初体験、標高差600m一直線の直登沢・・・
芦別・中天狗 (1316.8m)
頂上直下はシナノキンバイのお花畑・・ピッケル・アイゼンは必須
■ 山 行 日 2011年7月13日(水) 日帰り
■ ル ー ト 尻岸馬内林道~尻岸馬内川北東面直登沢 往復
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №16
■ 登 山 形 態 沢登り&ピッケル・6本歯簡易アイゼン
■ 地 形 図 1/25000地形図 「島ノ下」「布部岳」
■ 三角点・点名 二等三角点 点名「中天狗 チュウテング」
■ コースタイム 登り 3時間35分 下り 2時間35分
<登り>
08:20 林道終点から出発
09:15~25 直登沢出合
11:55 頂上
<下り>
12:35 下山開始
14:20 本流沢出合
15:10 林道終点
★ 中天狗 (ちゅうてんぐ)
芦別・夕張山魂の北西に位置する鋭鋒で「ちゅうてんぐ」と呼ぶらしい。
先日 (6/23) 、大先輩の岳友函館のsakagさんが登った記録を参考に早々計画を立てて実現した。
西隣にキリギシ山、東隣に布部岳、南隣には小天狗岳の北峰と南峰が間近に見る事が出来る。
夏道は無く人里離れたこの山の登頂には、これまで残雪期しか考えていなかった。それが今回
のルートでしかも難しい滝も無いひたすら急勾配の沢登りを2時間少々辛抱すれば・・・とい
う情報には魅力があった。
実際、sakag さんのコースタイムは比ではなかったが、少なくともピッケルと簡易アイゼンは
必須の山である事は強調したい。
「一人歩きの北海道山紀行」sakagさんの中天狗記録
「地図がガイドの山歩き」saijoさんの中天狗
★ アプローチ・・・
道道135号線(美唄・富良野線)を札幌方向から向かって二つ目のトンネル(富芦トンネル)を出
て約1.5キロ走ると右手に「尻岸馬内川林道」の出合がある。出合には広い駐車スペースがあ
るのでここに駐車し、施錠されたゲートから約6キロの林道歩きとなる。この日はあらかじめ用
意したMTB2台で登山口を目指すことにした。標高差約250m緩やかな登りも比較的整備さ
れた林道は走り易い、約1時間で林道終点だった。終点は広場になっていてテントなら2~3張
れるスペースがある。すぐに入渓となるがイタドリの藪も踏み跡がいくつかあって苦は無い。
入渓した時帰路の目印としてテープなどを印す事をお勧めしたい。
本流となる「尻岸馬内川」は、何度も渡渉するがまったく問題の無いきれいな沢で約1時間ほど
で左岸に直登沢と出合う。遡行を始めて最初に左岸に出合う支沢が直登沢なので間違える事は無
いだろう。

入渓後は直登沢まで平凡な沢歩きが続く・・・

直登沢の出合

写真では分からない急斜度の滝の様な印象が不安を募る・・

直登沢を登ってみれば・・何とかである

出合から僅か標高差50mで伏流して涸れ沢に化す・・
★ 圧巻の直登沢出合・・・
記録の写真は見ていたが実際に出合う直登沢はまさに「圧巻」である。
sakag さんの言葉を拝借すれば「両側に門柱のような岩崖が切り立って、その中に入って行く
・・」感じで、V字型の地形に一直線に突き上げた急斜度の一本沢だ。最初から滝登りの印象
が強く「こんなとこ登れるのか?」と不安になる出合である。
しかし、近づくと見上げるも直登出来そうな沢で不安は除かれ楽しむ事に切り替えられた。
水は非常に冷たく小滝状の流れを登って行くと出合から僅か標高差50mほどのところ(標高約
770m )で、突然水流が無くなり水源は岩の隙間から溢れるように流れていた。その上はまっ
たくの涸れ沢で土石が詰まった歩き難い沢形となる。
sakag さんの記録には標高850m付近から標高差300mの雪渓歩き・・・とあったのでピ
ッケルとアイゼンも用意していたが雪はほとんど無く沢靴を泥まみれにしながら必死に登るだ
けだった。とにかく一直線の急勾配である。
1150付近から沢形が消えてシダ類の草と薄い灌木帯の急斜面に変わり頂上を目指すことに
なる。僅かな踏み跡と何箇所かテープもあったがGPSを持たない(持っていない)エバ夫婦は
頻繁にテープを付けて登って行く。しかし、粘土のような土と急勾配に沢靴は辛すぎた。
途中から6本歯の簡易アイゼンを付けると難のこと無かった。1250付近で灌木帯を抜け出
し頂上直下の草地に出るとそこは一面花畑だつた。
シナノキンバイを中心にタニウツギ、ヨツバシオガマ、チシマフウロ、イブキジャコウソウ、
トウゲブキ、エゾシオガマ等々2度目の圧巻を感じた群落である。

