土手猫の手

《Plala Broach からお引っ越し》

No.42「録 '08.7~12月」

2008-12-31 01:24:06 | 詩歌(創作)

2008.7.2

見ていたの5階に続くガラス越し白い衣装の探検家さん 

過去からの記憶と今は何処へと しまわれてゆく しまいゆくのか 


2008.7.6

どぶ川となりし臭いの久しきに真夏日の頭「懐かしい」と言ふ 

「そんなこと」知っているよと程無くに余所の短歌の『へ』に「は」の?(ハテナ・疑問符) 

この短歌『へ』は「は」じゃ無いの?ああそうか;呼びかけなのね二人称ね 

自己完結(一人称)知っているよと程無くの筈だに「筈」の「くらくら」のこと 


2008.7.7

七夕の風に警備の軽くなる重荷下ろした背の暑さ分(サミット) 

雨あがる さりとて見えぬ天の川 思(おぼ)し召すのか ふたつの星を 

短冊に明くる重なる日を描く 


2008.7.8

注文の後でクリックもう一度「売り切れ」の文字に一人満足 


2008.7.10

「5cm で、いや7cm」血迷った後の祭の髪に泣く 

前髪のちんちくりんに引きこもる したくなるのは万国共通 

うつあし(ひかがみ)の眩しさ夏の娘たち 


2008.7.11

夏の雲弾けて割れて天気雨 

きらきらとお日様透ける夏の雨 

上空の蒸した饅頭はじけ割れ汗流るる空天気雨 


2008.7.12

蚊に食はれ季節変はるをけふに知る 

天気雨上がる目の前蜻蛉(とんぼ)飛ぶ 

季(季語)の違う蜻蛉に戻る夏休み 


2008.7.13

空にわか曇りて遠く雨雷鳴 

雨の音にわか雷鳴暗くなり 

雷に線香焚く影縁の側 


2008.7.14

枝豆のパチンパチンの香ぞ嬉し 


2008.7.15

薔薇の葉の ing の姿に水を遣り 

日常(歌)と同時進行もひとつは形成らざる脳内を行く 


2008.7.16

昼日中ような白きにおがら焚く(盆の入り) 

水風船盆の暮れゆく音のして 


2008.7.17

都の名東京へと変われども住む者者は江戸っ子と言い 

蒸した日も夕ともなれば風涼し空高く青雲高く白 


2008.7.18

反り合わぬ親父例えりゃ椎茸だ 


2008.7.19

風鈴の舌をころがす風ひとつ 


2008.7.20

閉じてゆく世界に風は吹き込んで新たな地平生み出してゆく 

夏の風閉塞感を払うもの 


2008.7.21

潮風の吹くことも無し夕端居

海の日に「海のトリトン(アニメ・DVD)」これで締めっ 


2008.7.22

大暑避け立ち読みをする 小一時間 


2008.7.23

至福とは欠けたるものの無きことと思ふ幾年(いくとせ)上弦の月 


2008.7.24

風神よ雷神に乞え『明日休め」


2008.7.26

隅田川上がる花火を下弦見ゆ 


2008.7.26

金曜の深夜は混んでて重すぎて開ききれない画像うらめし 


2008.7.27

「姿無し」声聞こえたか小さやか『チチッ』目の前に懸命に飛び 

端出でて「暑い!」思はず回れ右! 

月進む夕をなだめて打ち水す 

歌を詠み百日超える文月(ふづき)宵 


2008.7.29

葉の裏で避暑と洒落るか尺取りよ 

黒い服日蔭を探す烏かな 


2008.7.30

ちょっとした勘違いでも良い方に 受け取っておく そのままにして; 

泣きたくて栓をするけど泣きたくて『なんで塞ぐの?』君(涙)は聞くよう 

栓をするするのになんでなんでかなどうしていつもいつもなのかな 


2008.8.1

八月の朔新月のブルームーン 
八月の晦新月ブルームーン 

晦には花咲かせたし若葉かな 

七夕に明くる重なる日を願い 


2008.8.3

赤塚や旅立つそばに蝉の声 
(赤塚不二夫氏、ご逝去)


2008.8.5

水色の空を白鯨泳いでく腹に赤々タトゥーは docomo 


2008.8.5

天放つ雷(いかずち)の先 地 揺れる 

静寂の音浸み亘る土用 雨後(うご) 


2008.8.7

寝たふりの猫の子起こす削り節 


2008.8.7

直ったと思った矢先また止まり気まぐれ動く時計は何故に? 


