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【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

左翼知識人の変質、創価学会の素顔

2015-10-23 23:29:51 | 転載と私見
本澤二郎氏の評論を読み、感じたことを「私見」としてまとめた。
櫻井智志

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2015年10月22日
島国・日英の大外交の落差<本澤二郎の「日本の風景」(2151)
<戦前回帰の日本政府>
 安倍内閣が誕生すると、がぜん、極右外交に舵を切った。中国敵視による改憲軍拡路線である。それが戦後70年の節目に火を噴いた。ようやく「世界が日本を評価してくれている」とはしゃぐ日本国首相である。戦前回帰の日本外交に隣国は警戒と不信を募っている。国際社会も懸念を抱いている。他方、同じ島国の英国は、世界NO1の市場である中国と黄金の時代構築に専念している。この大きな落差をどう見るか。
<靖国参拝・戦争法に踊る極右>
 かつて日本の天皇制国家主義を煽り立てて日清戦争を起こした?大英帝国のロンドンは、戦後金融国家として変身、覇権主義の片りんを見せることはない。ワシントンに振り回されることはあっても、失敗を反省して正常軌道に乗せているロンドンである。
 日本は戦後70年、米帝国をまねて日本版NSCを創設、そこから矢継ぎ早に発信される極右外交によって、戦争の出来る日本改造に余念がない。
 戦争神社である靖国神社参拝に狂奔するアンベイ内閣が、轟音を立てて疾走している。極右の危険なダンスに、従来は平和主義で一部国民の支持を得ていた公明党創価学会が、率先して加わり、とうとう自衛隊の海外派兵を容認する戦争法を実現して、内外に衝撃を与えている。
<ロンドンは中国と黄金の時代へ>
 イギリスは、日本とは逆の大外交を展開している。北京がアジアインフラ投資銀行を立ち上げると、ロンドンの金融街は真っ先に手を挙げるよう英政府を突き上げた。
 いま中英両国とも「黄金の時代」を合唱している。共に賢い外交を展開している、それを戦後70年の節目に合わせている。
 思えば70年前、英軍は中国の抗日戦争を戦っている。アメリカも、である。その感謝を込めた先のワシントン・ニューヨークへの主席の訪問だった。ワシントンとの軋轢を回避した北京は、その足でロンドンに立っている。これもまた北京の大外交を印象付けている。
<英王室の華麗な歓迎>
 アンベイのニューヨーク訪問を、国連事務総長は相手にしなかった。世界運命共同体を訴える中国主席に歩調を合わせた。戦後体制崩壊を狙う東京に対して、米大統領オバマも顔を背けた。
 彼は戦争法を武器に今日から北京の北方諸国を回って、封じ込め作戦に余念がない。狂ってしまっているのである。
 それにしても英王室の習近平歓迎は、この国のすべての力を振り絞ったものであることが、映像で伝えられてきている。昨日は、重陽節である。敬老の日である。
 家族団らん、ロンドンの華麗な歓迎式典に酔いしれた人民である。
 おとぎ話が、目の前に現れたような錯覚にとらわれる。黄金の馬車に乗る習近平主席とエリザベス女王である。ワシントンでは許されなかった議会演説が、ここロンドンでは容易に実現した。
 最高の歓迎ぶりを淡々とこなす習近平である。戦後70年に手にした世界第2位の大国である。世界経済をけん引する中国である。
<実利・合理主義のロンドン>
 世界最大の消費市場の中国にいち早く目を付けたロンドンの金融街である。負けじとベルリン・パリも追随している。中国の存在なくして、今の欧州は存在しないかのようである。
 テロの生産国・アメリカに欧州は、シリア難民で悪戦苦闘している。責任を取らないワシントン、反省しないワシントンに距離を置く欧州である。孤立するワシントンにキスする相手は、日本の極右政権だけである。
 ロンドンは、1億人を超えた中国の中産階級の旅人に感謝している。元の強さを知悉している。実利に目のないロンドンである。西洋の合理主義である。そこに宝の山がある。そこへ行けばいい。小学生でもわかる。
 領土問題を提起して軍事的威嚇する日米外交は、ロンドンの大外交には存在しない。高齢の女王が率先して中国の客人を必死で接待する姿に、中英両国民は頭を垂れている今である。
<愚かな財閥・日本会議・創価学会>
 ロンドンと北京の華麗なダンスを見ていると、日本のそれが悲しい。情けなくなる。沈没する日本を見る日本国民も悲劇である。
 財政破綻目前である。それでも軍拡予算に余念がない財閥・日本会議・創価学会の愚かさには、もはや発する言葉もない。
2015年10月22日記(武漢大学客員教授・日本記者クラブ会員)

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私見

 中国敵視による極右外交路線にかじをきった安倍晋三に、すりよる左翼知識人がいる。平和市民運動「(略称)市民の風」の元代表だった河内謙策弁護士である。「市民の風」は地道で堅実で素晴らしい市民団体である。その元トップが、中国はすぐにも侵略戦争を開始するから中国非難の署名が千人を越えたと喜んでいる。「風」の内部には、ほんとうに福島原発に真剣に取り組む勇気ある知識人田島直樹さんが河内氏の投稿の問題点を毎回指摘している。しかし、深い配慮がたぶんあるのだろうが、会の代表者は黙視して通している。いずれ、「市民の風」が自身で方向性を決めるであろう。
 中国は知識人のユートピアではなくなった。社会主義でもない。それでも世界の首脳は、外交手腕で「じょうずに交際する」選択をおこなっている。


 創価学会は、いままで「平和の党」「福祉の党」と公明党を世間に想わせてきた。しかし、もはや本澤二郎氏が財閥や日本会議と同列に並べているように、すでに正体はばれている。自らの権益と創価学会の利益となることなら、自ら飾り立てた宗教的幻想を自らやぶって、国民のもとに正体を晒している。内部で公明党批判の学会員の造反をさせているが、私は官邸前12万人集会で、はっきり田舎芝居と直観した。下手なパフォーマンスはもう賞味期限切れである。

「橋下流」攪乱政治の終焉~広原盛明氏の展望にまなぶ

2015-10-22 13:31:14 | 転載
【広原盛明のつれづれ日記】転載
2015-10-16


大阪ダブル選挙は「維新の党」の分裂で始まり、「橋下新党=おおさか維新の会」の不発で終わるだろう、「橋下流」攪乱政治は終焉の時を迎えた、大阪ダブル選挙の行方を考える(その1)
06:40