頂上直下の北面はシナノキンバイを中心にした一面お花畑だった・・

タニウツギ

ちょっと珍しい始めて見るイブキジャコウソウ

道の無い山・・どこを歩いてもお花畑ですいません

シナノキンバイに次ぐトウゲブキの群落も目立つ

シロバナニガナ

ガスが切れて顔を出した恐竜の背「キリギシ山」

記念すべき初登頂・・背景に南隣の小天狗岳がようやく見えてラッキー

背景は、西隣のキリギシ山。ガスが上がり見せてくれましたぁ~

ネギ坊主 (ギョウジャニンニクの花) とトウゲブキのコラボも珍しいかも・・・
★ 幸運・・・
11:55 中天狗 頂上 (登り 3時間35分)
1150付近の沢形が切れた頃に周りはすでにガスの中だった。
雨が降っていないだけでもラッキーだ・・と思っていたが、登るにつれて上空は明るくなって
所々ガスが切れだした。そして、花畑に達した頃から青空も顔を出し、キリギシ山や小天狗岳を
眺められたことは本当にラッキーで幸運な事と感謝した。もしかするともっと晴れて芦別岳や
夕張岳も見せてくれるのでは・・と期待しつつ約40分の滞在中にはどちらも顔を出してはく
れなかった。
撮っていない花も沢山あったが花畑は急斜面の群落で足の踏み場も無い・・と言うくらい一面に
咲いていた。悪意は無くとも立入れば「踏付け」は必至でとても中には入れなかった。
もっとゆっくりしたい和みの頂上だったが、そうも行かないのが山登り。
12:35 下山を開始
★ 命のテープ・・・
下山早々生い茂った花畑の中の踏み跡を辿るのも苦労した。
そして、灌木帯と薄いシダ藪の踏み跡も見失うほど急斜度の下りは早く危うい。難を逃れたのは
頻繁に付けて来たピンクのテープである。登ったルートを最短で下るにはこのテープが命なのだ。
事実ちょっとだけ間違えて登り返しをしテープを発見して安堵した・・というエピソードがあった。
★ 何と言っても・・・
何と言っても下りである。
簡易アイゼンを付けピッケルを持って下れば、あれだけ苦労した登りが嘘のようだ。

1000m付近に唯一の残雪があった直登沢の下り・・

登りの苦労も下りでは楽しさに変わる沢登りは楽しい・・・
★ 総括・・・
久しぶりの夫婦登山を2日連続で決行した結果「滝ノ沢岳」も「中天狗」も心配をよそに
好天に恵まれ無事に登頂、下山出来た事が何よりの成果で充実していた。
いつもこうならいいのに・・・と思うがそうも行かないのがサラリーマン登山であるが、
滝ノ沢岳の登頂で夫婦共々夕張三山を踏破し、まずは目出度し・・というところだ。
しかし、この山魂にはまだまだ未踏も多く、今後は意欲だけは失わないようガンバルだけ
かも知れない。
最後に、今回の山行では函館のsakagさんを始め、「地図がガイドの・・」saijoさんの
記録を参考にさせて頂きました。いつも感謝していますが、このページから失礼ながらお礼
を申し上げます。ありがとうございました。