2008.8.8

何 でなく 何故 が知りたい 仏桑花(ぶっそうげ・ハイビスカス) 


2008.8.8

恐いから「行かない」のだと解ってる だから踏み込む真っ直中に 


2008.8.10

大ボケをかました後はどんな顔 したらいいのか日がな一日 


2008.8.11

寝坊して恐るる見れば遅れてる『とっとと起きろっ!』のサインと見ゆ 

就寝の時間変へずに早起きす二日目流る新聞の文字 


2008.8.13

御仏前送り ひと息盆の入り 


2008.8.14

盆休み静やかに空 日暮れてく 

夕端居 私の頭に雨ひとつ 

盆に傘かぶって浮かぶ メダル似て 

陽の暑さ過ぎてまどろむ 葉も月も 


2008.8.15

浴衣着てゆきたし どこへ どこへでも 


2008.8.16

西南の空明るんで夏の雨 

雨あがる鳴き声もどり蝉ひと夜 

強い雨 雷連れて鬨の声 


2008.8.17

オリンピック『今」この時を生きる唯 


2008.8.17

降りそそぐ Misty rain 薔薇ひらく 


2008.8.19

ひと目とて、欠けた満月閉じぬ花 


2008.8.21

余所様の種失敬して 夕化粧 

名の如し紅から変化 白粉花(おしろいばな) 


2008.8.22

夏祭り『おまけ!おまけ!』の声嬉し 

夏祭り終いし後(のち)に宴また 


2008.8.23

新涼に本のページを招き寄す 

霧雨の音聞く屋の心地良き 涼風の有る暫くの有る 


2008.8.24

一足に飛び越えて来し秋の雨 


2008.8.25

蒸す雨の夏の名残の思案顔 


2008.8.26

扇風機 止めては点けに席を立ち 


2008.8.27

まんじりと なればクーラー 点けもせず 

扇風機 かたはらリモコン 眺めをり 

久方の 日に雲に空 晩夏光 


2008.8.28

関東圏 大雨洪水警報は 六県駆けて ここ素通りす 


2008.8.29

秋晴れや祈りの先の道に咲く 

美事なるコントラストや雲の峰 

あの雲は物の見事に雷(らい)を連れ 

帰路につく最早のほほん秋の雷 


2008.8.31

輝いて光眩しき雲の峰 

逞しい筋張り出すや雲の峰 

蜻蛉らは仲間を呼んで飛び交ひて四方八方飽くことも無し 

吾の眼は野辺ならぬ空近きにて蜻蛉追ふ追ふ飽くことも無く 

黄金の実り(稲)の腹持つ蜻蛉かな 


2008.9.1

秋の季の たすき渡して待つ更新 

秋の季のたすき渡して夜の更ける 

串外す銀杏 塩のありがたき 


2008.9.2

たつた 十(とお)とひと月  秋の蝉 
(福田首相辞任)


2008.9.3

徘徊の猿に逢はむと猫そぞろ 

真っ正面 くらくらふらふら 大西日 


2008.9.4

街灯のあたるそこだけ色黄葉(もみじ) 

プラタナス葉はまだ緑秋はまだ? 

暦見て息衝(づ)いてなお残暑 


2008.9.5

日の中(ひのうち)の三日月雲に紛ひ添ひ 

透きとおる三日月紛ふ薄雲に 


2008.9.6

掃除終え部屋から出でて夕涼み 

夕涼み ならぬ何故なら室外機 

室外機 生暖かき風吹かし 怪しき空に雷光る 


2008.9.7

しおれそう 気の抜けなくて とどむ夏 

白露だに 下水溝から風昇る 

雷に向かいのビルも灯を落とし 

石鏡 走るは雷の姿なり 


2008.9.9

九つは陽を表して重なつて二つ並んで九月の節句 

天高し雲ひとつ無し今日大安 


2008.9.10

重陽に猫の時計の動きたる 

長々し 長月に起く眠り猫 

止まつてた猫の足音 辿る秋 

手折る薔薇 水の替へるの忘れなき(こと…) 


2008.9.11

雨やどり阿修羅のごと腕の下(もと) 

雨やどり阿修羅の腕のごとの下 


2008.9.12

手を取って この手を引いて 萩に風 

秋草を さがしゆきたし 風の中 


2008.9.13

いつまでか 行つたり来たり もどり夏 

十四夜 生まれる前の 十円玉 


2008.9.14

風通る畳ごろ寝す秋半ば 

葉影揺れ名月を待つふたつ哉 


2008.9.15

涙して 空 またぞろの 秋の雷(らい)(8/31「九月の一句」投句)

残暑かな いつまで続く 空見上げ(9/1 〃)

窓何処 展望台に 月上(のぼ)る(9/4 〃)

秋の蝉 転がつてをり 庭の隅(9/6 〃)

思ひ恋ひ 文をしたたむ 月の川(9/9 〃)

芒原 道なき道を 風とゆく(9/13 )