11月22日の「大阪ダブル選挙」が迫ってきた。府知事選、大阪市長選とも維新vs反維新の2極対立の構図は固まりつつあるが、一方の維新側は内紛が続いて事前運動もままならないようだ。昨日、今日のニュースでは、政党交付金の「分け前」をめぐって大阪系と反大阪系の対立が泥沼状態になり、10月15日には反大阪系執行部が新党合流見込みの大阪系162人(国会議員、地方議員、地方首長など)の除籍処分を決定するという荒療治に発展した(朝日新聞2015年10月15日)。
これに先立ち、大阪系は橋下新党の結党大会を予定する10月24日に維新の党の臨時党大会を開き、新執行部の下で「分党」を決定すべきだと主張している。5月に辞任した江田代表の任期は9月末までであり、松野代表がそれを超えて党代表に居座るのは正当性がなく、臨時党大会で新執行部を選出すべきだというのである。党大会が開かれれば地方議員も参加するので大阪系が多数になり、大阪系主導の新執行部の下で「分党」を決定し、政党交付金を「山分け」することができるからだ。現執行部による大阪系大量除籍の措置は、その策動を未然に防ぐためのものだといわれる(同上)。
今回の維新の党の分裂のきっかけになったのは、言うまでもなく安保国会中の橋下・松井両氏の突然の離党と新党結成の表明だった。安保国会では「トロイの馬」よろしく野党分断の役割を果たすと期待されていた維新の党(松野代表)が、首相官邸の思惑から外れて民主党との連携を強めるという方向に舵を切ったことから、橋下・松井両氏が離党・新党結成表明という強硬手段に打って出たのである。しかし、残る大阪系国会議員は執行部を反大阪系に握られて身動きができなくなり、安保法案の賛成も安倍内閣不信任決議案の反対もできなかった。安保法案に賛成し、安倍内閣不信任案に反対すれば、直ちに除名されて「分党」ができなくなり、政党交付金の「分け前」を受け取れなくなることを恐れたからだ。言い換えれば、「金欲しさ」に思うような行動がとれず、水面下で交渉を続けたものの、結局は分裂するほかなかったのである。
 
もともと維新の党の分裂は予想されていなかった。橋下・松井両氏は大阪系で執行部を握るべく、10月1日告示、11月1日投票の党代表選の準備を進めていたのである。党代表選は、国会議員・地方議員・一般党員が同じ「1人1票」の方式で代表選に参加できるのが売りで、維新の党のホームぺージは「代表選2015 史上初、一人一票の代表選へ!」と謳い、記者会見用の壁幕にもそのコピーが麗々しく描かれていた。党費は年間2千円、8月31日までに登録して党員になれば選挙権が得られるとして全国的に党員を募り、新規党員は「1万人以上」に達したという。ところが一方で大々的に党員を募りながら、その裏で橋下・松井両氏が8月27日に突如離党し、28、29日には新党結成を表明するという恥知らずの行為に出た。「党費を返せ」との抗議が殺到したのも無理はない(朝日新聞2015年9月2日)。
今回の離党・分裂劇すなわち「橋下新党騒動」は、橋下氏らが新党結成を自らの権謀術数の手段にしていることを赤裸々に示している。維新の党代表選のさなかに(それも自分が難癖をつけて投票規定を変えさせた挙句)、代表選を足蹴にして自分たちだけでさっさと離党したのもそうだった。また大阪ダブル選挙に勝利するためには「新党結成」がニュースとなると見るや、枚方市長選や東大阪市議選で早速その宣伝効果を試して分裂に踏み切った。いずれも並みの人間にはできることではないが、橋下氏が「政党とはつくっては壊し、壊してはつくる繰り返し」と嘯いているのだから、これが彼の持前なのだろう。
いまから思い出すのもおぞましいが、橋下氏が一方で「2万パーセントない!」と断言しながら、その舌の根が乾かぬうちに大阪府知事選に出馬した当時から、彼の本性(素性)はすでに明らかだった。私は橋下氏が大阪府知事に立候補したときから7年近くにわたって彼を系統的に観察してきたが、橋下氏の本質は、自らの野望のためには手段を選ばない骨の髄までの「右翼ポピュリスト」(社会進歩に反動的な立場を取り、人間の劣情を煽って支持を獲得する大衆迎合主義者)であり、その場限りの舌先三寸で市民大衆(マスメディアさえも)を惑わせる稀代の「デマゴーグ」(謀略宣伝家)だということだ。
橋下氏は、これまでそのときの政治情勢に応じてカメレオンのごとく七変化し、ことあるごとに変相や擬態を繰り返して「権力の階段」を駆け上ってきた。地域政党「大阪維新の会」(2010年)を立ち上げ、「日本維新の会」(2012年)を結党し、分党後は「維新の党」(2014年)の最高顧問に就き、そして現在は「維新の党」を離党してこの10月に発足する予定の「橋下新党=おおさか維新の会」の準備に余念がない。変転目まぐるしいというべきか、変節きわまりないというべきか。
わずか5年の間に結党・合併・分党・離党などを繰り返す橋下氏に対してはいまさらまともな政治哲学や政党理念など望むべくもないが、さすがに今回の離党・分裂劇だけはマスメディアからも大いに顰蹙(ひんしゅく)を買ったとみえる。「維新の党、党の体をなしていない」(毎日社説、2015年8月28日)、「橋下氏維新離党、何とも分かりづらい内紛だ」(読売社説、同)、「橋下新党構想、あまりに勝手な分裂劇」(朝日社説、9月1日)、「政党の離合集散は政策本位で」(日経社説、同)など表現の違いはあれ、各紙が批判していることは共通している。その結果が政党交付金の「山分け」をめぐる醜い分裂劇に発展したのだから、「橋下新党=おおさか維新の会」の前途は決して明るくない。
かっては自民・民主の2大政党制の弊害を打破するとしてマスメディアの脚光を浴びた「橋下維新=第3局の旗手」は、この間の分裂の繰り返しでもはや自らの野望のためには手段を選ばない「変節政党」でしかないことが有権者の間に広く知れ渡った。橋下・松井両氏が今後如何なるパフォーマンスを駆使し、如何なるデマゴギーを撒き散らそうとも、この「変節政党」のイメージは付いて離れることがないだろう。また、「大阪維新の会」であれ「おおさか維新の会」であれ、こんな名称が大阪以外で通用すると橋下氏らが思っていることが不思議でならない。京都で「大阪、おおさか」の名前を冠した政党が果たして支持されるのかどうかは、京都で1日でも暮らせばいやと言うほどわかるはずだ。また兵庫でもかって大阪維新の会の幹部が兵庫県下の首長選挙に乗り込んだとき、維新候補が「総スカン」を食って惨敗したことはいまだ記憶に新しい。
9月5日に維新の党所属の近畿地方議員の代表者が集まった「関西維新の会」設立準備会の会合が開かれた。だがこの席上で出た意見は、悉く党名の矛盾に関するものだった。神戸市議は「大阪の名前で神戸市民が納得するわけがない。橋下さんらは一体何を考えているのか」とぼやき、京都市議は「橋下氏にはシンパシーを感じているが、党名は考え直してほしい。京都で維新を支持してくれた人たちが離れていく」と困惑を隠さない。また兵庫県下のある議員は「『党は分裂しない』と言った翌日には新党結成・・・。何がなんだかわからない」と告白した(産経新聞、2015年9月6日)。
これら「関西維新の会」設立準備会の議論は、今回の分裂劇でさらに混迷を深めていくだろう。京都では維新の党府総支部が10月13日に会議を開き、分裂が決定的な党に残留するか、「おおさか維新の会」に参加するかどうかを協議したが、結果は党本部に対して一連の分裂騒動を地方組織に説明する臨時党大会開催を求めながら、大阪系、反大阪系の動きを見守ることに決めた。出席者の一人は「党本部も橋下氏側も地方議員に状況説明をするべきで、どちらもどちらだ。最終的には11月の(大阪府知事、市長の)ダブル選の結果次第だ」と語ったという(毎日新聞2015年10月15日)。
要するに、大阪以外の維新地方議員はすべて「様子見」なのであり、「おおさか維新の会」に付いていくとは誰も言っていない。「大阪ダブル選挙」の勝利のために急きょ結成する「おおさか維新の会」が国政政党ではなく地域政党であり、有体に言えば「橋下私党」であることは誰からも見透かされているからだ。大阪ダブル選挙は「維新の党」の分裂で始まり、「橋下新党=おおさか維新の会」の不発で終わるだろう。「橋下流」攪乱政治は終焉の時を迎えたというのが、私の見立てである。
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*このかたは京都市長選に民主勢力の側から候補としてとり組んだ大学人である。京都府立大学の学長や龍谷大学の教授を歴任しています。