林道の入口ゲート
芦別・中天狗 (1316.8m)
頂上直下はシナノキンバイのお花畑・・ピッケル・アイゼンは必須
■ 山 行 日 2011年7月13日(水) 日帰り
■ ル ー ト 尻岸馬内林道~尻岸馬内川北東面直登沢 往復
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №16
■ 登 山 形 態 沢登り&ピッケル・6本歯簡易アイゼン
■ 地 形 図 1/25000地形図 「島ノ下」「布部岳」
■ 三角点・点名 二等三角点 点名「中天狗 チュウテング」
■ コースタイム 登り 3時間35分 下り 2時間35分
<登り>
08:20 林道終点から出発
09:15~25 直登沢出合
11:55 頂上
<下り>
12:35 下山開始
14:20 本流沢出合
15:10 林道終点
★ 中天狗 (ちゅうてんぐ)
芦別・夕張山魂の北西に位置する鋭鋒で「ちゅうてんぐ」と呼ぶらしい。
先日 (6/23) 、大先輩の岳友函館のsakagさんが登った記録を参考に早々計画を立てて実現した。
西隣にキリギシ山、東隣に布部岳、南隣には小天狗岳の北峰と南峰が間近に見る事が出来る。
夏道は無く人里離れたこの山の登頂には、これまで残雪期しか考えていなかった。それが今回
のルートでしかも難しい滝も無いひたすら急勾配の沢登りを2時間少々辛抱すれば・・・とい
う情報には魅力があった。
実際、sakag さんのコースタイムは比ではなかったが、少なくともピッケルと簡易アイゼンは
必須の山である事は強調したい。
「一人歩きの北海道山紀行」sakagさんの中天狗記録
「地図がガイドの山歩き」saijoさんの中天狗
★ アプローチ・・・
道道135号線(美唄・富良野線)を札幌方向から向かって二つ目のトンネル(富芦トンネル)を出
て約1.5キロ走ると右手に「尻岸馬内川林道」の出合がある。出合には広い駐車スペースがあ
るのでここに駐車し、施錠されたゲートから約6キロの林道歩きとなる。この日はあらかじめ用
意したMTB2台で登山口を目指すことにした。標高差約250m緩やかな登りも比較的整備さ
れた林道は走り易い、約1時間で林道終点だった。終点は広場になっていてテントなら2~3張
れるスペースがある。すぐに入渓となるがイタドリの藪も踏み跡がいくつかあって苦は無い。
入渓した時帰路の目印としてテープなどを印す事をお勧めしたい。
本流となる「尻岸馬内川」は、何度も渡渉するがまったく問題の無いきれいな沢で約1時間ほど
で左岸に直登沢と出合う。遡行を始めて最初に左岸に出合う支沢が直登沢なので間違える事は無
いだろう。

入渓後は直登沢まで平凡な沢歩きが続く・・・

直登沢の出合

写真では分からない急斜度の滝の様な印象が不安を募る・・

直登沢を登ってみれば・・何とかである

出合から僅か標高差50mで伏流して涸れ沢に化す・・
★ 圧巻の直登沢出合・・・
記録の写真は見ていたが実際に出合う直登沢はまさに「圧巻」である。
sakag さんの言葉を拝借すれば「両側に門柱のような岩崖が切り立って、その中に入って行く
・・」感じで、V字型の地形に一直線に突き上げた急斜度の一本沢だ。最初から滝登りの印象
が強く「こんなとこ登れるのか?」と不安になる出合である。
しかし、近づくと見上げるも直登出来そうな沢で不安は除かれ楽しむ事に切り替えられた。
水は非常に冷たく小滝状の流れを登って行くと出合から僅か標高差50mほどのところ(標高約
770m )で、突然水流が無くなり水源は岩の隙間から溢れるように流れていた。その上はまっ
たくの涸れ沢で土石が詰まった歩き難い沢形となる。
sakag さんの記録には標高850m付近から標高差300mの雪渓歩き・・・とあったのでピ
ッケルとアイゼンも用意していたが雪はほとんど無く沢靴を泥まみれにしながら必死に登るだ
けだった。とにかく一直線の急勾配である。
1150付近から沢形が消えてシダ類の草と薄い灌木帯の急斜面に変わり頂上を目指すことに
なる。僅かな踏み跡と何箇所かテープもあったがGPSを持たない(持っていない)エバ夫婦は
頻繁にテープを付けて登って行く。しかし、粘土のような土と急勾配に沢靴は辛すぎた。
途中から6本歯の簡易アイゼンを付けると難のこと無かった。1250付近で灌木帯を抜け出
し頂上直下の草地に出るとそこは一面花畑だつた。
シナノキンバイを中心にタニウツギ、ヨツバシオガマ、チシマフウロ、イブキジャコウソウ、
トウゲブキ、エゾシオガマ等々2度目の圧巻を感じた群落である。