思ひ恋ひ文をしたため天の川 


2008.9.16

はぜる音ぶつかりながら蝉の逝く  

肌寒し何ぞ虫の声吹抜ける 


2008.9.17

ヘリコプター夜空に瞬く流れ星 


2008.9.18

去年(こぞ)よりか待つたかひあり半額で手に入れたるや季の過ぎた帯 

今日日(きょうび)は朝でも暑いよ温暖化 


2008.9.19

彼岸前 子規忌なる日に文庫開け 

子規忌来て積んだままなる本やっと 


2008.9.20

月上り黙に響く銀の露(9/19「九月の一句」投句)

曼珠沙華 炎のごと 嵐吹く(9/20 〃)

彼岸花 雨降る日には濡れるまま 

野辺の陽の落ちぬ内にと 秋彼岸 


2008.9.23

同じ筈なのに短し秋の昼 

気忙しい七日間なり秋彼岸 


2008.9.24

こっくりと色濃くなりき秋の薔薇 


2008.9.25

胃カメラの管を飲み込み枯尾花 

目には露 げろげろしてる姿哉 


2008.9.26

上り坂鈴虫の音の鳴り響く 

秋の燈に夕げの匂ひ訳もなく 


2008.9.29

間違えて降りるホームに秋の風 

見渡せば生垣ばかり秋潜む 

夜の駅ホームに遠く人居ればスピーカーから郭公の声 

見つめれば吾(あ)と彼(か)の二人 竹の春 


2008.9.30

畦に沿ふ花花花よ曼珠沙華 

「読書の秋」と手に取るマンガ本 


2008.10.1

都民の日なのに恩恵受け取らず 

カフェでなく映画館にてコーヒーの日 

フチ無しの一張羅なり眼鏡の日 


2008.10.2

日毎冷ゆ明け方の床 咽痛む 

風邪薬 一錠飲めば温かし 


2008.10.3

詰襟とセーラーに見ゆ秋の色 

月変はる半袖しまふ秋没日(あきいりひ) 


2008.10.4

粒揃い 黄色ほおばる秋二つ 

クランベリー降り立つ秋のショーケース 

うっとりと甘く薫るや黒すぐり 


2008.10.5

梳く風の まかせるままに 神無月 


2008.10.6

目覚む朝 秋雨の音に包まれり(10/1「十月の一句」投句) 

目覚めれど 秋雨の音に籠り入る 

金木犀 むせ返るほど匂ひ立ち(10/6 〃) 

胸悪くなる程に酔ひ 金木犀 


2008.10.7

秋なれど扇風機要る風呂上がり 

『彼岸まで』なのに十月へそを曲げ 

上弦に暮れる間も無く雨月なる 

秋らしくない暑さねと不平言ひ三日見送る よつかにいつか 


2008.10.8

堀の内 寒露結んで雨渡る 

雨やんで映るすべてが秋に澄む 

紫の刻一刻の秋光 

秋没日 明日を占ふ紫の雲 


2008.10.9

社会鍋 古本まつり 告知もう 神保町の年の瀬の色 


2008.10.10

記念日は記念非ずや?体育の日 


2008.10.12

アーチあらば 蔦が欲しいと しみじみと(文化学院) 

女坂降りゆく先に金木犀 

踏み入れば古色ゆかしぞ そこここに 遥かの香りアテネ・フランセ 

スポーツにアート音楽学生の活気溢れる学祭の候 


2008.10.13

ビルの陰雲の陰にも入ること無き筈の月見はぐれて秋 

見はぐれし月に狐につままれる 


2008.10.14

秋日何も無い日を閉ざし雨 

えんじ色膝掛け広ぐ秋の色 


2008.10.15

月明かり隠せるものの無き程の 

秋の気に風に光に洗はれる 


2008.10.17

風神図 阿修羅像の面差しに誰ぞ重ねつつ来る春を待つ 


2008.10.18

どこからか焚く匂ひして秋の暮 
(どこからか焚き火の匂ひ秋の暮)


2008.10.19

燈を残しすっぽり囲ふ 蔓(つる)よ蔦(つた) 

秋燈や 剥げたペンキの桟の色 

昨日今日 噂をすれば 秋は急き 

ほどけてく心窓辺の燈火色 


2008.10.20

蔓たぐる前にたぐって畑壊し子を泣かしたる大人ならぬ子 
(10/16 橋本大阪府知事) 


