エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

雨で敗退、▲イドンナップ岳 (1752m)

2010年07月23日 | 山紀行 (日高山系)
雨で敗退・・・イドンナップ岳 (1752m)
(念願だった遥かなる稜線に沢から挑むチャンスが来た・・)
■ 山 行 日  2010年7月17日(土)~18日(日)
■ ル ー ト   シュウレルカシュペ沢~新冠富士~イドンナップ岳 往復
■ メンバー    夫婦登山No.16
■ 登山形態   沢登り&薮&登山道
■ 地 形 図  1/25000地形図  「新冠湖」  「イドンナップ岳」
■ コースタイム  (730二股まで・・)
【7/17】
11:45       シュウレルカシュペ沢出合林道終点( P) 出発(c425)
11:50        入渓
13:40       610二股
14:30       730二股 (右岸に平坦な地形のテン場あり)(登り 2時間45分)
【7/18】
 4:40      下山開始
 5:40~50    610二股を過ぎたテン場適地(休)
 6:20~30    c530河原(休)
 7:00~20    沢蕗採り
 7:55       駐車地 (下り  3時間15分・・蕗採り・休憩含む)



★ 二つのチャンスを生かして・・

 記憶と記録を辿って見ると、新冠ダムを経由して新冠湖の東湖辺を縫うように走る新冠林道を使用した
のは、8年前の2002年8月以来だった。当時は常に開かれた林道でイドンナップ山荘まで車が入れた。
貸切の山荘に泊り翌日向かった山は「ヌカンライ岳(1518.7m)」。ブライベツ川~南東面直登沢から登頂し
往復した。北電ゲートからMTBで遡行する沢まで林道を走った記憶が蘇える。

あれから訪れる機会が無くこの道を使って登る予定だった「ルイベツ岳(1541.4m)」も未踏のままである。
そして、今回の新冠富士とイドンナップ岳も日高の主稜線から外れた遥かなるマイナーな頂ではあるが
歴とした登山道のある山でありながら、エバ同様訪れる登山者が少ないのは侮れる山である。何せ30
キロ近い林道の走行と閉ざされていたゲートがイドンを遠くしてしまった原因なのかも知れない。

 しかし、昨年から担当の森林管理署に「入林承認申請」を行なえば林道ゲートの鍵が貸し出されイドン
ナップ岳の登山口やイドンナップ山荘まで車での走行が可能となったのは嬉しいことである。

 今回は、このチャンスと共にほんの一週間前に登ったHYMLの仲間、山さん一行の記録や4年前の
函館sakagさんと千歳のたかさんの記録も参考にさせて頂き計画を実行することが出来た事も心強かった。
心から感謝している。


函館のsakagさんのHP
千歳のたかさんのHP
札幌の山さんのHP

【7/17(土)】
★ 不安と期待・・・
 本来、力の無い二人の計画なら2泊3日で挑戦するのが無理の無い計画と言えよう。しかし、自宅から
登山口までのアプローチや初日の遡行時間、そしてテン場からイドンの往復等々考えれば体力だけは自
信のある二人、不安と期待を抱きながらも1泊2日予備日なしの計画で出発した。


★ 試される読図力とルートファイティング・・・
  最近ならメジャーな沢でなくてもピンクのテープの一本や二本はルート上に付いているもの・・・と思い
込んでいたのは間違いだった。遡行開始早々戸惑う場面に出合う。
 入渓がいきなり最初の渡渉となるが対岸のルートがハッキリしない。ましてテープなどの目印は見当た
らず渡渉してからようやく僅かな踏み跡を見つけた次第だ。こりゃ~最初から自分の読図力とルートの見
極めを試される遡行になりそうだ・・と直感的に思った。
 そして、最後までテープらしき標識は無く高巻きの踏み跡や渡渉もこれまでの経験と勘で見つけながら
登ることになった。



