(五十嵐 貴久 双葉社)
1985年は阪神がひさびさにリーグ制覇、日本一になった年である。無論、この小説で描かれる「奇跡」とはこの「奇跡的」なタイガースの優勝のことではないが。
練習よりも「夕やけニャンニャン」を優先する弱小、小金井公園野球部に一人の天才投手が転校してくる。
夏の甲子園をかけた予選。あれよあれよと勝ち進み、「奇跡」の甲子園出場まであと一歩。
でも、これはこの物語の序章に過ぎず、ここからまさかまさかの展開に。
時代描写の「手段」が、歌謡曲「一本槍」だったり、エピローグが「アメグラ」(映画アメリカングラフィティ)を連想させるものだったりするのは笑ってしまうが、退屈しのぎ程度にはいいかも?