たったいま、ハンモさんのこの本を読み終えました。ハンモさんとはイラストレーターでグラフィックデザイナー、装幀作家の杉浦範茂さんの仲間うちでの愛称を倣ってのことです。
悪い癖で、私はいつもどおり「おわりに」から読みはじめました。ありました。この本が書かれた動機がそこに。まだ、彼が駆け出しのころある絵本評論家に「温かい家庭で育った作家の絵」と読み解かれたのだそうです。絵本は”絵”を読め、なるほどというわけです
書名どおり、この本は「スーホの白い馬」、「はじめてのおつかい」、「あおくんときいろちゃん」、「もりのなか」…日本の名作絵本、海外の名作絵本24冊の絵を彼の人間に対する優しい愛情と深いまなざしと洞察力で読み解いた上に自身の創作感、経験談、人生観まで織り込んでいます。絵を読み解きながら軽妙な文章で自分史がチョコチョコと顏を出すあたり心憎い読み物ともいえます。
私にはレオ・レオーニの『あおくんときいろちゃん』の項がいちばん興味ぶかかったのです。レオーニの抽象イラストに斬りこんだところと印刷の「特色」について論じているところです。これは余分ですがレオーニが絵本作家、イラストレーター、グラフイックデザイナーというところがハンモさんそっくりです。違うところはレオーニさんは経済学博士で絵やデザインは独学だそうですが、ハンモさんは東京芸術大学図案科の出身、1998年には紫綬褒章を受けています。
やはり巻末に絵本作家や児童書のイラスト作家としての主なしごとが70点ばかり紹介されていますが、その前にある「ブックデザイナーの仕事」は本の装丁をしていらっしゃるお若い方にはさんこうになるのではないでしょうか。いずれ、彼自身の絵本作家としての作品、ブックデザインやレイアウトを主体とするエディトーリアル関係の主な仕事も本にしてほしいものです。 大事なことを忘れました。この『絵本の絵を読み解く』は読書サポート発行03-6869-3785です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます