支持エントリーを集めたら、自然に優れた賛否両論が集まるさ、と楽観的に言われる方がありましたが、すぐに無理と気づかれたようです。賛否のバランスが崩れているし、人気エントリーが質的にも高いとは限らないのは、ちょっと読めば見て取れます。適当なハブサイトが自然に生まれる状況でもありませんでしたし、手間を承知で私の鑑識眼で読み集めるしか無いと判断しました。

 劇場型の「わかりやすさ」に流れる現状では、論点が多い記事を読むのはとても辛いようです。優れた意見も並列でずらりと並べられたのでは、読むのがしんどいのです。今回の「まとめ」について「頭が煮えている私にはちょうど良い」と、どなたかが評されていたように、各要素がどう関連しているのか見えるようにストーリー仕立てになっています。これで必要な視野を確保して各論に踏み込んでいただきたい、というのが私の希望です。既に突っ込んだ各論があちこちで展開され始めています。選挙の裏話的なものに突き進みがちなメディア報道より、しっかりした分析が読めます。この際、広く見渡して勉強しましょう。敢えて申し上げておきます。一言で言える結論しか見えていない知的衰弱が、大盛況のブログにもあると。

(2005年9月2日)


■ PROFILE

団藤保晴
(だんどう やすはる)
全国紙記者。1988年のパソコン通信ネットワーク『Science Net』に参加して以来、電子メディアと積極的に関わる。1997年にINTERNET WATCHでスタートした連載『インターネットで読み解く!』(その後、独立してメールマガジンに)、そして2004年にスタートした「ブログ時評」では、専門分野のサイエンス・リポートに加え、政治・経済、社会問題、文化・スポーツなどの分野をカバー。ブログからメールマガジン、個人ニュースサイトといったネット・ジャーナリズムと、既成メディアとを横断する太い橋を架けるプロジェクトを展開している。

「ブログ時評」
http://dando.exblog.jp/


(gooニュース)

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2005年08月31日  |  特別寄稿:泉 あい
 

泉 あい 特別寄稿!『元OLブロガー自民党本部で取材する ~後編~』

■ その時はやってきた 

台風の中、自民党本部に着くなり、とにかく参加者の方を味方にしておかなくちゃと名刺の交換をせがみました。いただく名刺のほとんどに『代表取締役』とあり、改めて自分が場違いな場所にいると感じたのですが、自分に「ビビるな。みんな同じ人間じゃないか」と言い聞かせてみる。

その後も参加者同士で交流を深めているところへ、武部幹事長と世耕広報本部長代理のご登場。武部幹事長って毎日のようにテレビで見てますけど、たぬきとダブっちゃうんです。私は子供の頃から、勝手に人にあだ名をつけてしまう癖があって、武部幹事長のことを密かに「ぽこどん」と呼んでいます。(内緒)

懇談会で実際に会った武部幹事長に先ず思ったのは、「生ぽこどん、顔でかっ!!」そしてやっぱり、どうしてもたぬきとダブっちゃう。「これで本当に海千山千の世界を生きて来た人なのか?」と思ってしまうほどかわいらしいおじさまでした。

質疑応答がはじまって、最初の質問がインターネットと選挙がテーマだったのですが、質問が終了し、武部幹事長の話す番が来たのに、「へっへ・・・ヘヘヘヘヘ~へへ」

いきなり、笑ってごまかそうとしている期待通りのナイスな対応に、「流石ぽこどん、恐るべし!」

その後の答えも、テーマとはかけ離れた内容で、「なんだって~? どういうこと~?」とさっぱりわからない。目玉だけ動かして回りをうかがうと、みんな大真面目な顔して聞いています。「みんなぁ、ぽこどんの言ってることわかるの?」という心境。

そんな細かいことにはこだわらない大きな意見を述べる幹事長のフォローをするのが、世耕広報本部長代理の仕事です。早口で的確にしゃべりまくる世耕広報本部長代理の言葉を理解しようと必死に見つめていたら、『ケーキ屋ケンちゃん』『おもちゃ屋ケンちゃん』の宮脇さんに見えてきて、いけないと思いつつ私の中で世耕広報本部長代理はすっかり「ケンちゃん」になっています。(肩書き長いし)

「ケンちゃん大変だね」と思うシーンはいくつもありましたが、流石の世耕広報本部長代理もフォローできなかったのは、郵政民営化のメリットデメリットの話題の時。質問してくださった方へは「でかした!」という思いです。

物事には何にでもメリットとデメリットがあって当然だと思って日々取材をしているので、メリットばかりを言うのって逆に怪しいと考えてしまうのですが、武部幹事長は、はっきりと「デメリットはないです」と言いきりました。「ぽこどん、言ってしまいましたね・・・」と思いつつ、世耕広報本部長代理がどんなフォローをするのか楽しみにしていたのですが、一言もありませんでした。

その後、「党内での議論をもっと国民に見せて欲しい。逆に国民の声を聞くシステムを考えてはいないのか」など、インターネット上で活躍している人らしい質問が出ていました。答えを聞いて、政治家は夜に赤坂にばかりいるのではなく、朝一番から党の会議室に入って議論していることを知り、少し政治家に対するイメージも変わったと思います。(ぽこどんが議論しているところを見てみたい)

天下の自民党には、こんな多彩なキャラクターのおじさんたちがいましたが、自民党だけではなく、選挙の取材で他の政党の政治家ともお会いして、難しい政策論争をしている政治家も、実は威張った嫌な奴なんかじゃなく、普通の人なのだと知り、今までよりも政治を身近なものと感じられるようになりました。

