活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

棟方志功と川上澄生

2008-03-17 11:10:50 | 活版印刷のふるさと紀行
「わだばゴッホになる」棟方志功が雑誌「白樺」に掲載されたゴッホのひまわりと出会った話は知っていましたが、川上澄生の代表作の一つ《初夏の風》1926年(大正15)によって「版画一筋」を志したとは知りませんでした。

 この木版多色刷の作品は澄生31歳のとき、第5回国画創作協会展に出品されました。ある人はバックの淡いエメラルドグリーンで刷られているのが「風の精」ともいい、ある人は男性たる澄生自身の荒れ狂う「欲望の風」だともいいます。

 モンローではありませんが、画面中央でスカートをなびかせている女性には、果たして《初夏はつなつ》の風がどのようにうけとめられたでしょうか。
 
 澄生は詩人でもありました。
 「かぜとなりたや はつなつのかぜとなりたや かのひとのまへにはだかり
 かのひとのうしろよりふく はつなつの はつなつのかぜとなりたや」
画面両サイドに詩も彫られております。このあたりに、志功が心を動かされたのも想像できます。

 澄生には私刊本がたくさんありますが、市販本の挿絵については、本日は見ることが出来ませんでした。ただ、ひとつだけ彼が版画に興味を持ったのは、このためではなかったかということを知りました。それについては次回。



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