遥かなる山稜へリベンジ・・・
新冠富士 (1667m)
~ イドンナップ岳 (1752m)
日没覚悟の強行、15時間山行も登頂で満足度120%
■ 山 行 日 2011年7月19日(火)~20日(水) 1泊2日
■ ル ー ト シュウレルカシュッペ沢~新冠富士~イドンナップ岳 往復
■ メ ン バ ー CLエバ、SLパッポ隊長、パブマル、I籐、M越、チーヤン
■ 登 山 形 態 沢登り&登山道~稜線踏み跡
■ 地 形 図 1/25000地形図 「新冠湖」 「イドンナップ岳」
■ コースタイム
<1日目> 登り 3時間 テン場 C1
<2日目> テン場~新冠富士 登り 4時間30分 新冠富士~イドンナップ岳 登り 1時間40分
イドンナップ岳~新冠富士 下り 1時間30分 新冠富士~テン場 下り 3時間20分
テン場~駐車地 2時間30分 トータル 15時間
【7/20】
04:30 テン場 出発・入渓
05:30 940二股 (右股へ)
06:10 1050二股 (左股へ)
07:00~10 1300m源頭・・笹藪に突入
07:50 1380m付近登山道出合
08:20~30 1545m付近の尾根上(花畑)・・沢装備デポ (登山靴に履き替える)
09:00~10 新冠富士(1667m) 頂上 (テン場~登り4時間30分)
10:50 イドンナップ岳 (1752m) 頂上 (新冠富士~登り1時間40分)
11:10 下山開始
12:45 新冠富士 (イドンナップ岳~下り1時間30分)
13:00 下山開始
13:40 1380m付近登山道
14:00~10 1300m沢源頭・・・沢靴に履き替える
14:55 1050二股出合
16:20 テン場・・・テント撤収 (新冠富士~下り3時間20分)
17:00 テン場出発・下山
19:15 林道出合
19:30 駐車地点 (テン場~下り2時間30分)
・・・・この日の行動時間 15時間
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/92/83c2a18ea0c0a63472ded93b99d0e2da.jpg)
GPSトラックはパッポ隊長のブログからお借りしました・・。
★ 昨年のリベンジ・・・
遥かなる山稜・・と呼ぶにふさわしい遠い山イドンナップ岳は、日高山脈の主峰「幌尻岳」の南に位置し主稜線から外れた長い尾根上にピークがある。一応登山道のある山として「夏山ガイド」でも紹介されているが、日帰りでも往復13時間を超えるコースタイムで紹介され、間違えなく北海道では一番長い日帰り登山の山であろう。また、登山口までのアプローチも長く訪れる登山者は極稀と聞いている。
そんな山に昨年7月夫婦登山で挑戦したが、予報通り2日目は悪天となりシュウレルカシュッペ沢730二股のテン場から撤退した記憶はまだ鮮明に残っている。
★ 心強い・・・
特に今年になって何度か山行を共にする機会を得て毎回心強い助っ人が、小樽在住のパッポ隊長夫婦とその仲間たち。今回は兼ねてからこの山の同行をお願いし計画を進めていて6名のパーティーで賑やかになった。
★ 寄り道・・・
【7/19】
自宅を6:35に出発し、待ち合わせの日高道出口コンビニに7:20に着く。
早々に見慣れた隊長の赤い車が見えて合流、挨拶を交わして一路登山道へ向かった。
国道235号線新冠から道道209号線(通称サラブレッド銀座)を左折・出合を8:15に通過、泉地区から新冠川沿いの林道に入り新冠ダムに9:15、登山口となるシュウレル線林道出合には9:25に着いた。
今回は、パッポ隊長の希望でこの先にある「イドンナップ山荘」をぜひ見たいという事で更に12キロの林道を往復した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/03/6cc0df3a04bc3ea08775c4c393ef99cf.jpg)
イドンナップ山荘・・2階の部屋がとても綺麗でした。
★ シュウレルカシュッペ沢遡行・・・
11:40 出発
林道を15分ほど歩くと終点となりそのまま踏み跡が続いて左岸の入渓となる。
地形図上ではこの先の右岸に林道が続くが決壊したのか橋らしき痕跡は何もない。入渓は対岸に渡渉するためで右岸の古い林道跡をしばらく辿る。
沢は、前日まで降っていた長雨でやはり増水していた。多少の心配もあったが水は澄んでいたしこの先テン場までは難しい滝も無いので進むことにする。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/77/4b868b5e7c0be3137189ef3b159a4560.jpg)
入渓後間もなくのシュウレルカシュッペ沢。 増水気味である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/ee/f2bbf0fbe0839c5f7b608dd0780cb863.jpg)