国会軽視のばらまき外遊批判

2015-10-21 22:19:10 | 転載と私見

           櫻井智志

 安倍政権のやりたい放題の勝手な国政と国会運営は、憲法にもとづく野党の正当な要求をもいいかげんな対応ですませようとしている。
 外遊が忙しいというが、行かなくてもいいあちこちに行って放言し、国民の血税をばらまいて、安倍首相があちこち出かけていいことはほとんど、ないと思う。


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【東京新聞】転載
「TPP、安保の説明を」 野党が臨時国会召集を要求
2015年10月21日 夕刊

 民主、維新、共産、生活、社民の野党五党などは二十一日午前、憲法五三条の規定に基づき、臨時国会召集の要求書を大島理森(ただもり)衆院議長に共同で提出した。
 菅義偉(すがよしひで)官房長官は記者会見で「安倍晋三首相の外交日程を優先せざるを得ない事情や年末の予算編成をこなす必要がある」と、召集に慎重な姿勢を示した。
 要求書を出したのは野党五党と無所属の衆院議員百二十五人。五三条は要求の条件を衆参両院いずれかの「総議員の四分の一以上」と定めている。衆院の定数は四百七十五人のため、条件をクリアしている。
 要求書は、内閣改造を受けた新閣僚の所信聴取のほか、安全保障関連法の運用や環太平洋連携協定(TPP)の締結交渉が関係国間で大筋合意したことについての説明を政府から受ける必要があるとして、臨時国会の早期開会を求めた。参院も同日午後に野党五党などが要求書を提出する。
 野党五党は二十日の与野党幹事長・書記局長会談で、臨時国会の召集を政府に促すよう与党に要求。自民、公明の与党は首相の外交日程などを理由に消極姿勢を崩さなかったため、憲法で認められた手段を選んだ。
 与党は二十一日午前、都内で幹事長、国対委員長が会談し、対応を協議。臨時国会の代わりに十一月十、十一両日に衆参両院の予算委員会でTPPなどをテーマとし、首相と全閣僚が出席する閉会中審査を開く方向で、野党側に打診することを確認した。民主党の高木義明国対委員長は記者団に「自民党は憲法改正草案で(召集の要求があった場合は)臨時国会を二十日以内に召集しなければならないと書いている。開いて当然だ」と述べた。
 首相は二十二日からモンゴルと中央アジアを歴訪。十一月にはトルコでの二十カ国・地域(G20)首脳会合やフィリピンでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する。
◆憲法53条
 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
<臨時国会> 緊急に審議が必要な法案、災害対策などがある場合や、任期満了による衆院選、参院選が行われ、それぞれの任期が始まる日から30日以内に召集される国会。臨時国会のほか毎年1回、1月に開かれる通常国会と、衆院解散に伴う総選挙後の特別国会がある。
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カナダ中道左派政権と日本政治の対米従属からの自立

2015-10-21 18:17:25 | 転載と私見

              櫻井 智志


 アメリカの隣国カナダでの総選挙で勝利した中道左派の自由党政権が誕生する。

 このことは、日本でも自公政権に対抗して「国民連合政府」を樹立することが決して実現不可能な絵空事ではないことを証している。日本は戦後史で政権がアメリカの特殊な指令と結び付いて、自民党が戦後史のほぼすべての政権党となってきた。

 けれど、日本の健全な議会政治を運営するうえで、アメリカと敵対するのでなくとも、アメリカと公平な外交を樹立して、沖縄県など日本国民の主体を尊重した日本政治を構築する道が欠かせないことが求められている。



=======参考資料=========
【孫崎享のつぶやき】
カナダ政権交代。対米独自路線への復帰が想定。イスラム国との戦いでの戦闘部隊派遣をしない
2015-10-21 07:273


A:事実関係

1:20日毎日新聞「カナダ:対米独自路線に回帰…10年ぶり政権交代へ」

19日投開票のカナダ総選挙(下院定数338)で、中道左派の自由党が過半数の184議席を獲得し、約10年ぶりに政権に復帰。自由党は、対米独自路線と移民に寛容な多文化主義が伝統で、次期首相に就任するジャスティン・トルドー党首(43)は同日、モントリオールで支持者を前に「カナダはかつての姿に戻る」と宣言した。

主要政党の最終的な獲得議席は、自由党184▽保守党99▽新民主党44。

ハーパー政権は、米国主導の有志国連合によるイラクでの過激派組織「イスラム国」(IS)への空爆に参加。また、昨年10月に首都オタワの議会議事堂で起きた銃乱射テロなどを受け、テロ対策を強化する法案を推進。

トルドー氏は、対IS空爆作戦からの撤退を公言し、ISと戦うクルド人部隊の訓練に力を入れると主張。さらに、年内にシリア難民2万5000人を受け入れる方針を表明するなど、治安上の理由から難民受け入れに消極的だったハーパー政権とは対照的。

トルドー氏の父、故ピエール・トルドー氏は1960〜80年代に首相を務め、カリスマ的な人気。70年に米国に先駆けて中国を承認。71年には世界で初めて「多文化主義政策」を導入し、民族や人種の多様性を尊重した国づくりを目指すことを宣言。

また、2003年の米軍主導のイラク戦争時には、国連安全保障理事会で決議を得られなかったことを理由に、当時のクレティエン自由党政権は参戦を拒否。米国と一線を画し、多国間主義を重視する同党の伝統は、トルドー氏にも影響を与えているとみられる。

カナダでは歴史的に、保守党よりも自由党の政権期間の方が長い。だが、06年のハーパー政権発足後、自由党はリーダーに恵まれず、11年の前回総選挙(下院定数308)では34議席しか獲得できず、左派の新民主党に次ぐ野党第2党に転落。

