土まみれ、汗まみれ

普通屋上緑化には土が必要だが、エ・ビ・スの屋上緑化作戦ではその土を、
自前で確保できる事も大きなメリットだ。
何故かというと我が家が田舎に位置し、自宅裏にかなり広い畑があるためである。
それで生計を立てているわけではないが、家庭菜園というには、
いささか広すぎて管理するのも一苦労している。

それはさておきその土を屋上緑化に使うことになり、お盆休み中の15日に
事務所へ運び込むことになった。
簡単に土を運べばいいと考えていたのは大きな間違いだった、
当日その土をそのまま運ぶ事は出来ない事に気がついたのだ。

作物の植えていない場所の土を使うため、石ころなどを取り除かなければならないからだ。
この作業がかなりやっかいな物であった。

暑さを考慮し、早朝から作業を開始したが、意に反して滅茶苦茶暑い。
まず土を掘り起こす段階で汗まみれだ。
挫折しそうになったが、もう一人のエ・ビ・スの顔が浮かぶ。
約束した以上守らなければ・・・。

やっとの思いでなんとか必要分の土を掘り起こした。
後は楽勝だと思ったのが2回目大きな間違いだった。
このふるいにかける作業がまた、土を掘り起こす以上に過酷だったのだ。
粗い目のふるいだ比較的楽なのだが、それでは細かい石などが
取り除けないため、細かい目のふるいを使わなければならず、
一度に大量の土をふるいにかけると詰まってしまいなかなか進まない。
仕方なく少量づつふるいにかけることにした。

時間はかかるは、腕と腰はだるくなるは、しかも暑いはと朝から大変だった。
そうこうしているうちに家を出なければ事務所に持ち込む約束の時間に
間に合わない時間になってしまった。
途中ではあるが、出来ている分だけゴミ袋につめ、車に積み込み、
ジャワーをあび家を出た。

さすがにお盆で道路はすいていると喜んでいたが、大阪の門真市くらいから
やや渋滞が始まった。
我が愛車はエアコンが不調で、それまでは窓を全開にして
風を取り込んで走れたので暑さも何とかしのげてきたが
渋滞場所では灼熱地獄なのだ。

それに耐え進んでいると電話が鳴った。
もう一人のエ・ビ・スからだった。
運転中だったので、車を止めて連絡するとクライアントとのアポが
早まったため事務所には行けないと言うことだった。
仕事優先で仕方がない。
実のところ土は3階まで持ち運ばなければならなく、
一人でコツコツ上げるかと覚悟を決めた、
そうこうしているうちに事務所に着いた。

そこで待っていたのは、その日唯一にして最大のラッキーだった。
それは大家でもある２階O社のY社長が出社していたことだった、
Ｏ社には2階までの荷物用リフトがありそれを使用することが出来たのだ。
それだけでも随分と楽だ。
それもあり割と簡単に3階まで土を運びすぐに帰路に就いた。
帰ってからは何もする気力もなく、長い昼寝に陥ってしまった。
屋上緑化も楽じゃない。

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by　エ・ビ・ス