何気ない渡渉も少し緊張する・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/6b/dfb5a4ca87b5cb8704b0109c6b6c42f2.jpg)
610二股を過ぎると小滝が増えて来る・・・
パッポ隊長とエバが先頭とシンガリを交代しながら何度も渡渉を繰り返す。沢自体の難度は低く沢初心者でも楽しめるだろう。ただ小滝の直登場面では何度かお助けロープを出してホローしたが、もうパンツまで濡らして楽しい遡行だったと思う。
天気も予報に反して快晴となり重装備の背中も心もち軽く感じた。
そして・・・ 14:45 730二股 テン場到着
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/f9/176d960a18ede15b96672a500cd1b9e6.jpg)
730二股右岸にある快適なテン場・・・
★ 予定通りに安堵・・・
増水にも関わらず無事にそして予定通りテン場に到着した時はホッとした。
快適なテン場も昨年と変わらずに出迎えてくれ重い荷物を安堵に降ろす。それぞれがテントを張った後安着の乾杯はパッポ隊長のザックから出て来た。缶ビールを凍らせてキンキンに冷えたビールがちょうど良く溶けて安着の一口に至福を噛みしめる。
しかし、すぐに天候が急変しにわか雨に見舞われた。各テントに避難して様子を伺うも予定していた全員でのジンギスカンは無理か?とテントの中でチビチビと日本酒を飲むエバでした。
ところが、雨は1時間ほどでピタッと止み再び青空が顔を出した。早々外に出て宴会が始まったのは言うまでもない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/5a/02a01ef02cfd399b126bbdb636eb52e3.jpg)
各自が持ち寄ったジンギスカンを出してフライパンで煮込む・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/fb/172233ecac2b7dcddac3fcbe58c06c7b.jpg)
沢で冷やしたビールと共に親睦の輪が深まりそうだ・・・
ジンギスカンを終えてから雨に濡れた焚火に無理やり火を点けて残り少ないアルコールでチビチビと語り合う。
明日の事を心配しても仕方ないが、はやり祈る気持ちは皆同じようだ。
夕暮れと共に各自テントに戻り19:00には就寝となった。
★ 未知の世界へ・・・
【7/20】
起床 2:40 星空
周りのテントも徐々にごそごそと音が聞こえて来た。風も無く静かな朝を迎えた。
祈りが通じて今日の山行が成功裡に終わる事を願うばかりだ・・・。
久しぶりのテント泊、コーヒーを落として「まったり」とした時間の感触が新鮮だったなぁ。
4:30 出発。
沢の傾斜は昨日以上に増して小滝が次々と現れる。
780三俣は生い茂る草に惑わされながらも本流の真ん中を進む。
940二股は右へ・・遡行開始後ちょうど1時間だった。
10分程休憩を取って次の1050二股には、6:10に着き、パッポ隊長と協議する。
右股に進めば新冠富士の直登沢になるが、斜度は一層増して滝の通過も難しくなる。
一方左股は、以前「一人歩きの・・・」sakagさんと「オジロワシの空の下・・」千歳のたかさんが
選んだ沢で滝は無い。
1300mで源頭となり藪を漕いで登山道に出るルートである。
当初の予定では、新冠富士の直登沢だったが隊の力量を考慮して左股を選択する事に変更した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/69/73fa03f063cff27b7f105e4c0ddc6741.jpg)
小滝の直登も増水気味で爆音が轟く・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/af/fdd91e15393a18e02e48da619b5ba592.jpg)
1050二股手前の10mの滝は、右岸から直登出来る
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/e8/bd835d0226d9a61586fcfe86173324fa.jpg)
朝から全身を濡らしてシャワークライムを楽しんだ・・。
7:00 1300m沢の源頭
この沢は滝こそ無かったが急勾配のガレ沢で足場が悪く堆積している石や土砂がすぐに崩れて気が許せない。後続には落石の注意を常に払って登って行く。
1300mで完全に源頭となり地面から伏流している。冷たく美味しい水を多めに確保して・・いよいよ笹薮の突入を覚悟する。
★ 50分のヤブ漕ぎ・・・
パッポ隊長が先頭になって藪を漕ぎ始める。
