2013年12月16日
■「1人でやった」
人気漫画「黒子のバスケ」をめぐる脅迫事件で、上智大学(東京都千代田区)に硫化水素入りの容器を放置するなどしたとして、警視庁捜査1課は15日、威力業務妨害容疑で、大阪市東成区大今里西(おおいまざとにし)、職業不詳、渡辺博史(ひろふみ)容疑者(36)を逮捕した。
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捜査1課によると、昨年10月以降に全国約500カ所の関連施設に脅迫文などを送り付けたほか、関連菓子に毒物のニコチンを入れてコンビニ店に置いたことなどを全面的に認めており、「ごめんなさい。負けました」と供述している。
逮捕容疑は昨年10月12日、上智大の体育館2階に硫化水素入りの容器や「喪服の死神」を名乗る脅迫文を置き、大学側の業務を妨害したとしている。
上智大は作者の藤巻忠俊さんが過去に在籍。脅迫文には「俺は藤巻忠俊が憎い。漫画をやめろ」などと書かれ、容器のふたに張られていた。硫化水素は気化すれば致死量を上回る濃度だったが、けが人はいなかった。一連の脅迫文では藤巻さんへの恨みを犯行動機とし、複数の人物を名乗っていたが、渡辺容疑者は「1人でやった。作者と面識はない。バスケット漫画で成功していることをやっかんだ」と供述している。
今年10月に産経新聞やコンビニ店に送られた脅迫文では千葉県浦安市内の実在するコンビニ店を挙げ、「農薬を付けた菓子を置いた」などと書かれ、この店舗から回収されたとみられる菓子から致死量の100分の1程度のニコチンが検出された。
上智大やコンビニ店周辺の防犯カメラにやせ形の男が写っていたことなどから、渡辺容疑者の関与が浮上。15日午後3時ごろ、東京都渋谷区内で郵便ポストに脅迫文を入れようとしたところを捜査員に発見され、身柄を確保された。
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【用語解説】黒子のバスケ脅迫事件
人気漫画「黒子のバスケ」関連のイベント会場などに昨年10月以降、脅迫文などが送られ、イベントが中止になるなどした。今年10月には半年ぶりに報道機関やコンビニ店に脅迫文が届き、関連商品を撤去するなどの影響が広がった。
(産経新聞テキスト朝刊)
◆「黒子のバスケ」作者の成功やっかみ 容疑者「負けました」
(産経新聞テキスト朝刊)
■複数の防犯画像決め手
人気漫画「黒子のバスケ」をめぐる脅迫事件で、15日に警視庁に逮捕された渡辺博史容疑者(36)は新たな脅迫文をポストに投函(とうかん)しようとしたところを取り押さえられ、「負けました」と素直に容疑を認めた。これまでに届いた脅迫文の消印は東京や埼玉、大阪などバラバラで、居住地などの特定が難航。逮捕の決め手は、複数の現場周辺の防犯カメラで捉えられた「不審者」だった。
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15日午後3時ごろ、東京都渋谷区のJR恵比寿駅近くにある商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」。路上に置かれた郵便ポストに渡辺容疑者が近づくのを、警視庁の捜査員は見逃さなかった。封筒を投函しようとしたところで声をかけた。
「ごめんなさい。負けました」
渡辺容疑者は一連の事件への関与を素直に認めた。犯行動機については「(作者の藤巻忠俊さんが)漫画で成功したことにやっかんだ。(脅迫文に)指紋がつかないように細心の注意をしていた」と供述。15日午前に上京したとみられ、「脅迫文を投函するために来た」と説明している。
捜査関係者によると、渡辺容疑者の関与が浮上したのは、今年10月以降。報道機関やコンビニ店に送られた脅迫文で名指しされ、毒物のニコチンが検出された菓子が置かれたとみられる千葉県浦安市内のコンビニ店近くの防犯カメラに、マスクや手袋姿で周囲をうかがうような動きをしていた不審者が写っていた。