トルドー氏は08年に下院議員に初当選し、13年に党首に就任したばかり。今選挙での自由党の大勝は、「カリスマ2世」への期待の大きさを物語る。

カナダを含む12カ国が大筋合意した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)についてトルドー氏は、ハーパー政権が情報を独占していたと非難。政権を担当したら「内容を精査」し、議会で公開討論を行う姿勢。このため、TPPの批准には一定の時間がかかる可能性もある。だが、トルドー氏は自由貿易について「強く支持する」立場で、「合意から離脱することはないだろう」(オタワ外交筋)と見られている。

2:ハフィントン・ポスト「カナダの政権交代が世界に与える可能性のある7つ(7 Ways Canada's Change Of Government Might Affect The World)

1:イラク、シリアに対するカナダの戦闘部隊の派遣を終える。

トルドー氏の党は米国主導のイスラム国空爆には支持をしていない。ただカナダはイスラム国との戦いには独自の役割があるとみている。トルドー氏はしばしば、2003年のイラク戦争でカナダも自由党政権がイラクに軍を派遣しなかったことを引き合いに出している。カナダの役割として、人道支援、難民支援(受け入れに積極的)や地方の軍隊訓練を指摘。

自由党は難民25,000名の受け入れを表明してきている。

難民受け入れに、一億ドル、国連の難民プログラムに1億ドル拠出の用意を表明。

2:キーストーンXLパイプライン(カナダのアルバータ州とアメリカのテキサス州を結ぶ全長約2700キロの原油パイプライン 完成後は、カナダのオイルサンド(タールサンド)をメキシコ湾岸の製油所まで輸送する計画)に前向き。ヒラリー・クリントンは反対。

3:多分TPP支持

4:麻薬の合法化に消極的

5:気候変動対策に積極的関与。

6:原住民保護の強化等

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「国民連合政府」との「国民的統一戦線」*

2015-10-18 19:47:27 | 社会・政治思想・歴史

            櫻井 智志
*この文章は「統一戦線への確かな現実の現段階」を全面的に書き直した文章である。ぜひ比較していただけたら幸いである。 



  
 日本共産党と主要野党と市民団体とが同席し定期的に協議していくことを確認したことの意義は大きい。ここでいう野党とは、すでに共闘を確認している日本共産党・社民党・生活の党と山本太郎となかまたちに加えて、民主党と維新の党も出席し、安倍政権に対抗する野党がすべて一同に介した 。
これらの政党は、「オール沖縄」を参加者がひとつのモデル例として肯定的に認識している。そして政党だけでなく、市民団体が恒常的に協議して統一戦線の重要な一翼をになうことが銘記されたことも画期的である。
 いままでの統一戦線とは、革新統一戦線にしても政党の共闘が中心で、市民団体は外郭的な関わり方であったり、実質は野党の系列下の団体であることが多かった。美濃部亮吉都知事を生んだ母体である「革新都政をつくる会」も、主には社会党と共産党の共闘が中枢を占めていた。



 ここまで統一戦線が進んだ原因のひとつとして、志位和夫委員長のすぐれた識見のもと日本共産党のたくみな戦略があげられる。民主党の一部に警戒心が働いて共闘が頓挫しそうになっても、短絡的に決裂せず、中期的な展望として「反戦争法制廃止の国民連合政府」を堅持し続けると、待ちの姿勢を示した。このような大局的な展望を示し続けていることが、今回のような大きな成果へと連なっていると見ることができよう。
 安倍政権はこのことに早くも警戒心をもち、菅官房長官は、「共産の連立構想は選挙目当て」と記者会見で公的に発言している(東京新聞10月17日朝刊12版6面)。あたりまえだろう。安倍政権のすべての施策は選挙の票目当てのアドバルーン以上のものは何もないではないか。大きく異なるのは、自公与党が選挙で求めるのは利権と儲けに終始しているのに比べて、国民連合政府樹立を目指す選挙構想は、わが国民を戦争法制から解き放ち、確固とした憲法擁護の立憲主義を回復し擁護しようとする政治の大義を獲得しようとしている。おなじ「選挙目当て」でも、安倍=菅政権と「共産党らの連立構想」とでは雲泥の差があるということだ。
 政党も大切だが、「安全保障関連法に反対する学者の会」・「安保関連法に反対するママの会」・「SEALDs自由と民主主義のための学生緊急行動」・「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」・「立憲デモクラシーの会」などの諸団体を大切に擁護し、今後もその存在を大切にしようとしていることも大きな特色である。


 私はSEALDsのホームページを見ているが、賛同以上に誹謗と中傷、女性学生へのセクハラ書き込みなど、SEALDsへの世論の一部の悪質さは、リーダー奥田愛基さんへの殺害を記した威嚇も含めて卑劣きわまりない風潮が一部にあることを見過ごしてはいけない。これは他の市民団体や市民運動家に対してもいえる。官邸前デモ行進で13人も公務執行妨害で連行されたことは、沖縄の辺野古移転反対闘争にまつわり、有名な市民運動家が市民を抑制している最中に、米軍が後ろからひきずりこみ無理矢理基地内に体を入れさせて逮捕拘束した事実も今後も起こりうる。
 政党の共闘を見ていて、安倍晋三と盟友の橋下徹は、今後油断できない。維新の党の破壊行為を含めて最大限この野党の連携を破壊するための安倍尖兵としての位置にいて、妨害工作を進めていくだろう。橋下徹には政治的展望はない。ピノキオのような操り人形となって強権政治の使い走りしかその存在の意義は薄い。
 
 今回の共同の協議は、見事な第Ⅰ段階としてのスタートが始まったといえる。この取り組みはマスコミはベタ記事扱いにとかしないだろう。大手新聞社やテレビ会社の幹部が、安倍総理と夜の宴会接待を受けるようになって久しい。最近毎日新聞の報道が以前よりも改善されているが、新聞社全体は60年安保闘争の時のように体制側にある。テレビではTBSの「報道特集」「NEWS23」、テレビ朝日の「報道ステーション」、日本テレビのこれはもうかなり昔から続く週に一度の深夜の「ドキュメンタリー」、NHKの「クローズアップ現代」など散発的にでも報道の良心を示す報道人は存在する。

 
 国民がSNS、ツイッター、ブログ、フェイスブックなどで伝えて拡大していくことが、集まった政党、団体の誠意に応じる営為であろう。そしてオウム返しにリピートすることでなく、自らの思考と吟味がなければ、たやすくデマを流す結果となることもあることを心しておきたい。

