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【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

【孫崎享のつぶやき】2023-05-15 07:496

2023-05-17 06:59:16 | 転載・政治社会と思想報道

中露を敵とする「新冷戦」の中、バイデン政権は安倍元首相と岸田首相をどう評価したか。ウクライナ戦争、中国包囲網、日韓関係を強化し、日米韓の対中包囲網。各々の項目で、安倍元首相と岸田首相はどう受け止められてきたか。意外な結果。




米国は主敵をイラン・イラク・北朝鮮などから、再度「ロシア」「中国」を敵とする「新冷戦」に。その時安倍元首相はどの様な位置づけになるか
 2001年9.11同時多発テロ発生後、米国は「テロとの戦い」を開始した。
 そして、2021年8月30日、米軍はアフガニスタンからの撤退を完了。8月31日、バイデン大統領は国民向けの演説で戦争終結を正式に宣言した。
 米国がイラン・イラク・北朝鮮などを主敵とする戦略はここでほぼ終結した。これに代わって「新冷戦」「第二冷戦」という言葉が使われる。対象はロシア、中国である。

 歴史的にみると、1998年米国上院がNATOをポーランド、ハンガリー、チェコに拡大する決定を行い、これに対してジョージ・ケナンが「新冷戦の始まり」と述べているようだ。
米国が、ロシアと中国を対象に「新冷戦」に踏み込むと、当然米国の日本に対する対応も異なってくる。
実はそれは安倍元首相への扱いの変化となって現れる。
安倍元首相は、「長期政権には米国に従うことが必須」と確信していたと思う。安倍首相(当時)は就任から1年にあたる安倍晋三首相は就任から1年にあたる2013 年12 月26日強い思いで靖国神社を参拝した。これに対し、米国政府は「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに失望している」との声明を在日米大使館のウェブサイトに掲載する。以降安倍首相は靖国参拝は封印した。
トランプ氏が大統領選挙に勝利するや安倍首相は2016年11月18日一番乗りの「トランプ詣で」を行い、トランプ氏に、日本から持ち込んだ「本間ゴルフ」の最高級ドライバー(54万円)をプレゼントした。以降一貫してトランプ氏にすり寄る。

日本国民は、安倍首相は米国との関係に最も努力した首相と思っている。確かにトランプ大統領の時はそうだった。
だがバイデン政権になるや情勢はすっかり変わる。先ず2024年の大統領選挙を控えるバイデン大統領にとって政敵NO1はトランプ大統領だ。国際政治で見れば、ウクライナ戦争を行っている今、敵No1はプーチン大統領だ。そのプーチンと最も交流をした世界の政治家は安倍元首相である。さらに中国問題でも、2020年7月「戦略国際問題研究所」(CSIS)が米国務省の支援で7月下旬に作成した報告書で、今井首相補佐官が長年の親中派とされる二階幹事長と連携し、首相に中国への姿勢を融和的にするよう説得してきたと指摘した。米国は、今井首相補佐官や二階幹事長を動かしているのは安倍首相と思う。安倍首相が辞めたのは同年9月である。
また、米国は中国包囲網形成の上で、安全保障面で日米韓協力を推進しようとしているが、安倍政権の下で日韓関係は悪化した。

バイデン政権では、安倍首相は決して歓迎される人物ではなかった。

「新冷戦」の中、米国は岸田政権を重用

 仮に安倍元首相がバイデン政権に関係されなかったとして、バイデン政権から見て岸田首相はどう評価されるか。
 まずウクライナ問題を見てみよう。米国は最大限の武器援助でウクライナを支援している。安倍元首相は2022年5月英国エコノミストに「侵略前、彼らがウクライナを包囲していたとき、戦争を回避することは可能だったかもしれません。ゼレンスキーが、彼の国が NATO に加盟しないことを約束し、東部の 2州に高度な自治権を与えることができた」とゼレンスキーを批判的に評価している。一方岸田首相は2022年3月21日、ウクライナを訪問し、殺傷能力のない装備品を供与すると表明s、G7でのビデオ参加を呼びかけ、「勝利しゃもじ」を贈呈した。
安倍氏は表向き中国に厳しいことをいうが、具体策となると反中だけではない。例えば中国の一帯一路についても2019年3月25日の参院予算委員会で、対象国の財政健全性、プロジェクトの開放性、透明性、経済性の4条件を取り入れているのであれば、協力していこうということだ。アジアのインフラ需要に日本と中国が協力して応えていくことは両国の経済発展にとどまらず、アジアの人々の反映に大きく貢献をしていくことになる」と語っている。
岸田政権は対中輸出規制に積極的である。

 米国は中国に対し、日・韓・米で包囲網を強化しようとしているが、安倍政権では韓国との関係改善に極めて消極的であった。岸田政権では米国主導の下で、日韓相互首脳訪問を行うなど積極的である。

 こうした中、バイデン政権内で岸田政権の評価が高まってきている。これと呼応して、自民党、マスコミの岸田支援が強化されつつある。


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