根曲りダケや灌木を両手で掴みながら急斜面を登って行く。最後尾のエバは、頻繁にテープを印して下山時の目印を付けて行く。隊長には申し訳なかったが6番目のヤブ漕ぎは楽だった・・です。
途中、進路修正をして沢形に入ると笹のトンネルとなり非常に楽な思いもした。それでも約50分間の藪を漕ぎようやく登山道に出た時は安堵した。登山道の出合は約1380mで新冠富士から派生する北西尾根のコル付近と認識する。
登山道は、ところどころ笹も被ってはいるが明瞭だった。迷いやすいところにはテープも付いている。
1500m付近で固定ロープのある第二岩場と言われる一面が花畑の尾根上に出る。快晴の花畑は一段と映えて綺麗だった。
エゾカンゾウ、シナノキンバイ、トウゲブキなどが群生し色々な種類の蝶々が花に群がっていた。
ここで沢用具をデポしてエバ夫婦は登山靴に履き替えた。(他のメンバーは沢靴のまま)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/3a/8180adb76a5f1c094e61300b218397ce.jpg)
1500m付近の第二岩場で沢用具をデポする・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/c6/25f785abddb073e3a3662fc12c2c3744.jpg)
トウゲブキに止まったウスバシロチョウ?らしい・・・
★ 小さな歓声・・・
新冠富士 (1667m) 9:00 登頂 (テン場から登り 4時間30分)
ハイ松の登山道を漕ぐように登って行くと突然視界が開けた狭い空間に飛び出る。そして、「新冠富士」の頂上標識を見て改めて頂上だと認識した。本来なら初登頂に喜びもひとしお・・と言うところであるが、みんな結構疲れていた。
「やった、やったー!!」・・・と小さな歓声を上げて喜ぶも目的はまだこの先にあり決断を迫られる。
登頂してほんの10分だけ休憩。この間に景色を楽しみ、行動食を食べて今後の行動について協議した。
★ 往復3時間・・・
アタックすれば日没・・・
ここからイドンナップ岳の往復には最低3時間は掛かる。いやそれ以上掛かるかも知れない。そして、ここからテン場と登山口まで・・・と考えると上手くいっても20時を回る計算が成り立つ。せめて日没前に林道に辿り着きたいが微妙な選択肢となった。
パッポ隊長は、止めても良いと言ってくれたがこの遥かなる山に再度挑戦出来るのは何時になるだろう。
今回は、恵まれた天候と力が整ったメンバーそして沢自体の難易度を考えるとアタック出来るチャンスは大いにある・・と判断した。
リーダーとしての最大の判断力が試されるが、条件付きでアタック決行を促した。
それは、「片道1時間30分」である。
イドンナップ岳まで1時間30分で着かない場合は、その時点で登行を中止し下山する・・という条件だった。タイム的にもギリギリの譲歩である。パッポ隊長以下全員の了解を得て早々に出発する。女性隊は完全に空身で男性隊が必要な荷物を持って出発した。
新冠富士での集合写真は撮る余裕が無かった・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/5b/9217c396d2703650dc6f6a56040026fc.jpg)
いよいよイドンナップ岳へ向けて出発だ!!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/ff/b0900ce348e298f50ac91ecc6cd93cb2.jpg)
ハイ松の登山道の中に見つけたシャクナゲの花・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/ba/1e27eab1d2907a8414164c1a8eefb2c8.jpg)
稜線から望む日高の峰々・・1839峰は特徴があり分かり易い
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/87/4489bfdc80a522646e46cd5d4caeebcc.jpg)
あのコブがイドンナップ岳だ!!(左奥は幌尻岳)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/eb/0e454058e76b5795cc9ffffd217cadab.jpg)
ついに目の前にしたイドンナップ岳
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/86/15d780f8f8d00e43075b8dbf610c6df1.jpg)
頂上直下に咲くエゾツヅジが綺麗だった・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/49/6c09a432bee1b97700adccb015355489.jpg)
念願と登頂に歓喜湧くメンバー全員・・・!!
