土手猫の手

《Plala Broach からお引っ越し》

「秘密」(転載)

2013-06-15 01:47:10 | 夢日記/感興小説(改稿)
   「秘密」
                          本居 寝子

夢だった。
そこは家(うち)の庭の上の、パカッと空いた空間で。普通に暗い夜だった。
何故だか北を見ていたら、いきなり白い月が上がって来た。それは見る間に頭の上を通り抜け、南の空へ沈んで行った。
いかにも速いヤツなので、ソイツは一晩中ぐるぐるぐるぐる目の前に現れたが。
余りの珍しさに見とれてて。私は朝が来たのも、忘れてた。

或る時は。
日も暮れたのに明るいままの空だった。そして白い円い月が居た。ソイツは夜の月だった。
昼の月、夜の月、どこが違うと言われても。明るい夜の、と言うだけだ。
コイツは朝が明けても、歩く私の上で浮かんでた。
いつまでも。
道理で。いつから朝だったか、気づかずじまいだ。

またしても。
それは明るい夜だった。車の時計は朝の四時、たぶん冬の暗い朝。なのに明るい空だった。
それもその筈だ、まだ朝も明けてもないのに日が出てた。
走る車に、いつまでも。ヤツは並走するもんで。
おかげで。先行く自分は、いつまで経っても夜だと思ってた。

いつだったか、それはまともな夜だった。まともな夜空に月が四つ集まって。そのままずっと止まってた。
多くの人が……
なので。私はそこを、後にした。

夢だった。
そこは家(うち)の庭の上の、パカッと空いた空間で。
明け方とも夕方とも見えない明るい、なのに星がはっきり解る青い青い夜だった。
高い高い空に、肉眼で解る、大きい大きい星が二つ並んで動いてく。見える、見て取れるくらいのスピードで。
笑う太陽と、笑う月の、マーク。あの(笑)とかの仲間で括られるような、中世のタロットカードに出てくる図案のような、アイツラだ!
あの怪し気な顔が二つ並んで動いてく。怖いような、可笑しいような、あの何とも言えない≪あの顔≫が東の空へ進んでく。
笑ってる! 笑ってる!
今度は。いかにもすぐ、行ってしまいそうなヤツラだったので。

当然。私は、追いかけた。

2009.8.8起・8.10脱。

2009.8.10「Open Sesame」(初出)。
http://pub.ne.jp/nekome9_1/?entry_id=2345561


2013.6.15・17 部分修正。

不揃いにした音(律)を少し戻して。
朝が明ける(=夜が明ける)等、意図的なものは変えずに。
元原から少し修正しました。



6/1に見つけて買ってきた、レターオープナー。

機能だけでない、デザイン的に気に入る物を……と、長い間探していたペーパーナイフだったので。
これを見つけた時、迷わず2本買って帰ることを決めました。
(※この日は1本ずつしか無かったのですが、また?入荷されてます)

《Plala Broach「土手猫の手」2013.6.15》