頂上直下の北面はシナノキンバイを中心にした一面お花畑だった・・

タニウツギ

ちょっと珍しい始めて見るイブキジャコウソウ

道の無い山・・どこを歩いてもお花畑ですいません

シナノキンバイに次ぐトウゲブキの群落も目立つ

シロバナニガナ

ガスが切れて顔を出した恐竜の背「キリギシ山」

記念すべき初登頂・・背景に南隣の小天狗岳がようやく見えてラッキー

背景は、西隣のキリギシ山。ガスが上がり見せてくれましたぁ~

ネギ坊主 (ギョウジャニンニクの花) とトウゲブキのコラボも珍しいかも・・・
★ 幸運・・・
11:55 中天狗 頂上 (登り 3時間35分)
1150付近の沢形が切れた頃に周りはすでにガスの中だった。
雨が降っていないだけでもラッキーだ・・と思っていたが、登るにつれて上空は明るくなって
所々ガスが切れだした。そして、花畑に達した頃から青空も顔を出し、キリギシ山や小天狗岳を
眺められたことは本当にラッキーで幸運な事と感謝した。もしかするともっと晴れて芦別岳や
夕張岳も見せてくれるのでは・・と期待しつつ約40分の滞在中にはどちらも顔を出してはく
れなかった。
撮っていない花も沢山あったが花畑は急斜面の群落で足の踏み場も無い・・と言うくらい一面に
咲いていた。悪意は無くとも立入れば「踏付け」は必至でとても中には入れなかった。
もっとゆっくりしたい和みの頂上だったが、そうも行かないのが山登り。
12:35 下山を開始
★ 命のテープ・・・
下山早々生い茂った花畑の中の踏み跡を辿るのも苦労した。
そして、灌木帯と薄いシダ藪の踏み跡も見失うほど急斜度の下りは早く危うい。難を逃れたのは
頻繁に付けて来たピンクのテープである。登ったルートを最短で下るにはこのテープが命なのだ。
事実ちょっとだけ間違えて登り返しをしテープを発見して安堵した・・というエピソードがあった。
★ 何と言っても・・・
何と言っても下りである。
簡易アイゼンを付けピッケルを持って下れば、あれだけ苦労した登りが嘘のようだ。

1000m付近に唯一の残雪があった直登沢の下り・・

登りの苦労も下りでは楽しさに変わる沢登りは楽しい・・・
★ 総括・・・
久しぶりの夫婦登山を2日連続で決行した結果「滝ノ沢岳」も「中天狗」も心配をよそに
好天に恵まれ無事に登頂、下山出来た事が何よりの成果で充実していた。
いつもこうならいいのに・・・と思うがそうも行かないのがサラリーマン登山であるが、
滝ノ沢岳の登頂で夫婦共々夕張三山を踏破し、まずは目出度し・・というところだ。
しかし、この山魂にはまだまだ未踏も多く、今後は意欲だけは失わないようガンバルだけ
かも知れない。
最後に、今回の山行では函館のsakagさんを始め、「地図がガイドの・・」saijoさんの
記録を参考にさせて頂きました。いつも感謝していますが、このページから失礼ながらお礼
を申し上げます。ありがとうございました。

林道の入口ゲート
