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2005年09月07日  |  インタビュー:近藤淳也
 

「ネットでまじめな議論を」 はてな近藤淳也さんインタビュー

「公職選挙法違反ではないか? いや違うのでは」。サービス開始時にインターネット界で話題となった「総選挙はてな」は、予測市場と呼ばれる日本では耳慣れない仕組みを利用。政党を会社に見立てて株式(アイデアポイント)を発行、その株式をユーザーが取り引きすることで政党の時価総額=議席数を予測するサービスだ。

「話題を提供することで選挙や政治に関心を持ってほしい」と語る、株式会社はてな代表取締役近藤淳也さん(29)に、「総選挙はてな」の意義、そしてブログやネットのリアル社会への影響についてインタビューした。

近藤淳也 株式会社はてな代表取締役

1975年生まれ。三重県育ち。京都大学理学部卒業、同大大学院中退後、自転車競技のカメラマンを経て、2001年にはてなを創業。社員は現在13名。ブログサービスの「はてなダイアリー」や「人力検索」をはじめ、予測市場の仕組みを用いた「はてなアイデア」、気に入ったブログのエントリーにポイントを送信できる「投げ銭」などのユニークなサービスと、顧客の声を重視する姿勢がネットユーザーから支持されている。



■ 「総選挙はてな」と予測市場

今回の選挙は2つの点で注目されていると思います。1つ目は若い人の関心が高い点、そして2つ目はインターネットの影響があるのか、という点です。はてなは社員13人、平均年齢が30歳を切る会社ですが、解散になった次の日に、社内で「何かできないか」との話が持ち上がりました。はてなには「はてなアイデア」(予測市場の仕組みを用い、要望や不具合報告を効率的に吸い上げるサービス)というサービスがあり、これを使って「総選挙はてな」をスタートしました。「総選挙はてな」は、普段は選挙や政治に関心を持っていない若い人たちに向けて、はてなからも話題を提供しようという試みです。

▲総選挙はてな
予測市場と呼ばれるシステムは、アメリカではすでに大統領選挙を含め、さまざまなテーマで使われています。個人的にすごいと思ったのがアカデミー賞の予想で、予測市場を使わない専門家や大手ポータルサイトは外しているのに、予測市場を使った「Hollywood Stock Exchange」というサイトが、かなりの確立で的中させていたことです。そのとき「予測市場ってすごいな」と思い、「はてなアイデア」に採り入れました。それを今回選挙に応用したわけです。

総選挙はてなをスタートさせてから、「はてなアイデア」全体のアクセスが2万から7万に増えていますので、ユーザーの関心は高まっていると言っていいでしょう。

サービスを開始した直後から「公職選挙法に違反しているのではないか」「大丈夫なのか」といった、批判と言うよりもむしろ心配の声がユーザーの皆さんから多数寄せられましたが、最近は落ち着いています。予測市場は人気投票とは異なるので、公選法違反には当たらないと考えています。総務省にも問い合わせていますし、ダメと言われれば速やかにサービスを停止するつもりです。

■ 話題を作って投票率を上げたい

はてなでは、会議の模様をポッドキャスティングで紹介しているのですが、1回の会議につき何千もダウンロードされています。一方、国会の議事録など、最近はネット上で公開されている情報が増えてきているにもかかわらず、あまり読まれていない気がします。ネットユーザーは政治に興味がないのかもしれません。「何も変わらない」とのあきらめが広がるのは、好ましくない状況です。

はてなのユーザーは20代、30代がメインです。はてなから選挙に関する話題が提供されれば、選挙に関心を持つ人も増えるでしょうし、投票率上昇に貢献できると考えています。

■ まじめに議論しなければ影響力はない

ネットの影響力も注目されていますが、残念ながらいい方向に行っていない気がします。例えば、まじめに郵政民営化について意見を述べている議員に対して、「この議員の言ってること痛いよね」というような反射的な書き込みは、悲しいものがあります。ブログによってワイドショーのチャンネルがひとつ増えただけになってしまいます。

それに、これからはリアルニュースをネタにして書くと言うような、リアルのおいしいところだけを吸うのではなく、ネットから情報発信していくようにならないといけない。そのためには、例えばブログ上で法案の対案を出すぐらいのまじめな議論が必要です。政治のことを分かりやすく書くようなブログがあればいいですね。とか言いながら、自分は何も書いていないわけですが(笑)。

ネット上に限らず、まじめに議論することが格好悪いという風潮があります。いくら「ブログ選挙」「ネット選挙」と騒がれても、政策や法案などの本質的な議論を正面からやっていかなければ、影響力は出ないでしょう。

私たちはせっかくブログという議論の場所を持ったのだから、「言ってもどうせ変わらない」と言うのはもったいないと思うのです。ブログでディスカッションするスキルを身につけて、まじめに議論できるムードを作り出していきたいです。

■ ネットもリアル化する

ネットも実社会との接点が増えてきています。一番感じたのは、2004年12月に起こったスマトラ島沖地震の義援金を、はてなポイントで集めたときです。遠い地域での出来事なのに、多くのユーザーが参加して60万円を超える義援金を寄付できました。ネットからリアルへのひとつの例ではないでしょうか。

今回の予測議席数が実際の結果と近ければ、はてなという仮想の街とリアルの世界のつながりが一層実感できます。予測結果がどうなるか、とても楽しみです。

(gooニュース 2005年9月3日 株式会社はてなにて)


jkondoの日記
http://d.hatena.ne.jp/jkondo/

総選挙はてな
http://senkyo.i.hatena.ne.jp/



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