■ 草の根ジャーナリズム

政治と言えども、それを動かすのは人。

人柄だけで国を動かすことはできないという声が聞こえてきそうですが、その人の打ち出す政策を真剣に聞こうと思うかどうかは、やはりその人のルックスや人柄によるものが大きいと思います。

本来それを伝え、国民が政治を身近なものだと感じ、考えるきっかけ作りをするのはメディアの仕事ではなかったでしょうか。ところが、そのメディアが政治家や政治を高いところへ担ぎ上げて、一般の人からかけ離れたものとしている。それは、メディアの目線が一般の人の場所まで下りて来ていないからではないかと思えてならないのです。現に、今回の懇談会で威圧感を放っていたのは、政治家ではなくメディアの人たちでした。退室した後も、ガラスの壁に張り付いて中の会話に聞き耳を立てる必死な姿は、見習うべきものだと思いますが、どうも一段高い所から見下ろされているような気がして仕方がなかったです。

だからこそ、インターネット上で語られる多くの言葉に私は注目しています。なぜならその声は、普通の人の声だから。私と同じように、どこかに生きているということを実感させてくれる、生の声だからです。

私を含めて、インターネット上で活動しているブロガーと呼ばれる人たちは、まだまだ無力です。自民党の懇談会に呼ばれたからと言ったって、実際のところは党の宣伝に利用されただけかもしれません。でも、私たちはブログを使って、誰にも遠慮することなく対等に、24時間いつでも好きな時に議論し合えます。その議論の影響力を少なくとも自民党は認めてくれたのだと信じたいのです。

「泉 あいの情報なら信用できる」

いつかそう言ってもらえるようになりたい。それを目指して明日も取材に走るんだ!!

取材経験ゼロだった普通の元OLが自民党の本部へ堂々と入ることができたのは、インターネットのお陰。私には分析力はありません。でも、インターネットの世界に存在している、いろいろな分野の専門知識を持った人たち、分析することに長けた人たち、特定のテーマについて真剣に考えたり動いたりしている人たちに議論してもらうことで、初めて私の一次情報が生きてきます。実は、その議論こそが日本の多様な社会に適した草の根ジャーナリスムじゃないの? と考えていたりもします。

インターネットで、既存メディアとは違う、普通の人が身近に語ることのできる草の根ジャーナリズムを実現できる日が来るのは、そう遠くはない。自民党本部で私はそう感じました。

完 (2005年8月30日)


■ PROFILE

泉 あい

山口県出身。音楽講師を7年勤めた後、結婚のため上京。主婦をしながらOLとして働いていたが、2001年DVにより結婚生活は崩壊。同年、新しいスタートを切ろうとした矢先に乳がんを宣告される。読者とともに歩むルポライターを目指して、2005年1月「GripBlog ~私がみた事実~」を開設。ブログ・インターネットを拠点として、取材活動を行っている。

「GripBlog ~私がみた事実~」
http://www.surusuru.com/news/


(gooニュース)

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2005年08月30日  |  特別寄稿:泉 あい
 

泉 あい 特別寄稿!『元OLブロガー自民党本部で取材する ~前編~』

特別寄稿第二弾は、ブログ上で文章を発表しながら、ルポライターを目指して積極的に活動している元OLの泉あいさん。現在ブログ界で最も注目されているジャーナリストの卵です。記者経験のない「普通のブロガー」である泉さんが、政治家への単独インタビューを次々と実現させ、つい先日開かれた自民党による「懇談会」にも出席するという快挙を成し遂げています。

既存メディアの独壇場だった従来の政治報道のあり方を「ぶち壊す」泉さんに、gooニュースが初の「寄稿」を依頼。プロのライターとしてデビューした泉さんが書く、ルポライターへの道や執念の取材風景、そして懇談会の模様とは。



元OLブロガー自民党本部で取材する

特別寄稿 by 泉 あい(Grip Blog)


■ OLからブログジャーナリストに

私、泉 あいと申します。38歳8カ月の♀です。名前を聞いても「お前誰や?」とお思いのことでしょう。実は「Grip Blog」というブログをやっているおばちゃんです。ブログというツールを使って、ルポライターを目指しています。総選挙や記者クラブの問題を取材していて、巷で噂になっている「メルマガ/ブログ作者と自民党幹部との懇談会」にも出席しました。普通のおばちゃんが、どうして自民党の本部へ入れて、それも幹事長へ会うことができるようになったのか・・・これは、ほんとうにインターネットのお陰です。

依頼原稿は初めてなので、ドキドキしながら書いていますが、興味がある方はお付き合いください。

20世紀、私は普通に主婦をしながらOLをしていました。21世紀になった早々、主人ともめて4月に家出。5月に部屋を借り、6月にパソコンを購入。「これからインターネットで何かはじめようかしら♪」と考えていた矢先の9月に、いきなりの乳ガン宣告。

2001年の9月と言えば、社会情勢を大きく揺るがす出来事、あの9・11が起こった時でもあります。世の中が大きく流れていく中、私は病院のベッドと自宅のベッドと診察室、治療室だけを行ったり来たり。治療中は友人に会うことも避け、することといったら、リハビリと本を読むこととテレビを見ること。多くの情報に囲まれながら、命について、自分が今まで歩いてきた道について、考え込む日々が続きました。

ガンの治療は終えたものの、シングルという立場でガンの再発の不安と闘う日々がはじまります。夜、部屋の隅っこにうずくまって涙することも・・・。でもインターネットであちこちのページを見ていたら、きっと同じような気持ちの人がいるはずだと感じるようになりました。「自分だけじゃないと思えることができれば、楽になるんじゃない?」と、会社へ行って働いて、帰宅して闘病記を書くという生活を続けました。

病気になるまでは、ファッションや彼氏や音楽のことしか頭になかった私が、闘病記を書くことによって世の中には頑張っている人がいっぱいいるってことに気づいたんです。

昼間、友人の前で笑って見せれば見せるほど、家に帰ったひとりの夜が怖くなる。でも、頑張っている人がいると思えば、「自分だって」と思える。他人を見ることで自分の可能性も見えてくる。私も、頑張っている人を探し出して、たくさんの人へ伝える仕事がしたい!