この人物が昨年10月12日に上智大学の防犯カメラに写っていた上下黒い服のやせ形の人物と体格などが似ていたほか、同日に浦安市内のネットカフェで、ネット掲示板に犯行声明とみられる書き込みがあったことから、捜査1課は浦安市周辺に土地勘がある可能性も視野に捜査していた。
一方、脅迫文が投函された場所に統一感はなく、今年10月の脅迫文だけでもさいたま市と兵庫県尼崎市だった。
最終的に、捜査員が恵比寿駅近くで、防犯カメラの画像によく似た渡辺容疑者を見つけたことが逮捕につながった。
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【用語解説】黒子のバスケ
藤巻忠俊さんが「週刊少年ジャンプ」(集英社)で、平成20年から連載している人気漫画。新設高校のバスケットボール部に入部した主人公が全国制覇を目指す物語で、コミックスの累計発行部数は2300万部以上。毎日放送(MBS)などでアニメが放映されているほか、DVDやキャラクターを描いたカード付きの菓子が販売され、関連イベントも人気を集めている。
(産経新聞テキスト朝刊)
◆「黒子のバスケ」脅迫、男逮捕 近所と騒音トラブル
2013年12月16日
渡辺博史容疑者が住んでいたのは、大阪市東成区の商店などが混在する地域の小さなマンション。近隣住民によると、同容疑者は自宅には深夜に出入りし、部屋からは時々、騒音が漏れていたため、住民とのトラブルも発生していた。
渡辺容疑者の下の階に住んでいたトラック運転手の男性(48)は、「昨年12月、床を『ドンドン』と踊るように踏みつける騒音があり、3回ほど注意に行った。そのときは『すみませんでした』と素直に謝った。まさか脅迫事件の容疑者だったとは」と驚いた様子で話した。
渡辺容疑者は1年ぐらい前に引っ越してきたといい、部屋への出入りは深夜や明け方が多く、青っぽい作業服を着ていることが多かったという。
このマンションは近鉄線の高架近くの商店街にある3階建て。通り沿いには店舗兼住宅や3、4階建てのアパートが並んでいる。飲食店の明かりも見えるが、15日夜は人通りがまばらで閑散とした雰囲気だった。
(産経新聞テキスト朝刊)
◆「黒子のバスケ」脅迫、男逮捕 リュックに脅迫文20通
2013年12月16日
渡辺博史容疑者が15日に捜査員に身柄を確保された際、リュックサックには、今月末に開催される高校のバスケットボール大会や同人誌イベントの主催者などに開催中止を求める脅迫文など約20通が入っていた。警視庁では、同容疑者は今後開かれるイベントの中止を求めるためポストに入れようとしていたとみて、さらに詳しい経緯を調べる。
黒子のバスケをめぐりこれまで各地に送られた脅迫文では、一貫して作者の藤巻忠俊さんへの恨みがつづられており、犯行の執拗(しつよう)さが垣間見える。
昨年10月から11月にかけては、東京都内や名古屋市、福岡市のイベント会場に脅迫文などが続々と届いた。
今年1月17日には、犯人グループを名乗る「怪人801面相」がインターネット掲示板で「終結宣言」したが、4月には再び一部のイベント会場に脅迫文が送られた。
(産経新聞テキスト朝刊)
◆「黒子のバスケ」脅迫、男逮捕 「根底に強い負の感情」
2013年12月16日
黒子のバスケをめぐる脅迫事件の容疑者は、イメージ通りだったか。今年11月の本紙記事で「30代後半。作者との面識はない」と分析した臨床心理士の長谷川博一氏は「想定通り」とした上で、「自分の好きな漫画が黒子のバスケの人気で影が薄くなってしまったと考え、逆恨みで犯行に走った」と動機を推測する。
インターネットの掲示板では「藤巻さんのせいで友人との関係が壊れた」などと動機が書き込まれていたが、長谷川氏は「友人というのが好きな漫画を指している」と指摘。「黒子のバスケのせいで好きな漫画と自分との関係が崩れたと感じている」と語った。