★ タイムアウト・・・
10:40・・・が、アタックへの制限時間だった。
パッポ隊長・・「はい、時間になりましたぁ~」「登行終了で~す」と先行している女性隊に声を掛ける。
しかし、誰も止まらない。だってもう目の前にイドンがあるじゃない・・・と
そして、10:50 ついにイドンナップ岳の頂を踏む。 (テン場から登り6時間20分)
★ 感無量・・・
10分オーバーは許容範囲だろう。とにかく全員が無事同時に登頂した。
遠い遠い遥かなる山イドンナップ岳にようやく登頂した。ず~と念願だったから本当にうれしく尚且つ天候にも恵まれて眺望も最高だから言う事無く感無量の感激である。全員と握手を交わし、もう二度と来れないかも知れない登頂の写真を撮る。
一つ一つの山並みを見つめ山座同定をしたり気持ちの良い最高の場所だからゆっくり日向ごっこもしたかった。しかし、許される時間はすでに過ぎて下山を急がなければならない。山登りは・・山下りがセットなのが悔しい。誰かヘリで迎えに来て~~~の心境だ。
11:10 下山開始
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/fd/cb5a40129461a7a37d91d8670a70a47c.jpg)
倒れた頂上標識を囲むように大記念の一枚である
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/a3/5c7edd174cafaa1e3d1821e760042356.jpg)
下山時の稜線からイドンナップを振り返る・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/5c/cb2f64645c31cb339c80b0ee529c7e86.jpg)
再び帰って来た新冠富士での集合写真・・・東側からガスが立ち込めて来た
★ 満足感と充実感が背中を押す・・・
みんな疲れているはず・・なのに誰も愚痴をこぼさない。
誰かが遅れる事も無く全員の足並みは揃っていた。
テン場には何時頃、林道には何時頃までは着きたいね・・と急がすつもりもないが、下山時のみんなの顔には笑顔が溢れているように見えて安心する。
荷物をデポした花畑からいよいよ本格的な下山であるが、きっと全員が満足感と充実感を胸中に秘めながらの下山だろう。
下りは何と言っても早い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/cc/8d5d7dd72c97ef739a2ebb813c78f51a.jpg)
トウゲブキに群がる蝶たち・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/d1/29b3dae7b1869e8da0f3e787ca84be0f.jpg)
第二岩場から固定ロープを利用して下山するメンバー
★ 感謝・感謝です・・・
沢の下山は通常登りと変わらない時間で計算するが、1300m源頭からテン場まで2時間20分だった。早々テントの撤収、ザックのパッキングと約40分程要して17:00出発は予定以上であった。順調ならまだ明るい内に林道に着ける・・と期待が膨らむ。
後は、怪我をする事無く降りられればこの長く遥かなる山行を無事終了することになる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/ce/0b8ea65b88f5f722ca688110507e51ac.jpg)
再び背負う重荷も気にする事無く順調に降りる・・
19:15 林道出合
まさに限界の時間だったが、全員無事に林道に辿り着いた時は涙が出そうだった。
事実、M越さんやI籐さんはすでに感激の涙を流し「ありがとう、ありがとう」を連発していた。
M越さんは70歳・・と聞いてびっくりしたエバだが、15時間にも及ぶ沢の登り下りと長い稜線歩きにも耐えて超人的な「なでしこ」と敬意を表したい。
本当に一生の思い出として強く残る「イドンナップ岳」だった。同行してくれたパッポ隊長はじめ皆さんに感謝・感謝です。
ありがとうございました。
新冠富士 (1667m)
~ イドンナップ岳 (1752m)
日没覚悟の強行、15時間山行も登頂で満足度120%
■ 山 行 日 2011年7月19日(火)~20日(水) 1泊2日
■ ル ー ト シュウレルカシュッペ沢~新冠富士~イドンナップ岳 往復
■ メ ン バ ー CLエバ、SLパッポ隊長、パブマル、I籐、M越、チーヤン