なが~くなりましたが、それがOLを辞めて「Grip Blog」をスタートさせることになった原点です。

記者としてもライターとしても経験はゼロなので、何をどうすりゃいいのかさっぱりわからん。でも、ブログという情報を発信するためのツールを手に入れた。それに、インターネット上にはあらゆる専門家が山ほどいます。私はその方たちに語りかけ、指導していただくことで、ここまで育てていただきました。

■ 取材の日々

最初の取材は、中越地震。被災者のところへいきなり取材に行ったんです。その行動を知っていちばん驚いたのは、私の家族でしたね。「人間、大きな病気をすると変わるんじゃね(山口弁)」

行ってみると、長岡は大雪で寒かったけど、仮設住宅に住む山古志の人たちの心は温かでした。未経験の私が取材できたのは、山古志の方々から勇気や力をもらったお陰だと感謝しています。暖かくなったらまた来ますと言ったのに、もう夏も終りそう・・・。山古志や小千谷の皆さ~ん、お元気ですかぁ?

ブログを始めてから初めての今年の夏、私は記者クラブの取材に時間を費やしていました。そんな中で、参議院の否決というニュースを聞き、私は人知れず拳を握り締めました。「お膳立てはして差し上げました。やれるもんならやってみろ」そう何かがささやいた気がしたんです。今度の選挙はネットジャーナリズムを変える大きなチャンスだと信じて、取材をしようと心に決めました。

各政党のトップへ単独インタビューのお願いの企画書を提出し、毎日のように電話をかけました。もちろん、自民党へも総裁の小泉さんへこだわってお願いしました。でも(と言うかやはり)答えはNO。総裁であって総理であるわけですから、当然と言えば当然です。

ところが、その断わりの理由が、「忙しい」なら納得できる。でも「記者クラブが・・・」では、黙っていられません。私の取材を受ければ「なぜ泉だけ。うちも」と各社が言い出し収拾がつかないということらしいのですが、大手メディアには官邸の記者クラブがあるじゃない。今から記者クラブへ入れてもらえるように手続きしようたって公示日までという短期決戦で、時間がない。直接お願いするしかないんです。

たまたま担当者が優しそうな方だったので「既得権益を守ろうとする役所天国を許さないと言っている自民党が、記者クラブの既得権益に屈するのはおかしい」と言ってみつつ、「メルマガを発行した日本で最初の総理」というヨイショも忘れません。結果、「1時間後に必ず連絡します」と言われ、自民党を悩ませた挙句、「幹事長がブロガーを集めた懇談会を開きますが、それに出席なさいますか」となったわけです。

早速、私のブログ「Grip Blog」で懇談会が開かれることを告知し、そこでの質問を募集しました。人気の高いブログに紹介していただいたお陰で、ものすごい反響でした。一時サーバーがダウンするほどの勢いで、パソコンの前で呆然とするほど驚いて、数分は動けなくなってしまったくらい。「こりゃ大変だ!」

自分から質問の募集をかけておいて、懇談会で質問できなかったらえらいこっちゃやがな・・・。しかも、相手は海千山千の政治家。不利になる質問は煙に巻かれる可能性があります。ごまかされない質問を考えなくっちゃと、前夜は必死でした。

質問の中には「おいおい、単独インタビューじゃないんだから」と突っ込みたくなるものもありましたが、それだけみんな自民党へ言いたいことがあるってことなんですよね。その想いを無駄にしてはならないというプレッシャーが、汗となり震えとなって・・・。

後編につづく


■ PROFILE

泉 あい

山口県出身。音楽講師を7年勤めた後、結婚のため上京。主婦をしながらOLとして働いていたが、2001年DVにより結婚生活は崩壊。同年、新しいスタートを切ろうとした矢先に乳がんを宣告される。読者とともに歩むルポライターを目指して、2005年1月「GripBlog ~私がみた事実~」を開設。ブログ・インターネットを拠点として、取材活動を行っている。

「GripBlog ~私がみた事実~」
http://www.surusuru.com/news/


(gooニュース)

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2005年08月30日  |  お知らせ
 

公示にともなうリニューアルのお知らせ~「ブログ(ネット)選挙」を総力特集します!~

このブログでは、読者の皆さまにさまざまなテーマに沿って意見交換していただきました。たくさんの貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました。

さて、8月30日の衆議院選挙の公示にともない、当ブログはリニューアルを行います。タイトルを「緊急ブログアンケート!!」から「衆議院選挙2005 ブログ選挙ポータル」に変更し、これからの選挙期間中、そして選挙後しばらくの間、「ブログ(ネット)と選挙」という切り口で、識者のインタビューや注目ブロガーによる寄稿をブログメディアとしてお送りします。

ブログやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が本格的に普及して初めての選挙となった今回の衆議院選挙。ブロガーと政党幹部による懇談会が開かれたり、企業家によるネットを使った「投票へ行こう」の呼びかけなど、これまでの選挙以上にブログやネットが注目されています。

すでに掲載しているR30氏の特別寄稿「ブログは選挙マーケティングの何を変えたか」に加え、ジャーナリズムとブログ、世論への影響力、ネットと公選法の関係といった視点から、ジャーナリストの佐々木俊尚氏、弁護士の小倉秀夫氏などの執筆陣が今回の選挙を語るなど、インターネットポータルサイトgooのニュース・ブログチームならではの新企画を展開してまいります。また、選挙後には、「ブログ(ネット)選挙」を振り返るシンポジウムの開催も計画しています。

なお、公示を受け、投票は全て終了いたします。多くの方に投票に参加していただき、誠にありがとうございました。また、選挙期間中は公職選挙法の観点から、コメントの投稿をすべてストップさせていただきます。ご理解いただければ幸いです。

また、トラックバックは引き続き大歓迎です。ご活用ください。ただし特定の候補者・政党の支援、または中傷にあたるようなトラックバックは削除させていただく場合があります。あわせてご了承ください。

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2005年08月29日  |  特別寄稿:R30
 

R30 特別寄稿!『ブログは選挙マーケティングの何を変えたか ~後編~』

 ■ 「レッテル貼り」という最強のポジショニングを生かす戦略

  僕のブログの以前のエントリでも書いたように、今回の総選挙における小泉首相の基本戦略とは、「自民党=郵政民営化=改革派、それ以外=民営化反対=守旧派」という、小選挙区選挙制度で最も有効な選挙戦略、つまり「正しい奴とそれ以外」という、誰にでも分かる強烈なレッテル貼りである。そして、このレッテル貼りの罠に自民党内反小泉派と民主党をいっぺんにはめたという意味で、「ポジショニング」は見事な成功を収めた。ここまではおそらく、小泉首相の天性の政治センスのなせる技だろう。

 だが、ポジショニングだけでは「政権交代」というキーワードでマスコミを味方につける民主党に対していつまでも圧倒的優位には立てない。「レッテル貼り」の戦略を成功させるためには、人々の注意をそのレッテル以外に逸らせてはいけないからだ。そのレッテルに賛成だろうが反対だろうが、人々がそのレッテルの賛否について考え、議論し続けてくれるように誘導することこそが、まさに自民党のコミュニケーション戦略の成否の要なのである。

  自民党の武部-安倍-世耕のラインは、小泉首相が打ち立てたこの圧倒的優位なポジショニングをいかに徹底的に有効に活用しきるか知恵を絞っているに違いない。仮に、8月8日の解散から9月10日の投票日前日までの選挙戦の期間を、大まかに10日ずつ3期間に区切ってみよう。

  • 8月9日~8月19日(初期) 造反議員に対する対立候補を数回に分けて発表し、候補者の品定めをさせて自民党に注意を引きつけ続ける
  • 8月20日~8月29日(中期) 各党の政権公約が発表になるのにあわせて郵政民営化の政策論争を挑み、民主党のあいまいさをこき下ろす
  • 8月30日~9月10日(後期) ????

 さて、問題はこれからだ。  候補者の品定めも終わり、郵政論争にも飽きたマスコミは、確実に自民党のメディア露出を抑えて論点を拡散させ、靖国や北朝鮮、増税、子育て支援、年金など面倒な話にネタを振り、自民党のエッジの利いたポジショニングの魅力を低下させようとする。コミュニケーション戦略のプロである世耕議員は、当然これらの対策をあれこれ検討していることだろう。後半戦の各党の出方が見物である。

 ■ 「良い商品が必ずしも売れる商品とは限らない」

 8月25日のブロガーを集めた会見、そしてその後も続くネットメディアへの働きかけが今回の選挙でどう効果を及ぼすのかは見えづらい。だが中長期的に見れば、ブログあるいはネットメディアが(政治的な)コミュニケーション・チャネルの重要な1つと位置づけられたことで、ネットを利用する選挙マーケティングに2つの新しい法則が生まれることになるだろう。

  • 世論への間接的な影響に注意を払う:自民党の一部が、ブロガーと直接つながる可能性が示唆されたことで、マスメディアがネットを「ネタ元」として参照することが増えるだろう。具体的には、、梅田望夫氏が書いているように、マスメディアがネットメディアの醸し出す雰囲気やそこで交わされた議論をまとめて紹介するという「後追い」の傾向がますます強まる。それは、参加者が少数かつディープだからといって、ブロガーが交わす政策論議や政治批評などを、政党や政府が放置できないことを意味する。
  • 政策的意思決定のサイクルを短期化する:年月の単位で政策を固め、組織としての意思決定を下してから選挙に打って出るというタクトの政治が成り立たなくなりつつある。マスコミの番記者たちはそれでも許してくれるかもしれないが、ブログやネットメディアのタクトは1日、あるいは数時間である。このタクトで戦略的意思決定が下せないと、ネットを活かしての選挙は戦えないということになるだろう。

 これらの傾向は公選法などとの絡みもあり、いずれも今すぐ始まることではないかもしれないが、次以降の選挙ではますます強くなるだろうということは言えると思う。

  ただ注意しておきたいのは、2003年以降の政策プロセスにおいて変わったのはあくまで「商品をどう位置づけるか(ポジショニング)」と「それをどう伝えるか(コミュニケーション・ミックス)」という2つの部分だけであって、「どのように政策を形成し、法案としてまとめていくか」といった根本的なプロセスは、自民・民主両党ともまだ手探り状態だということだ。

