虎(黄にゃんこ)と馬と猫

競馬とタイガースと時たまねこのお話

「手掘り日本史」司馬遼太郎

2006-02-01 14:30:53 | 読書日記(映画)
単行本の発刊が昭和47年。僕の生まれる前、年代物である。

「大工さんでも、かんなで木を紙のように削る、というような修行をする。もっと便利な道具を考えればいいのに、使いかたの錬度のほうを重視する」

使う側に大した技術がなくても使える、一定の成果が出せる道具を与えるのが欧米。道具に慣れろ、と人間が合わせることを要求するのが日本。
先の大戦の時の武装に対する思想、ライブドア問題で浮かび上がった東証のシステム的不備とそれに比してのニューヨークやロンドンの証券取引所の強固なシステム。
問題があっても、現場の技術でいつの間にか無理を吸収してしまって、最終的にパンクするまで問題点が表に出てこない……

日本は変わっていない。そう思う。
当時の教養と今の教養で、少し分かりにくいたとえ話があったりするが、基本的に今にも通用する話ばっかりだ。

どこが、という抜き出しやすい部分はなかったが、歴史は、史料はある「史観」のもとに編まれるもので、水戸史観とか皇国史観とか、時の施政者の都合で脚色や歪みが与えられた歴史の有害さ、という話も含蓄があった。
天皇が「皇帝」ぽい役割を与えられたのはたかだか70年程度だとか、ね。

古本屋のワゴンから105円で拾い出してきましたが、十分以上の価値がありました。


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