林檎日記

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『炎立つ』

2023-02-12 11:47:00 | 

『炎立つ』


『水壁』からあいだが空いてしまったのは、図書館に5冊そろってなかったから。誰か借りてたんだねー。12巻はあっても、途中で待たされるのが嫌なので、4巻目がそろってしばらく経つまでまって、借り始めた。読んでる途中で5巻目も戻ってきて、よかった。


『炎立つ』は3部に分かれていて

1部が 経清・貞任・(義家)の話

2部が 清衡・(義家)

3部が 泰衡・(義経)


前にも1度や2度は読んでるはずだが!あまり覚えてなかった。特に3部。1部と2部はなんとなくわかってたけど。


藤原3代っていわれて、あまり良い評価ではない藤原4代目の泰衡が、よい解釈で描かれていて、気持ち良い😊


どこまでが、歴史書に基づいているのかは分からないけど、「歴史書に書かれている矛盾点を矛盾ないように物語にしたら、これで整合性がとれました」って感じだったらいいな。


『吾妻鏡』にはこう書いてあるけど、その事実の裏には、泰衡のこういう思惑や、頼朝のこういう思惑が働いてて、結果、こうなりました。と。

さいご、それを思わせるような記述があるんですよ。


泰衡から鎌倉に向けた書状で、前半は「義経の首を獲ったのに逆賊呼ばわりするとはどういう事だ。大義がないぞ!」と痛烈に批判しておきながら、後半では「命を許してくれるならなんでもします」的な事が書かれていて、意味不明、と。

泰衡の狙いは、後半部分を付け加えたことで、鎌倉はこの書状のことを歴史書に書かざるを得なくなるだろう。そうすれば前半も一緒に歴史書に残る。それによって、蝦夷の誇りが守られる。ことだった。と。


なるほど、なるほど。この書状は、吾妻鏡に載ってるのかな?って思っちゃうよね。


義経に関しては。鎌倉に送った義経のクビは偽物。そうする事は秀衡の遺言でもあった。平泉側としては、「義経のクビを送ったことで、朝廷のいうとおり逆賊を討ちましたよ。平泉を攻める理由はないでしょ?」となる。鎌倉側は、クビが偽物と知っても「義経のクビを送ってきたって事は、やっぱり今まで匿ってたって、証拠でしょ?奥州を討ちましょう、と朝廷に言える」というら各々の思惑があり、つまり、義経は死んでいない。宋に逃れているな、コレは。


平泉に関しては。「くにとは何か。土地がなくては国ではない。でもその土地に住む人がいなくても国ではない。土地とひとが残れば、たとえ藤原が滅びても、蝦夷は必ず甦える」と結論に至った泰衡が、ひとも土地も残すために、明け渡し退散し、自害しておる。


できたお人✨✨。なら、泰衡も一緒に祀ってくれればいいのに。……あぁ、でも、当初は鎌倉に牛耳られてたから、やっぱり泰衡はできない当主と思わされたのかなぁ?実際のところはどうだったんでしょうね?


義経も泰衡も、良い印章で描かれていて、良かったですよ。

印象が悪かったのは大江広元〜〜〜。大河ドラマ(鎌倉殿の13)では良い人のようだったのに。でも、最後の方とか簡単に「〇〇は殺すしかない」的なことを言ってて、なんかおかしいぞ。とはおもってたけど、『炎立つ』でもすぐ殺そうとして、イヤなやつだよ!イヤなヤツだぜ!!


おもしろかったですよ。泣けたし。いいね。

コメント
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