 特に自民党は、小泉首相の個人的爆破力で従来の支持団体を通じた政策集約プロセスを「ぶっ壊した」に過ぎないのであり、その後どのようにして党としての政策を集約していくのかというシステムのビジョンはまだ持っていないのではないだろうか。某電機メーカーの「破壊と創造」という標語に倣って言えば、「創造」の方にはまだ手が着いていないように思う。

  ここ数年、民主党のマーケティング戦略が大成功を収め、「マニフェスト」が選挙のたびにキーワードとなってきた。が、どうも民主党はそのキーワードに寄りかかりすぎ、敵の闇討ちに油断していたのではないだろうか。今回の総選挙は、「良い商品が必ずしも売れる商品とは限らない、そして逆もまた真なり」というマーケティングの金言を、改めて世の中の人に思い知らせるものになるような気がしてならない。

完 (2005年8月29日)


■ PROFILE
関西生まれの30代男性。大手経済誌記者としてマーケティング分野を中心にさまざまな業界・企業を取材したのち、2004年末に記者を辞め、サービス企業に転職。「R30」のペンネームで、マーケティング的見地からビジネスや社会事象の評論を行う趣味のブログ「マーケティング社会時評」を更新中。ブログ界で高い注目度と影響力を持つ。将来の夢は専業主夫。

R30::マーケティング社会時評 http://shinta.tea-nifty.com/nikki/



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2005年08月28日  |  特別寄稿:R30
 

R30 特別寄稿!『ブログは選挙マーケティングの何を変えたか ~中編~』

■ 「広告」から「広報」へ、自民党のコペルニクス的戦略転換

 翻って、今回の総選挙での自民・民主両党のマーケティング戦略はどうなっているのだろうか。まだようやく半分が過ぎようとしている段階ではあるが、ここで少し僕の推測も交えて、思うところを書いてみたい。

  今回の動向を眺めていて感じるのは、小泉首相一人の才覚とはとても思えない、自民党のコミュニケーション戦略の卓抜さ、そして対照的に昨年の参院選までとはうって変わったように精彩を欠く民主党の姿だ。

  一体何が自民党をこうまで変えたのだろう。変化の原因の1つと考えられるのは、2005年1月から自民党が電通に代えて初めてPR会社を起用したことだ。1月の読売新聞の記事が自民党の世耕議員のウェブサイトに転載されている。

  [政治の現場]50年目の自民党(2)―民主にらみ“広報合戦”―(読売新聞)

  ちなみにプラップジャパンと自民党とのつながりについては、8月に入ってからの日刊ゲンダイの記事もある。もっともこの記事は「広告」と「広報」の区別もついてないライターが書いたもののようなので、そのあたりは割り引いて読むことが必要だ。プラップジャパンは広告ではなく「広報」のプロの会社である。

  PR会社、選挙戦の攻防(日刊ゲンダイ via freshEYE)

 いずれにせよ、PR会社は複数のスタッフを自民党広報対策本部に派遣し、現場の手足となりつつ提案をどんどん出すというスタイルでやっているようだ。世耕議員のブログでは、選挙戦に突入して以来毎朝「コミュニケーション戦略会議」と呼ぶ会議が開かれ、PR会社や自民党スタッフとの議論の中で方針や対応が決まっていく様子が述べられている。25日のブロガー懇談会も、案内メールや懇談会での武部幹事長の質疑応答の様子から察するに、世耕議員とPR会社スタッフの合作によって行われたようだ。

■ 党トップと太いパイプを持つ自民党「コミュ戦」チーム

  自民党のコミュニケーション戦略がここまで一足飛びの進化を遂げたのは、やはり世耕議員の存在によるところが大きいだろう。世耕議員の人となりについては「コトバのチカラ研究所」のブログのこのエントリが詳しい。

  何度も言うが、広告(Advertisement)と広報(Publicity)はぜんぜん違う。そのことに自民党は昨年の参院選で負けてからようやく気がついた。 だが、気がついた後の対応は極めて良かったと思う。世耕議員というその道のプロを責任者に起用した。しかも、その責任者にPR会社というプロフェッショナルスタッフの手足を与え、さらに相当の権限を与えている。このことは、世耕議員のブログ「世耕日記」で、彼が一参院議員でありながら小泉首相や武部幹事長とサシで話す時間をふんだんにもらっていることからも分かる。

  広告は一方通行のコミュニケーションなので、訴求したい「商品」がしっかりしてさえいれば、あとは現場に任せてしまって構わない。だが広報は違う。広報の最強の武器とは「トップのメッセージ」である。政策という「商品」がしっかりしていることはもちろん大切だが、広報活動においてはそれ以上に刻一刻と変化する社会全体、あるいは競合相手の状況に応じて行うポジショニングの見直しが、メッセージを発するトップに正確に伝わっているかどうかが決定的に重要なのだ。

  この点において、世耕議員という「広報の参謀」が小泉首相、武部幹事長らトップと密接なパイプを持ちつつコミュニケーション戦略を決めている自民党の選挙マーケティング組織作りは、極めて理にかなっていると言えるだろう。