統一戦線への確かな現実の現段階

2015-10-17 12:59:57 | 社会・政治思想・歴史

            櫻井 智志


 朝、東京新聞を開いていて、「あっ!」と思った。
次の記事を目にしたからだ。



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安保法廃止へ連携強化確認 5野党と市民団体が対話

2015年10月17日 朝刊


野党議員(左側)と意見交換をする安保法制に反対する学者、母親、学生などの団体メンバーら=16日、参院議員会館で
写真
 他国を武力で守る集団的自衛権行使を容認した安全保障関連法に反対する市民団体などと野党五党は十六日、国会内で意見交換会を開いた。来年夏の参院選で与党を過半数割れにして、安保法を廃止に持ち込むため、野党共闘や各種団体との連携強化を目指し、定期的に協議していくことを確認した。
 民主党の枝野幸男幹事長は「立憲主義、民主主義を守る戦いは、より力を込めて継続していかなければならない」と指摘。「国民の声を参院選の結果にしっかりと反映させるために、野党が共闘しなければいけない」と強調した。
 会合では、保革が沖縄県名護市辺野古(へのこ)への新基地建設反対で共闘し、知事選や衆院選で勝利を続ける「オール沖縄」の取り組みも紹介。沖縄の成功例も参考に、安保法廃止に向けて、各種団体と野党五党が集会やデモなどを通して、関係を深めていくことで一致した。
 参加団体は、各界の学識者でつくる「安全保障関連法に反対する学者の会」、乳幼児の母親らが結成した「安保関連法に反対するママの会」、学生グループ「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」、国会前の抗議行動で主導的な役割を果たした市民団体「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」、憲法学者らでつくる「立憲デモクラシーの会」など。
 政党側は民主党、維新の党、共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちが出席した。

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①政党と市民団体とが同席し定期的に協議していくことを確認した
②政党側はすでに共闘を確認している日本共産党・社民党・生活の党と山本太郎となかまたちに加えて、民主党と維新の党も出席し、安倍政権に対抗する野党がすべて一同に介した 。
③「オール沖縄」を参加者がひとつのモデル例として肯定的に認識している。

 ここまで統一戦線が進んだ原因のひとつとして、志位和夫委員長のすぐれた識見のもと日本共産党のたくみな戦略があげられる。
④民主党の一部に警戒心が働いて共闘が頓挫しそうになっても、短絡的に決裂せず、中期的な展望として「反戦争法制廃止の国民連合政府」を堅持し続けると、待ちの姿勢を示した。このことが今回の大きな成果へと連なっていると見ることができよう。

 安倍政権はこのことに早くも警戒心をもち、菅官房長官は、「共産の連立構想は選挙目当て」と記者会見で公的に発言している(東京新聞10月17日朝刊12版6面)。あたりまえだろう。安倍政権のすべての施策は選挙の票目当てのアドバルーン以上のものは何もないではないか。

 これからは、政党も大切だが、
⑥「安全保障関連法に反対する学者の会」
⑦「安保関連法に反対するママの会」
⑧「SEALDs自由と民主主義のための学生緊急行動」
⑨「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」
⑩「立憲デモクラシーの会」
などの諸団体を大切に擁護することだ。私はSEALDsのホームページを見ているが、賛同以上に誹謗と中傷、女性学生へのセクハラ書き込みなどその悪質さは、リーダー奥田愛基さんへの殺害を記した威嚇も含めて卑劣きわまりない風潮が一部にあることを見過ごしてはいけない。

 同時に、政党の共闘を見ていて、安倍晋三と盟友の橋下徹は、維新の党の破壊行為を含めて最大限この野党の連携を破壊するための安倍尖兵として今後油断できない位置にいて、妨害工作を進めていくだろう。

 ともかくも、見事な第Ⅰ段階のスタートが始まった。この取り組みはマスコミはベタ記事扱いにとかしないだろう。国民がSNS、ツイッター、ブログ、フェイスブックなどで伝えて拡大していくことが、集まった政党、団体の誠意に応じる営為であろう。

大阪府知事選・市長選

2015-10-16 15:36:54 | 言論と政治

            櫻井 智志
 日本共産党が自民党候補を自主的支援するのは、かつての自公相乗りの頃くらいだ。
 しかし、橋下徹は明確に安倍晋三と同盟関係にある。前回の住民投票でもさまざまな政治的局面でも安倍は、橋下を支持し続けてきた。
 いわば今回の複雑な構図の大阪の選挙は、橋下と闘うことが黒幕の安倍と闘うことなのだ。
 それはすでに沖縄県での安倍VS沖縄県民の闘争・選挙戦でも試されてきたことなのだ。
 大阪の自民党も、もしかしたら「オール沖縄」のような存在になりうるかもしれぬ。
 自民党地方支部をあまり信用しすぎてはいないが、永田町自民村と全国の物を言うことのできる自民党とはすこし異なる。
 翁長雄志知事を見ていて、ついこのあいだまで沖縄県連幹事長だった翁長さんであることを思うと、現在は自民党良識派で自ら行動できる政治家ならば、反戦争法制の国民連合政府の一翼をになえることができるかも知れない。それが大阪自民党支部にとっても試されている。


【資料 しんぶん赤旗】
大阪ダブル選 橋下「維新」に終止符を
知事選 栗原氏を自主的支援
「明るい会」と党府委
 大阪府知事選挙(11月5日告示、22日投票)で、「明るい民主大阪府政をつくる会」と日本共産党大阪府委員会は15日、無所属での立候補を表明している栗原貴子氏(53)=自民党府議団政調会長=を自主的に支援してたたかうと発表しました。現職の松井一郎知事(51)=大阪維新の会幹事長=との争いになります。同日投票の大阪市長選挙は、日本共産党も自主的支援する柳本顕(あきら)氏(41)=自民党前市議団幹事長=と吉村洋文氏(40)=維新の党前衆院議員=との争い。ともに、「反維新」の府民共同と維新との対決になります。
 栗原氏は「当たり前のことができていなかった大阪府政をなんとかするため、大阪維新の会の政治を終わらせる必要がある」と表明しています。
 府庁での記者会見には、明るい会の前田博史事務局長、川本幹子代表常任幹事、共産党府委員会の山口勝利委員長、宮原威(たけし)府議団長らが出席しました。
 前田氏は、維新市政・府政が進めてきた福祉切り捨てなどを挙げ、「橋下『維新』の政治手法をこれ以上続けるわけにはいかない」と指摘。山口氏は「維新政治を乗り越えて、府民・市民の声が届く市政・府政を実現するために力を尽くす」と語りました。
 明るい会は同日、アピールを発表。アピールは、「維新政治」に終止符を打つために政治的立場を超えて共同することは、府民的大義に立つものだと主張。「オール大阪」の共同こそが勝利の最大の保障であり、ダブル選挙で「維新政治」に終止符を打つことが、府民の声で動く府政への新たな扉を開くものになるとしています。

果てしなき腐敗政治の日本を憂う

2015-10-16 15:04:21 | 言論と政治
社会保険庁、年金機構、マイナンバー・・・
            櫻井 智志

 社保庁は、自らの公務員が私服に金をネコババしてつぶれた。かわってできた年金機構も杜撰な運営だ。一例をあげる。(東京新聞記事)。
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年金400人に支給ミス 情報流出で番号変更後に