渡辺容疑者は「負けました」と供述しているが、長谷川氏は「最後まで捕まらずに世間を騒がせ続けるつもりだったのだろう。自分のせいで世間が騒ぐことで欲求が満たされていた」と分析する。渡辺容疑者は脅迫文を投函するためなどに全国に足を運んだとみられ、約500カ所に脅迫文を送ったという。長谷川氏は「犯行は計画的で、ベースには非常に強い負の感情がある。その感情がどこから来たのか。しっかりと明らかにしてほしい」と語った。
(産経新聞テキスト朝刊)
「黒子のバスケ」脅迫事件、大阪の36歳男逮捕
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20131215-567-OYT1T00722.html
2013年12月15日(日)23:46
読売新聞
週刊少年ジャンプ(集英社)の人気漫画「黒子のバスケ」を巡る脅迫事件で、警視庁は15日、上智大(東京都千代田区)に硫化水素入り容器を置いたとして、大阪市東成区大今里西、職業不詳渡辺博史容疑者(36)を威力業務妨害容疑で逮捕した。
容疑を認め、これまでに数百通の脅迫文を送ったことや、毒物のニコチンをキャラクター関連菓子に入れ、コンビニ店に置いたことも認めている。
発表では、渡辺容疑者は昨年10月12日、「黒子のバスケ」の作者、藤巻忠俊さんの出身校である上智大の四谷キャンパスの体育館に、「喪服の死神」を名乗る犯行声明文と硫化水素入り容器を置き、大学職員らに校内の警戒をさせるなどして大学の業務を妨害した疑い。
渡辺容疑者は藤巻さんと面識がなく、調べに「バスケット漫画で成功していることをやっかんだ。1人でやった」と供述している。
「黒子のバスケ」を巡っては、上智大での事件以降、作品関連のイベント会場や関連商品を扱うコンビニ店、マスコミ各社などに計約400通の脅迫文が届いた。複数のイベントが中止になったほか、一部の商品が撤去された。
同庁の捜査で、ニコチン入りの菓子が置かれた千葉県浦安市のコンビニ店近くの防犯カメラに、不審な動きをする男が映っていたことが判明。この男によく似た渡辺容疑者が15日午後3時頃、東京都渋谷区内のポストに新たな脅迫文を
黒子のバスケ脅迫 リュック特定が決め手 捜査員、大阪から尾行
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20131216529.html
2013年12月16日(月)13:45
産経新聞
人気漫画「黒子のバスケ」をめぐる脅迫事件で、警視庁捜査1課が防犯カメラで容疑者とみられる男のリュックサックを特定し、渡辺博史(ひろふみ)容疑者(36)=大阪市東成区=の逮捕につなげていたことが16日、捜査関係者への取材で分かった。今月末から関連イベントが東京都内などで予定されていたことから警戒を強めており、15日に特徴が似たリュックサックを持った渡辺容疑者を発見した。捜査1課は16日午後にも渡辺容疑者の自宅を家宅捜索する。
捜査関係者によると、10月以降、都内などの複数の防犯カメラに黒っぽいリュックを持った不審な男が映っていた。男は昨年10月に硫化水素入りの容器などが置かれた上智大学のカメラに映っていたやせ形の人物と体格が似ていたという。
捜査1課は15日早朝にJR大阪駅周辺で、黒地に白色のラインが入ったリュックサックを持った渡辺容疑者を発見し、尾行を開始。渡辺容疑者は午前6時ごろに同駅近くから高速バスに乗車し、午後3時ごろにJR新宿駅(東京都新宿区)で下車した。その後、渋谷区恵比寿のポストに新たな脅迫文を投函(とうかん)しようとしたところで身柄を確保した。直前に別のポストに封書を投函しており、捜査員は続けざまにポストを利用しようとしたことで不信感を持ったという。
渡辺容疑者は少し抵抗するようなそぶりを見せたが、すぐに「負けました」などと容疑を認めた。逮捕時は背広にジャンパーを着ていたという。