■ 登 山 形 態 沢登り&登山道~稜線踏み跡
■ 地 形 図 1/25000地形図 「新冠湖」 「イドンナップ岳」
■ コースタイム
<1日目> 登り 3時間 テン場 C1
<2日目> テン場~新冠富士 登り 4時間30分 新冠富士~イドンナップ岳 登り 1時間40分
イドンナップ岳~新冠富士 下り 1時間30分 新冠富士~テン場 下り 3時間20分
テン場~駐車地 2時間30分 トータル 15時間
【7/20】
04:30 テン場 出発・入渓
05:30 940二股 (右股へ)
06:10 1050二股 (左股へ)
07:00~10 1300m源頭・・笹藪に突入
07:50 1380m付近登山道出合
08:20~30 1545m付近の尾根上(花畑)・・沢装備デポ (登山靴に履き替える)
09:00~10 新冠富士(1667m) 頂上 (テン場~登り4時間30分)
10:50 イドンナップ岳 (1752m) 頂上 (新冠富士~登り1時間40分)
11:10 下山開始
12:45 新冠富士 (イドンナップ岳~下り1時間30分)
13:00 下山開始
13:40 1380m付近登山道
14:00~10 1300m沢源頭・・・沢靴に履き替える
14:55 1050二股出合
16:20 テン場・・・テント撤収 (新冠富士~下り3時間20分)
17:00 テン場出発・下山
19:15 林道出合
19:30 駐車地点 (テン場~下り2時間30分)
・・・・この日の行動時間 15時間
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/92/83c2a18ea0c0a63472ded93b99d0e2da.jpg)
GPSトラックはパッポ隊長のブログからお借りしました・・。
★ 昨年のリベンジ・・・
遥かなる山稜・・と呼ぶにふさわしい遠い山イドンナップ岳は、日高山脈の主峰「幌尻岳」の南に位置し主稜線から外れた長い尾根上にピークがある。一応登山道のある山として「夏山ガイド」でも紹介されているが、日帰りでも往復13時間を超えるコースタイムで紹介され、間違えなく北海道では一番長い日帰り登山の山であろう。また、登山口までのアプローチも長く訪れる登山者は極稀と聞いている。
そんな山に昨年7月夫婦登山で挑戦したが、予報通り2日目は悪天となりシュウレルカシュッペ沢730二股のテン場から撤退した記憶はまだ鮮明に残っている。
★ 心強い・・・
特に今年になって何度か山行を共にする機会を得て毎回心強い助っ人が、小樽在住のパッポ隊長夫婦とその仲間たち。今回は兼ねてからこの山の同行をお願いし計画を進めていて6名のパーティーで賑やかになった。
★ 寄り道・・・
【7/19】
自宅を6:35に出発し、待ち合わせの日高道出口コンビニに7:20に着く。
早々に見慣れた隊長の赤い車が見えて合流、挨拶を交わして一路登山道へ向かった。
国道235号線新冠から道道209号線(通称サラブレッド銀座)を左折・出合を8:15に通過、泉地区から新冠川沿いの林道に入り新冠ダムに9:15、登山口となるシュウレル線林道出合には9:25に着いた。
今回は、パッポ隊長の希望でこの先にある「イドンナップ山荘」をぜひ見たいという事で更に12キロの林道を往復した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/03/6cc0df3a04bc3ea08775c4c393ef99cf.jpg)
イドンナップ山荘・・2階の部屋がとても綺麗でした。
★ シュウレルカシュッペ沢遡行・・・
11:40 出発
林道を15分ほど歩くと終点となりそのまま踏み跡が続いて左岸の入渓となる。
地形図上ではこの先の右岸に林道が続くが決壊したのか橋らしき痕跡は何もない。入渓は対岸に渡渉するためで右岸の古い林道跡をしばらく辿る。
沢は、前日まで降っていた長雨でやはり増水していた。多少の心配もあったが水は澄んでいたしこの先テン場までは難しい滝も無いので進むことにする。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/77/4b868b5e7c0be3137189ef3b159a4560.jpg)
入渓後間もなくのシュウレルカシュッペ沢。 増水気味である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/ee/f2bbf0fbe0839c5f7b608dd0780cb863.jpg)
