浅田次郎「中原の虹」

2008年01月30日 23時52分01秒 | 巻十六 読書感想
読み終えた。
かなりの長編のはずだが、
全然長いとは思わなかった。
読み終えてしまうことが惜しいと感じる作品だった。

中原の虹 第一巻
浅田 次郎
講談社

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中原の虹 第二巻
浅田 次郎
講談社

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中原の虹 第三巻
浅田 次郎
講談社

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中原の虹 第四巻
浅田 次郎
講談社

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張作霖。
関東軍に謀殺された人。

袁世凱。
即位しすぐ退位した「一瞬天下」な人。

西太后。
稀代の悪女にして独裁者。

張学良。
西安事件を起こした人。

孫文。
革命を達成した、なんか偉い人。

宋教仁。
そんな人知らんかった。

…恥ずかしながら
こんな程度のイメージしかなかった、のだが。

「蒼穹の昴」「珍妃の井戸」「中原の虹」と続く三部作において、
彼ら彼女らがなんと生き生きと時代を生きていたことか。
もちろん、浅田氏が描いている姿は一つの側面でしかないのだが、
それにしてもここまで説得力ある描写で見せつけられると
まあなんというか、脱帽だ。参りました。

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実は、違和感を抱いた部分が無くはない。

民を愛し民に愛される張作霖だが、
一方で無辜の民を躊躇なく大量虐殺する両面性。

両面性でいえば、作中に於いて西太后の右に出る者はいないだろう。
溺愛している光緒帝を、幽閉したまではいいが、
文字通りの「冷や飯」を食わせることはないだろ、不自然だろ、とか。

でも、思うのだ。
張作霖や西太后に描かれる矛盾こそ、
人間誰しも多かれ少なかれ抱える、悲しき二面性なのではないだろうか。

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続編を書く意志が、浅田氏にはあるようだ。
もともと主人公が固定できない物語だが、
次作はどんな人物たちを中心に語られていくのだろう?
満州国建国とか、毛沢東の再登場とか、
想像しただけでたまりません。

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