★ 610二股から始まる核心部・・・
 沢の遡行自体は難しい技術を必要としないが肩の重荷に耐えながら進むべきルートを判断し、鹿道か
踏み跡か迷うような高巻きも時に薮になったり、流れに沿ってジャブジャブと沢中を歩いた方が楽と思っ
たり、結構息つく暇も無く初沢を楽しんでいると目安にしていた610二股を見逃し、気が付くと645二股
に来ていた。見逃したのは本流が左に大きく曲がり支流の右股が薮に隠れたところに流れがあったのと
右岸を歩いていたせいで気が付かなかったと後で判った。
この辺りから沢の傾斜が増し沢形も一変してくるのでいよいよ核心部突入かと気が付く場所でもあった。
 610二股のテン場は、二股の手前(下流)に広い河原があり細かい砂利と平坦な場所が幾つもあった
が登っている時にはそれに気が付かず通り過ぎていた。
 核心部・・と言っても大きな滝が出てくるのではなく傾斜が増して大きな石を乗り越えるために四肢を
使って登る場面が多くなるだけである。




入渓して間もなくのシュウレルカシュペ沢・・・


滝らしい滝は無い中の滝?を直登するチーヤン


★ 730二股の快適なテン場・・・
 645二股から僅か30分ほどで730二股に着く。左股は涸れ沢だが大きな石が堆積して剥き出しに
なっている。右の本流を少し登るも沢だけを見ていると何処にもテン場らしきスペースは無い。しかし、
右岸側の草地(河原林)に目を向けると何となく広いスペースがあり、軽く笹を漕いで行くと平坦で快適
な広場があった。ここは函館のsakagさんと千歳のたかさんが報告したHPに載っていた場所で正にテン
場には最適な場所だった。まだ14:30という時間ではあったが結論はもう決まっていた。



sakagさんのHPを参照して見つけたテン場適地(730二股右岸側)


沢登りの楽しさのひとつ・・・ビールが旨い!!

★ 沢の醍醐味・・・
 素晴らしいテン場と冷たい沢水そして時期外れ・・ではない沢ブキを調達し、ここに漁群でも確認すれば
竿を出して・・・とまさに沢の醍醐味を満喫出来る場所だったが魚群は確認出来なかった。
林の中には枯れ枝が沢山落ちていたので焚き火にし、冷やしたビールで早々に安着の儀へと移行した。
用意した500缶ビール3本と350ペットの日本酒は、メインディッシュのホルモン「こてっちゃん」と「沢蕗の
煮付け」をつまみにあっという間に空いてしまった。
お腹を満たせばまだ明るいうちからテントに入って雑談し、明日の長いアタックに備えて早々に就寝する。




貸切のテン場は快適だった・・・


今夜のメインデッシュは「ホルモン鍋・こてっちゃん」と現地調達の「沢蕗の煮付け」・・

【7/18(日)】
★ 中止、撤退の決断・・・
 出発4:00に合わせて2:30に起床する。沢の音だけが聞こえる静かな朝を迎えていた。そして、いつ
ものようにコーヒーを落とす用意をしていると、突然テントに打ち付けるバタバタバタという異音に驚く。

天気予報は見て来たが、その通り当たってしまった・・・と二人顔を見合う。
外はまだ暗くすぐには行動できないので、雨音を聞きコーヒーを飲みながら今日の行動を思案することに
した。

雨は止んだり降ったりを繰り返しながら出発時間を迎える。
中止、撤退・下山の決断を下す。


★ エバ夫婦のモットー・・・
「無理をしない・・」が、これまでエバ夫婦が貫いて来た安全登山のモットーである。
仮にアタックを掛けた場合でも雨と風とガスの中の登行は免れず楽しい山行は期待できない。大雨にな
れば沢の増水も心配になり登頂に喜ぶ余裕などは無くなるだろう。

快適な730二股のテン場で一晩過ごせた事を良しとして、再来を誓った下山が正解と判断した。
下山途中、何度と無く振り返るも上空は低い雲に覆われ山頂部も濃いガスで何も見えなかった。

「また来ればいいっしょ・・・」の意味のある満足の下山だった。





最後は締まらない蕗のオヤジ・・・



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