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2005年08月31日  |  特別寄稿:泉 あい
 

泉 あい 特別寄稿!『元OLブロガー自民党本部で取材する ~後編~』

■ その時はやってきた 

台風の中、自民党本部に着くなり、とにかく参加者の方を味方にしておかなくちゃと名刺の交換をせがみました。いただく名刺のほとんどに『代表取締役』とあり、改めて自分が場違いな場所にいると感じたのですが、自分に「ビビるな。みんな同じ人間じゃないか」と言い聞かせてみる。

その後も参加者同士で交流を深めているところへ、武部幹事長と世耕広報本部長代理のご登場。武部幹事長って毎日のようにテレビで見てますけど、たぬきとダブっちゃうんです。私は子供の頃から、勝手に人にあだ名をつけてしまう癖があって、武部幹事長のことを密かに「ぽこどん」と呼んでいます。(内緒)

懇談会で実際に会った武部幹事長に先ず思ったのは、「生ぽこどん、顔でかっ!!」そしてやっぱり、どうしてもたぬきとダブっちゃう。「これで本当に海千山千の世界を生きて来た人なのか?」と思ってしまうほどかわいらしいおじさまでした。

質疑応答がはじまって、最初の質問がインターネットと選挙がテーマだったのですが、質問が終了し、武部幹事長の話す番が来たのに、「へっへ・・・ヘヘヘヘヘ~へへ」

いきなり、笑ってごまかそうとしている期待通りのナイスな対応に、「流石ぽこどん、恐るべし!」

その後の答えも、テーマとはかけ離れた内容で、「なんだって~? どういうこと~?」とさっぱりわからない。目玉だけ動かして回りをうかがうと、みんな大真面目な顔して聞いています。「みんなぁ、ぽこどんの言ってることわかるの?」という心境。

そんな細かいことにはこだわらない大きな意見を述べる幹事長のフォローをするのが、世耕広報本部長代理の仕事です。早口で的確にしゃべりまくる世耕広報本部長代理の言葉を理解しようと必死に見つめていたら、『ケーキ屋ケンちゃん』『おもちゃ屋ケンちゃん』の宮脇さんに見えてきて、いけないと思いつつ私の中で世耕広報本部長代理はすっかり「ケンちゃん」になっています。(肩書き長いし)

「ケンちゃん大変だね」と思うシーンはいくつもありましたが、流石の世耕広報本部長代理もフォローできなかったのは、郵政民営化のメリットデメリットの話題の時。質問してくださった方へは「でかした!」という思いです。

物事には何にでもメリットとデメリットがあって当然だと思って日々取材をしているので、メリットばかりを言うのって逆に怪しいと考えてしまうのですが、武部幹事長は、はっきりと「デメリットはないです」と言いきりました。「ぽこどん、言ってしまいましたね・・・」と思いつつ、世耕広報本部長代理がどんなフォローをするのか楽しみにしていたのですが、一言もありませんでした。

その後、「党内での議論をもっと国民に見せて欲しい。逆に国民の声を聞くシステムを考えてはいないのか」など、インターネット上で活躍している人らしい質問が出ていました。答えを聞いて、政治家は夜に赤坂にばかりいるのではなく、朝一番から党の会議室に入って議論していることを知り、少し政治家に対するイメージも変わったと思います。(ぽこどんが議論しているところを見てみたい)

天下の自民党には、こんな多彩なキャラクターのおじさんたちがいましたが、自民党だけではなく、選挙の取材で他の政党の政治家ともお会いして、難しい政策論争をしている政治家も、実は威張った嫌な奴なんかじゃなく、普通の人なのだと知り、今までよりも政治を身近なものと感じられるようになりました。

■ 草の根ジャーナリズム

政治と言えども、それを動かすのは人。

人柄だけで国を動かすことはできないという声が聞こえてきそうですが、その人の打ち出す政策を真剣に聞こうと思うかどうかは、やはりその人のルックスや人柄によるものが大きいと思います。

本来それを伝え、国民が政治を身近なものだと感じ、考えるきっかけ作りをするのはメディアの仕事ではなかったでしょうか。ところが、そのメディアが政治家や政治を高いところへ担ぎ上げて、一般の人からかけ離れたものとしている。それは、メディアの目線が一般の人の場所まで下りて来ていないからではないかと思えてならないのです。現に、今回の懇談会で威圧感を放っていたのは、政治家ではなくメディアの人たちでした。退室した後も、ガラスの壁に張り付いて中の会話に聞き耳を立てる必死な姿は、見習うべきものだと思いますが、どうも一段高い所から見下ろされているような気がして仕方がなかったです。