■ コミュニケーション戦略組織の“顔”が見えない民主党

  では、民主党のコミュニケーション戦略はどうなっているのだろう。ネットで少し調べてみた結果をご報告する。 まず同党に「広報対策本部」といったものがあるかどうか、調べてみた。…ない(笑)。 正確に言うと一昨年までは「広報・宣伝委員会」という組織があったらしい。ところが2003年12月、どういう経緯かは知る由もないが、それが「国民運動委員会」という部門に吸収・統合されているのだ。しかも、マスコミ対応は「役員室直属へ移管」となっている。つまり、マスメディア対応と広報の機能が別々の組織によって担われているようなのだ。

  しかもこの国民運動委員会というのは、Googleで検索してみると副本部長が何人もいるような何やら横串的横断組織らしく、しかも選挙対策委員会という選挙の司令塔とは別の組織である。いったい誰が衆院選における広報・コミュニケーションの戦略担当者なのか、皆目分からないのだ。 さらに、これらについての組織図や役割分担、責任者名などの情報が党のウェブサイトのどこにも掲載されていない。上に述べたような情報は、すべて個々の国会議員の選挙区向け活動報告やプロフィルの中から拾い集めたものである。

■ 「コンセンサス型組織」を築き上げてしまった?民主党の蹉跌

  もっと根本的なことを言えば、選挙における基本的な戦略を決めるトップが誰なのかさえも見えない。民主党の代表と言えば、岡田克也党首だと誰もが思うだろう。しかし同党の中で「代表」の肩書きを持って選挙戦を戦っている人は、他にあと3人いる。小沢一郎「副代表」、菅直人「前代表」、鳩山由紀夫「元代表」である(笑)。冗談ではないのだ。党のウェブサイトにそう書いてあるのだから。 少なくとも、これではコミュニケーション戦略の担当者が誰だろうと、メディア対応やコミュニケーションについての迅速な意思決定ができるわけがない。「代表」の肩書きを持つトップ4人と幹事長と選挙対策本部長と国民運動本部長と役員室長とその他多数の副本部長のコンセンサスを取って回らなければいけないのだから。

  競合相手の組織が機能不全に陥っており、すぐには有効な打ち手が繰り出されて来ない場合のマーケティング展開なら、じっくり時間をかけて開発した、優れた「商品(マニフェスト)」を配りまくり、広告や人海戦術で絨毯爆撃をしていけば良いわけで、それならばこのようなコンセンサス型組織でも良かっただろう。

 だが今回の選挙は誰もが予期しなかった不意打ちの短期決戦であり、しかも競合相手の小泉首相がすごい勢いで強烈なポジショニングを打ち出している。刻一刻変わる戦況をスピーディーに吸い上げて自分のポジショニングを見直し、それをトップの発するメッセージやアクションに即座に結びつけなければならないような今回の選挙戦では、今の民主党のような組織体制には決定的に不利と僕には思われる。

後編につづく


■ PROFILE
関西生まれの30代男性。大手経済誌記者としてマーケティング分野を中心にさまざまな業界・企業を取材したのち、2004年末に記者を辞め、サービス企業に転職。「R30」のペンネームで、マーケティング的見地からビジネスや社会事象の評論を行う趣味のブログ「マーケティング社会時評」を更新中。ブログ界で高い注目度と影響力を持つ。将来の夢は専業主夫。

R30::マーケティング社会時評 http://shinta.tea-nifty.com/nikki/  


 

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2005年08月27日  |  特別寄稿:R30
 

R30 特別寄稿!『ブログは選挙マーケティングの何を変えたか ~前編~』

特別寄稿の第一弾は、『R30::マーケティング社会時評』をネット上で展開するR30氏。ネット世論に影響力を持ち、トレンドを生み出すアルファブロガーにも選ばれているネット界の有名人です。元大手経済誌記者の経験を生かした分析力、テーマ設定、鋭い切れ味の文章が高い評価を得ています。R30氏の目から見た「初のブログ選挙」の裏側とは。今回から3回にわたってお届けします。


ブログは選挙マーケティングの何を変えたか

特別寄稿 by R30(R30::マーケティング社会時評)


 最初にお断りしておくが、僕は自分のブログで何度か書いているように、自分の政治信条や支持政党については人前で公言したくない人間である。

 なので、これから論じる話も個々の政党の政策内容が実際はどうなのかとは何の関係もない。あくまで、ネットユーザーとしての僕の目にどう映ったかだけに基づいて論評するものだ。よってこの記事を読んで「R30は○○党シンパだろう」とか批判されても、それはまったくのお門違いであるということだけ、申し上げておく。

■ 選挙が産み落とした「無視できないメディア」としてのブログ

 自民党が25日の夜7時から、ブロガーを集めた懇談会を開いた。出席者は武部勤・幹事長、世耕弘成・広報対策本部長代理。今回の衆院選の選挙対策の司令塔の2人である。既に自民党のウェブサイトにも写真入りの報告記事が掲載されているほか、出席者のブログにも次々と懇談会の報告がアップされている(こちらこちらこちらなど)。平河クラブ(自民党の記者クラブ)を閉め出してブロガーと与党の幹事長クラスが会見するなど、従来なら決してあり得なかったことだ。自民党のメディア戦略が今年に入って大きく変わったことの、象徴的な出来事である。

 「懇談会といっても、大した内容の質疑応答など出なかった」と評価する向きもあるようだ。だがこれは大きな勘違いである。会見で世耕本部長代理から「(ブログは)メディアとして、無視できない存在になっていると私たちは実感している」という発言を引き出したこと、そしてそれがネットを通じて社会中に知れ渡ったということ自体が、画期的なことなのである。

