・寒天Agar jelly かんてん
テングサ科のまくさ(天草)を主原料とし、オゴノリ科のおごのり、イギス科のえごのりの紅藻を用い、煮立たせて寒天質を抽出、ゲル化させ、圧搾、凍結して脱水、乾燥させて作られる。1980年代より原料とし南米からのおごのりの輸入が増加傾向にある。
天然のものは、長野県、岐阜県で寒冷を利用し冬季に製造し、角棒状、細紐状寒天(糸寒天)がある。工業的には、長野県、岐阜県、鹿児島県で冷凍機、圧搾機、乾燥機を使い製造し粉末、粒、うろこ状のものを製造している。
江戸時代初期の頃京都の宿屋の主人が食べ残しのトコロテンを厳寒の戸外に出して置いたところ凍結し乾燥状態になりそれを煮溶かすとを繰り返し白い質の良いトコロテンになったという。それから作られたというトコロテンを食べ隠元という僧によって乾燥したものを「寒天」と名づけられたといわれる。
加熱によって溶解、常温で固体(35~40℃以下:濃度0.5~2%)になる熱可逆性を示すことからトコロテン、羊かん、みつ豆、佃煮の加工に使われる。粉寒天でも熱いお湯に入れただけでは完全に溶けきらない。寒天が溶ける温度は90℃以上で煮立てることによって溶解する。100ccに対して1gの粉寒天、角寒天を目安とするとよい。濃度が極端に濃くなると体内の水分を奪うことの危険性が指摘される。寒天1gで1.5kcal、ゼラチン1g:3.4kcal(100ccに対し2.5g~1.5gが凝固に適量)のエネルギーを含む。
寒天培地は、常温で凝固培地を作ることができ微生物の栄養源とならないことから細菌培地に用いている。寒天はアガロース(繊維状のもの)とアガロペクチン(アガロースに少量のピルビン酸と硫酸が結合したもの)という成分等で構成されアガロースは寒天の強度を、アガロペクチンは粘弾性の働きに関係している。アガロースという多糖類は脂肪や糖質の吸収を抑制したり、胃酸、腸内細菌によりで一部がオリゴ糖と変化して腸内細菌の働きを良くし血糖値の上昇を抑制し、コレステロール値をおさえたりする。
アガロオリゴ糖に、強力な抗ガン作用や抗酸化作用があることを宝酒造が発見し、日本ガン学会で発表した。また、このアガロオリゴ糖には、関節炎、リウマチにもよく注目している。人の消化酵素で消化されない多糖類(アガロペクチン、アガロース:水溶性食物繊維)で便通を整え、ダイエットに利用している。
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