何気ない渡渉も少し緊張する・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/6b/dfb5a4ca87b5cb8704b0109c6b6c42f2.jpg)
610二股を過ぎると小滝が増えて来る・・・
パッポ隊長とエバが先頭とシンガリを交代しながら何度も渡渉を繰り返す。沢自体の難度は低く沢初心者でも楽しめるだろう。ただ小滝の直登場面では何度かお助けロープを出してホローしたが、もうパンツまで濡らして楽しい遡行だったと思う。
天気も予報に反して快晴となり重装備の背中も心もち軽く感じた。
そして・・・ 14:45 730二股 テン場到着
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/f9/176d960a18ede15b96672a500cd1b9e6.jpg)
730二股右岸にある快適なテン場・・・
★ 予定通りに安堵・・・
増水にも関わらず無事にそして予定通りテン場に到着した時はホッとした。
快適なテン場も昨年と変わらずに出迎えてくれ重い荷物を安堵に降ろす。それぞれがテントを張った後安着の乾杯はパッポ隊長のザックから出て来た。缶ビールを凍らせてキンキンに冷えたビールがちょうど良く溶けて安着の一口に至福を噛みしめる。
しかし、すぐに天候が急変しにわか雨に見舞われた。各テントに避難して様子を伺うも予定していた全員でのジンギスカンは無理か?とテントの中でチビチビと日本酒を飲むエバでした。
ところが、雨は1時間ほどでピタッと止み再び青空が顔を出した。早々外に出て宴会が始まったのは言うまでもない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/5a/02a01ef02cfd399b126bbdb636eb52e3.jpg)
各自が持ち寄ったジンギスカンを出してフライパンで煮込む・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/fb/172233ecac2b7dcddac3fcbe58c06c7b.jpg)
沢で冷やしたビールと共に親睦の輪が深まりそうだ・・・
ジンギスカンを終えてから雨に濡れた焚火に無理やり火を点けて残り少ないアルコールでチビチビと語り合う。
明日の事を心配しても仕方ないが、はやり祈る気持ちは皆同じようだ。
夕暮れと共に各自テントに戻り19:00には就寝となった。
★ 未知の世界へ・・・
【7/20】
起床 2:40 星空
周りのテントも徐々にごそごそと音が聞こえて来た。風も無く静かな朝を迎えた。
祈りが通じて今日の山行が成功裡に終わる事を願うばかりだ・・・。
久しぶりのテント泊、コーヒーを落として「まったり」とした時間の感触が新鮮だったなぁ。
4:30 出発。
沢の傾斜は昨日以上に増して小滝が次々と現れる。
780三俣は生い茂る草に惑わされながらも本流の真ん中を進む。
940二股は右へ・・遡行開始後ちょうど1時間だった。
10分程休憩を取って次の1050二股には、6:10に着き、パッポ隊長と協議する。
右股に進めば新冠富士の直登沢になるが、斜度は一層増して滝の通過も難しくなる。
一方左股は、以前「一人歩きの・・・」sakagさんと「オジロワシの空の下・・」千歳のたかさんが
選んだ沢で滝は無い。
1300mで源頭となり藪を漕いで登山道に出るルートである。
当初の予定では、新冠富士の直登沢だったが隊の力量を考慮して左股を選択する事に変更した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/69/73fa03f063cff27b7f105e4c0ddc6741.jpg)
小滝の直登も増水気味で爆音が轟く・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/af/fdd91e15393a18e02e48da619b5ba592.jpg)
1050二股手前の10mの滝は、右岸から直登出来る
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/e8/bd835d0226d9a61586fcfe86173324fa.jpg)
朝から全身を濡らしてシャワークライムを楽しんだ・・。
7:00 1300m沢の源頭