2008.10.21

下弦追ひ夜長夜長の真ん中に 

夜中四時首を真上に月見哉 


2008.10.22

無駄骨か月見の前の一仕事 


2008.10.23

霧雨に身じろぎもせず一点を見据える一羽「何想ふ、鳩」 


2008.10.25
 
東方 廿七夜の空笑ふ 


2008.10.26

椅子眠る わずかばかりの夜長かな 

灯の落ちる向かいのビルの窓 鏡 思はぬものの写り込みたる 


2008.10.28

ハロウィンのまだ三日前クリスマス色の星行く 天の原なり 

星月夜 赤と緑の星も見ゆ 


2008.10.30

濃紺のベールの降りてそぞろ寒 

たぷたぷと一杯の燈色手のひらに 


2008.10.31

秋の陽に背中を押され猫散歩(10/15「十月の一句」投句)

静けさや白く佇む月ひとつ(10/16〃)

咲くを待つ 新芽紅く 秋の初霜(10/31〃)


2008.11.1

忍び込む風そのままに秋気降(お)る 

秋冷に足す布団無し服を足し 

踏んづけて 銀杏(ぎんなん)踏んづけて はしゃぐ子ら 


2008.11.3

曇天に不穏な気配ゴジラの日 


2008.11.5

開かれし窓に月あり♪(8分音符) 

片方のガラスの様な月の靴 

靴鳴らす音符こぼれて月ルルル 


2008.11.8

一日の誤差は大目に 吹く立冬 

立冬に減らした服を今日は足し 

徒然に前世想ふや帰り花 


2008.11.9

垂れ籠めて 冬 常世長鳴鳥(とこよのながなきどり) 

錦秋の山 頂きに青き獅子(西武ライオンズ日本シリーズ優勝) 

日短(ひみじか)に 為すべき為せず ただ暮れる 


2008.11.10

空見あぐ 月 星雲の中に有り 

宙(そら)の月 千変万化 時の中 


2008.11.12

年の瀬の声に枕を蹴飛ばされ あたふた起きて しぶしぶと書く 


2008.11.13

三月経ち嗚呼帰り花 紅き華 


2008.11.14

特大の落ち葉を待つやプラタナス 

カラカラを探して踏みぬ 枯落ち葉 

枝下ろし 裸の木々の寒々し 

一日で冬木にされし並木道 

色づくを待って待つ間に間に合わず枝落とされて枯葉の踏めず 


2008.11.15

七五三 聞けば食べたし さらし飴 


2008.11.18

大好きな笑顔贈って!クリスマス 


2008.11.19

天と地が交差する如 冬の雲 

空つ風 幾重行き交ふ雲の原  


2008.11.23

小春日の出しビルから 午後の庭  

小春日の中に私と鳩一羽 

若木なら枝も落とせず 黄葉たつ 

目で追うか心で追うか 冬の季語 


2008.11.26

冬便り 笑顔の見えし友の声 


2008.11.27

めくる指キイ叩く指 屈(こご)む冬 

冬の雨 あの日の 神田 神保町 


2008.11.30

運び来る 冬の使者なり寒気団(11/19「十一月の一句」投句)

幻のやうに晦 冬籠り(11/30 〃)


2008.12.1

駆け抜けし黄葉 車道を埋め尽くし 


2008.12.2

金星と木星 福福 三の酉 


2008.12.5

冬の雷 ものともせずに鉢起こし 


2008.12.6

晴れわたる今宵上弦ゆく年の 


2008.12.8

九年越し 地元明治のラガー沸く(12/7 早明戦) 

年用意 また一年の種を招(お)く 


2008.12.9

雨鏡 落す姿は冬の色 

散り紅葉 光るモザイク雨の径 


2008.12.11

雨の降る 烏の声に焚き火の香 

小春日や 綿毛が一つ もう一つ 


2008.12.13

首痛し 天を仰ぎて煤払い 


2008.12.14

眼の奥で天を仰ぐや十二月 


2008.12.15

サンタ来る「松任谷由実」歌ってる♪(12/14「十二月の一句」投句) 

すきま風『ピープー』歌へば楽しかり(12/15 〃 ) 


2008.12.21

強風に泳ぐ しなやか冬薔薇(ふゆそうび) 

カラ カラ と 落ち葉 落ち葉 を 追ってをり 

透き通るポリの鳥ゆく 小春空 

丸のまま「どぼん」と お日さま 柚湯かな 

「冬至」より「一陽来復」晴れる空 


2008.12.22

中坊のやうな二人よ クリスマス 


2008.12.24

飾る雪 窓は額縁 Merry Christmas (12/24「十二月の一句」投句)


2008.12.27

大晦日カウントダウン大掃除 

遣る水の飛沫冷たし赤き足 


2008.12.28

歳末や 走るくノ一 買い出しに 


2008.12.31

冬の海 寄せては返す鐘の音 <除夜の鐘>(12/31「十二月の一句」投句) 

潮騒や よせてはかへし 除夜の鐘 



最新の画像もっと見る