● 環境省、最終処分場の候補地提示 仮置き耐用3年 「環境影響心配」 gooニュース 2012年9月4日(火)08:05
(産経新聞)
■他県でも地元反発懸念
放射性物質に汚染された「指定廃棄物」の最終処分場の設置は、当初から難航が予想されていた。「地元の廃棄物は地元で処理を」と理解を求める環境省だが、“迷惑施設”を押しつけられる形の候補地は反発を強める。だが、処分場ができなければ、長期保管に不安がある仮置き場に廃棄物が積み上がるばかりで、将来的には周囲環境への悪影響が懸念される。
◆「しっかりお断り」
「突然お越しになったが驚きと戸惑いを感じている。到底受け入れられぬ話でしっかりお断りをした」
栃木県矢板市の遠藤忠市長はこう反対の意思を表明した。環境省の横光克彦副大臣との面会はこの日午前に急遽(きゅうきょ)設定され、非公開で約15分間行われたが、同席した関係者によると、議論はまったくかみ合わなかったという。
栃木県は福島県に次いで指定廃棄物が多い。矢板市では今も、小中学校を中心に除染作業が続けられている。矢板市商工会の大森広行事務局長は「原発事故後は、飲食店でサラダを出しても手を付けてもらえない」と風評被害を訴える。
その上で「最終処分場が建設されれば、どうなるのか。農業への影響は間違いないし、矢板に行くのはやめよう、という話が出ても不思議ではない」と不安を隠せない。
◆「粘り強く説明…」
環境省は9月末までに宮城、茨城、千葉の3県にも1カ所ずつ候補地を伝える方針。処分場の必要な面積をおおむね1~4ヘクタールと試算しており、国有地を中心に選定を急いでいる。
3県はいずれも設置自体には同意しているが、候補地打診の段階になれば、「汚染された廃棄物のために広大な土地を『はい、そうですか』と地元がすんなり受け入れるとは思っていない」(茨城県廃棄物対策課)と反発を懸念している。
候補地選定後、環境省は半年間ほどかけて地元説明会を開く予定で、来年夏ごろに造成工事を開始し、平成26年度から廃棄物の搬入を始めたい意向だ。
環境省の担当者は「地元の廃棄物を地元で処理するのが原則。他県から持ち込むことはないので、粘り強く説明していけば、ご理解いただけるのではないか」と期待する。
◆数十年の保管必要
放射性物質に汚染された廃棄物は、焼却場や下水処理場で濃縮されており、通常の処理場では処理できないため、数十年間保管できる施設が必要となる。最終処分場がない現状では、廃棄物は下水処理場の敷地内や、焼却場に隣接する駐車場などに仮置き場をつくり一時的に保管している。
ガイドラインで安全性の確保をうたっているものの、仮置き場の耐用年数はおおむね3年。処分場がこのまま設置されなければ、行き場のない廃棄物が、そのまま仮置き場に積み上がっていく。廃棄物は、ただシートがかけられているだけの状態の所もある。千葉県資源循環推進課は「今のままでは逆に周囲への影響が心配で、環境省の提案を待って、地元のご理解を最優先に、設置に協力していきたい」としている。
● 「指定廃棄物」最終処分場に栃木県矢板市、市長は拒否 環境省 候補地提示 gooニュース
2012年9月4日(火)08:05
(産経新聞)
東京電力福島第1原発事故に伴い、高濃度の放射性物質に汚染された焼却灰や汚泥などの「指定廃棄物」の最終処分場について、環境省の横光克彦副大臣は3日、福田富一栃木県知事と県庁で面会し、候補地として同県矢板市の国有林野を選んだと伝えた。最終処分場は4県で設置を予定しているが、具体的な候補地の提示は初めて。
福田知事は「処分場の建設は必要だが、地元の理解が不可欠だ。丁寧な説明をお願いしたい」と理解を示したものの、遠藤忠矢板市長は横光氏に受け入れ拒否を明言した。
候補地は、矢板市塩田大石久保の国有林野で面積は3~4ヘクタール。栃木県の指定廃棄物は8月3日時点で、下水汚泥や焼却灰など計4445トンで、最終的には約9千トンになる見通しという。
環境省によると、候補地の選定は現地調査を実施した結果、十分な広さを確保できることや、住宅や水源地から離れており周辺への影響が少ないことを理由とした。
候補地の半径500メートル以内には民家が1軒あるが山頂を隔てた反対側の斜面にあるという。
最終処分場の設置は栃木県のほか、宮城、茨城、千葉の3県で予定されており、環境省は9月末までに各県で候補地を選定し、平成26年度中の完成を目指している。
【用語解説】指定廃棄物
放射性セシウム濃度が1キロ当たり8千ベクレルの基準を超す焼却灰や下水汚泥などで、国の責任で直接処理する。指定廃棄物は岩手、宮城、福島、新潟、群馬、栃木、茨城、千葉、東京の9都県で計4万2千トンと試算。宮城、栃木、茨城、千葉の4県以外は、既存の施設を活用するなどで処分を検討している。最終処分場では廃棄物をコンテナに収納して、二重のコンクリート壁で覆うなど安全性を確保し数十年間管理する。放射線被曝(ひばく)線量が年間1ミリシーベルト以下になれば通常の埋め立て処分も可能。