この沢は滝こそ無かったが急勾配のガレ沢で足場が悪く堆積している石や土砂がすぐに崩れて気が許せない。後続には落石の注意を常に払って登って行く。
1300mで完全に源頭となり地面から伏流している。冷たく美味しい水を多めに確保して・・いよいよ笹薮の突入を覚悟する。
★ 50分のヤブ漕ぎ・・・
パッポ隊長が先頭になって藪を漕ぎ始める。
根曲りダケや灌木を両手で掴みながら急斜面を登って行く。最後尾のエバは、頻繁にテープを印して下山時の目印を付けて行く。隊長には申し訳なかったが6番目のヤブ漕ぎは楽だった・・です。
途中、進路修正をして沢形に入ると笹のトンネルとなり非常に楽な思いもした。それでも約50分間の藪を漕ぎようやく登山道に出た時は安堵した。登山道の出合は約1380mで新冠富士から派生する北西尾根のコル付近と認識する。
登山道は、ところどころ笹も被ってはいるが明瞭だった。迷いやすいところにはテープも付いている。
1500m付近で固定ロープのある第二岩場と言われる一面が花畑の尾根上に出る。快晴の花畑は一段と映えて綺麗だった。
エゾカンゾウ、シナノキンバイ、トウゲブキなどが群生し色々な種類の蝶々が花に群がっていた。
ここで沢用具をデポしてエバ夫婦は登山靴に履き替えた。(他のメンバーは沢靴のまま)
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1500m付近の第二岩場で沢用具をデポする・・
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トウゲブキに止まったウスバシロチョウ?らしい・・・
★ 小さな歓声・・・
新冠富士 (1667m) 9:00 登頂 (テン場から登り 4時間30分)
ハイ松の登山道を漕ぐように登って行くと突然視界が開けた狭い空間に飛び出る。そして、「新冠富士」の頂上標識を見て改めて頂上だと認識した。本来なら初登頂に喜びもひとしお・・と言うところであるが、みんな結構疲れていた。
「やった、やったー!!」・・・と小さな歓声を上げて喜ぶも目的はまだこの先にあり決断を迫られる。
登頂してほんの10分だけ休憩。この間に景色を楽しみ、行動食を食べて今後の行動について協議した。
★ 往復3時間・・・
アタックすれば日没・・・
ここからイドンナップ岳の往復には最低3時間は掛かる。いやそれ以上掛かるかも知れない。そして、ここからテン場と登山口まで・・・と考えると上手くいっても20時を回る計算が成り立つ。せめて日没前に林道に辿り着きたいが微妙な選択肢となった。
パッポ隊長は、止めても良いと言ってくれたがこの遥かなる山に再度挑戦出来るのは何時になるだろう。
今回は、恵まれた天候と力が整ったメンバーそして沢自体の難易度を考えるとアタック出来るチャンスは大いにある・・と判断した。
リーダーとしての最大の判断力が試されるが、条件付きでアタック決行を促した。
それは、「片道1時間30分」である。
イドンナップ岳まで1時間30分で着かない場合は、その時点で登行を中止し下山する・・という条件だった。タイム的にもギリギリの譲歩である。パッポ隊長以下全員の了解を得て早々に出発する。女性隊は完全に空身で男性隊が必要な荷物を持って出発した。
新冠富士での集合写真は撮る余裕が無かった・・・。
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いよいよイドンナップ岳へ向けて出発だ!!
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ハイ松の登山道の中に見つけたシャクナゲの花・・
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稜線から望む日高の峰々・・1839峰は特徴があり分かり易い
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あのコブがイドンナップ岳だ!!(左奥は幌尻岳)
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ついに目の前にしたイドンナップ岳
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頂上直下に咲くエゾツヅジが綺麗だった・・・
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念願と登頂に歓喜湧くメンバー全員・・・!!