2015年10月16日 朝刊


 日本年金機構が、サイバー攻撃で個人情報が流出した年金受給者ら約九十六万人の基礎年金番号の変更に伴う手続きを誤り、受給者約四百人に年金を少なく支給したり、過剰に支払ったりしていたことが十五日、分かった。情報流出をめぐり、年金支給に影響が出たのは初めて。機構は来月にも不足分を振り込む予定だ。
 ミスがあったのは、年金番号が変更された約九十六万人のうち、働きながら年金を受け取っているため、年金額がカットされる「在職老齢年金」の対象者。退職や就職で受給額が変わったにもかかわらず、以前の金額が給付された。
 機構は、新たな年金番号に変更内容が反映される前に、十月分の支給手続きを終えてしまっていた。
 年金額が増減する人に向けて機構が送った通知を見た受給者から十月上旬に指摘があり、発覚した。機構は約四百人を訪問して謝罪する予定で、「対象人数や影響額を精査している」としている。過払い分は次の定期支給日である十二月に天引きして対応する。
 機構は五月にサイバー攻撃を受け、基礎年金番号、氏名、住所などの個人情報約百二十五万件、約百一万人分が流出。情報が悪用されるのを防ぐため、死亡が確認された人などを除く約九十六万人に、新たな基礎年金番号を記した年金手帳や年金証書を発送していた。
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 マイナンバーは、技術を開発した国家公務員自らが、不当な犯罪で逮捕された。この國の官僚や役人、公務員たちの杜撰な政治は一体何なのか。憤りを覚えるのも、通例となり、しまいにはニヒリズムに陥る。
 こんな政治がはびこるのは、トップの安倍晋三総理の国政運営のあまりに酷い国政にある。国政にとどまらず、外交も本人はとんでもない勘違いをしているが、世界中からもはやまともな政治家とは扱われていない。安保法制や沖縄県対応だけではない。安倍晋三の政治の酷さが政治家全般に及び、安倍晋三、麻生太郎、橋下徹。みんな三下やくざのような品性うすい政治屋レベルの発言と言動だ。こんな連中が日本の国政にでしゃばってるから、国際社会は日本の政治家はこんなものと見下げている。
 安倍晋三は「女性が輝く社会」と口先だけは飾るが、ドイツのメルケル首相のような国民から慕われ、まともな内政外交の政治をおこなう女性が「輝く女性」で、とても安倍ごときにはおよびもつかないレベルの政治家だ。

翁長雄志沖縄県知事こそ日本が誇りうる稀有な政治家

2015-10-14 22:30:49 | 転載
私見
「盛り上がりや流行でなく、地道に継続している翁長雄志沖縄県知事の言動に、私は勇気づけられる。」



【孫崎享のつぶやき】
辺野古承認取り消しの翁長知事を支持する。辺野古移転反対で当選した知事なら、民意を反映するのは当然だ。辺野古移転は日本の防衛に貢献しない
2015-10-14 06:427


辺野古承認取り消しの翁長知事を支持する。理由は次の通り。

13日、翁長知事は普天間基地の辺野古移転承認を取り消した。翁長知事は知事選挙

で辺野古移転反対を掲げ当選した。これは政治的決断である。

対象は海兵隊である。海兵隊の任務は奇襲で、特定地域の防御ではない。したがって基地は沖縄に置かなければならない問題ではない。

米国本土や、ハワイ、グアム島を含め世界のどこでもよい。

中国の大陸間弾道弾とクルーズミサイルの数量、性能のアップにより、米軍基地は極めて中国の攻撃に極めて脆弱になった。特に沖縄はそうである。したがって、海兵隊の日本防衛への貢献はさらに低まった。

辺野古移転による利益は基本的に海兵隊と言う極めて狭義の利益である。それが米国国防省の主張、ホワイトハウスの主張になっているが、米国全体の利益にどこまで供しているかとなると、大きくない。

上記の事実が辺野古移転を取りやめたとしても、日米関係をおかしくする筋合いのものではない。



A事実関係

1:13日琉球新報【号外】「辺野古承認取り消し 知事、新基地建設を阻止。知事は13日午前10時前知事による埋め立て承認を取り消したと発表。辺野古新基地建設に対して県が法的権限を行使した阻止行動に踏み切るのは初めて。埋め立て承認の取り消しで、政府の新基地建設作業は法的根拠を失う異例の事態」

2:14日琉球新報社説

<社説>承認取り消し 民意実現の出発点に 政府は新基地断念すべきだ

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古沿岸部への新基地建設をめぐり、翁長雄志知事が前知事の埋め立て承認を取り消した。

 沖縄の将来を見据え、新基地建設阻止への決意を示す意義ある一歩として高く評価したい。

 裁判などで問題解決までには長い道のりが予想される。だが、新基地建設反対の民意は圧倒的であり、土地を同意なく奪って建設した普天間飛行場の形成過程からしても、理は知事にある。

 阻止運動を県外、国外に広げ、新基地建設断念と普天間飛行場の閉鎖を勝ち取る新たな出発点に、承認取り消しを位置付けたい。

犯罪的な行為

 知事は埋め立て承認取り消し後の会見で、普天間飛行場は戦後、県民が収容所に入れられている間に、強制接収されて建設されたことをあらためて強調した。その上で「辺野古に移すということは、土地を奪っておきながら代わりのものも沖縄に差し出せという理不尽な話」と批判した。普天間飛行場が国際法に反して建設されたことは明らかである。知事の批判は当然だ。

 ところが、菅義偉官房長官は知事の承認取り消しを「沖縄や政府が重ねてきた普天間飛行場の危険性除去の努力を無にするものだ」と批判した。「政治の堕落」を指摘されたことから何ら学んでいないと言わざるを得ない。車の窃盗犯が持ち主である被害者に「古くなった車を返すから新車をよこせ」と開き直るような姿勢は改めるべきである。

 政府はそんな犯罪的な行為を国民の面前で恥ずかしげもなく行っているのである。これで法治国家と言えるだろうか。官房長官が知事を批判するなど、筋違いも甚だしい。

 官房長官が言うように、政府はこれまで普天間飛行場の危険性の除去に努力してきただろうか。

 新基地は完成までに10年かかるとされる。危険性を除去し、固定化させないための辺野古移設としながら、10年間は固定化し、危険性もその間放置されるのである。政府が真剣に危険性除去を考えるならば、直ちに普天間飛行場を閉鎖すべきだ。そうしないのは県民軽視以外の何物でもない。

 普天間飛行場の危険性除去や固定化回避を持ち出せば、新基地建設に対する県民の理解が得やすいといった程度の認識しかないのではないか。

 前知事の埋め立て承認の条件ともいえる普天間飛行場の5年以内の運用停止の約束も、ほごにしている。政府の言う「努力」はこの程度のものでしかない。

普遍的な問題

 本来ならば、知事の承認取り消しを政府は重く受け止め、新基地建設の作業を直ちに停止すべきである。しかしそのような常識が通用する政府ではないようだ。

 中谷元・防衛相は「知事による埋め立て承認の取り消しは違法」と述べ、国交相に知事の承認取り消しの効力取り消しを求める不服審査請求と執行停止申し立てを速やかに行うとしている。

