マリ介入2週間 対テロ戦 仏「孤立」懸念 支援表明の米欧、及び腰
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/snk20130127073.html
2013年1月27日(日)08:14
(産経新聞)
【ベルリン=宮下日出男】マリ北部を実効支配するイスラム過激派武装勢力掃討のため、フランスが軍事介入を始めて2週間が経過した。アルジェリア人質事件で、北アフリカに潜む過激派への対処が緊急課題となる中、米欧はテロの標的になることを警戒しつつ、フランスへの支援を強化する。ただし、アフリカに広がった対テロ戦は長期化が予想されており、フランスには“孤立化”への懸念も出ている。
オランド仏大統領は25日、オバマ米大統領と電話会談した。オバマ氏はマリの武装勢力掃討でフランスが果たす「主導的役割を支持する」と強調。両首脳は北アフリカでのテロ対策強化の重要性にも一致した。
アルジェリア人質事件を受け、欧米諸国は欧米人を狙ったテロへの警戒を強めている。英国が24日にリビア東部ベンガジに滞在する自国民に退避勧告を出したのに続き、仏独、オランダなども25日までに同様の措置をとった。リビア当局は否定するが、「脅威に関し、信頼できる情報がある」(仏外務省)ためだ。
特にフランスではマリ介入開始後、国内の警戒態勢も強化。対象には仏を支援する欧米諸国の在外公館も含まれる。国民の6割超が人質事件発生後も介入を支持するが、同国は欧州最大のイスラム教徒人口を持つだけでなく、過激なイスラム思想に影響を受けた人物が犯行に及ぶ恐れもある。
軍事介入の展望にも不透明感は拭えない。米側の支持を確認したオランド大統領も、仏軍が必要とする空中給油機の提供までは取り付けていない。
ドイツもメルケル首相が仏軍介入への支持を明確にしているが、協力は輸送機2機と資金提供にとどまる。国内世論調査では約半数が独軍の協力は十分とする。武装勢力掃討への支援をどれだけ取り付けられるかが課題となる中、「フランスの孤立化が問題だ」(仏野党)との声もある。
アルジェリア人質事件対応にみる「政治文化」の違い
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20130127524.html
2013年1月27日(日)13:01
(産経新聞)
アルジェリアの人質事件は、日本人10人が犠牲になるという何とも痛ましい結果となった。事件発生の一報が外務省に入ったのは16日午後4時40分だった。詳細がつかめず、政府は情報収集に追われた。
一次的に情報が入るわけでもない与党の自民、公明両党も最初は目立った動きはなかった。
だが、菅義偉官房長官が午後9時に記者会見を開いて事件の概要を発表することになってからの動きはすばやかった。両党はさっそく幹部を招集。いったん閉じられた自民党本部の正面玄関が開けられ、自民党の石破茂、公明党の井上義久両幹事長らが続々と集まり、同10時に1回目の与党対策本部を開いた。
一連の動きについて何の違和感も覚えなかったが、民主党担当が長く、最近初めて自民党担当となった後輩記者は「こんなに早く幹部が集まるなんて、民主党では考えられない」と目を丸くしていた。対策本部は休日も含め、9人の遺体が帰国した25日までに計6回開かれた。
民主党は翌17日午後の外務・防衛部門会議で政府側から説明を受け、対策本部の初会合は事件発生から2日後の18日だった。対策本部はこれまで3回開催している。
「党で集まったからといって何か意味があるのか」「会合の回数が違うから何なんだ」という意見もあるかもしれない。確かに今回のような事件の対応の主体は政府であり、与党も野党も、できることには限界がある。政党による単なるアピールと受け止める人もいるだろう。忙しい政府が頻繁に各党を回って同じような説明ばかりしていたら、場合によっては政党が政府の「邪魔」をすることにもなりかねない。
だが、ここで注目したいのは、政党としての「姿勢」だ。何かあったらすぐに集まる-。これは自公両党に染みついた「政治文化」といえる。
