2012年9月3日(月)08:02
(産経新聞)
■重鎮、石原氏擁立VS中堅・若手、安倍・石破氏人気
自民党の石原伸晃幹事長が2日、党総裁選(14日告示、26日投開票)への出馬に意欲を示したことで、派閥の分裂を回避するため石原氏の擁立に本腰を入れ始めた党重鎮らと、安倍晋三元首相や石破茂前政調会長らを推す中堅・若手層との世代間抗争の色彩が浮かび上がってきた。そのはざまで、再選を目指す谷垣禎一総裁は苦しい立場に追い込まれている。
◆森氏「気変わった」
2日のテレビ朝日の番組に出演した森喜朗元首相はいつも以上に冗舌だった。
再選を目指す谷垣氏について「限界がある。(再選支持の)気持ちはがらっと変わった」とばっさり。
8月28日に森氏に総裁選出馬の考えを伝えた安倍氏については「国民に、自分の体の関係で首相を辞めたことの説明ができているのかどうか」と語り、「憲法改正や教育の見直しをしたいという理想は素晴らしいが、安倍さんの力を示すのに首相にならなければならないことはない」と牽制(けんせい)。
森氏が実質的なオーナーであり、安倍氏も所属する清和政策研究会(町村派)会長の町村信孝元官房長官にも自重を求め、「(町村、安倍両氏の)2人とも抑えているところだ。どちらも出るというのは(町村派の)みんなが迷惑する」と強調したのだ。
両氏の間で調整がつかない場合、森氏ら党重鎮や派閥領袖(りょうしゅう)は幹事長の石原氏を担ぎ出そうとしている。石原氏はベテランへの配慮を欠かさず重鎮世代の評価が高い。後ろ盾には人気の高い父、石原慎太郎東京都知事もいる。その石原知事は2日のフジテレビ番組で「幹事長を辞めてもっとはっきりモノをいえといっている」とハッパをかけた。
ただ、森氏ら重鎮世代が表立って動き出せば、党改革を訴えてきた中堅・若手らが反発を強めかねない。
安倍氏や石破氏は若手や党員の人気が高い。まして今回の総裁選は国会議員票は200票で、党員・党友に割り振られた地方票300票のほうが比重が高い。
「重鎮世代VS中堅・若手世代」という構図が強まることについては石原氏自身も、周辺に「若手の支援が得にくくなる」と懸念を漏らしており、“重鎮世代の候補”との見方を薄める演出として、石原氏支持の「勁草(けいそう)の会」の中堅議員ら十数人が、5日にも石原氏に出馬を要請する方針だ。
◆中間派に活路開く
一方で、5候補が出馬の意欲を示す混戦模様に、早くも決選投票を見越した動きも出ている。石破氏を支援する議員グループが安倍氏陣営に6日の勉強会の共同開催を打診したのだ。ただ、主導権をめぐって両陣営がつばぜり合いを続けており、調整はついていない。
そんな中で現職の谷垣氏の出遅れ感は否めず、多数派工作も厳しい状況だ。3日にも出身派閥の宏池会(古賀派)の古賀誠会長と会い、支持を求めるが、協力が得られなくても出馬に踏み切る考えを伝える方針。その場合、世代間抗争から一定の距離を置く「中間派」が発生する可能性もあるため、これらの中間派議員らの支持を集めて再選への活路を開く構えだ。
● 石原幹事長が出馬意欲 自民総裁選、混戦模様 gooニュース2012年9月3日(月)08:02
(産経新聞)
自民党の石原伸晃幹事長は2日、鹿児島市で講演し「私は谷垣禎一総裁を支えるために政治をやってきたのではない。日本を何とかしなければならないとの思いでやってきた」と述べ、党総裁選(14日告示、26日投開票)への出馬に意欲を示した。総裁選には石原氏のほか谷垣氏や安倍晋三元首相、町村信孝元官房長官、石破茂前政調会長らも意欲を示しており、混戦も予想される。
石原氏は党執行部の一員であることから、これまで谷垣氏が不出馬の場合に限って出馬する考えを示していた。しかし、党内の中堅・若手に加え、関係が良好な党重鎮からも擁立論が高まっていることを受け、方針を転換したとみられる。
一方、谷垣氏は同日のNHK番組で「民主、自民、公明の3党合意を軌道に乗せる責任がある。逃げるわけにはいかない」と再選に重ねて意欲を見せた。出馬への協力を要請するため、出身派閥である古賀派会長の古賀誠元幹事長と近く会う考えも示した。
また、町村氏も同日、北海道江別市で記者団に「私にとって数少ないチャンスの一つだ。不退転の決意で進む」と述べ、強い意欲を表明。早ければ今週前半にも正式に出馬表明したい考えだ。
石破氏は同日のフジテレビ番組で「国のためになることであれば、己を捨てなければいけないことはある」と決意を示した。安倍氏は党本部で記者団に「先頭に立てという声があるのは大変光栄なことだ」と述べるにとどめた。
● 森元首相「谷垣氏に限界」=総裁再選支持を転換 gooニュース2012年9月2日(日)13:32
自民党の森喜朗元首相は2日のテレビ朝日の番組で、消費増税を批判した野党7会派の首相問責決議に自民党が賛成したことについて「全く支離滅裂だ。谷垣禎一総裁にも限界があるのではないか」と強く批判した。その上で、谷垣氏の総裁再選を支持するとした自らの考えに関し「がらっと気持ちが変わった」と述べ、転換したことを明らかにした。
一方、自身が実質的なオーナーを務める町村派から、町村信孝会長と安倍晋三元首相の2人が総裁選への出馬に意欲を示していることについては「2人は清和政策研究会(町村派)を守っていかないといけない立場だ。どちらかにしないと(グループの)みんなが迷惑する」と語り、候補者一本化の必要性を強調した。
[時事通信社]