 なぜそれが画期的なのか。考えてもご覧なさい。この選挙で自民党が勝ちでもしたら、それがどの程度正しいかどうかはともかく、自民党の勝因の1つに「ブロガー対策を行ったこと」が数えられるのは確実だからだ。ネット対策など、適当に自分や党の主張を並べたホームページを作ってアップしておけばいいという「一方通行」レベルの時代が終わるのである。無数の人々によるディープな議論が双方向で交わされるネットメディアにどう対応するか、これからあらゆる選挙のたびに選挙対策の責任者が問われるようになるのだ。マスメディアとは違うもう1つの「無視できない影響力を持つメディア」が、この選挙とともに「生まれた」と言っても過言ではなくなるだろう。

■ 「商品=政策」ポジショニングが決め手だった2004年までの選挙

 総選挙というのは、米国の大統領選などもそうだが、現代のマーケティング・コミュニケーションにとって非常にエポック・メイキングな場である。決められた期限とルールの中でどれだけ“顧客”の心を動かせたかが得票数という明確な数値として示され、またそのアウトプットを得るために民間の分野で鍛えられたマーケティングやコミュニケーションの最先端の理論が活用され、その実行のために莫大な量の資金や人材も投入されるがゆえだろう。

 選挙マーケティングに民間のマーケティング手法が応用されることは、日本でも今に始まったことではない。古くは80年代の中選挙区時代の総選挙で、中曽根政権に候補者擁立のアイデアを提供した大前研一氏率いるマッキンゼーがそうだったし、その後自民党の選挙戦略の背後には常に日本最大の広告代理店、電通がいると言われてきた。そして2003年、地滑り的大勝を収めた民主党は、米系PRコンサルティング会社フライシュマン・ヒラードをそのマーケティングのコンサルタントとして雇った。

 フライシュマン・ヒラードと民主党の取ったマーケティングの特徴は、一言で言うと「顧客起点の政策プランニングへの転換」である。従来の「政策」とは、各政党の支持団体が「陳情」という形で上げてくる政策を政策調査会、俗に言う「政調」というセクションがすり合わせたり優先順位をつけたりしながら、公約や法案提出の日程に落とし込んで作られるものだった。

 しかし、フライシュマン・ヒラードはまったく異なる政策プランニングの手法を持ち込んだ。特定の支持団体に属さない「無党派」と言われる層をグループインタビューやコンジョイント分析などのマーケティングリサーチの手法を用いて徹底的に「セグメンテーション(区分化)」し、それぞれのセグメントにおいて最も訴求効果の強い政策を調べ上げて、それを「マニフェスト」という形で並べたのである。これによって民主党はサラリーマン、主婦などの無党派層に強く訴える政策ポジショニングを取ることが可能になり、旧来の支持団体を通じてしか政権公約を集約できない自民党に対して圧倒的優位を作り出すのに成功した。

 しかし、これはあくまで党または政策という「商品」のレベルでの強みを築いたのに過ぎず、それをどうやって国民に訴えていくかというマーケティング・ミックスのレベルでは相変わらずの「マス広告」「どぶ板」への全面依存であった。とはいっても自民党もこの点では同レベルなので、広告の投下量や運動員の動員数に大した差がなければ、民主党は普通に勝てたわけである。これが2004年参院選までの状況であった。
中編につづく


■ PROFILE
関西生まれの30代男性。大手経済誌記者としてマーケティング分野を中心にさまざまな業界・企業を取材したのち、2004年末に記者を辞め、サービス企業に転職。「R30」のペンネームで、マーケティング的見地からビジネスや社会事象の評論を行う趣味のブログ「マーケティング社会時評」を更新中。ブログ界で高い注目度と影響力を持つ。将来の夢は専業主夫。

R30::マーケティング社会時評
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2005年08月26日  |  インタビュー:堀 義人
 

「ブログで投票率を上げます!」 YES! PROJECT代表発起人、堀義人さんインタビュー

「ブログは選挙に影響を与えるし、投票率は上がりますよ」。自信にあふれた表情で語るのは、「選挙に行こう! YES!」「改革をすすめよう! YES!」「もっと発言をしよう! YES!」の3つのメッセージを若者に向けてブログで発信する「YES! PROJECT」の代表発起人を務めるグロービスグループの堀義人代表。「YES! PROJECT」(Young Entrepreneurs' Society:若手起業家の仲間)には、サイバーエージェントの藤田晋社長、USENの宇野康秀社長、はてなの近藤淳也社長ら、注目の若手経営者ら157人が賛同。インターネットを通じて、政治参加の重要性をアピールし、若者の投票率向上を狙う。プロジェクトを仕掛けた堀代表にインタビューした。


掘義人氏

堀 義人 グロービス・グループ代表

京都大学工学部卒、米国ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事株式会社にて新規事業開発などを経た後、1992年株式会社グロービス設立、代表取締役に就任。『ベンチャー経営革命』(日経BP社)など著書多数。



■ 若者に届くか「ブログ力」

今回の衆院選は、日本でブログやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が普及して初めての選挙ですが、ブログを読んだり書いたりしているのは、選挙に行かない、関心がないとされている20代や30代が中心です。若い方に、政治に参加する意識を持ってもらいたい。

私自身もブログを書いているし、藤田さんや近藤さんのように、若手経営者の中にはブログを書いている人が多い。そこで彼らと連携して、ネット上で選挙への関心を高めてもらう運動をすれば、かなりインパクトがあるのではないかと考え、「YES! PROJECT」を展開することにしました。