 同じ政府機関が裁決して公正を保つことはできない。政府側に有利になる可能性は極めて高い。これが官房長官の言う「わが国は法治国家」の実態である。

 新基地建設は沖縄だけの問題ではない。普遍的な問題を包含している。新基地建設に反対する圧倒的な民意を、政府は踏みにじろうとしている。日本の民主主義が問われているのである。日米同盟を重視し、民意は一顧だにしない政府を認めていいのかが突き付けられているのである。優れて国民的問題だ。

 知事は「これから節目節目でいろんなことが起きると思う」と述べている。新基地建設問題の本質をしっかり見極めてほしいということだ。そのことを深く自覚し、声を上げ続けることが今を生きる私たちの将来世代に対する責任である。

3:沖縄タイムス社説

社説[知事 承認取り消し]国民的議論を喚起せよ

「本日、普天間飛行場代替施設建設事業にかかる公有水面埋め立て承認を取り消しました」。県庁6階で行われた記者会見。翁長雄志知事は前を見据えきっぱり言い切った。

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 国の埋め立てを承認した前知事の判断を後任の知事が取り消すのは前例がない。取り消しを発表した翁長知事にとっても、沖縄県にとっても歴史的な重い判断である。

 翁長知事は会見で「日本国民全体で日本の安全保障を考えてもらいたい」「日本全体で安全保障を考える気概がなければ他の国からも尊敬されない」と繰り返した。

 翁長知事が就任以来強調してきたのは、沖縄の過重負担の上に成り立っている日米安保体制のいびつさである。翁長知事が退路を断ち、背水の陣で訴えたことを、本土の人たちはよそ事でなくわが事として受け止めてほしい。

 これを機会に米軍駐留と負担について国民的議論を巻き起こす必要がある。

  2013年12月、仲井真弘多前知事が辺野古埋め立てを承認した。政府はこれを錦の御旗としてボーリング調査など本体工事に向けた作業を続けている。仲井真氏の選挙公約は「県外移設」だった。にもかかわらず承認直前、東京の病院に閉じこもり、政府と「裏交渉」を重ねた。県議会や県民に対する説明責任を一切果たさないまま埋め立てを承認し多くの県民の誇りを傷つけ、怒りを買った。その結果が14年11月の選挙である。

 今回の翁長知事の承認取り消しは選挙公約に基づく民意に即した決断といえる。

 翁長知事には忘れられない光景がある。那覇市長時代の13年4月、衆院予算委員会と南部市町村会の懇談会における自民党委員の発言である。「本土で嫌だって言っているんだから、沖縄で受け入れるしかないだろう。不毛な議論はやめよう」と言い放った。

 自民党議員のあからさまな発言は、中谷元・防衛相の言葉にも通じる。中谷防衛相は「(本土は)今はまだ整ってないから、沖縄が受けるしかないんですよ」と言った。

 基地を沖縄に押し込める思考停止ぶりは何も変わらない。海兵隊駐留が沖縄でなければならない軍事的理由はない。政治的に不都合だから沖縄に配備し続けているのであり、元防衛相の森本敏氏も現職時代に明言している。理不尽としかいいようがない。

 翁長知事の取り消しは、新基地建設阻止に向けたスタートであり、むしろこれからが本番である。

 政府は新基地建設をやめる気がない。知事の取り消しを受け、中谷防衛相は行政不服審査法に基づき14日以降、石井啓一国土交通相に取り消し無効を求める審査請求と裁決が出るまでの執行停止を求める考えを明らかにした。

 行審法の本来の趣旨は、行政庁の違法な処分によって侵害された「国民の権利利益」の救済を図ることである。

 国民のための制度を国の機関の沖縄防衛局が使うのは法の趣旨を曲げており、国の機関が審査請求などの不服申し立てをすることはできないというべきだ。

 3月にも沖縄防衛局が投入したコンクリート製ブロックがサンゴ礁を傷つけた可能性が高いとして翁長知事が防衛局に海底作業の停止を指示。防衛局は、審査請求と指示の効力停止を当時の林芳正農相に申し立て、6日後に効力停止を決定している。

 国の機関である沖縄防衛局が国の国土交通相に不服審査を申し立てるのは政権内の「出来レース」である。三権分立の趣旨からしても行政府の中ですべてを決めるやり方は乱暴だ。第三者機関である国地方係争処理委員会や高等裁判所の判断に委ねるのが筋である。

 翁長知事は安倍政権について「沖縄県民に寄り添ってこの問題を解決していきたいという考えが大変薄いのではないか」と強く批判した。

 何度民意を示しても一顧だにせず辺野古の陸でも海でも公権力を強引に行使し、けが人が出ても問答無用とばかりに作業を強行する。そのようにして新基地を建設し、他国の軍隊に差し出そうとする主権国家がどこにあるだろうか。このような事例が他府県のどこにあるだろうか。

TPPは農産物だけの話ではない、日本の国民皆保険制度の危機だ

2015-10-10 20:45:16 | 転載と私見

                   櫻井 智志


 テレビや新聞は、TPPの妥結で農産物の関税に問題は移ったかのような話題に終始している。よく読むと、アメリカではTPPに反対する政治家は多く、共和党や次期大統領民主党候補のかけ声の高いヒラリー・クリントン女史もTPP反対を訴えている。大元のアメリカの政界の構図によっては、店ざらしのまま放置されることさえあるという。

 さらに、佐久総合病院医師の色平哲郎氏は、もう数年前から「TPPは日本の保険制度を破壊する」と論陣を張り続けている。雑誌でもインターネットでも持続して呼び掛けている。その色平氏が、以下の記事をネットで配信なさっている。きわめて重要な医療問題の根幹に関わる大問題であることがわかる。


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『鼎談「地域の力」でTPPを打ち返そう』  (『世界』2011年4月号掲載)



色平哲郎(いろひら・てつろう) 1960年神奈川県生まれ。
佐久総合病院地域ケア科医長。 元長野県南相木村診療所長。
東大中退後、世界を放浪、京大医学部に入学。 京都大学大学院医学研究科非常勤講師

(一般財団法人)世界こども財団評議員。 『大往生の条件』ほか。




・・・ =国民皆保険制度崩壊の危機=

榊田 医療分野に関しては、TPP参加が混合診療の全面解禁 につながる可能性があると指摘されていますね。



色平 「日本の宝」である国民皆保険制度が、内からと外から、 二つの危機に直面しています。 内からのものは財政赤字、国保の滞納・未納、あるいは「無保険者」の増加、 外からは、今回のTPP、あるいは医療ツーリズム等で象徴される グローバル化でしょうか。 内橋克人さんが指摘されていますが、TPPには「前史」があります。 1997年のMAI(多国間投資協定)に反対し、OECDを世界中の NGOが取り囲んだ時のことを私はよく覚えています。 TPPへの参加によって、日本の医療に市場原理至上主義が持ち込まれ、 最終的には国民皆保険の崩壊につながりかねない面があると懸念されます。
私・色平は政府に対し、TPPの検討にあたり、国民皆保険を「自由化」 にさらさないよう強く求めます。 「混合診療」に関しては、すでにコントロールされた形での解禁はなされています。 全面解禁にする必要はありません。 現行制度を十分に運用することで、かなりの事態に対応可能です。



榊田 TPPに直接さらされる、農協病院でもある佐久病院、 また農山村の生活ぶり・高齢化の現状は?