確かに自民党は何かあると、すぐに動き出す。2年前の東日本大震災は言うまでもなく、毎年のようにどこかで起こる雪害などでも対策本部を設けて対応する。
海外で大きな地震や事件が発生した場合も同様だ。20万人以上の死者を出した2004(平成16)年12月26日発生のスマトラ沖地震でも、深刻な被害が判明し始めた大みそかの同31日に対策本部を設け、正月返上で準備した党視察団が翌17年1月7日に派遣された。民主党は1日早い16年12月30日に対策本部を設けたが、視察団の派遣は翌年の2月中旬だった。
早く現地に行けばいいというものでもない。今回の人質事件でアルジェリアに視察団を派遣した政党はない。現地に行ったところで恐らく成果はあまり期待できなかっただろう。
だが、こういう姿勢を評価する声もある。自公両党が人質事件の対策本部を設置した直後、従業員が犠牲者になったプラント大手「日揮」の関係者から自民党に対し、さっそく「感謝」の連絡が入ったという。
自民党が事件解決のために何か具体的なことをしたわけではない。だが、政府だけでなく与党として迅速に対応する姿勢に深く感銘を受けたとの内容だったという。海外で事業を展開する企業にとっては、事件に誠実に対応する自公両党の「姿勢」だけでも心強かったようだ。
体験として思い起こすのは、北朝鮮による韓国・延坪島への砲撃事件(平成22年11月23日)だ。当時外務省を担当していたが、驚いたのは与党・民主党の砲撃事件に対する関心の低さだった。
北朝鮮が韓国を砲撃すれば、戦火が拡大し、韓国にいる邦人に限らず日本への影響も予想された。民主、自民両党は翌24日にそれぞれ関係する会合を開催した。野党の自民党外交・国防部会には当時の石原伸晃幹事長ら三役を含め40人以上の議員が出席し、1時間以上に渡って政府の説明を受けたり質疑を行った。一方、与党だった民主党外務部門会議の出席者は約20人。たいした質疑もなく、砲撃事件関係のやりとりは15分で終了した。
砲撃事件の対応の主体もまた政府であり、政党にできることは限られていただろう。出席者数や会議の時間の長さで両党を比較するのはナンセンスかもしれない。ただ、文章で表現しがたいのだが、危機を深刻に受け止めているかどうかで両党の「空気」は明らかに違っていた。
砲撃事件の約5カ月前には自民党の小野寺五典現防衛相らが議員立法で、海外の動乱などに巻き込まれた邦人を救出しやすくするための自衛隊法改正案を提出していた。だが、民主党などは協力せず、実質的な審議がないまま継続審査を繰り返し、結局昨年の衆院解散に伴って廃案となった。
そういえば当時の菅直人首相は砲撃事件を受け、自衛隊法改正を検討する意向を表明した。しかし、口先だけで何もしないまま首相の座を降りた。こういう政党が3年3カ月も政権を担っていたことが今さらながら空恐ろしい。(酒井充)
仏軍とマリ政府軍、武装勢力拠点の空港を制圧
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/world/20130126-567-OYT1T01277.html
2013年1月27日(日)01:24
(読売新聞)
【バマコ=黒岩竹志】西アフリカ・マリでイスラム過激派武装勢力から北部地域の奪還を目指すフランス軍とマリ政府軍は26日、武装勢力の拠点ガオに進軍し、市中心部から6キロ・メートルの地点にある空港や、交通の要衝となっている橋などを制圧した。
ルドリアン仏国防相がパリで声明を発表した。
ガオはトンブクトゥ、キダルと並び、武装勢力が実効支配する北部3大拠点の一つ。ガオ市内では武装勢力との戦闘が続いているとみられるが、奪還が実現すれば、今月11日に軍事介入を開始した仏軍が主導する作戦は大きく前進する。
ロイター通信によると、仏軍特殊部隊が空軍の援護を受けながら作戦を遂行した。国防相の声明は、「(武装勢力が)輸送手段や後方支援の拠点が破壊されるのを目の当たりにしただろう」と成果を強調した。