■ 幻と消えた「政治家比較ドットコム」

「YES! PROJECT」の前からネットでの活動には関心を持っており、「政治家比較ドットコム」というサイトを立ち上げる予定で準備を進めていました。

テレビや新聞には、時間や記事のスペースといった制約があります。ですから、たとえば今回の選挙であれば、テレビや新聞は堀江社長と亀井さんが激突している広島6区のような話題性のある選挙区や「刺客」ばかりを取り上げている。

ネットではそうしたメディアとしての制約が緩やかになります。私が考えていたのは、選挙区ごとにページを設けて、候補者には公約を、有権者には質問や意見を書き込んでもらうというものです。ネット上で意見を交換し合う中で、候補者の人となりや考え方が明らかになる。

しかし、「政治家比較ドットコム」は公職選挙法との関係で、断念せざるを得ませんでした。

■ 発言する企業家

企業家にとって政治は本分ではありません。政治について発言することは批判を受けやすく、広くお客様がいらっしゃる中で、望ましい態度ではないと考えていました。

しかし、ある政治家とお話しする機会があって、考え方を変えたんです。私が「企業家に何を期待していますか?」と尋ねたところ、「もっと自分の考えを発言されたらいかがですか」と答えられた。確かに、発言しないから政治は政治家が決めてしまう。

それ以後は、自身のブログで少子化や教育問題だけでなく、靖国などの話題にも触れるようにしています。話すことのタブーをなくしたいんです。堀江さんのように選挙に出るのとは違った形で、政治に参加できる方法があるのではないか。

ビジネス界のリーダーたちが発言することで、多くの方が政治について議論できるきっかけになればいい。そうすれば、国民の声を意識した政治が実現するのではないでしょうか。

■ ネットの利点と課題

ブログやSNSは、反応もダイレクトに返ってきます。いろいろな意見を聞くこともできます。しかし、「政治家比較ドットコム」を断念したように、ネットと公職選挙法の問題は避けては通れない。「YES! PROJECT ブログ」は公示後も続ける予定ですが、特定候補の応援など、書き込み内容には気をつける必要があります。

ブログやSNSが普及した今の時代に、公職選挙法は合わなくなって来ている部分もあるのではないでしょうか。今後の改正に期待したいです。また、ネットにおけるマナーやスパムについても、改善していかねばならないでしょう。

■ バーチャルからリアルに

まだ詳細は決まっていませんが、9月7日には「YESナイト(仮称)」という、若い方と発起人が話をする機会を設けようと考えています。バーチャルだけでは、だめです。バーチャルからリアルにどうつなげていくかが重要です。

■ トラックバック、コメント歓迎

悪政で困るのは私たちなんですから、もっと政治について話してもらいたい。「YES! PROJECT ブログ」へのトラックバック、コメント大歓迎です。

(gooニュース 2005年8月26日 グロービスにて)


YES! PROJECT
http://www.yesproject.com/index.html

YES! PROJECT SNS@GREE
http://gree.jp/sp/yes/

堀義人代表のブログ「企業家の風景」
http://blog.globis.co.jp/hori/



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2005年08月26日  |  お知らせ
 

特設:2005衆議院選挙「緊急ブログアンケート!!」を開始します。

皆さん、こんにちは。gooブログでは、2005衆議院選挙にあわせて「緊急ブログアンケート!!」と題した企画を行います。8月8日の解散、8月30日の公示、そして9月11日の投・開票日を経て、激動の政局は、そして日本の将来はどうなるのでしょうか。皆さんで意見交換しませんか?

まず、gooスタッフが投票項目と記事をアップします。投票への参加はもちろん、テーマに沿った内容のトラックバックやコメントも大歓迎です(goo IDをお持ちでない方も、トラックバックできます)。記事は投票結果とも連動していきますので、要チェックです。

テーマは、順次アップしていく予定です。「こんなテーマをアップしてほしい」というテーマリクエストや、「緊急ブログアンケート!!」への感想などは、このエントリーへトラックバック・コメントしてください。

8月26日追記
今回の総選挙では、「ブログ選挙」や「ネット選挙」という言葉が注目を集めています。そこで、現在行っている皆さんからの意見募集に加え、gooブログ×gooニュースのコラボレーションで、ネットと選挙にかかわっている方のインタビューやネット界で活躍中のブロガーからの寄稿を掲載します。ブログ論壇で活躍する、あのブロガーも登場するかもしれません。ご期待ください。

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2005年08月26日  |  お知らせ
 

5万人のネット世論調査について語ろう。

gooでは、国内最大級のインターネットアンケート・サービス「gooリサーチ」にて実施した「2005年衆議院総選挙に関する意識調査」の結果を、本日発表しました。

今回の調査は、「goo」の集客力と、多数の世論収集に最適な調査手法であるインターネットアンケートのメリットを活かすことで、わずか4日間で約5万人の回答を回収し、「gooリサーチ」ならではの大規模な調査結果となっています。

結果を簡単に紹介すると、ネットを利用している人も政治に関心がある人が多いことが分かります。選挙に関心がある、どちらかと言えばあるをあわせれば76.59%、投票に行くとの回答も75.61%で、ネチズンも注目の総選挙と言えそうです。

また、「次期首相として期待する人物」との項目では、男性に岡田克也さんが、女性には安倍晋三さんが人気。ブログアンケートのテーマにもなっている「小さな政府。大きな政府」では、若い人や女性が大きな政府を望んでいることもわかります。皆さんも、ぜひさまざまな角度から結果を分析してみてください。

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