色平 私の病院は、「協同組合」が運営しています。 農民たち自らが出資して病院を建てた、ということは、 「農民が医師を雇っている」ということです。 若月俊一院長の「予防は治療に勝る」という実践でも有名です。 私が家族5人で10年間暮らした南相木村には、国道も鉄道もありません。 村民1000人のうち、65歳以上がなんと40% そして、日本の農山村につづき、日本の「都市の高齢化」が進行中です。このような事態は、史上初めて、しかも大速度、最大規模の高齢化現象となり、 世界の注目の的です。 図らずも、「地球人類の近未来」を垣間見る、そんな村での生活となりました。 お隣の韓国・台湾を加え、「大東亜共栄圏」ならぬ「大東亜共”老”圏」、 という笑えないお話もございます。 山の村で医療にとりくんだ際、周囲の方々が「心持ち」である、一方、 都会育ちの私が、心貧しい人間だ、と感じました。 「おたがいさま、おかげさまで」、あるいはまた「金持ちより、心持ち」 「すきなひとと、すきなところで、くらしつづけたい」、 そんなおだやかな山村に、毎年、100人以上の医学生・看護学生が 実習に来てくれました。 村人もまた、孫のような若者たちに、よろこんで、「おしん」の時代の 苦労ばなし、宮澤賢治の「雨ニモマケズ」の体験を語っていました。 日本の宝、「国民皆保険」は、今年、誕生50年の節目。 選挙では、全政党が、「皆保険堅持」を訴えています。 内なる危機に加え、外からは、TPPや医療ツーリズムなど「市場原理主義」の圧力。内外2つの大波で、皆保険が崩壊の危機に瀕していること、とても心配です。 一部の人の「ぬけがけ」が、貴重な制度資本を崩壊させます! いま世界中の人々があこがれる「皆保険」、この持続可能性について、 国民一人ひとりが、今回のTPP問題をきっかけに考え始めることに期待を もっています。



鈴木 私も二年近くアメリカに住んだ経験があるのですが、 実はアメリカ人がいちばん日本の皆保険制度を羨ましがっているんですよ。 我々はそれを逆にアメリカのようにしてしまっていいのか、ということですよね。


・・・ =都市住民にとってのTPP=

榊田 農家の人と話していて思ったのは、自給的農家や兼業農家の人たちは、 10年後の自分たちの食糧について、自分は畑があるから作れると具体的に 描けているんですよ。 だからTPPが来ようが来まいが何とかなる。 イメージがまったく描けないのは、生産の術(すべ)が何もない都市部の 住民だと思うのです。いちばん深刻なはずの都市住民が、 いちばんこの問題に関してノーテンキになっているところが、非常に恐ろしい。

色平 医師もそうです。 ちょっと腕に自信のある医師は混合診療に賛成なんです。 

榊田 やっぱりそうなんですね。

色平 鈴木さんと結城さんが農業についておっしゃっていることは正論です。 揶揄して申し上げているのではなく本当にその通り。 ですが、原点へ戻ると、国民一般が感じているのは、 自分の暮らしの今後が不安だということです。 農民だけの問題ではない。 全政党が日本の宝である国民皆保険を堅持すると明言している。 ところがやっていることはそれとまるで反対です。 アメリカの言う「公正貿易」とはリバタリアンを指しているとか。 TPPは、小泉以
上の市場原理主義、ということもわかってきた。 アメリカが「国家輸出計画」で数年後までに雇用を二〇〇万人増やすということは、 こちらの雇用が減るということ。 おためごかしもいいところです。 でも、一般の都市住民の方にそういうところに少しでも関心を持ってもらえるように、

あるいは「大東亜共”老”圏」とも言うべき、一緒に老いていく韓国・台湾の高齢化 のスピード—台湾はフィリピンから17万人の介護士を入れている—を考えるとき、 今回のTPPは農業だけの問題ではないどころか、 農業の問題だとすることで揚げ足をとられかねない。 国民の老後の問題でもあり、都市住民がまともにかぶる問題だと捉えたほうがいい。 「多死社会」でもあります。年間110万人以上が亡くなり、 毎年2万人ずつ増えているので、170万人のピーク時まであと30年かけて増える。 これをどう考えるのか。

榊田 いま山村部で起きていることは、10年後、20年後の都市の問題に なってきますね。

色平 コモンズを欠く以上、都市部のほうがより深刻です。

榊田 都市部の人間がそれに危機感を感じているかどうかという問題は非常に 大きいですね。

色平 『ヘルプマン!』をご存知ですか?  回り道かもしないけれども、コミック『ヘルプマン!』(くさか里樹著、講談社)、 とりわけその第八巻を読めばTPPが読み解けるんです。 日本の家族像、自分の老後がどうなるかについて、ロゴスでは通じない部分を笑い、 泣きながら感じ取ることができます。
たとえばこの座談会を読んだ人が次のステップに進むためには、正論だけでは難しい。

ケア・リテラシーを育てる教科書が『ヘルプマン!』だろうし、 農業についてのリテラシーを育てる一歩になる仕掛けをどこに準備するか というふうに、一つひとつ考えていったほうがいい。 10年後の医療はまだ何とかなる。 10年後の介護は大変です。 第一に、医療と介護の連携不足。 第二に、介護の受け皿不足。 第三に、家族の姿が変わっていることに気づいていない。家庭介護力が低下する一方、高齢者の単身世帯や老々介護が増えている。これも押し付けられた本人たちだけが悩んでいるようなケースが多いことでしょう。 第四に、地域の支え合いの低下に気づけていない。 自分で気づけるかどうかが
今回のTPP問題のいちばんのキーポイントになっている。 「問いを共有してもらって、相手に考えてもらう」 というダイアローグの形にしないといけないのでは。

榊田 それはなかなか難しいですね。

色平 私は、農業は本丸の一つだけれども、一種のフェイントで、 実は労働市場、知的所有権と医療保険、医薬品、医療機器、 娯楽産業が本丸なのではないかと感じています。 さらに言うと意識産業、つまりメディアそのものがターゲットなのではないか。 エンツェンスベルガーが言うように、意識産業とは、どんな種類のものであろうと、 現に存在する支配関係を永遠のものにするという課題を持つ。 だからメディア=意識産業は、意識を搾取するために、 ひたすら意識を誘導し続けなければならない。 日本の政治家がおかしいだけではなく、全国紙が「発症」しているのだから。 今こそ、地域を核にして打ち返すという、 自分の頭で考える市民が出てくるかどうかが問われるのだと思います。

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