だからこそ、インターネット上で語られる多くの言葉に私は注目しています。なぜならその声は、普通の人の声だから。私と同じように、どこかに生きているということを実感させてくれる、生の声だからです。

私を含めて、インターネット上で活動しているブロガーと呼ばれる人たちは、まだまだ無力です。自民党の懇談会に呼ばれたからと言ったって、実際のところは党の宣伝に利用されただけかもしれません。でも、私たちはブログを使って、誰にも遠慮することなく対等に、24時間いつでも好きな時に議論し合えます。その議論の影響力を少なくとも自民党は認めてくれたのだと信じたいのです。

「泉 あいの情報なら信用できる」

いつかそう言ってもらえるようになりたい。それを目指して明日も取材に走るんだ!!

取材経験ゼロだった普通の元OLが自民党の本部へ堂々と入ることができたのは、インターネットのお陰。私には分析力はありません。でも、インターネットの世界に存在している、いろいろな分野の専門知識を持った人たち、分析することに長けた人たち、特定のテーマについて真剣に考えたり動いたりしている人たちに議論してもらうことで、初めて私の一次情報が生きてきます。実は、その議論こそが日本の多様な社会に適した草の根ジャーナリスムじゃないの? と考えていたりもします。

インターネットで、既存メディアとは違う、普通の人が身近に語ることのできる草の根ジャーナリズムを実現できる日が来るのは、そう遠くはない。自民党本部で私はそう感じました。

完 (2005年8月30日)


■ PROFILE

泉 あい

山口県出身。音楽講師を7年勤めた後、結婚のため上京。主婦をしながらOLとして働いていたが、2001年DVにより結婚生活は崩壊。同年、新しいスタートを切ろうとした矢先に乳がんを宣告される。読者とともに歩むルポライターを目指して、2005年1月「GripBlog ~私がみた事実~」を開設。ブログ・インターネットを拠点として、取材活動を行っている。

「GripBlog ~私がみた事実~」
http://www.surusuru.com/news/


(gooニュース)

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2005年08月30日  |  特別寄稿:泉 あい
 

泉 あい 特別寄稿!『元OLブロガー自民党本部で取材する ~前編~』

特別寄稿第二弾は、ブログ上で文章を発表しながら、ルポライターを目指して積極的に活動している元OLの泉あいさん。現在ブログ界で最も注目されているジャーナリストの卵です。記者経験のない「普通のブロガー」である泉さんが、政治家への単独インタビューを次々と実現させ、つい先日開かれた自民党による「懇談会」にも出席するという快挙を成し遂げています。

既存メディアの独壇場だった従来の政治報道のあり方を「ぶち壊す」泉さんに、gooニュースが初の「寄稿」を依頼。プロのライターとしてデビューした泉さんが書く、ルポライターへの道や執念の取材風景、そして懇談会の模様とは。



元OLブロガー自民党本部で取材する

特別寄稿 by 泉 あい(Grip Blog)


■ OLからブログジャーナリストに

私、泉 あいと申します。38歳8カ月の♀です。名前を聞いても「お前誰や?」とお思いのことでしょう。実は「Grip Blog」というブログをやっているおばちゃんです。ブログというツールを使って、ルポライターを目指しています。総選挙や記者クラブの問題を取材していて、巷で噂になっている「メルマガ/ブログ作者と自民党幹部との懇談会」にも出席しました。普通のおばちゃんが、どうして自民党の本部へ入れて、それも幹事長へ会うことができるようになったのか・・・これは、ほんとうにインターネットのお陰です。

依頼原稿は初めてなので、ドキドキしながら書いていますが、興味がある方はお付き合いください。

20世紀、私は普通に主婦をしながらOLをしていました。21世紀になった早々、主人ともめて4月に家出。5月に部屋を借り、6月にパソコンを購入。「これからインターネットで何かはじめようかしら♪」と考えていた矢先の9月に、いきなりの乳ガン宣告。

2001年の9月と言えば、社会情勢を大きく揺るがす出来事、あの9・11が起こった時でもあります。世の中が大きく流れていく中、私は病院のベッドと自宅のベッドと診察室、治療室だけを行ったり来たり。治療中は友人に会うことも避け、することといったら、リハビリと本を読むこととテレビを見ること。多くの情報に囲まれながら、命について、自分が今まで歩いてきた道について、考え込む日々が続きました。

ガンの治療は終えたものの、シングルという立場でガンの再発の不安と闘う日々がはじまります。夜、部屋の隅っこにうずくまって涙することも・・・。でもインターネットであちこちのページを見ていたら、きっと同じような気持ちの人がいるはずだと感じるようになりました。「自分だけじゃないと思えることができれば、楽になるんじゃない?」と、会社へ行って働いて、帰宅して闘病記を書くという生活を続けました。

病気になるまでは、ファッションや彼氏や音楽のことしか頭になかった私が、闘病記を書くことによって世の中には頑張っている人がいっぱいいるってことに気づいたんです。

昼間、友人の前で笑って見せれば見せるほど、家に帰ったひとりの夜が怖くなる。でも、頑張っている人がいると思えば、「自分だって」と思える。他人を見ることで自分の可能性も見えてくる。私も、頑張っている人を探し出して、たくさんの人へ伝える仕事がしたい!

