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初の「減災放送」NHK 3・11の反省は生きたのか

2012-12-16 12:09:48 | ウエーブニュース

初の「減災放送」NHK 3・11の反省は生きたのか
  2012年12月16日(日)7時0分配信 日刊ゲンダイ

 仰々しいと感じた人も多かったのではないか。

  先週7日の夕方、東北地方で起きた震度5弱の地震。テレビ各局はかつてない強い口調で避難を呼びかけたが、群を抜いていたのはNHKだ。気象庁が緊急地震速報を出すやいなや、総合、Eテレ、BS2波の全チャンネルを緊急ニュースにスイッチ。すぐさま、男性アナウンサーが「緊急地震速報です! 緊急地震速報です!」と呼びかける音声が流れた。その後も、「東日本大震災を思い出してください」「命を最優先に今すぐ逃げてください」「周りの人にもどうぞ避難を呼びかけて逃げてください」と切迫感のあるアナウンスを続けた。

  NHKは、昨年11月から、津波警報が発令された際の呼びかけ方や画面表示を研究してきたという。「3・11」の教訓だ。

「名称も災害報道から減災報道に変更。原稿を作成する出稿部とテレビニュース部、アナウンス室など各部署から集まり、検討を重ねてきました」(NHK広報担当者)

  見直しは道半ばで、マニュアルはないが、文言の定型文は作成済み。7日の言い回しは、いずれも会議から生まれたものだという。

「東北以外にも全国の震源地となり得る地域ごとにシミュレーションし、想定原稿を作成。東京や大阪などの放送局ではほぼ連日、深夜0時過ぎから減災報道の訓練もしています。今回は初の放送でしたが、大震災で学んだのは、ひとりでも多くの方に逃げて欲しいということ。その一点です」(前出の担当者)

  放送後、視聴者から約1000件の意見が寄せられた。中には「3・11当時のことを思い出してしまう」「もっと冷静に」と批判的な意見もあったという。

「アナウンサーの口調が興奮し過ぎているように感じましたが、取り組みは評価できる」と言うのは、防災システム研究所の山村武彦所長。

「これまでの報道は『落ち着いてください』といったパニックを防ぐ言葉が多用されました。それでは避難を促すことはできません。人の心を動かすには、文言だけでなく、口調やイントネーションも工夫しなければダメ。興奮でも冷静でもない表現感覚を磨く必要がある。また、人間は同じ文面や表現を繰り返し聞いていると慣れてきて、反発作用が生じる。警報や注意報が発令から解除されるまで、同じトーンで繰り返すと、逆効果になりかねない。タイミングも見極め、訓練を重ねることが大事でしょう」

  取り組みは始まったばかりだ。

(日刊ゲンダイ2012年12月13日掲載)


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