★ タイムアウト・・・
10:40・・・が、アタックへの制限時間だった。
パッポ隊長・・「はい、時間になりましたぁ~」「登行終了で~す」と先行している女性隊に声を掛ける。
しかし、誰も止まらない。だってもう目の前にイドンがあるじゃない・・・と
そして、10:50 ついにイドンナップ岳の頂を踏む。 (テン場から登り6時間20分)
★ 感無量・・・
10分オーバーは許容範囲だろう。とにかく全員が無事同時に登頂した。
遠い遠い遥かなる山イドンナップ岳にようやく登頂した。ず~と念願だったから本当にうれしく尚且つ天候にも恵まれて眺望も最高だから言う事無く感無量の感激である。全員と握手を交わし、もう二度と来れないかも知れない登頂の写真を撮る。
一つ一つの山並みを見つめ山座同定をしたり気持ちの良い最高の場所だからゆっくり日向ごっこもしたかった。しかし、許される時間はすでに過ぎて下山を急がなければならない。山登りは・・山下りがセットなのが悔しい。誰かヘリで迎えに来て~~~の心境だ。
11:10 下山開始
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倒れた頂上標識を囲むように大記念の一枚である
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下山時の稜線からイドンナップを振り返る・・・
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再び帰って来た新冠富士での集合写真・・・東側からガスが立ち込めて来た
★ 満足感と充実感が背中を押す・・・
みんな疲れているはず・・なのに誰も愚痴をこぼさない。
誰かが遅れる事も無く全員の足並みは揃っていた。
テン場には何時頃、林道には何時頃までは着きたいね・・と急がすつもりもないが、下山時のみんなの顔には笑顔が溢れているように見えて安心する。
荷物をデポした花畑からいよいよ本格的な下山であるが、きっと全員が満足感と充実感を胸中に秘めながらの下山だろう。
下りは何と言っても早い。
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トウゲブキに群がる蝶たち・・・
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第二岩場から固定ロープを利用して下山するメンバー
★ 感謝・感謝です・・・
沢の下山は通常登りと変わらない時間で計算するが、1300m源頭からテン場まで2時間20分だった。早々テントの撤収、ザックのパッキングと約40分程要して17:00出発は予定以上であった。順調ならまだ明るい内に林道に着ける・・と期待が膨らむ。
後は、怪我をする事無く降りられればこの長く遥かなる山行を無事終了することになる。
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再び背負う重荷も気にする事無く順調に降りる・・
19:15 林道出合
まさに限界の時間だったが、全員無事に林道に辿り着いた時は涙が出そうだった。
事実、M越さんやI籐さんはすでに感激の涙を流し「ありがとう、ありがとう」を連発していた。
M越さんは70歳・・と聞いてびっくりしたエバだが、15時間にも及ぶ沢の登り下りと長い稜線歩きにも耐えて超人的な「なでしこ」と敬意を表したい。
本当に一生の思い出として強く残る「イドンナップ岳」だった。同行してくれたパッポ隊長はじめ皆さんに感謝・感謝です。
ありがとうございました。
ございます。いつも感謝とお礼の気持ちで
一杯です。他力本願的な山行に終始しています
が、それでもなかなか踏めないピークですよね。
快適なテン場、適切なルート、時間・・・
情報は本当に助けられるし安心します。
未踏の山の踏破も一つ一つですが、その経過の
一つとしてこの山行は印象の強い山となりました。
今後ともよろしくお願いします。
厳しい山も迷いやすい山も隊長が居ると
心強いです。今回もみんなが居たのでアタック
の決断をしましたが、夫婦なら止めたかも知れ
ません。
山行話を肴にして飲むなら「何年かしたら」では
無く今すぐにでも飲みたいところですね。
これからも一生の思い出となる山行を沢山しましょう。
私と全く同じルートのようで、テン場も同じ・・・少しはお役に立てたようですね。
あのテン場は偶然見つけたものでした。
それにしても、水量が多かったですね。
パッポ隊長さんともご一緒の楽しい山行で良かったですね。
CLありがとうございました。頂上からの展望は最高でしたね。新冠富士でのアタック会議でエバさんの言うとおりアタックして本当に良かったです。一生の思い出に残る山行になりました。
何年かしたらこの山の思い出を肴に飲みたいですね