なが~くなりましたが、それがOLを辞めて「Grip Blog」をスタートさせることになった原点です。

記者としてもライターとしても経験はゼロなので、何をどうすりゃいいのかさっぱりわからん。でも、ブログという情報を発信するためのツールを手に入れた。それに、インターネット上にはあらゆる専門家が山ほどいます。私はその方たちに語りかけ、指導していただくことで、ここまで育てていただきました。

■ 取材の日々

最初の取材は、中越地震。被災者のところへいきなり取材に行ったんです。その行動を知っていちばん驚いたのは、私の家族でしたね。「人間、大きな病気をすると変わるんじゃね(山口弁)」

行ってみると、長岡は大雪で寒かったけど、仮設住宅に住む山古志の人たちの心は温かでした。未経験の私が取材できたのは、山古志の方々から勇気や力をもらったお陰だと感謝しています。暖かくなったらまた来ますと言ったのに、もう夏も終りそう・・・。山古志や小千谷の皆さ~ん、お元気ですかぁ?

ブログを始めてから初めての今年の夏、私は記者クラブの取材に時間を費やしていました。そんな中で、参議院の否決というニュースを聞き、私は人知れず拳を握り締めました。「お膳立てはして差し上げました。やれるもんならやってみろ」そう何かがささやいた気がしたんです。今度の選挙はネットジャーナリズムを変える大きなチャンスだと信じて、取材をしようと心に決めました。

各政党のトップへ単独インタビューのお願いの企画書を提出し、毎日のように電話をかけました。もちろん、自民党へも総裁の小泉さんへこだわってお願いしました。でも(と言うかやはり)答えはNO。総裁であって総理であるわけですから、当然と言えば当然です。

ところが、その断わりの理由が、「忙しい」なら納得できる。でも「記者クラブが・・・」では、黙っていられません。私の取材を受ければ「なぜ泉だけ。うちも」と各社が言い出し収拾がつかないということらしいのですが、大手メディアには官邸の記者クラブがあるじゃない。今から記者クラブへ入れてもらえるように手続きしようたって公示日までという短期決戦で、時間がない。直接お願いするしかないんです。

たまたま担当者が優しそうな方だったので「既得権益を守ろうとする役所天国を許さないと言っている自民党が、記者クラブの既得権益に屈するのはおかしい」と言ってみつつ、「メルマガを発行した日本で最初の総理」というヨイショも忘れません。結果、「1時間後に必ず連絡します」と言われ、自民党を悩ませた挙句、「幹事長がブロガーを集めた懇談会を開きますが、それに出席なさいますか」となったわけです。

早速、私のブログ「Grip Blog」で懇談会が開かれることを告知し、そこでの質問を募集しました。人気の高いブログに紹介していただいたお陰で、ものすごい反響でした。一時サーバーがダウンするほどの勢いで、パソコンの前で呆然とするほど驚いて、数分は動けなくなってしまったくらい。「こりゃ大変だ!」

自分から質問の募集をかけておいて、懇談会で質問できなかったらえらいこっちゃやがな・・・。しかも、相手は海千山千の政治家。不利になる質問は煙に巻かれる可能性があります。ごまかされない質問を考えなくっちゃと、前夜は必死でした。

質問の中には「おいおい、単独インタビューじゃないんだから」と突っ込みたくなるものもありましたが、それだけみんな自民党へ言いたいことがあるってことなんですよね。その想いを無駄にしてはならないというプレッシャーが、汗となり震えとなって・・・。

後編につづく


■ PROFILE

泉 あい

山口県出身。音楽講師を7年勤めた後、結婚のため上京。主婦をしながらOLとして働いていたが、2001年DVにより結婚生活は崩壊。同年、新しいスタートを切ろうとした矢先に乳がんを宣告される。読者とともに歩むルポライターを目指して、2005年1月「GripBlog ~私がみた事実~」を開設。ブログ・インターネットを拠点として、取材活動を行っている。

「GripBlog ~私がみた事実~」
http://www.surusuru.com/news/


(gooニュース)

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